http://houjicha.mxx.jp/up/img/img20050307171948.jpg 幼なじみのキミちゃんは少し頭の弱い子だった。
親同士のつながりもあったし、近所づきあいもあったのだろう、
子供の頃は特に不思議に思わずにいつも一緒に遊んでいた。
小学校3年生くらいの頃、他の悪ガキ共と遊ぶようになったオレは自然と彼女とは遊ばなくなり、
いつの頃からか口もきかないようになっていた。
男女で遊ぶのが恥ずかしい年でもあったし、また、彼女が他の人と若干違うことを
うすうす気付きはじめた頃でもある。
まったく、子供とは時に残酷なものだ。
そういえば、あの一家が引っ越したのはいつ頃だっただろう・・・
「孝史、キミちゃん結婚するんだって」
久しぶりに実家に帰ったオレに母が告げた名前は、古いアルバムを見るまで思い出せなかった。
届いた小包に同封されていた手紙は彼女の母からのもので、キミちゃんが中学を卒業したあと
房総の海産物加工場に就職したこと、そして、近くの漁師と結婚することになったことなどが、
文面からもわかるくらい嬉しそうにつづられていた。