現在最も高い評価額(移籍料)の選手はジャーニで、4億円にもなるのだそうだ。所属チームのパルマは、ジャーニとブラッチを放出して経営危機を乗り切ろうとしているのだが、苦しいのはどこも同じで最終的には2〜3億円で決着する見通しのようだ。
そのジャーニを、今シーズン優勝したトレビッソが獲得に動いている。さらにトレビッソは、ネグロンの抜ける穴にフォーミンをもってきたい意向もある。もし、この二つのトレードが実現すればとてつもないチームが出来上がることになる。
セッターがトフォリ、センターにガルディーニとジャーニ、エースがベルナルディーとズヴェルフェル、そしてセッター対角にフォーミンが入る。正に世界最強、〃バレー版ドリームチーム〃といってもいいだろう。
親会社のベネトンは金は出すといっているようだが、戦力不均衡を理由に他のチームが猛反対。さらにナショナルチームのベラスコ監督の要望で、外人選手枠が1チーム一人になりそうな雲行きもあって、どうやら実現は難しくなってきたようだ。
最後に、イタリアのバレーボールが興行として、どのくらいのものかを示す話をして今回の稿を締めくくりたい。
ミラノチームのオーナーは、今回の選挙で一大旋風を巻き起こしたベラルルスコーン氏だったが、首相就任後に勇退した。同じクラブにサッカーの名門チームACミランなどもある。クラブはビジネスとしてのうま味はなく、節税対策、社会への利益還元、広告価値の意味合いが強い。この世界では親会社の赤字をチーム所有権の売却料、選手の移籍料で埋め合わせることが頻繁に行われている。ジャーニのトレードは、その好例である。
昨年のミラノチームの実績、観客動員数は6万4810人で一試合平均2160人にすぎない。収益は3500万円で、これも一試合平均に直すと116万円にしかならない。チームの年間予算が5億円だということから考えても、独立採算にはほど遠いことがよくわかる。
しかし、ミラノチームはまだよいほうで、A2のチームにいたっては外人選手も雇えないのが現状である。こういったイタリアプロリーグの現状、また、日本における実業団スポーツの相次ぐ休・廃部を見たり、聞いたりするとき、ちょっと寂しい気にさせられる。
それは、しょせんスポーツは裕福な国や優良企業の下でしか発達しない、富と余裕の副産物でしかないのか、ということである。