第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-015
・将棋消滅の危機 〜 GHQと升田幸三 〜
第二次世界大戦の終戦後、当時日本を実質支配していたGHQ(連合国最高司令官総司令部)に、
戦後日本の非軍事化・民主化を担当する民政局という中枢部局がありました。
その局長ホイットニー准将は日本国憲法の作成に決定的な役割を果たした大物ですが、
政治行政のみならず日本の文化全般についてもそれなりに調べていました。
そして彼は、日本を再び戦争を起こさない国にするためには、戦争放棄を憲法の条文に
盛り込むだけでは足りず、日本人そのものを戦争を二度とやらないような国民性にする
必要があると考えました。
そこで、歌舞伎の荒事の上演禁止を行ないました。
つまり「勧進帳」や「忠臣蔵」といった演目の上演を禁じたわけです。
なぜそんなことをしたか。例えば、忠臣蔵は大石内蔵助率いる赤穂浪士が亡き主君の敵である
吉良上野介を討ち取る物語ですが、日本人はこれを大変好んで観ている。
これは、今に見ていろ、アメリカの大統領の首を取ってやるからな、ということにつながってくる、
と考えたからです。
その後、日本の文化を破壊する動きの中で、とうとう将棋界にも声がかかります。
日本将棋連盟はGHQに呼び出されました。
当時升田幸三は将棋界の関西本部長代理という肩書きで、それほど力は持っていませんでしたが、
将棋連盟の代表には升田が選ばれました。
その知識・頭の回転の速さ・度胸・そして将棋の強さ。どれをとっても升田にかなう人間は
いなかったからです。
GHQの呼び出し理由はこうです。
「日本の将棋はチェスと違って、取った駒を自軍の兵士として使用する。
これは捕虜の虐待思想につながり、国際条約に違反する。将棋は日本の捕虜虐待に通じる思想だ」
と言いがかりをつけました。
升田幸三は至って平然として、出されたビールを飲みました。
「なんだコレ。マズいビールだな!」といきなり大きな声を出したので、GHQは
ビックリして升田を見ました。
「それならナポレオンがあるがどうする?」
升田はまだ洋酒というものを知らず、当然ナポレオンが最高級酒であることも知らない。
「ナポレオンみたいな冬が来たら負けるよな酒はいらん」
GHQは困った顔をしましたが、さらに升田節は続きました。
「チェスでは取った駒を殺すんだろ?それこそ捕虜の虐待だ。
日本の将棋は敵の駒を殺さないで、それぞれに働き場所を与えている。
取ってきた相手の駒を、例えば飛車を歩として使ったり、角を歩として使うのであれば虐待だが、
その駒の肩書きどおりに使うのは人間の活用であって虐待とはまったく違う。
その人の持つ能力を尊重し活かす、これこそ民主主義だ」
ホイットニーも応戦します。
「チェスの駒は芸術品、美術品であり、チェスは知的で優雅な世界最高のゲームである。
クイーンという駒もあって、女性を大事にしている。
日本では男が威張ってばかりいて、だから戦争を起こすことにもなるのだ」
これに対して升田はこう斬り返しました。
「閣下、キングとクイーンの両取りをかけられたとき、キングはクイーンを犠牲にして
逃げるではないか、女性尊重だのレディーファーストだのとしきりに言うけれども、
あれはどういうわけだ」
ここまで来るともうGHQも何も言えません。しだいにGHQも升田の話に興味持ち出して、
こういう問答が5,6時間続きました。
そして最後に「君は実に面白い日本人だ。土産にウイスキーを持っていけ」と最後には
升田に敬意をしめしました。
この事があって升田の名前はアメリカ著名人に広まり、ケネディ大統領の弟R・ケネディや
ライシャワー氏などのパーティーに列席し、会談を交わす程になりました。
この一件のお陰で吉田茂の外交がやりやすくなった話は政界において有名です。
以上、「・将棋消滅の危機 〜 GHQと升田幸三 〜」編でした。