1月9日。
久しぶりに暖かい日で
>>1はいつもなら起きてから2時間は布団で丸まっている
ところを半分の1時間で起き上がることに成功した。
「なんか、今日はいいことがありそうな気がするな」
彼のつぶやきと同時に、壁に掛けられてた綾波レイのポスターの画鋲が取れた。
そのポスターが
>>1に覆い被さるように剥がれてくる。
偶然、その2次元の彼女の口と
>>1の唇が重なった。
「やったぜ、母さん!新年早々、綾波レイとキスしちゃったよ!おれって、
いつもツイてるんだよなあ。もう俺の人生バラ色だね!」
その
>>1のつぶやきに、誰も反応はしない。
彼は1日の大半を6畳一間のアパートで過ごしていたし、当然訪ねてくる友達もいない。
誰かと話したくなればネットの向こうに「友達」は大勢いたし、その「友達」と
話が合わなければ他の掲示板やチャットに移動して話の合う奴を探せばいいだけだった。
そんな彼に、対人関係の悩みなどあるはずもない。
いや、それは正確な表現ではない。現実の世界において友達がいないということを
昔は気にしていたが、そんな悩みを潜在意識の奥にしまいこむ術を学習しただけだ。
でも、意識の表面化にそのコンプレックスが浮かんでこなければ悩むこともない。
彼は、起き上がり朝のオナラをしたあと、PCを立ち上げた。
ブックマークから、声優板@2Ch掲示板を選択する。
マウスを画面下の「新規スレッド作成画面へ」に合わせ、クリックする。
彼の指先が、カタカタと言う音とともに文字列を形成していく。
ネット上の萌声リソース
そこには、そう打ち込まれていた。