第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-012

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181クラシック板支援(1/5)
【クラ板アワー 最終回】
こんばんは、クラシック板です。「クラ板アワー」、最終回となりました。投下し
忘れの物資に気付いたため、最終回の開始時刻が遅れた事をお詫び申し上げます。

さて、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。最後は、「楽聖」
ベートーヴェンのエピソードを、まずはお読みください。

彼の代表作で、年末には日本各地で必ず演奏される「第9」こと、交響曲
第9番の初演の時のエピソードです。
182クラシック板支援(2/5):2005/04/04(月) 22:06:05 ID:0sPJnzBO
【聞こえない拍手〜ベートーヴェン 交響曲第9番】
「楽聖」ベートーヴェン。若き日は天才ピアニストとして、そしてやがて大作曲家と
して圧倒的な名声を博した彼だが、数多くの苦難に立ち向かって来た。彼に襲いか
かった最も大きな苦難は、言うまでもなく耳が聞こえなくなったことである。

1800年代の初頭には耳に異変を感じ始め、壮年期には大声でしゃべってもらわねば
聞こえないほどに悪化し、やがて彼の耳はほとんど音をとらえられなくなった。

しかし、それでも彼は作曲をやめなかった。溢れ出る音を楽譜に書き付け、交響曲
第5番(運命)、第6番(田園)、ピアノソナタ第23番(熱情)などの傑作を、
次々と発表した。

そんなベートーヴェン。15才の若き日に読んだ一遍の詩があった。シラーの
「歓喜に寄す」。少年ベートーヴェンは、人類愛を高らかに謳い上げたこの詩を
読んで大感激。いつか必ず自作にこの詩を使おうと決心したのだった。
183クラシック板支援(3/5):2005/04/04(月) 22:06:38 ID:0sPJnzBO
そして晩年の、すっかり耳が聞こえなくなったベートーヴェンは、いよいよ若き
日の野望を実現すべく、交響曲第9番の作曲に着手。交響曲に声楽を持ち込むなど、
初めての事。また、当時の交響曲としては異常な長さ(70分)と言う事もあり、
作曲は難航したが、何とか完成した。

完成した「第九」は、大作曲家ベートーヴェン久々の新作と言う事もあり、
前評判も上々、初演のコンサートのチケットは、完売状態と言う有様だった。

そして、初演の日がやってきた。ベートーヴェンは自信満々にオーケストラの
指揮を買って出たが、団員は慌てた。耳が聞こえないベートーヴェンに、
まともな指揮ができる訳がない。急遽、ウムラウフと言う指揮者がメインで、
ベートーヴェンは副指揮者と言う事で落ち着いた。

もちろん、オーケストラの団員が当てにするのは、ウムラウフの方である。

歴史に残る名曲、「第九」の初演が始まった。
184クラシック板支援(4/5):2005/04/04(月) 22:07:29 ID:0sPJnzBO
メインの指揮はウムラウフな訳だが、ベートーヴェンはやる気満々、全身を
使ってダイナミックに指揮をした。オーケストラがピアニッシモでささやく
ところでは体をかがめ、フォルティッシモでは指揮台から飛び上がらんばかり
の勢い。

オーケストラの演奏は、お世辞にも巧みとは言いがたかった。むしろヘタクソ
だった。だが団員は、何かに取り憑かれたかのようなベートーヴェンの魂が
乗り移ったかのごとくの演奏を繰り広げた。

そして第4楽章。
「友よ、このような響きではない。もっと快く、喜びに満ちた調べに声を合わせよう」
このバリトン独唱の後に続く、有名な「歓喜の歌」。

演奏が終わった。観衆はオーケストラ、指揮者のウムラウフ、合唱団と歌手、そして
誰より副指揮者であり作曲者のベートーヴェンに、熱狂的な拍手を送った。
スタンディングオペレーション。鳴り止まぬ拍手。だが、耳が聞こえないベートー
ヴェンはそれに全く気付かなかった。演奏が終わっても、じっと楽譜を睨み続けていた。
185クラシック板支援(5/6):2005/04/04(月) 22:08:17 ID:0sPJnzBO
見かねたアルト歌手のカロリーネ・ウンガーが、そっとベートーヴェンを観衆の方へ
向かせた。ベートーヴェンの目に飛び込んで来たのは、聴衆の熱狂だった。ベートー
ヴェンは、無骨に頭を下げる。ここまで来て、ようやく聴衆はベートーヴェンが耳が
不自由である事を知った。

聴衆はさらに熱狂し、立ち上がり、ハンカチを振り、ベートーヴェンの大曲に対する
感動を伝え続けた。拍手は、いつまでも鳴り止まなかった。第九初演から3年後、
ベートーヴェンは静かにこの世を去った。

年末のイメージからか、この曲にお祭り騒ぎのようなイメージをお持ちの方も
いるかも知れない。だが、人類愛を賞賛するシラーの詩にベートーヴェンが載せた
のは、全世界への尊いメッセージなのだ。

年末の第九。ドイツの楽聖に思いを馳せ、そして世界平和と人類皆の幸福を
祈りながら、歓喜の歌を聴いて欲しい。

―この世の生きとし生ける全ての者は、善人も悪人も全ての者が自然のバラ色の足跡に従う
                              (歓喜の歌より)
186クラシック板支援(6/6):2005/04/04(月) 22:08:43 ID:0sPJnzBO
ベートーヴェンが第九に込めた思い、とても深いものだったんですね。今、全世界
には様々な音楽が溢れ、私達の耳を楽しませてくれます。音楽の素晴らしさを
通じて、人類が手を取り合う。そんな日がくればいいですね。

さて、最後はそんなベートーヴェンの静かな、しかしとても馴染みのある曲を
聴いていただきます。誰でも知っているメロディですが、深く心に沁み入る
ような曲です。

では、べートーヴェン作曲 メヌエットト長調(と言いつつ違う調に移調されて
いるのはご愛嬌)を、パブロ・カザルスのチェロ、オットー・シュルホフのピアノで
お聴きください。
ttp://www.geocities.jp/op774/bm.mp3

あとCMが2本入って終了となります。周波数はそのまま。最後までFM-2chを
お楽しみください。