第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-004
309 :
■創作文芸板支援・ショートショートスレより■:
何も用は無いのに、僕は今日も電車に乗る。
「このグズ! あなたはお茶もまともに煎れられないのかしら」継母の叱責は熱を帯びている。
シンデレラは顔中に群がる羽虫を振り払うように頭を振った。「ああ、お母さま」
「お母さま? それはあたしの事かかしら? それとも」
シンデレラが足元にすがり付いたので、継母は口を閉じた。
「ああ、私のお母さまは、ここにいるお母さまだけです。それ以外にありません」
「もういい、どきなさい!」見れば涙を流しているシンデレラを足蹴に継母は言った。
「私たちはこれか舞踏会へ行ってくるから、いつ王子様がいらっしゃられてもいい様によく掃除しておきなさい」
「いってらっしゃいませ」前掛けで涙を拭いながらシンデレラは三人を送り出した。
「たとえ射止められたとしても、王子様がこんな場所にくる訳がないのに」
シンデレラが疑問に思いながらも掃除道具を手にとったときドアが叩かれた。
「どなたですか」 「こんばんは、愛しいシンデレラ。貴女の願いを一つだけ叶えてあげよう」
「べつに、困ってなんかないわ」シンデレラはみなりの悪い客人を追い返そうとした。しかし
それでも客はいいから言ってみなさい、というので仕方なく「明日返事をするわ」と答えた。
夜遅く、愚痴りながらもどこか嬉しそうな顔をした三人が帰ってきた。
翌日、お城から片方だけのガラスの靴をもって国の使いがやってきた。
それは王子様が一目惚れした女性が履いていたというものだったが、
その女性は存在せず、継母が悪い魔女と組んで王子様に見せた幻覚だった。
そして、その靴のサイズは継母のもので、靴を履いた人に王子様は惚れてしまうという呪いがかけられている。
靴のサイズが合えばいいな、と思ったシンデレラの足にあわせて、ガラスの靴は形を変えた。
310 :
ショートショート(2/5):05/03/13 20:33:05 ID:O80KA72q
1時間に2本の田舎の電車に乗る。
乗客はほとんどいない。
乗ってきた僕に目を向ける者はいない。
僕は座らず、ドアから離れた場所に立った。
密室であるのに、他人に興味を示す者はいないのだ。
他人とは目を合わさない。
本を読む女子学生。
メールを打つ女性。
窓の外を眺める男性。
電車は無表情に僕らを運ぶ。
駅に止まるごとに、誰かが降り、新しい誰かが乗ってくる。
終点に着いた。
皆、降りて行った。
車掌が歩いて来る。
彼は僕の体を通り抜ける。
僕は電車を降りた。
何が楽しいのか、何も用は無いのに、僕は今日も電車に乗る。
311 :
ショートショート(3/5):05/03/13 20:33:29 ID:O80KA72q
「出せないよ」と、ドラえもんが言った。
「どうしてさ、ドラえもん」と、のび太は聞き返した。
「のび太くんの未来の子孫が破産したんだよ」
そう言うと、ドラえもんは申し訳なさそうに俯いた。
のび太は、深刻な空気を読み取り、読んでいた本を閉じた。
「じゃあ、もう未来のアイテムは出せないって事?」
「うん、もうレンタルするのは不可能だって……」
「あれって、レンタルしてたのかい?」
「そうだよ、あんなに全部、買える訳ないじゃないか」
今年の春で高校生になるのび太は、冷たい視線を投げかけた。
「じゃあ、ドラえもんがいる意味が無くなっちゃったな」
「酷い事言うなよ、のび太くん」
「もう未来に帰ってくれ」
驚いたドラえもんは、「えっ」と、微かな声を発しただけだった。
いつか聞くであろう台詞を、こんな状況で聞きたくはなかった。
「今すぐ、帰ってくれ!」
大きな声を張り上げたのび太は、小銭の入った大きなビンを差し出した。
それは、今まで趣味で集めていた値打ちのある高価な古銭だった。
呆気に取られているドラえもんに、無理やりそれを押し付けた。
「きっと、未来じゃもっと値打ちが上がってると思うから」
312 :
ショートショート(4/5):05/03/13 20:33:50 ID:O80KA72q
ゴア星人が何故か総力で攻めてきた
最強不沈艦ゴアスター1隻
その四方にゴアスター並の規模を誇る母艦4隻
ゴアスター並だから星を一撃爆破できる超破壊力
母艦20隻それぞれに主力艦隊20隻ずつ
主力艦隊を取り囲むように護衛艦20隻ずつ
護衛艦の内部には出撃準備OKの駆逐艦20隻
駆逐艦の内部には出撃準備OKのXウイング40機
Xウイング搭載のメガビームは星を貫通
Xウイング搭乗員はゴア星でも選りすぐりのエリート達IQ180以上
Xウイング1機でも勝てるかどうかの最強ゴア星人があろう事か総力で攻めてきた
あろう事か攻撃目標は幼い地球
全宇宙が注目した
地球がどうなるかと言うより何をしたいのかゴア星人は
かつてゴア星総力結集などという恐るべき展開があっただろうかバカなありはしない
全宇宙が身震いしながら成り行きを見守った
さあゴア星人がいよいよ地球圏内に侵入
と言っても破壊するつもりならゴア星から地球なんか一撃だったりする
ややっ最強不沈艦ゴアスターのフタがパカッと空いてさあゴアさん一言
「おい地球人、!!一切っ!!手加減しないから覚悟しろ」
313 :
ショートショート(5/5):05/03/13 20:34:13 ID:O80KA72q
<冷血>
毎日私は電車で通学する。
私は決まった時間に電車に乗り、決まった席に座る。
これは私だけの事ではないだろう。
朝の電車は決まった人が乗ってくる。
その人たちが座る席はいつの間にか決まっているのだ。
私は今日も決まった時間に電車に乗った。
しかし、いつもと違っていた。
毎日私が座る席に見知らぬおっさんが座っているのだ。
新入りだ。
永久不変の通学電車におっさんが迷い込んだのだ。
私は決まった時間に電車に乗り、決まった席に座る。
私はおっさんのひざの上に座った。