「本当にそう思うのなら・・・」彼女は言った。「バボちゃんの中で暮らせばいいわ」
素敵な意見だった。
2 :
サバンナ:04/01/18 00:43 ID:6SzCzxD7
はいそうですね
こうして僕と双子のバボちゃんの中での生活が始まった。
僕が朝起きると双子のうちクンチャンと書いてあるシャツを着た方がゆで卵をトスアップし、
モトコと書いてあるシャツを着た方が、僕にそれをゼロクイックする。
僕が双子を見分ける方法はそれしかなかった。
4 :
名無し@チャチャチャ:04/01/18 03:32 ID:5sj16AI3
わろた
ふう、やれやれ。あいかわらずボクはメグにもカナにも避けられてるな。
メグから電話だ。ボクは、敢えて出ないでみた。そして、読みかけの魔の山
に意識を向けた。
☆
そんなわけで、彼女の死を知らされた時、僕は6922回目のニッポンチャチャチャをしていた。
原宿駅で降りると、通勤ラッシュのため、
あたりはスーツのサラリーマンでいっぱいだった。
竹下口で降り、歩いてで代々木体育館の前まで行くと、
端正な顔立ちの若者でいっぱいだった。
視線に気がつき目をやると、居酒屋で一杯やってきたような
葛和監督がこちらを見ていた。
その目はまるで冬の海岸のようにどこか寂しげだった。
「ここはあなたの来るべき場所じゃないわ」
そうかもしれない。僕はきっと来る場所を間違えているのだ。
オーケー、認めよう。
僕はバレーのルールを知らない。
「完璧な全日本などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。」
期待age
バレーのオリンピック予選を、見る事をあきらめた僕は、とくにやることもなかったために、
体育館近くの公園のベンチで、サンドイッチとコーヒーで昼食をとりながら、本を読んでいた。
ふと、目の前を見ると何か困った表情を浮かべた女性が、たたずんでいた。年は、20代半ばくらい
だろうか、僕より、少し年上だろう。特別、美人とゆうわけではないが、どこか雰囲気がよい女性だった。
「あのぅ、バレーボールの試合ってどこでやってるんでしょうか?」
やれやれ。僕は読みかけの本をとじ、「ここを出て左にまっすぐ行くと体育館ですよ。」と伝えた。
「ありがとうございます。それじゃ。」
…………
僕は、とくにする事もなかった。5月の陽気な暖かさの中、僕の心の中だけ、寒い冬のようだった。
ニッポン! やれやれ
人通りが多くなった。どうやら試合が終ったようだ。
ふと誰かが僕の前で立ち止まった。本の上に人影が出来る。
やれやれ。ぼくは本から顔を上げた。そこには何故かグリンカが立っていた。
やれやれ。また面倒なことになりそうだ。
「何時?」
ジュリがそう訊ねた。僕はいくらかホッとして立ち上がり、
机の上のバボ人形を眺めてからグラスにポカリを注いで戻ってきた。
「9時。」
彼女は力なく肯いてから起き上がり、そのまま壁にもたれかかって
一気にポカリを飲み干した。
「ずいぶんスパイクした?」
「かなりね。僕なら死んでる。」
「死にそうよ。」
「ワタナベ君、あなたこんなにバレーの応援ばかりしてて、職業は大丈夫なの?」
と直子がふと思いついたように小さな声で聞いた。
「無職です」と僕は正直に答えた。
レイコさんが練習をやめてギターをはたと膝の上に落とした。
「あなたもう三十歳でしょ?いったいどういう生活してんのよ、それ?」
直子は何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた
「彼ってすごいんだから。」とメグが言った。
「獣よ。」とカナが言った。
「他選手スレを荒らす様な奴は、バレー板にいる資格はない」
「それ誰の言葉?」とベッドで寝ている彼女が言った。
「ジョン・F・ケネディ」
「ねえ、ちょっと待って下さい。これは―――」、
でもその時にはもう電話は切れてしまっていた。
僕は受話器を見つめていた。柳沢なんて名前に覚えはない。
ワンチャンス? 何がワンチャンスだというのだろう。
>>19 おもしろいけど、柳本ね。惜しいね。
サンプドリアかよ!<一応
それはちょうど実体のない幽霊を相手にボクシングをしているようなものだった。
アテネに行くこと、それはロジックに「見えれば」それでいいのだ。
何ヶ月かあとに、僕はアテネにいた。
おもろい!
23 :
名無し@チャチャチャ:04/01/28 00:10 ID:8jRHukCz
良スレの予感
「うまく言えないけれど、信じてほしいという以外に説明のしようがないな」と僕は言った。
「あなたが信じてほしいっていうのなら、信じてもいいわよ」と彼女は言った。
それでも、彼女は頑なにテレビをつけようとしなかった。音の聞こえるところにすら近寄らなかった。
僕はやりきれない気持ちでヘッドホンをラジオに差し込み、スイッチを入れた。
日本対キューバ、最後のセットを日本が2点リードしていた。
age
優子は、両手を床につけて、前かがみになり、まるで吐くような格好で泣いた。
僕は、誰かがそんなに激しく泣いたのを見たのは、はじめてだった。
その夜、僕は、優子を一晩中、抱きしめた。
彼女は、不安で混乱していたし、僕にそれを鎮めてもらいたがっていた。
翌日、優子は驚く程、元気になっていた。
「もう大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ。ごめんなさい」と優子は小さな声で言った。
「びっくりした?」
「少しね」と僕はにっこりとして言った。
そして優子はいつものようにトレーニングに向かった。
「33歳。」
「え?」
「老けて見えるけど、本当に33歳よ。」と彼女は言った。
「あなたを混乱させても仕方ないから始めに言うけど、
私はあなたを助けに来たの。
そのためにチョコレート工場からやって来たのよ。」
僕はうなずいた。
理由はよくわからなかったが、
それは僕にはごく当たり前の事のように感じられた。
彼女は、ただ黙って目の前の体育館を見つめていた。