──────いつつめの月 大きな暗茶色の街
旅の資金が底を尽き、思案に暮れるセン
クロが辺りを見回すと、そこにはあやつり人形を生業とする旅芸人の姿があった。
「センセイ、いい事考えた! もっと人が沢山いるとこに行こう!」
広場に着くと、クロは声高らかに通行人に呼びかけます
「さあさあ、御用とお急ぎでない方は寄ってらっしゃい見てらっしゃい
北の地、古より伝えられた 千の蝙蝠との疎通術をご覧に入れましょう」
http://nonamev2ak.sakura.ne.jp/ex/src/ex28331.gif クロの演技と、センの活躍で稼ぎは上々。
これなら今後の旅でも、いろいろ楽できるかもと思ったが……それほど甘くもないらしい
体中泥だらけにし、頬や手にカスリ傷を負いながら、険しい表情でセンの待つ宿に戻ったクロ。
「何だ? どうした?
路地裏で? 相手は?
ああそうか、広場でのあれ見てたんだな
しょうがねえよ、教訓賃だと思えばいさ。」
……路銀をすべて奪われ、悔しさと、悲しさと、不甲斐なさに落ち込むクロに
センはそっと諭すように、やさしく慰めながら、語りかけるのでした……
http://nonamev2ak.sakura.ne.jp/ex/src/ex28332.gif