第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-017
【春のセンバツ記念 高校野球漫画シリーズ】 *・゜★・*。.:・゜☆.。.*・゜★・*。.:・゜☆.。.
「甲子園の空に笑え!」川原泉 「花とゆめ」連載 単行本1巻・文庫1巻 白泉社
女性の新任生物教師・広岡真理子が、九州の片田舎にある「豆の木学園」野球部を
率いて、夏の甲子園で大活躍するストーリー。部員は9人の弱小野球部で、県大会
では常に一回戦負け、甲子園なんてとてもとても‥となると、よくあるパターンに
思えるが、川原泉という奇才の描く作品であるだけに、スポ根ものにありがちな
汗臭さは全く見られない。広岡監督のノックで鍛えた守備と運の良さだけで、夏の
甲子園を勝ち上がっていく。当然ながら随所に出来杉な点はあるが、暑苦しい
出来杉ではなく、シュールでクールな出来杉と言っていいだろうか。良作ばかりの
川原泉ものの中でも、特に推せる作品。
夏の甲子園に出場するには、地方大会で優勝が必要である。地方大会は各都道
府県の高校野球連盟が主催する。この時、なるべくレベルの高い学校が甲子園に
進めるよう強豪校をシードするのが常である。正直、これって高校野球の目的や
方向性からいくと変なことは言わずもがな。教育の一環である以上、差別イクナイ。
作中、豆の木学園のある県の高野連はシード制を廃止し、結果豆の木学園が
甲子園に進むのだが、シード制廃止に至る高野連運営委での議論のシーンは
この作品のキモのひとつなので、是非実際に読んでみてもらいたい。オナテク板
フグタ氏ではないが、力技もいいところである。その力技への感動が「ボツリヌス菌
のよーに」広がるのは、作品中の高野連諸氏だけではないはずだ。
高校野球のレベルは年々上がっており、応援する方も力が入る。しかし、出場する
野球部員はもとより、甲子園のアルプス席を埋める応援団も、カネかかるんですよね。
遠隔地の県ならなおさら。遠くから来たチームが初日の第一試合で敗退するケースが
ままあるが、あれは非常に切ない。また長くいるのもこれまた辛い。豆の木学園は
村民の善意の寄付で夏の甲子園の全日程を乗り切ったが、作品全体が一見破綻の
ない設定に見えて、ここだけは辛い点。それから、チームは九州からはるばる、
広岡監督の運転するスクールバスで甲子園を目指すのだが、広岡真理子は大型
免許を持っていたのだろうか?
応援といえば、吹奏楽部。ブラスバンドの腕の見せ所である。応援が有名な学校は
それだけで盛り上がる。応援を聞くのが楽しみで甲子園に足を運ぶ人も多い。
ところが豆の木学園にはブラスバンドがなく、代わりにオーケストラ部が友情出演して
いる。レパートリーはモーツァルトからベートーベンまで、なかなか幅広いらしい。
具体的に何の曲だったのかが気になるところ。分かればクラシック板さんに解説を
お願いしたいw
決勝戦、前年優勝校と対戦した豆の木はホームランの一発に泣く。ホームランだけは
バックの援護では防げないのだ。「わしらは栄冠とか優勝とか、そんなもんに輝か
なくてもいいんだな」とポーズを取りながらも、「もはや守備不能‥」と打球の行方を
追うナインを「しかし、なかなかいい夏だった」と微笑んで見守る教頭先生と広岡監督。
少女漫画として読者を今なお引きつけるとともに、高校野球漫画としても第一級の
作品である。
*・゜★・*。.:・゜☆.。. 懐かし祭り「ノスタルジー再上陸作戦」 発動中! .:・゜☆.。.*・゜★゜・*
【春のセンバツ記念 高校野球漫画シリーズ】
「紀元2600年のプレイボール」 大和和紀 作 単行本全5巻
高校野球大会の前身、全国中等学校野球大会を描いた人情野球漫画。
昭和十四年、中等学校四年生の青葉竹千代の前に、母の実家からの
使者が訪れる。亡くなった先代当主の伯父に代わりに、青葉家を継いで
欲しいというのだ。しぶしぶ出向いた竹千代が見たのは、時代錯誤も
はなはだしい、維新から取り残された人々だった。
大和氏お得意のコミカル調で始まった物語は、日本中が注目する
学問所(学校)にしようと竹千代が野球を導入したことから、スポーツ
漫画へと趣を変える。
個性豊かな仲間たちと、騒動を繰り広げながらも勝ち進んでいった
竹千代だが、時代の波は彼らをも翻弄し呑み込んでゆく。・゚・(ノД`)・゚・。
「紀元二六〇〇年の甲子園を 夢みた若者たちは そのまま雲の中に
わけいって いったのかもしれない」のモノローグが、心に染み入る
秀作である。