第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-004

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222創作文芸板支援・3語スレ
「2ちゃんねる」「創作文芸板」「この三語で書け!」

 花の御江戸で足掛け百年。この寿司屋にも、新しい板前がやってきた。
 「関西から来ました」
 「よくきてくれたな!けど、関西という割には…なんだね、言葉が硬いねぇ」
 「毎日、2ちゃんねるばかり見て参りましたので」
 寿司屋はギクリとした、これは断った方がいいかもしれねぇな。
 「ま、まずは一月握ってみろぃ。が、その背広はいけねぇ、寿司屋だろ?」

 腕前は確かだが、異様に生真面目だった。尊敬するのはハイネとゲーテ。
 さながら創作文芸板前の登場に、店の雰囲気は急速に変化しつつあった。
 「御客様、よくぞいらっしゃいました。どのようなものを握らせて…」
 「おいおい、辛気臭くっていけねえよ。もっと気楽にできねぇのか?
  らっしゃい、何握りやしょ、へいっ、この三語で…書け!なんていってねえ」
 寿司屋の言葉を一生懸命ノートに書く新入り。こいつは一体!?

 新入りのルーツを探るべく、彼は大阪に出かけた。
 ホテルのテレビをつけると、2チャンネルで「日曜美術館」をやっている。
 そうか。関西では、2チャンネルはNHKだったんだ。
223「恋人」「境」「変わ」「影」「芸術」「帰郷」 :05/03/13 11:46:10 ID:O80KA72q
 生まれ帰郷に出来た女子芸術大。仕事始めの教授は、校門の前で深呼吸した。
 いつもと変わらぬ…が、中央での勤務を境に、久しく訪れていない故郷だ。
 「自分は再び故郷に溶け込めるだろうか?」教授は少し不安だった。

 校門には、何人かの娘達がティッシュを配っている。何かの広告らしい。
 「よろしくおねがいしまーす」
 しかし、教授にはティッシュは配られない。すっと手を戻す娘達…
 何か気になる。教授は校門前を一回りし、もう一度彼女達の前を通る。
 …やはり、ティッシュは配られない。彼だけに!
 ティッシュが欲しい訳ではない。ただ、田舎特有の「余所者扱い」が怖かった。
 三度、四度回っても結果は同じ。「私は…私はもう余所者なのだろうか?」
 「これではいけない。」ティッシュ配布娘の影に忍び寄り、機会を伺う教授。
 「あっ!」と叫ぶ娘。間隙を突いて、教授がティッシュを2つ奪取したのだ。
 「思い知ったか、人を貶めて楽しむ卑しき娘よ。わっはっは!」
 満面の笑いを浮かべ、勝利のティッシュの裏を見る教授の表情が蒼ざめた。

 「貴女の黒髪に恋人は夢中!直毛パーマ、大チャンペーン中<5千円>」
224「お前はそれで」「いいのか?」「ほんとに」 :05/03/13 11:46:39 ID:O80KA72q
いやね、生きてるってほんとに大変ですよね。嫌なことがあれば、良いこともある。
気苦労が絶えませんよ、ホント。え?お前はそれで何が言いたいのかって?
すいませんどうもあっしは話が長くていけねえ、本題いきましょか。
あっしがまだ若い頃の話なんですけどね。家の門の前にでっかい鞄が落ちてたんですよ。
で、開けたら中にはぎっしり札束が……。一瞬迷いましたよ。魔が差すっていうかね。
隠しておいたら誰も分からないんじゃないか、ちょっとなら使ってもいいのかもしれない、とか。
ま、当時は食うのにも困るほど貧乏でして……それに、馬鹿でしたからね。
ところが、すぐに持ち主が現れましてね。そこで立ちションしてただけだったんですよ。
で、本人は落としたわけではないので、お礼なんてくれなくていいんですが
1枚だけくれたんでさ。で、あっしはその金を元手にしてあの鞄の中身を手に入れるための
作戦を考えましたがあるわけないですよね。結局、寿司食って、おしまい。
でもね、その時の寿司がホントにうまくてねぇ〜。
そうなんですよ、それであっし、今の仕事に就いたんですよ。
金は手に入りませんでしたが、結局あの鞄拾わなきゃ今のあっしも無かったですからね。
本当人生って奴は、どこで何がどうなるか分かりませんぜ旦那。
225 「異空間」「笑顔」「野鳥」 :05/03/13 11:47:05 ID:O80KA72q
 この異空間に放り込まれて、多分もう三週間が経ったのだろうが、
まだ腹が減らないので三時間ということにしておこう。
 何も見えず、聞こえず、感じないこの空間で、俺はただ考え事をして過ごしていた。
『我思う。故に我あり』を身をもって実践しているわけだ。
 しかしもう限界だ。いい加減、死んだって良いだろう? 夢も希望もありゃしない、ちゃんちゃん。
 自暴自棄になって久しい俺は、ちゃんちゃんから連想される事柄を考えることにした。
もしこれに失敗したら、もう終わりだという期待があった。
 しかし、その連想は思いのほかすんなりと浮かび上がってくる。

「ちゃんちゃん」
 野鳥の観察中に突然そう言い出した彼女に、俺は顔の前から双眼鏡を退けて目を向けた。
 ……なんのオチがついたんだ?
「いやぁ、こう言ったら野鳥が寄ってくるかと思って」
 ……寄って来ないだろ、それじゃ。
「じゃあ失敗だ。ちゃんちゃん」

 この異空間で、もう少し粘ってみよう。少なくとも、粘ることは出来る。
 だって、何の感覚も通わない顔面に今笑顔が浮かんでいるのを、俺は感じたのだから。
226 「ラジオ体操」「テレビ」「脳内」 :05/03/13 11:47:43 ID:O80KA72q
 深夜ニ時。酒を飲んで帰った僕は一人テレビを観ていた。
画面では鼻の下に鬚をはやした白人男が、
嬉しそうにスチームで車を洗っている。
これで同じシーンが流れるのは何回目だろうか?
酒のせいか僕は飽きもせずにテレビの前に座り続ける。
白人男が金髪の女友達を呼んだ所で、予告無しに画面が切り替わった。
さっきまでの内容とは全く違う、
これからニュースでも読みそうな雰囲気だった。
「臨時ニュースです。今日未明、ラジオ体操第一から六番目の横曲げの
運動が廃止になりました。横曲げの運動が廃止になりました。日本ラジオ体操
協会によると、正しく横曲げ運動をしたほとんどの人から、高密度の脳内麻薬が検出され
た事によるとの事です。また中毒性も強く、毎朝ラジオ体操を続けてしまう原因は
ほとんどが横曲げの運動からきてるようです。以上臨時ニュースでした」
次の日の夕方、いつもコンビニの前にたまっていた不良グループが
輪になって、正確に横曲げの運動を始めていた。