第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-006

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「春」

てふてふが一匹 韃靼海峡を渡つて行つた。 (安西冬衛 )


詩人安西は、戦中を中国で過ごし、此の詩は大連で書かれたのだという。
清岡卓行が同じく大連育ちであった三木卓に、そういう話を伝えてくれたという
エピソードがある。
大連には日本人の街ができていて、丘の上にあった中学への坂道で、海に向かって
わたっていく光景が眼前に浮かぶ。
韃靼海峡は、日本でいう間宮海峡であるが、あえて韃靼という言葉を選んだ
詩的センスー大陸的感受性とも感じられるがーがとてもすばらしい。
安西は戦争で片足をなくしている。その欠落感と、生来の美意識のアンバランスな
バランスが、安西の美の中枢であろうとも思う。
やっと没後50年を過ぎ、著作権の心配なしに紹介できるようになった詩人である。

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