第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-008

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594ミステリー板支援作品紹介第6回1/4 ◆68...DfWOs
さて長々とお付き合いいただきましたミステリー板支援もいよいよ最後の支援物資となります。
最後はやはり作品の紹介で締めたいと思います。
それでは最後の紹介です。

「ミステリー板の新冒険」

【30・僧正殺人事件(S・S・ヴァン・ダイン)】

童謡マザーグースの「私の弓と矢でもってコック・ロビンを殺したの」から始まる、
「僧正」と名乗る人物による連続殺人事件。素人探偵ファイロ・ヴァンスが解決に挑む。
童謡殺人、ミスディレクション、心理的観察方法、全体を通しての怪しげな雰囲気、
そして異常なまで作中で語られる薀蓄。
どれも当時は斬新であり、古典の名に恥じない秀作といえる。そしてラストも斬新。
作者の本業は美術評論家で、とにかく豊富な薀蓄が持ち味。人によってはウザイこと、この上ない。
「一人の作家が良い作品を書けるのは六冊まで」と自分で言っときながら、
結局十二冊書いてしまった作者だが、本作は4冊目にあたり最高の出来を確保した作品。
595ミステリー板支援作品紹介第6回1/4 ◆68...DfWOs :2005/03/26(土) 21:41:46 ID:J6DAyh/G
【31・ハサミ男(殊能将之) 】

少女ばかりを狙う連続殺人犯「ハサミ男」の3人目のターゲットが、
目の前で模倣犯によって殺されてしまった。
やむなく「ハサミ男」は模倣犯を追うことになる。
トリックがよく話題になる作品ですが、
サイコで猟奇的な設定をcoolでユーモアさえ感じさせる文章も秀逸。

【32・過ぎ行く風はみどり色(倉知淳)】

亡き妻に一言謝罪したいと言う父の願いを叶えるため、長男が連れてきたのは霊媒師。
そのインチキを暴こうとする超常現象の研究家が来るわ、肝心の父は離れで殺されるわで大騒ぎに。
この怪しい事件を謎多き先輩、猫丸が解き明かす。
と書くとユーモアミステリーのように思うかもしれませんがさにあらず。
語り手の一人である美亜の切ない心理描写は、読む者の心を揺さぶります。
「みどりの風は流れ過ぎて───風は、私とあの人との、新たな色に色づいてゆく。」
596ミステリー板支援作品紹介第6回3/4 ◆68...DfWOs :2005/03/26(土) 21:42:10 ID:J6DAyh/G
【33・花の下にて春死なむ (北森鴻)】

日本推理作家協会賞に輝いた連作短編集
「香菜里屋」は豊富なビールと美味しい料理の揃ったビアバー。
マスターの工藤は夜毎訪れる客に幸福な時間を提供しながら謎を解く。
滋味豊かな文章で人生の一側面を見せてくれます。
一つ欠点を挙げるなら作中の料理の描写が実に旨そうで空腹時には読めない事です。

【59・慟哭(貫井徳郎)】

幼女連続殺人事件担当のキャリア・佐伯捜査一課長は
ふとした事で黒魔術を行う怪しげな新興宗教とかかわりを持つ。
愛娘も殺人事件の犠牲となった佐伯は警視庁をやめて…
トリック自体はありふれたものですし、勘の良い読者はピンと来るでしょうが
小説の衝撃を生かすのは他のトリックでは難しいでしょう。
トリックの使い方、テーマ、そしてタイトルによって傑作となっています。
597ミステリー板支援作品紹介第6回4/4 ◆68...DfWOs :2005/03/26(土) 21:42:54 ID:J6DAyh/G
【35・匣の中の失楽(竹本健治)】

ミステリーマニアが密室で殺された。彼の友人が書こうとしていた小説を模倣するように…
という章を書いたのとほぼ同じ頃、別の友人が密室から忽然と姿を消し…
という章を…
作中作「いかにして密室はつくられたか」と現実とが交錯し、読者は現実と虚構の間を漂う。
そして気が付けばは匣の中に閉じ込められたような強烈なめまいを覚えるかもしれない。