「その依頼は難しいですね。やること自体は簡単ですけど。望んでいるような結果は期待できないですよ。」
唐澤はおそらく最後の手段と思って自分に依頼してきただろう18歳の少年に対して冷酷とも言える言葉を投げつけた。
唐澤は依頼者の心情を察すると心が痛んだが、彼の将来を思うとこれが正解なのだ。
「そ、そ、それそれでも構いません。どどどど、どうなるかやってみないと、わっわからないから。」依頼者は焦りからか言葉がどもっていた。
そんな必死な依頼者を見た唐澤は自分のいじめを受けていた中学時代を思い出していた。あの頃一番身近な大人である父親に泣きついたが逆に「甘えるな」と一喝されただけだった。
この依頼者に一番必要なのは頼れる大人だ。自身の中学時代の自分と重なった依頼者の姿に彼は何とかしてあげようと決心した。
「分かりました。やりましょう。」先程とは違う発言に依頼者は「えっ?だ、だだ大丈夫なんですか?」と驚いた
「結果はどうなるかわかりません。しかしお代は一切いただきません。」
ここで依頼者を見放したら、昔の自分も見捨てることになるような気がする。
唐澤は自身と池之上に中傷の矛先を向けることで、彼に対する誹謗中傷の嵐をおさめようとしたのだ。そう、唐澤は盾になることを決意したのだ。
さて、どうなる