増田俊男の時事直言!305号(05.06.13)
ttp://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h17/jiji050613_305.htm アフリカ支援
一仕事」とは、実は「二仕事」である。財務相会合でアフリカ18カ国の債務を100%帳消しするイギリス案が、
アメリカの支持と、当初難色を示していた欧州勢と日本の最終的合意により決着した。
日本は約570億円(2003年ベース)の債権放棄に応じ、さらに今後3年間でアフリカ向けODAを倍加する約束をした。
アメリカの債権放棄額は約4000億円、イギリスは1500億円(いずれも2003年ベース)と、日本に比べて多額だが、
それにはしたたかな両国の国益追及戦略が隠されている。
(中略)
では、今回のアフリカ債務帳消しは何を狙ったものだろうか。ひとつはアメリカのエネルギー政策の変更。
アメリカは原油のサウジアラビア依存度を落としアフリカへの移行を決めたため、
今後アフリカへの投資が増大するので資金確保が必要。
第二は、今後イラク復興事業が本格化するため世界銀行とIMFの役割が増大する。
米英は債権放棄しても、その分と他国の債権放棄分すべてが世銀とIMF の信用(クレジット)に振り替えられるから
ウォルフォウイッツに世銀を、ボルトンに国連信託口座をコントロールさせれば「一石二鳥」。
一見アフリカの貧困救済に見せかけて、実は「他人のふんどしで相撲を取る」米英のしたたかな戦略が見える。
日本は今後アフリカ向けODA予算を倍加して、アフリカではなく米英の国益に奉仕することになる。