第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-009
一次予選24組
3/28(月)
<<あみ&あゆ>>
麻耶雄嵩「メルカトルと美袋のための殺人」
他人の為ではなく、ましてや正義の為でもなく、極めて自己中心的な銘探偵メルカトル鮎と
一応彼の友人で推理作家の美袋三条のコンビが活躍(?)するミステリ短編集。
「(事件をすぐに解決するから)私は長編に向いていない」などと言い放ち、
「計画的な殺人事件に自ら巻き込まれる才能が必要」と独自の持論を展開するメルカトルが見物。
彼の性格の悪さに、中にはむかつく読者もいると思われる。
『あゆ』ってことで。それだけです、スイマセン……
<<椎名林檎>>
椎名誠「武装島田倉庫」
椎名SF三部作の一つ。他の「アド・バード」「水域」は紹介済みですね。
大戦後、異形と化した世界に残る島田倉庫は、略奪組織や謎の軍隊から
資材を守るために自ら武装している。そんな殺伐とした異様な世界に生きる人々。
椎名つながりだけでなく、林檎ファンならこのフリークス感覚は気に入るはず。
<<船スポーツ>>
アーサーCクラーク「太陽からの風」太陽からの風収録
太陽が発する微量の粒子の流れ「太陽風」を受けて帆走する宇宙ヨットによる、
太陽系をまたにかけた壮大なレースを描く好短編。
<<経済>>
葛西伸哉「エシィール黄金記」
流浪の王子が商人になり、経済力で侵略者に立ち向かう、という経済ライトノベル。
<<園芸>>
清水マリコ「ネペンテス」
コアなライトノベル読みの間で話題の作家が贈る、「奇妙な味」の連作短編集。
表題作で、はじめて会った少女トオに拉致されて西村祐胡が来たのは温室。栽培されている
ネペンテス(ウツボカズラ)の一つに、祐胡が家で飼っているカマキリを投げ入れてしまう。
「これがあなたへの復讐だ、カマキリの入った袋を当ててみろ」とトオは言うが……
冴木忍「風の歌 星の道」
主人公の不幸っぷりが楽しい、ユーモアあふれる、しかし泣けるファンタジー。
光の加減によって色が七色に変わる幻の花「リムディア」の栽培が物語の
キーの一端を握っている。
<<臨時地震>>
小川一水「復活の地」
惑星を統一したレンカ帝国を、未曾有の大地震が襲う。死者50万人、国家機能は崩壊。
「帝国復興院」総裁に任命された官僚セイオは強引とも取れる手法で復興に奔走するが、
摂政となった少女スミルとの交流の中で次第に考えを変えてゆく。
共和制移行を目論む政治家、軍部の独走、列強の干渉、市井の人々の生活なども
織り込みながら進行。そして大災害が再来するとき、人々は……?
リアリティある国家復興のシミュレーション。小川一水はこの作品で新たな次元に移行しました。
<<臨時地震+>>
小松左京「復活の日」
無印が「復活の地」ならこれを。SARSの時にもちょっと話題になってました。
突如大流行した、史上最悪の感染症。全滅に瀕した人類に残された最後の場
所は、病原菌が繁殖しない南極に点在する数箇所の基地のみ。
しかしその地も、大地震によって引き金を引かれる核の自動応酬戦争によっ
て危険にさらされる。それを未然に防ぐため、基地へ向かった2人の決死隊
の運命は……
<<光通信>>
グレッグ・イーガン「百光年ダイアリー」(「祈りの海」収録)
宇宙のとある場所に存在する「時間逆転銀河」を光学観測しようとすると、未来に発した情報を
過去で受け取ることになる。これを利用して全人類が日記を書き、過去へと通信を送るようになった。
自分の書いた日記によって自らの行動が規定され、悲劇は回避され明るい社会が実現したように見える。
しかし悲劇は本当に避けられているのか? そもそも自分自身の決断はどこにあるのか?
<<HR・HM>>
ドルトン・トランボ「ジョニーは戦場へ行った」
第一次大戦、ドイツ軍の爆撃でジョニーは重傷を負い、両手も両足も目も耳も失った。
ほぼ完全に外界と隔絶されたが意識だけは確かな彼は、モールス信号を使ってメッセージを送り始める。
METALLICAの名曲「One」のモチーフ。静かな出だしから激情のクライマックスが
絶望的な孤独をよく表現している…と思う。
<<たこ焼き等>>
雑破業「なばかり少年探偵団」
なばかり少年探偵団を結成した少年少女の「日常の謎」ものミステリー。
というのは建前で、少年少女のほのぼのドタバタを楽しむ話かなあ。
メンバーの一人の家がタコ焼き屋。
<<一人暮らし>>
伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」
生まれて初めての一人暮らしのために、築十五年のアパートに引っ越してきた僕。
そこで出会った悪魔めいた隣人は、初対面にも関わらず僕にこう言った。
「一緒に本屋を襲わないか?」と。しかも標的はたった一冊の広辞苑。
関わるまいと思っていたのに、決行当日、なぜか僕はモデルガンを持って本屋の裏口に立っていた……
アパートの住人を軸に、<現在>と<二年前>が交錯する物語。
小野不由美「緑の我が家」
父親の再婚をきっかけに一人暮らしを始めた浩志。
その新しい部屋で待っていたのは、不可解な出来事。
無言電話、奇妙な落書き、謎の手紙……
そして「出て行ったほうがいい」と繰り返される警告。
十二国記の作者が書く本格ホラー
<<古文・漢文>>
鯨統一郎『いろは歌に暗号 まんだら探偵空海』祥伝社 NON NOVEL
「上皇がなぜ謀反を起こしたか探るのだ」
帝の依頼で調査に乗り出す空海とライバルの最澄。二人の知恵比べが始まった。
巷では謀反の背後には稀代の悪女・藤原薬子の存在ありとささやかれている。
驚愕の真相に辿り着くのはどちらか? そしていろは歌に隠された真実とは……。
歴史好きでもそうじゃなくても気楽に読める歴史ミステリ。
ちなみにタイトルの読みは「いろはうたにかくしごと」
氷室冴子「ざ・ちぇんじ!」
時は平安。権大納言家には、りりしい若君と美しい姫君がおりました。
でも実は若君は姫君で、姫君は若君で!?新釈とりかえばや物語。
少女小説の中でも、いささか古典扱いされる作品でもありますが。
その読みやすさ、なじみやすさから古文の入り口となった人も多い作品。
近頃漫画連載が再開された、同作家原作の「なんて素敵にジャパネスク」も良い。
<<ハングル>>
金蓮花 銀葉亭茶話シリーズ 「舞姫打鈴」他
仙界にある茶屋「銀葉亭」の主、半人半仙の李月流のもとでは様々な打鈴(身の上話)が語られる。
「舞姫打鈴」は処女雪を統括する精霊、雪華公主が人間であった時の前世を絡めた話。
朝鮮半島の神話、民話、歴史をベースに描くファンタジー
金剛山の紅葉、白頭山の湖。その風景の描写がすごくいい。
文章に定評があった作家の初期シリーズ。
<<懐かし芸能人>>
清水マリコ「君の嘘、伝説の君」
嘘シリーズの2作目。でも話としては独立してるので、前作を読んでなくてもOK。
前作同様、不思議さと懐かしさが混ざり合った作品。
後半、話の重要なギミックとして悲劇のアイドルが出てくるが、基になった
実際の事件あり。どうしても知りたい人は岡田有希子でくぐる
<<BS実況(NHK)>>
富永浩史「ペイル・スフィア」
宇宙に追放されて軌道上で暮らす少年が、偶然拾った電波のメッセージから心の殻を破っていく物語。
メッセージを送信していたパラボラアンテナ→BSとの連想で。
NHK関係ない。ごめん。
<<大学受験>>
辻真先「改訂・受験殺人事件」
もとはソノラマ文庫で出たジュニアミステリ(当時はまだ、ライトノベルという言葉は
なかった)シリーズの三作目で、探偵役の牧薩次、可能キリコのコンビをはじめ、主要
登場人物の多くは、大学受験に直面する高校生たち。見立て殺人など、けっこう凝った
ミステリ的設定が組んである一方、青春群像劇としても、なかなかの出来。現在は、
創元推理文庫で出し直されている。
森橋ビンゴ「三月、七日。」
「三月、七日。〜その後のハナシ〜」
不器用な二人の拙く切ない恋の話。進学科の彼が彼女に送った
プレゼントは赤本だったそうな。でも本当はそんなことはどうでもいい。
別に妹でもいいじゃん、というのが正直な感想だった。
<<経営学>>
神林長平「的は海賊・シリーズ」
誰のも縛られたくない男、ヨウメイ・ツザッキー
彼が選んだ職業は「海賊」だった・・・。
いや、敵は海賊の主役は「対海賊課刑事」のラテルとアプロなんですが
敵のヨウメイは、海賊といいながら、企業グループのボスだったりする強烈なやつで、
彼の人生論は、一種の経営論じゃないかな?と・・・
<<また挑戦。>>
小松左京「虚無回廊」
宇宙空間に突如出現した、長さ2光年、直径1.2光年の巨大な円筒状の構造体"SS"。
その謎に、個性と人格と目的意識を持つ進化型人工知能----AE「人工実存」が挑む。
日本SFの最高峰と呼ぶべき至高の傑作(←偏見に基づく独断)。
本編には直接関係はないが、連絡を絶ったAEによる1回目の探索、事故により
爆発した2回目の探索に続く、3回目の挑戦が出てくる。
……苦しいのはわかってるんだが、どっかで紹介しておきたかったんじゃい。
<<私のニュース>>
牧逸馬「七時〇三分」
男が拾った競馬新聞、それは未来からきた新聞だった。
男は、記事に書かれている万馬券を買いにいくのだが・・・。
<<登山キャンプ>>
デイヴィッド・エディングス「マロリオン物語」
最近復刊された名作「ベルガリアード物語」の続編にあたる、長編エピック
ファンタジー。個性豊かなキャラクター同士の掛け合いの面白さは定評。
詳細に設定された架空の世界。光と闇の<選択>のが行われる<もはや存在
しない場所>を求めて、長い長い旅を行う。途中、「世界の最高峰」ケルの
連峰を越える場所がある。
<<ピュアAU>>
オースン・スコット・カード「無伴奏ソナタ」(同名短編集に収録)
ピュアオーディオ――純粋培養された「楽器」の物語。
各人の適性に合わせて体制が個人のすべてを決定する社会。クリスチャンは音楽に対して小さいころから
天才を示し、「創る人」としての特権を与えられて育った。しかし他人の創った音楽を聴いてはいけないという
禁を破り、彼は作曲行為を禁じられてしまう。それでも表現欲を抑えることはできず、ついには演奏するための
指さえも奪われていくが……。「エンダーのゲーム」で有名な作者の傑作短編。
<<プリンタ>>
フィリップ・K・ディック「暗闇のスキャナー」
板の正式名称が「プリンタ、スキャナー」なので。
ドラッグ「D」の供給源を追って麻薬捜査官ボブ・アークターはジャンキーの
グループに潜入。しかしドラッグによる現実崩壊が彼自身をも苦しめる。
最近映画化ラッシュのPKD、これもキアヌ・リーブス主演で映画化らしいですよ。
<<セピア>>
筒井康隆「わが良き狼(ウルフ)」(同名短編集に収録)
ルピナス・キッドは久しぶりに故郷の町へ帰ってきた。町も人も変わり、
ライバルのウルフは見る影もなく衰えていた……。
筒井康隆の得意技の一つ、ノスタルジーが最もよく味わえる短編。
梶尾真治「1967空間」
主人公が、行きつけのスナックに行くとそこは、昭和42年だった。
過去に行き、人生をやり直そう!と誓った主人公を待っていたものは?
久美沙織 「コバルト風雲録」
コバルト文庫の黎明期を担った久美沙織の回想録でもあり青春記でもあるこの本。
コバルト文庫を軸とした少女小説の歴史にも触れています(いささか偏りがありますが。)
1980年代の少女小説の周辺事情が良くわかり、そしてどこかなつかしい。
小説ではなくエッセイですが、ライトノベル関連本ということで。
新井素子、氷室冴子、藤本ひとみ、岩井志麻子、桐野夏生、唯川恵、山本文緒。
そんな名前を懐かしく感じるひとびとにすすめたい一冊。
<<セピア>>続き
有栖川有栖「蝶々がはばたく」(「ブラジル蝶の謎」収録)
犯罪学者・火村と推理作家有栖川コンビのシリーズ短編。
有栖川は新幹線で初老の男性と乗り合わせる。
男性は先ほど新幹線ホームで、実に三十五年振りに友人たちを見かけたらしい。
「――それは、蒸発というやつですか?」
「失踪というより、その蒸発という言い方がぴったりきますね。
何しろ彼らは、一夜のうちに足跡一つ残さずに消えてしまったのだから……」
そして男性は、三十五年前の出来事を語り出す。
<<靴>>
山口雅也「靴男と象の靴」(「続・垂里冴子のお見合いと推理」収録)
お見合いをする度に何故か事件が起こってしまうという、
史上最も縁遠い名探偵・垂里冴子(すいりさえこ)シリーズの一作。
今回のお見合いの相手は靴屋を営む男だったが、またもや事件に巻き込まれてしまい……
『象の靴』という言葉から、冴子が導き出したした真実とは?
<<ボランティア>>
小松左京「日本沈没」
紹介済みですしいまさらですが(<<臨時地震>><<臨時地震+>>にもかぶるし)
主人公の小野寺をはじめ「ボランティア」の本来の姿、志のために、誰かのために、
見返りにこだわらず自分ができることをする若者を“新しい日本人”と定義するところ、
もちろん彼らの活躍や生き方を、ぜひ読んでほしいと思います。
<<ウェブマスター>>
田代裕彦「キリサキ」
死んでしまった主人公が他人として生き返り、連続殺人犯”キリサキ”を追う話。
「ハサミ男」のライトノベル的解釈。
いじめられっ子の主人公がいじめっ子が痛いネットアイドルサイトを運営していることを知り
それをネタに逆襲するくだりがある。
いよいよ一次予選も最後です。予選24組の皆さん頑張ってください。
以上で一時予選参加637板、のべ900余冊(+ラ板28板、33冊)の本を紹介してきた合同企画は終了となります。
強引なものもありましたが笑ってすましてやってください。
ありがとうございました。