第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-013

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320清き一票@名無しさん
書かなくとも
それはたしかに存在している

たとえば少年航空兵の片目をかくした眼帯のうらがわに
たとえば刑務所で知り合ったSの腕の薔薇色の傷口に
たとえばマドリードから来た船乗りFの蝶の刺青のまわりに
たとえば自動車修理工のMの灼けた背中のシャツの白地に
たとえば寿司屋の板前の指の血のにじんだ包帯の上に
たとえば警察学校の寄宿舎の便所に落書きされたむらさきいろの男根の横に
たとえば泳ぎつかれて眠るプールサイドの運転手の息づくブリーフに
たとえば花粉の匂いにまみれた中学生の自慰のてのひらの上に

「にんげんは約束をする唯一の生物である」と、詩人は書いた

おとうとよ
ぼくはそのことばを反芻していると
だんだんわかってくるのだ

書かなくとも
それはたしかに存在しているのだ、ということが