第2回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-004

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208作品紹介・4
 わたしだけのかみさま

 でも、祐美はショックで口が聞けなくなっていた。恵子はそれを、悲しんでいると見たようだ。
しかし、本当は、祐美はすごく気分が悪かった。すぐにトイレに駆け込んで、
このお腹の中のもやもやを出してしまいたい。吐き出してしまいたかった。
何で苦しいのだろうと、考えても答えなんて出なかった。大好きな恵子ちゃん、
でも、もうすぐいなくなる。そんな、そんなの、おかしい。
 それからしばらくして、祐美はその場に、頭を抱えてふらふらと倒れてしまった。
パニックになった恵子は叫び声をあげ、それを聞きつけた英理子がやってきて、
結局は事なきを得たが、施設を出るということが、職員以外の人間に知られて、
お別れ会を開かざるを得なくなった。もっとも、このお別れ会だって、英理子にとっては、
単においしい食べ物を職員に要求する理由に過ぎないのである。

 でなければ、あんなに平然としていられるものか。羨ましすぎて、妬ましくて、腹がよじれそうだ。

 結局、5分ほど、祐美は部屋の前に立っていたが、祐美の話題が出ることはなかった。恵子は
気を使っているのだろうし、英理子にとっては、祐美の存在なんて目前のフライドチキンと同列であろう。

 なら、こっちだって、英理子=フライドチキンだ!
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030919000051
209作品紹介・5:05/03/13 11:26:27 ID:O80KA72q
 霧、ゆりの花

 緩やかな斜面を包み込んで、霧は止まっていた。
 初秋の高原のスキー場は物音一つなく、ゲレンデ中央部上方の景色は雪のように白く、
静まり返っていた。足下に広がる背丈の短い草だけが足の動きに合わせてかすかに音を立て、
夏から秋へと移ろいゆく季節を感じさせた。
 なだらかなスロープをあてどもなく登る。
 何も見えない。歩を進めるごとに白い闇が迫ってくる。圧迫感とともに息苦しさを覚える。
 呼吸が荒くなり、心臓の鼓動が速くなる。
 革靴が滑って二、三歩、滑るように後退した。明らかにスロープの傾斜はきつくなっていた。
歩みは遅くなり、立ち止まる回数が増えた。
 肩で息をしているのに気づき、休息をかねて後ろを振り返る。斜面下の建物の影はうっすらとかすみ、
自動販売機の明かりだけが仄白く浮かび上がっていた。
 右側に動きを止めたリフトの座席がぶらさがっている。無意識のうちにもリフト沿いに歩いていたらしい。
 宙に浮かぶリフトの座席は三つか四つしか見えない。まだまだ先は長いようだ。
時間は午後の六時を過ぎ、視界がきかないのは霧のせいばかりでもなかった。
 呼吸が静まったところで再び登り始める。

http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030918000043
210作品紹介・6:05/03/13 11:26:57 ID:O80KA72q
 地獄のヘルファイター

「あぁ、癒されることは確かだ。俺も自分のいちもつにはいちまつの不安があったけれど、
山下の粗末な陰茎を見ていると、これからは胸を張って生きなきゃ駄目だと思えてくる。
けれど、みんなが車座になって集まったのは、お前のその、無様で醜い、臭い臭い極小チンポを
見るためじゃない。地獄のヘルファイターの話を聞くためにわざわざこうして集まっているんだ。
お前の頭の中には干涸らびたでかい脳細胞が一個入ってるだけってことは重々承知だけれど、
出来ればそのみみっちぃ脳細胞を振り絞って地獄のヘルファイターの話を聞かせてくれると有り難いよ」
「その前に、感想を聞かせてほしいな。俺のチンポを見た感想を」
 車座になった七人の先輩の口から、次々に感想が飛び出した。
「ひじき」「もずく」「ニシン」「指」「ひいらぎ」「梅」「もやし」
 山下先輩はいちいち頷きながら感想を聞くと、さらに続けて
「俺のチンポをものに例えたわけだな。なかなかとんちが効くじゃないか、お前ら。
けどな、俺が聞きたいのは比喩じゃない、観念、想念、俺のチンポから受けたインスピレーション、
そういったものだ。もっと知恵を絞って感想を言ってくれると嬉しいよ」
 七人の先輩は腕組みをして、うーんと山下先輩の陰茎を見つめたあと次々に口を開いた。
「ヨルダンの綿」「ヨルダンの草」「ヨルダンへの投資」「ヨルダンの星」「ヨルダンのいじめられっ子」
「ヨルダンの希望」「ヨルダンの未来」

http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030514000003