第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-004
286 :
■創作文芸板支援・ショートショートスレより■:
【不思議な体】
「君、不思議な体をしているね」
「そうですか?」
「そうだとも」
その男は不思議な体をしている。
「君、そんな体で日常生活が送れるのかね?」
「え?まぁ」
その男は不思議な体をしている。
「いや、しかし不思議だ」
「はぁ…」
その男は不思議な体をしている。
「異常だ。君の体は異常だ」
その男は不思議な体をしている。
「いや逆立ちなんて誰でもできるでしょう。壁使ってるし」
その男は不思議な体をしているのだ。
287 :
ショートショート(2/5):05/03/13 19:56:29 ID:O80KA72q
「殺し屋」
私がいつものように近所の居酒屋のカウンターで飲んでいると突然、誰かに肩を叩かれた。
振り返るとショートヘアーの綺麗な女性がグラスを持って立っていた。
女性は、私の目を見つめながら突然、こう言った。
「私、殺し屋なの。」
一瞬驚いたが、ただ酔っ払っているだけだと思い少し遊んでやる事にした。
「へぇーすごいね、今まで何人ぐらいやったの?」
「うーんだいたい20人ぐらいかなぁ・・・」
「そんなにぃ!?すごいね。殺人を依頼するのってどんな人が多いの?」
「そうだなぁ・・・やっぱりその筋の人が多いけどたまに政治家とか医者とかそれに・・・」
「それに?」
「あなたの奥さんとか。」
次の瞬間、私のこめかみに冷たいものが押し付けられた。
288 :
ショートショート(3/5):05/03/13 19:56:54 ID:O80KA72q
「ホクロ」
ずっと悩んでいた顔にあるホクロを取ることに決めた
それは鼻の穴の下にあり、このせいで小さい頃からずいぶんいじめられたものだ
そして登校拒否
ひきこもり生活も10年になった18の夜、決心がついた
親はすんなりと承知してくれた
ホクロは除去された
これからどうしようか
すっきりしたのだが、何かがひっかかる
あれから半年がたった
今でも相変わらずひきこもっている
ホクロ
なんだったんだろう
俺は変わらない、変われない
今でもホクロは心の中で大きな黒いあざとなり俺を苦しめているようだ
289 :
「真夜中の電話」 ショートショート(4/5):05/03/13 19:57:30 ID:O80KA72q
「眠れないんです、助けてください」
電話の向こうで、男がそう言った。
俺は、その声を聞きながら頭に血が上って行くのを感じていた。熟睡している所を
起こされて耳鳴りがしていたし、時計を見るとまだ夜中の2時だったからだ。
「ふざけるな!」と叫び、電話を叩き切ってやったが、怒りは収まらない。
その日は、そのまま寝付く事が出来なかった。
世の中には、非常識な奴が多過ぎる。あの電話の事を思い出すと今でも腹の中が
煮えくり返る。俺が何をしたっていうんだ? 怒りでその日は寝付けなかった。
それからだ、俺は完全な不眠症になってしまったのは。
三日目、俺の目は真っ赤に充血し、五日目、額に血管が浮き上がってきた。
七日目、髪の毛が逆立ち、十日目、手が震え出した。
体力も消耗し、精神的にも限界を感じていた時、俺はふとある考えを思いついた。
誰かに電話しよう。それも真夜中にだ。
自分が久しぶりにワクワクしている事に気付いた。こんな楽しいアイディアを
どうして今まで思いつかなかったんだろう? 自然と笑みがこぼれて来た。
真夜中、俺は受話器を握った。そして、適当な番号を押して行った。
……だが俺は、最後の番号を押す事は出来なかった。
苦しみを知っているからだ。これが、どんなに不愉快な事なのかも知っている。
そうして受話器を戻した時、突然、深い睡魔が襲ってきた。
290 :
「仕事」 ショートショート(5/5):05/03/13 19:57:59 ID:O80KA72q
男は道具を入念にチェックし終え、懐に隠し持って仕事へ向かう。
孤高のヒットマン。狙った獲物は逃がさない。おれは裏世界でMr.パーフェクトと呼ばれている。
007、ゴルゴ13、そんな架空の人物と比べてはならぬ。これは現実なのだ。
おれは自分の仕事に絶対の自信があった。今までおれが仕事に失敗したことがあったか?
無かった。いや一度だけあった。おれの獲物を横取りした奴がかつて一人だけいた。
おれは奴の素性を知らない。奴はおれを横目で見て、ニヤリ、と微笑んだ。KGBかMI6か。
油断していた。つねに冷静沈着で抜かりなく計算しつくしあらゆる想定をするおれとしたことが。
ヒットマンにとって正義だの悪だのはどうでもいいことだ。仕事を引き受け報酬を受け取る。
依頼主と仕事人のビジネスはそこに成立する。そして、確実にターゲットを、消す。
依頼主?それを知る必要は無い。知らない方が良いこともある。口封じに抹消されるに決まっている。
しかしおれには今回の依頼主のおおよその見当はついていた。ペンタゴンといったとこだろう。
今度の仕事は困難をきわめる。観衆の目が多く見つめる中、仕事を果たさねばならぬ。
男は冷静を装い観衆の合間を縫ってターゲットに近付くと、確実にしとめる位置につき息をころす。
そして懐に隠し持った道具を、ゆっくりと、取り出した時
「なにをぶつぶつ言っとるか。はやくせんか、もう授業ははじまっとるんだぞ」
「あ、はい、すいません」
まだ写し終えていない同級生の突き刺さる視線を後頭部に感じながら、
僕は大急ぎで黒板を消した。