──────ここのつめの月 だんだん道中でも、口数が少なくなってきたクロ。
小さな女の子には決して楽ではない旅の道中、人生を凝縮したかのようなここまでの道中で
さまざまな経験を繰り返し、クロ。はもう泣かなくなったけど
笑わなくもなった
「足が…… ふらふらする」以前なら足を止めていたかもしれない険しい山道でも、懸命に歩を進めるクロ。
それでもつい、こぼれる弱音……
「そーゆーことは、云えば余計そう感じるぞ。むしろ出すなら強がりにしとけ。」そんなクロ。を励ますセン
「……ん
眩暈なんてしない 寒気なんてしない 頭ががんがん痛むのはきっと、北向きの風になってきたからだ。」
「お前っ… 待て!!
具合が悪いなら、早よそう云えよ!!」 クロ。の言葉は弱音ではなく、熱に浮かされてのものだった……
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深い緑の森 白濁した世界 しこたまに悪い天気に出くわすときほど 旅人に辛いことはない
山あいの洞窟で、とうとう病に倒れるクロ。
熱は少しづつ下がってきたものの、頬を紅潮させ、つらそうな表情を見せたまま
「ねえセンセイ 弱音 …吐いてもいい?
昨日云ってたよね 『強がり』にするなら口に出してもいいって。」
そんなクロ。に、乱暴だが優しさの垣間見える言葉を投げかけるセン
「吐いてラクになるんなら構わねえよ、でも『戻らない』とか『やめない』とか言うのはナシな。
強がりと意固地は別だかんな、そんくらいなら明日から反対の道行かすぞ、俺は。」
「……じゃあ いいや
泥の味がする薬と一緒に飲み込んどく。」
旅人に 本当に辛いときは
自分の中に 旅をやめる「理由」を抱いたときかもしれない
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かろうじて体調を回復させたクロ。は何とか山も超え、ふもとの一軒家で雨露を凌がせていただけることに
「まあまあまあ…… こんな時期に山越えしてきたの?」
「こんな小さい体で…… 雪が降る前でよかったなあ。」
家の人に暖かく迎え入れられ、身体にまとわりつく雨のしずくを落とそうと靴を脱ぎかけたその時
クロ。は自身に起こっている異変に気づく
「…? なんだろう、これ。」
身体から染み出す黒いシミを、不思議に思うクロ。……
そう! 黒き魔女の呪いは容姿のみならず、ゆっくりと確実にクロ。の身体を蝕んでいたのだった……
服を着替え、暖炉のそばへ呼ばれるクロ。
「久々の女らしい格好だな。少しくすんでるが、おまえの好きな白い服だ。」
センの言葉に、はにかみながらも少し困ったような表情を見せ
「……今の わたしには似合わないよ。」と答えるクロ。だった
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──────もう月を数えるのも 面倒になってきたころ
あの“出来事”は、突然やってきた
「なあ お前やっぱ故郷に帰りたいだろ。」
「うん、帰りたい。でも旅はやめないよ、そう決めたから。」
談笑を交わしながら旅を続けるクロ。とセン
そんな道中、焚き火の暖を取っている二人の耳に、旅商人の会話が飛び込んできます
「……そろそろ東は、聖霊祭のある頃じゃねえのかい?」
「ああ 今、東へは行かない方がいい。『死の町』の噂を聞いてないか?
あそこにゃ悪魔がやってきて、町中に黒い呪いを振り撒いたって話さ。」
http://nonamev2ak.sakura.ne.jp/ex/src/ex42901.gif このあと、物語は
>>839-840 >>864-868 へと続いていくわけですが
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支援では編集の都合上、本編内容をバッサリ切ってある部分も多々あるので
支援を見ていても新鮮に楽しめるコト請け合い! よろしければ来月、お手にとってみてくださいね。
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