第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-018
【本格ミステリ大賞】
本格ミステリの発展をめざし、作家・評論家等によって結成された本格ミステリ作家クラブが主催する。
小説部門と評論・研究部門に分かれており、それぞれ基本的に年一作ずつ表彰される。
芥川・直木賞を始めとして、賞の授受は選考委員が密室で決めるものがほとんどだが、
この賞は会員による投票形式で、投票の際は字数制限付きで「この作品を推す理由」が必須。
あくまで『本格ミステリ』にこだわって優劣をつけるので、各人とも熱いミステリ観を字数いっぱいまで
消費して語っているのがまたおもしろい。無効票も含めた全投票が光文社「ジャーロ」誌およびクラブのHPで
公開されるので、プロの面目にかけても適当なことは書けないと気合いが入るのかもしれない。
評論も含めて、マニアックな作品が受賞することもあるので初心者にはお薦めしづらいが、
ミステリの楽しさを味わいたい人はチェックされたし。
<受賞作>
・倉知淳「壺中の天国」(小説部門)
・笠井潔「オイディプス症候群」(小説部門)
・若島正「乱視読者の帰還」(評論・研究部門)
本格ミステリ作家クラブ 公式ホームページ
ttp://honkaku.com/index.html
<受賞作紹介>
・倉知淳「壺中の天国」(2001年第1回・小説部門)
江口陽子は電波の卑劣技術を悪用してわたくしに。良からぬ電波を合てております。
わたくしに直接電波を合てて。眠られない音の電波を聞かせます。この様な悪業が許されません。――――
のんびりした地方都市で父と娘と暮らす主婦の知子が目にした、あまりにも意味不明な「電波」怪文書。
市内で発生していた連続通り魔殺人事件の犯行声明のようだが…どことなくのんびりした「家庭諧謔探偵小説」。
作中のデンパ文書や、通り魔事件被害者視点の視点で描いた部分などはかなりおもしろい。
しかし第1回受賞にこれが選ばれたことで、読者が賞の方向性を掴めず戸惑ったことは否定できない。
<受賞作紹介続き>
・笠井潔「オイディプス症候群」(2003年第3回・小説部門)
「バイバイ、エンジェル」から続く矢吹駆シリーズで、現段階での最新長編。
エーゲ海に浮かぶミノタウロス島の屋敷に集められた10人の男女。広大な密室と化した邸内で
ギリシャ神話に見立てられた連続殺人が発生、カケルの戦いが始まる。
「駆シリーズならもっとおもしろくなるはず」よって受賞にはイマイチ納得がいかないという
ファンの声もあるが、その厚み(物理的にも内容も)とデロデロと広がる邸内見取り図は
さすがの圧巻。ラストは駆萌え、ナディアタン(*´Д`)ハァハァの両者を悶えさせた。
・千街晶之「水面の星座 水底の宝石」(2004年第4回・評論・研究部門)
若手ミステリ評論家の著者が、古今東西、映画からドラマまでメディアを問わずミステリを俎上にあげ、
名探偵の光と影、物語の記述者について、「見立て殺人」考などのテーマで串刺しにして
論じたのが本書である。おもしろい考察がたくさん、しかしネタバレの宝庫。
評論にある程度のネタバレは致し方ないといったレベルを超えている。全部チェックしてから読むか、
はたまた開き直って読むか、道は二つにひとつだ。
【山本周五郎賞】
新潮文芸振興会主催で、「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品」に対して授けられる。
受賞作はミステリ、時代小説、恋愛小説など幅広く、エンターテインメント作品で
純粋に楽しく読めるものが多い。
主催の関係上、新潮社刊のものが優遇されている感はあるが、工エエェ(´Д`)ェエエ工
という作品の受賞はあまり聞かない。個人的には、好きな作家に取ってほしいと思う賞である。
比較的ハズレは少ないこともあり、ジャンルを問わず小説好きならチェックをお薦めしたい。
<受賞作>
・稲見一良「ダック・コール」
・岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」
・京極夏彦「覗き小平次」
新潮社 山本周五郎賞のページ
ttp://www.shinchosha.co.jp/yamamotosho/
<受賞作紹介>
・稲見一良「ダック・コール」(第4回・1991年)
石に鳥の絵を描く男、朝日をカメラに収めようとセッティング中に幻の鳥の飛翔を見た
青年の昂揚と躊躇、パチンコ名人の少年と中年男の密猟冒険、デコイと少年の友情など
鳥に魅せられた男たちを描いた、ハードボイルドと幻想が交錯する不思議な短編集。
ひっそりと、しかし熱く語られる男たちの物語。カコ(・∀・)イイ!!
・岩井志麻子「ぼっけえ、きょうてえ」(第13回・2000年)
人の心は暗闇とおんなじじゃ。そこに何があるんか、誰にもようわからん。
わからんもんは、きょうてえよ。ぼっけえ、きょうてえ……。
岡山の遊郭で出会った醜い女郎が語りだした身の上話。
「それ教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる」と含ませながら、彼女は語る。
母は間引き専門の産婆だったこと。幼い頃の自分は母の手伝いをしていたこと。そして…
全編岡山弁で語られる妖しい物語。タイトルは岡山弁で「とても、こわい」を意味する。
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Writen by 名無しのオプ
※「ギター侍がメッタ斬りCD・DVD・著書デビュー」
ttp://www.yamaguchi.net/archives/000735.html ※とは関係ありません