第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-008

「ミステリー板の回想」

ミステリー作品紹介第2回目は7作品です。

【５・火車（宮部みゆき）】

これが直木賞から漏れたとき、多くのミステリファンが選考委員の不見識を呪ったものである。
後に「理由」で受賞したが、それで償えたと思ったら大間違い。
直木賞を語るうえで外せない一作である。
著者は自己破産者の凄惨な人生を扱った本作を機に、それまでのサスペンス系から
社会派方向へと転換していくが、未だ、これより深く広く支持される作品はものしていない。

【６・獄門島（横溝正史）】

あの時代の日本でしかありえない事件。
動機、犯行方法、犯人、推理に加えて日本的情緒や時代背景までもが揃ったまぎれもない傑作である。
作中に登場する和尚が呟く台詞「××××じゃがしかたがない」は、ミス板看板バナーにもなり、
ミス板内ネタスレに頻出どころか多くの商業作品にも引用されているジャンル内常識。
映画もドラマも結末が原作と異なるため、「映画（ドラマ）見ちゃった」という人も
安心してお読み下さい。

【７・十角館の殺人（綾辻行人）】

「『ポウ』『アガサ』などと呼び合う大学生がｲﾀｲ・ｷﾓｲ」「人間が書けていない」など
数々の批判を浴びながらも、未だ絶大な支持を得ている作品。
これをきっかけにミステリにハマったという住人も多く、インパクト勝負では強い。
そのぶん、ネタバレ危険度はミス板内でも指折りの高さである。
ミステリ界では新本格ミステリムーブメントの嚆矢となった、歴史的意義のある作品。
（余談だが、「銀河英雄伝説＠ミステリー板」スレでは、本作と「銀河英雄伝説」（田中芳樹）の
　類似が指摘されている。曰く、
　・板内知名度が高い　・厨の頃ハマリがち　・誰もが一家言持っている　・作者が遅筆　・作者がhage）

【８・そして誰もいなくなった（アガサ・クリスティ）】

見立て殺人・童謡殺人の名作。
孤島に集められた集団が次々と殺されてお互い疑心暗鬼に…
という形式だけでも非常に魅力的なのに、マザーグースの歌をなぞるように殺人が起きるこの作品は
後に多くの模倣やアレンジを産んだと同時に、ミスオタたち激萌えのの舞台立て・小道具の宝庫である。
ネタバレになるため詳細は控えるが、７「十角館の殺人」にもこれを意識して書かれた部分がある。

【９・妖異金瓶梅（山田風太郎）】

ミステリ界最凶の美女・藩金蓮！
驚愕の構成もすごいが、この作品の魅力は彼女に尽きる。
女なら彼女のようになりたいと願い、男なら彼女のような女を愛し愛されたいと願うだろう。
享楽的で恐ろしい酒池肉林、血みどろの桃源郷。
義務教育中は読んじゃダメよ。

【10・孤島の鬼（江戸川乱歩）】

乱歩の作品でも、屈指の濃さである。
人体改造、不具、報われぬゆがんだ恋など、乱歩ワールド全開。
スリリングな展開もさることながら、ラスト２行の切なさは筆舌に尽くしがたい。
映像化の多い乱歩作品であるが、原作の相当部分を書き直さないと放送禁止または自粛すべきネタが
てんこもりのせいか、これの映像化はあまり聞かない。

【11．Yの悲劇（エラリー・クイーン）】

ハッター家当主ヨーク・ハッターが変死体で見つかった時から悲劇は始まった。
次々と起こる怪事件、不可解な証拠はいったい何を語るのか。
海外ではそうでもないのだが、何故か日本でやたらと人気のあるドルリー・レーン4部作の2作目。
ロジカルでありながら意外な真相に強く惹かれるのだろうか。
ヨーク・ハッターってひっくり返すと波田陽区だよね。