──────よっつめの月 澄んだ空と 萌黄の草原
どうやらクロ。は、眼鏡のほかにセンの持ち物をもうひとつ持ち出したらしい
旅の途中で迷った時や疲れた時、センに隠れて、思いつめた顔をしてそれを開けている……
コソコソと一人何かをしているクロ。そっと背後から忍び寄るセン……そして
「───やっぱり!! これ俺の嗅ぎ煙草入れじゃねえか!!」
手にしていたそれを、クロ。からバッ!っとひったくるセン
「ああっ!! だめ!!」 やましさからか、慌てた表情のクロ。
「───って、ちょっとまて!!
何で中身が全部固形砂糖に変わってんだ!?」と、中身を見て驚くセン
「ちょ、ちょっとずつ食べてたんだもん!! 元気が出るから」
タバコは大人になってから……と、言うまでもなく、クロ。にはクロ。の使い方があったみたいです
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──────いつつめの月 大きな暗茶色の街
(……図らずも連投支援いただけたので、続けて2つ再掲載いきます……)
旅の資金が底を尽き、思案に暮れるセン
クロ。が辺りを見回すと、そこにはあやつり人形を生業とする旅芸人の姿があった
「センセイ、いい事考えた! もっと人が沢山いるとこに行こう!」
広場に着くと、クロ。は声高らかに通行人に呼びかけます
「さあさあ、御用とお急ぎでない方は寄ってらっしゃい見てらっしゃい
北の地、古より伝えられた 千の蝙蝠との疎通術をご覧に入れましょう」
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<<クロ@棺担ぎのクロ。〜懐中旅話〜>>
>887やっと見れたよ
乙なんだからねっ!
クロ。の演技と、センの活躍で稼ぎは上々。
これなら今後の旅でも、いろいろ楽できるかもと思ったが……それほど甘くもないらしい
体中泥だらけにし、頬や手にカスリ傷を負いながら、険しい表情でセンの待つ宿に戻ったクロ。
「何だ? どうした?
路地裏で? 相手は?
ああそうか、広場でのあれ見てたんだな
しょうがねえよ、教訓賃だと思えばいさ。」
……路銀をすべて奪われ、悔しさと、悲しさと、不甲斐なさに落ち込むクロ。に
センはそっと諭すように、やさしく慰めながら、語りかけるのでした……
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