1 :
Nana :
2005/06/29(水) 20:17:40 ID:rXHhzzip0 yasu(ジャンヌダルク)はまず自分が横たわっていることに気づき、ほどなくして先ほどまで移動用のバスに乗っていたことを思い出した。 おかしい… ぼんやりとした頭で周囲を見渡すと、はたしてそこは、先ほどまでリハーサルを行っていたはずのMステスタジオ。 違うのは、照明が一切ついていないことと、スタッフが無人であること。やがて視覚がはっきりしてくると、同じようにいぶかしげな顔をしているバンドマン達の姿を確認する。 「おい、hydeさん、起きろ」 hyde(ラルクアンシエル)はまだ眠っているようで、自分の隣にうつぶせに倒れ込んでいた。肩を揺さぶる。 「ううん…、あー、yasuくん?」 寝ぼけまなこのhydeはついさっきのyasuと同じように辺りを見回している。 「なんだ、スタジオじゃないか…。真っ暗だし…、何で俺達、戻ってきてるんだ?」 「俺が知りたいよ…何なんだ、いったい?」 そのとき、バンドマン達が横たわるステージに突如スポットライトが向けられた。暗闇に目が慣れていたせいか、誰もが目をしばだたせる。 「アーティストの皆さん、こんにちはー、いいとも…、じゃないなぁ、無駄知識会会長の、タモリです」 渋い甘い声がスピーカーから流れ、お馴染みの眼鏡を掛けた『芸能界ナンバーワン司会者』の顔が、証明下のライブビジョンに現れた。 --------------------------------------------------------------------------------
2 :
Nana :2005/06/29(水) 20:23:14 ID:s7SI4KTNO
2
3 :
Nana :2005/06/29(水) 20:24:18 ID:rXHhzzip0
「いやあ、なんと申しますか、世間では不況不況と言われてまして、ヴィジュアル系の世界も例外ではないみたいですなあ。 今年くらいはなんとかなる思うてましたけど、ワールドカップもありまして、いやあなんとも言えませんなあ」 何だこりゃ。今時、ドッキリか?金屏風まで立ててるじゃないか。 への字に曲げた口元で不快感を現しながら、それでも仕方なくyasuは映像を見やる。 「バンドマンの皆さんも、聞きましたわ!ライブでの人気はなかなかみたいですけど、ここ数年はミリオンヒットがないそうじゃないですか。困りましたねえ…」 そして画面の向こうのタモリは、一段、声のトーンを上げた。 「そーこーで!です。私ども芸能界上層部は、この不況を打破する対策を検討すべくNMPと緊急会議を設けまして、あるひとつの結論に達したのです。」 誰もが一斉にYOSHIKIの姿を見た。ヴィジュアル界の兼任者である彼は、何も知らぬと激しく首を振る。 「ああ、すみませんねえ、芸能界ゆうてもNMPに呼ばれたの私だけですわ。 それはさておき、ヴィジュアル系人気を復活させるため、皆さんには放送前にひと仕事してもらうことになりました。 ヴィジュアル系の権威復活のための一大プロジェクト。その名も……、『バトル・ロワイヤル』。」 タモリが放ったその言葉でドーム内全ての照明が点いた
4 :
Nana :2005/06/29(水) 20:26:39 ID:rXHhzzip0
これはですね、プロレスに『バトルロイヤル』ちゅうのがありますけど、早い話がそれの応用ですわ。 バンドマンの皆さんには、最後の一人になるまで――」 そこまで言うと、画面の中でタモリは一息ついた。 「――殺し合いをしてもらいます」 一気にざわめきが広がった。 「殺し合いだって!?」 「おい、一体何なんだよ…」 「ゆ、夢見てんのかな、俺」 そんな中、yasuは一体自分の身に何が降りかかったのか、いまひとつ理解できずにいた。 起き抜けで頭が働かないと言うよりは、あまりに非現実的で… 隣で呆然としているhydeも同じ気持ちなのだろう。 しきりに首を振ったり瞬きをしたりしている。 「…タモさん、悪趣味な冗談はやめろよ」
5 :
Nana :2005/06/29(水) 20:30:26 ID:rXHhzzip0
不意に、ドーム内にGacktのよく通る声が響いた。 「あなたが言ってることは滅茶苦茶じゃないか。ヴィジュアル系人気が低迷してるからって、どうして俺たちが殺し合いをしなきゃならないんだ」 「おお、Gackt。今からそこを話そうと思ってたとこだ。 はい、ええですか皆さん。 その殺し合いの様子は、NHKで全国に生中継されます。 いやー、これは凄い視聴率になりますよ。ワールドカップなんて目じゃない。テレ朝で中継できないのが残念です」 「…へぇ。そういう事か」 相変わらず明るいタモリの声を聞き、Gacktは諦めに満ちた笑みを声に含ませながら呟いた。 「解ってもらえたみたいだな。んじゃルール説明させてもらいますんで、よく聴いとって下さいねー」
6 :
Nana :2005/06/29(水) 20:33:28 ID:rXHhzzip0
「えー、皆さんの首にはこっちで首輪を着けさせてもらってますー。 弄くると爆発するんで、触らん方がええですよ」 はっとyasuは首に触れた。確かに冷たい金属の感触がある。 周りを見回すと、間違いなく全員の首に銀色の首輪が嵌められていた。 「その首輪は、皆さんの位置をこっちで掴むためのもんです。 要するに逃げようとしても無駄って事です。 変な動きをしている人がいたら容赦なく爆発させますんで。 …んー、一応ここらで見本を見せといた方がええかも解りませんね。 まだ疑ってる人もいると思うんでー」 タモリが言い終わるが早いか、ピッ、という電子音が、微かにyasuの耳に届いた。 「IZAM。お前みたいな奴は生きとってもしゃあないやろ」 ピッ。ピッ。 音のする方を見ると、確かにそこには絶望の表情を浮かべたIZAM(SHAZNA)がいた。 嵌められた首輪の一部が赤く光っている。
7 :
Nana :2005/06/29(水) 20:36:19 ID:rXHhzzip0
タ、タモさん…」 「命乞いしても無駄だ、これ、止められんから。 まぁ最期に人の役に立てると思って笑って死んでくれや」 これは悪夢か? 「yasu、なぁ…変だよ。これ。現実なのか?なぁ」 hydeの声が震えている。 「そんなのわかんないよっ」 ピッピッピッピッ。音のテンポが上がっていく。 IZAMの周りから自然、人が退いた。 「あー、離れんとっても大丈夫ですよ。爆発って言っても小さいもんです。ま、首を吹っ飛ばすには充分ですけど」 ピーッ… 「化けて出てやる」 ぽつり、IZAMが言った。それが最期だった。 ぱん、と妙な音がして、辺りに血飛沫が広がった。
8 :
Nana :2005/06/29(水) 20:38:35 ID:rXHhzzip0
yasuは頭がガンガンと痛むのを自覚していた。 IZAMが死んだ…目の前で。 その死体は、まだ生きた人間と殆ど変わらぬ姿をしていた。 ただ、首だけは皮膚が破れ、剥き出しの肉が焦げ付いて二目と見れない状態だったが。 肉の焦げる匂いと血の匂いに吐き気がする。 奇妙な程周囲は静まり返っていた。 「というわけで、これはドッキリでも冗談でもなんでもありません。本当の殺し合いです」 わざとらしい程陽気なタモリの声。 「はいはい、いつまでも死体なんか見てると聴き逃しますよー。 ええですかー。それでですね、皆さんには一つずつ武器が支給されます。 ただし、これは誰がどれとか決まってるわけじゃないんですね。 銃を手に入れる人もいれば、水鉄砲が当たる人もいます。 そこんとこは運ですわ。もちろん、他人の武器を奪ってもかまいません」 タモリがぺらぺらと喋っている間、yasuはまだIZAMの死体から目を離せずにいた。
9 :
Nana :2005/06/29(水) 20:41:03 ID:rXHhzzip0
別に親しかったわけではない。しかし… 「yasu、余所見してると危ない…」 「…解ってる」 hydeに咎められ、漸くyasuはライブビジョンに視線を戻した。 「えー、ここ、六本木スタジオを出発したら、基本的には東京から出なければどこへ行っても結構です。 但し、皆さんで一つの所に固まったりするのは駄目ですよー。 二十四時間の間一人も死者が出なかったりすると、自動的に全員の首輪が爆発してしまうんでね。 それじゃ面白くないんで、はい。 あ、あと全員が出発したらもうスタジオには近寄らんといて下さいね。 ここはプログラムの本部になってるんで、あんまり近付くと首輪が爆発しますよー」 それだけ一息に言うと、タモリはやれやれといった風にまた一つ息をついた。
10 :
Nana :2005/06/29(水) 20:44:45 ID:rXHhzzip0
「皆さんにお配りするバッグの中には武器と食料、地図、筆記用具一式に、それと名簿が入っとります。 参加者はテレビ的におもろい人をちょうど40名、あーIZAMは死んでもうたので39名ですね、選ばしてもらいました。 死んだ人の名前は一日二回、9時と夕方5時に読み上げますんで、商店街の有線なんかで確認してくださいね」 バラエティー番組でルール説明でもしているかのようにタモリは淡々と話し続けた。 これが勝者と敗者の違いか?画面の向こうでのうのうと高見の見物をしている男を誰もが苦々しく思った。 「それでは、今から順々に名前呼びますんでー、前に出てきてください。」 上ばかり向いていたので気づかなかった。視線を落とすと、観客席あたりに『お立ち台』のセッティングが既に終わっており、兵士たちが、大量にバッグを積んだ台車を押してやってくる。 「最初だから私が呼びますわな。50音順ですよ、01番、INORAN」 「ひッ」 yasuは背後で小さく上擦った声を聞いた。
11 :
Nana :2005/06/29(水) 20:47:42 ID:rXHhzzip0
はーい呼ばれたらさっさと前へ出るー。たらたらしなーい。」 INORANが一旦つんのめりそうになり、慌てて前へ駆けてゆく姿が見える。 「はーい、いいウォーミングアップになりましたね。で、前に出てきた人は、お立ち台に上って箱の中に入ってるボールを一個、引いてもらいます。 ああ安心してくださいね、人数分より余計に用意してありますから、最後の人、竜太郎が不利になるっちゅうわけやありませんよ」 名前が挙がった竜太郎は普段にも増して顔を引きつらせた。 タモリに促され、INORANNが兵士の差し出す箱に手を突っ込む。 「はい、引いたら高々と手を挙げて皆さんに見せましょうー。そう、そうです。高校野球のくじ引きみたいで実にすがすがしいですね」 タモリはまるでこども相手のような口調と笑顔でぱんぱんと拍手した。お立ち台を降りたINORANは、色となにやら文字が付いたボールと引き替えに、同じ印のついたスポーツバッグを受け取る。 そして不安そうな表情でステージに待機する面々を一瞬見ると、一気にライト側に開いた出口まで駆けだした。
12 :
Nana :2005/06/29(水) 20:50:53 ID:rXHhzzip0
「わかりましたかー?こんな感じで始めさしてもらいます。 私もいつまでもこんなんやってられませんので、あとは会場のほうにお戻しします。ほな、さいなら。あ、JOCX-TVて言うんやっけ?」 映像はタモリが椅子を立ち上がった中途半端なところで途切れ、代わりに渋谷のNHK本社の静止画像を背景にテロップが流れた。『この番組はNHKと民放各社の協力により全国ネットで放送しています』。 目の前にある、あまりに非現実的な現実。それをなんとか飲み込もうと、hydeは大きく深呼吸した。 落ち着け、落ち着け。 そして、隣で同じように大きく息をしていたyasuに目を移した。 待ってる。 そう、声に出さずに口を動かして、ウグイス嬢に名前を呼ばれた、30番、hydeは、走り出した。
13 :
Nana :2005/06/29(水) 20:52:13 ID:rXHhzzip0
残り39人
14 :
Nana :2005/06/29(水) 20:56:58 ID:dKHJ/WMA0
なかなかおもろい也(・∀・)
15 :
Nana :2005/06/29(水) 20:58:19 ID:YPXNlqPeO
生物スレは此処?
16 :
Nana :2005/06/29(水) 21:04:46 ID:yDF1dYo3O
気に入った 続きキボン
17 :
Nana :2005/06/29(水) 22:04:53 ID:IyBnO55rO
そして35番yasuの番‥バックを受けとると兵士を軽く睨み付け足早にスタジオを後にした 階段を駆け降りると「yasu‥」と小さな声が聞こえる 「hyde‥?」 周りを見渡すと近くのドアからhydeが顔を出す 「外‥もう始まってるんや。一度外出たんやけどすぐに狙われた‥俺拳銃やって焦って撃ってしまった‥敏弥君殺してもうた」 手を見ると返り血で赤くなっていた‥ その時パンパンッと銃声が鳴り響いた‥
18 :
Nana :2005/06/29(水) 22:14:45 ID:rXHhzzip0
「YOSHIKIさん!!」 瞬時、YOSHIKIの応えを待つhydeの頬を、何かがかすめた。 手をやると、ぬるりとした感触。hydeは目を疑った。血だ。 カシャンと落下音がした先には、小さな両刃のナイフが落ちていた。 「死にたくなければ、早くここから離れろ」 呆然とする二人にYOSHIKIが与えた言葉はそれだけだった。hydeには、ただ、急速に小さくなってゆく男を見送るしかなかった。
19 :
Nana :2005/06/29(水) 22:21:30 ID:rXHhzzip0
六本木スタジオには、ガラス越しに観戦が出来るレストラン席がある。 何しろガラス越しなので臨場感は無いが、のんびり観たいときにはなかなか良い席だ。 そこで男はウェイトレスが運んできた料理をつつきながら、ぼんやりとステージを見下ろしていた。 下では竜太郎がスポーツバッグを受け取ろうとしている。流石に声は聞こえない。 「スピーカーをお持ちしましょうか」 「いや…いいよ」 ウェイトレスの申し出を断ると、男は竜太郎がゲート方向に歩いていくのを目で追いながら又一口、料理を口に運んだ。 「外はどうなってる」 「は」 「INORANに、hyde、それにyasuはどうなったんや」 「あ、はい。盗聴記録によりますと、INORANは一人で移動中です。 hydeとyasuは、スタジオ前で言い争いをしているようです」 「言い争い。あいつらがか」 「YOSHIKIを巡ってトラブルがあったようですが」 「ははぁ。YOSHIKIさんな。ありゃ信用したら駄目だな」 男はくっくっと背を揺らして笑った。
20 :
Nana :2005/06/29(水) 22:23:48 ID:rXHhzzip0
「よお言っとった、HIDEさんが。「あいつは悪魔のような奴だ」って」 「…お食事の後はどうされますか」 「俺に選択権は無いんやろ。ちゃんと本部の方に行くわ」 「御賢明な判断です。それでは、ごゆっくりどうぞ。 また何かございましたらお申し付け下さい」 ウェイトレスは一礼すると下がっていった。 それを横目で見、男は無理矢理スープを飲み下した。 食欲は無いが、それでも食べなければならない。 このプログラムの「解説」として呼ばれてしまった以上、何か胃に入れておかなければ恐らく体が持たないだろう。 「初めての解説が…こんなゲームとはなぁ…」 酒も料理も少しも美味く感じられない。当然と言えば当然のことだ。 自分と同じバンドマン達の殺し合いを、これから観なければならないのだから。
21 :
Nana :2005/06/29(水) 22:29:49 ID:rXHhzzip0
紫がかってきた空に星が輝き始めている。 HUKUEI(PENICILIN)は常に自信に満ち溢れたその顔を不機嫌に歪ませ、頬の返り血をアンダーシャツの袖で拭った。 「お前みたいな、こういう時にもへらへらしているような奴が、俺はこの世で一番嫌いなんだ」 返答は無い。辺りは静まり返っていた。 既にテレ朝スタジオからも随分と離れ、ここからその姿は見えなくなっている。 HUKUEIは東京の地理には明るくないので現在地の正確なところはわからなかったが、ともかく大曽根駅の方角に歩いてきたつもりだった。 「昔から、ずっとお前が気に食わなかったんだよ。思えば変な縁だな。えぇ?HIDEKIさんよ」 HUKUEIの足元に蹲ったHIDEKI(SIAM SHADE)は、何も言わなかった。 いや、言えないのだ。その首から、胸から、夥しい量の血を流し、言葉など発することもかなわないのだから。 「何か言ってみろよ。んぁァ?俺を笑わせてみろよ、おら」 右手に持ったサバイバルナイフを弄びながら、HUKUEIはごつっ、とHIDEKIの頭を蹴った。 微かなうめきが上がったが、ごぼこぼと血の泡立つ音に紛れ、それはHUKUEIの耳に殆ど届かなかった。 「結局お前には何もできねぇじゃねぇか。世の中、食い合いが全てなんだ。 過去の栄光なんて必要ねぇんだよっ」
22 :
Nana :2005/06/29(水) 22:33:13 ID:rXHhzzip0
ひときわ強く頭を蹴上げられ、HIDEKIの上体はふうっと宙に持ち上がり、それから、仰向けにアスファルトの上に倒れた。血がはねる。 「お前、悔しいだろ?自分のバッグに入ってた武器をわたしに分捕られて、しかもそれで殺されるんだもんな。…ったく、お前は本当にお目出たい奴だよ。 当たった武器がよりによって果物ナイフでいらついてた俺に、ほいほい話し掛けてくるんだから。 俺の性格を知らなかったわけじゃねぇだろうに」 HIDEKIはもう殆ど意識が無いのだろう。HUKUEIの顔を見ることもなく、ただ血溜まりの中に横たわっている。 或いはもう死んでいるのかもしれない。 「…さてと。とどめはささねぇ。せいぜい苦しんで死ねよ。じゃあね」 それだけ言うと、HUKUEIは自分のバッグとHIDEKIのバッグの二つを両の肩にかけ、再び大曽根に向かって悠々と歩き出した。口笛など吹きながら。
23 :
Nana :2005/06/29(水) 22:40:22 ID:rXHhzzip0
金山駅まで一気に走り抜け、人時(黒夢)は、はあはあと荒く息を上げながらその足を止めた。 ちくしょう、どこ行ったんだ、あの人は…。 人時が『尋ね人』を連れて来たことのあるCDショップが入っているビルを覗く。 「なにしてるんですか?人時さん」 背後からの声に驚き、人時は即座に振り向いた。 連絡通路橋から、こちらを見下ろす京(dir en grey)の姿があった。 「やっぱりここね…。何してるって、お前を捜してたに決まってるっしょ?リハビリも済んでないくせに」 京は紅潮してまくし立てる人時を見て笑った。 「それはそれは…。でも、御心配なく。マイクのコントロールは出来ないけど、ほら、銃だって撃てるし」 京が手を伸ばすと人時の背後のガラスが割れた。 「なッ……、なにやってんだ!」 「格好いいでしょう?ワルサーP38、ってね。ルパン三世にも出てきた奴ですよ」 ひらりと京の身体が宙を舞い、そして人時の目の前に降り立った。京は一歩、後退する。 「フフ…、殺しはしません、安心してください。こんな馬鹿げたゲームであなたと決着をつけようとは思ってませんから」 まるで子供がおもちゃで遊んでいるかのようだった、くるくると銃身を弄び笑う。 自分が知っている『京』はこんなにも恐ろしい男だったか?
24 :
Nana :2005/06/29(水) 22:45:18 ID:rXHhzzip0
今まで感じたこともない不気味な雰囲気に人時は身震いした。 京の無邪気に見える笑顔が、あまりに残酷だった。 「ねえ…、人時さん。せっかくだから、僕と組みませんか?」 「は?」 思いも寄らない言葉に人時は混乱する。 「僕とあなたが最後まで生き残ったら…。そしたら、決着をつけましょうよ。勝つのはもちろん、僕ですけどね」 「ふざけるな、人殺しなんて御免だ」 「人時さん」 離れようとする人時の腕を掴み、人時の肩に拳銃を突きつける。 「ああああはいはい、わかったよ。だからその物騒なものを降ろせ」 負けじと、人時も後ろ手に隠していた出刃包丁を京の鼻先に突きつけた。 「こわぁい、そんなもん持ってたんだー。人時さんも、なかなかやりますね?」 「当たり前だ。お前なんかに負けてたまるか」 人時は思いきりアカンベエをしてみせた。
25 :
Nana :2005/06/29(水) 22:54:56 ID:rXHhzzip0
六本木スタジオに程近い民家の庭に隠れたDAISHI(サイコルシェイム)は、前方を横切る大きな体に気付いた。 見覚えのある横顔。元デューク。雅だ。 良かった。じきに夜だというのに、これ以上一人で震えていたくない。 「雅さん」 小声で呼び掛ける。雅は流石に緊張しているのか、ぎょっとした風に辺りを見回した。 が、 「雅、こっち。…DAISHIです」 再びそう声をかけると、すぐに気付いて苦笑いを浮かべながら歩み寄ってきた。 「なんだ、お前か。脅かすなよ」 「すまない。一人でいるのが恐かったんで、つい」 「…ま、無理もないか…いきなり殺し合いをしろ、だもんな」 話しながら、家の裏庭まで移動する。いくらか人目に付きにくくなるだろう。 「お前、武器は?俺を襲わなかったって事は、大した物じゃなかったな?」 俺はこれだったよと、雅は左手に握り隠していたメスを見せた。 明らかに「ハズレ」の部類だ。 「まさか。見て下さいよ…本物の銃」 DAISHIは懐に隠していた小さな拳銃を雅に差し出した。
26 :
Nana :2005/06/29(水) 22:57:15 ID:rXHhzzip0
S&W M36チーフス・スペシャル。説明書も付いていたことだし、実銃だろう。 「お、すげえな。本物なのか」 「ええ。多分…」 そう言い終わった瞬間だったろうか。 テレビや映画でしか聞いたことの無かった銃声というものが、DAISHIの鼓膜を激しく揺らした。 「…え」 右脇腹が熱い。 「あれ。ちょっとズレた?もう一発いくか」 再び銃声。 今度は右肩が熱を持った。自分の鼓動がやけに五月蠅い。
27 :
Nana :2005/06/29(水) 23:02:58 ID:rXHhzzip0
何が起こっているのか解らなかった。 「へえ、反動がかなり来るなぁ。漫画みたいにはいかないか」 「み…みやび…?何が…」 「お前さぁ、馬鹿?」 「…は…?」 「撃たれたのに、逃げないのか?まあ…その体じゃ逃げても死ぬだろうけどな」 「え、撃たれた…って…」 痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。 右の脇腹と肩が気を失いそうに痛い。そして、目の前には小さな拳銃を構えた雅の姿。 DAISHIは漸く、事態を理解した。雅は自分の見せた銃を奪って…そして発砲したのだ。 「どう…して」 堪えきれず、地面に膝をついた。雅は屈んで頭に銃を押しつけてくる。 「ん?お前がチビだからだよ」 「そ、そんな…理由、で」 あまりにも理不尽。身長は生まれ付いてのものだ。変えようが無いではないか。 「お前に俺の気持ちが分かるかよ。俺は、HIDEとGacktさえいなけりゃ、邦楽のトップスターの一人に数えられてた筈なんだ。 それが、あいつらのお陰で俺はいつも二番手止まり。
28 :
Nana :2005/06/29(水) 23:09:00 ID:rXHhzzip0
スターと呼ばれたことなんかありゃしない… みんな口を揃えて言ったよ、「雅はトップアーティストの器じゃない」ってな」 吐き捨てる様に言いながら、雅の口元には笑みさえ浮かんでいる。 「だから、俺、この機会にライバルは全員殺すことにしたよ。…ごめんな」 そしてDAISHTに向けられたのは、いつも通りの優しい笑顔。 これは何かの冗談ではないのだろうか… 「あ、言っとくけど別に殺しが好きなわけじゃないからな。 残念だな。お前の事、嫌いじゃなかったよ。チビでさえなければな」 「…ひっ、死にたく…ない…助け…」 「真のギターヒーローはこの俺だ」 そして、三発目の銃声が轟いた。
29 :
Nana :2005/06/29(水) 23:10:57 ID:rXHhzzip0
残り36人
30 :
Nana :2005/06/29(水) 23:35:35 ID:YPXNlqPeO
何か…俺…このスレ、ハマり始めたっぽい!
31 :
Nana :2005/06/29(水) 23:38:23 ID:dKHJ/WMA0
漏れもこのお話ハマりちゅう也(・∀・)!
32 :
Nana :2005/06/29(水) 23:44:18 ID:q1UNSorWO
漏れも。次に誰が出てくるのか楽しみになってきた。(;´д`)
33 :
Nana :2005/06/29(水) 23:57:57 ID:PR11F5f00
昔もバトロワスレ無かったっけ?あんまりしっかり見てないんだけど。 IDのやつだったのかな。
34 :
Nana :2005/06/30(木) 00:04:42 ID:v2KlWOkJO
これ、元文は芸人かなんかの? 名前と一部分をV系っぽく改ざんして、コピペしてるようにしか見えない。
35 :
Nana :2005/06/30(木) 00:12:36 ID:9aCDbwjy0
36 :
Nana :2005/06/30(木) 00:41:49 ID:6HGK4Fd9O
漏れもだ…!なんだかなり面白い。でものこり36っていわれてもだれがでんのかがわからないのが悲しいな。
37 :
Nana :2005/06/30(木) 00:50:10 ID:oleQk92MO
俺的に駄威君と清春来い!な。笑 クネヤは早くも御釈迦だが…黙祷。
38 :
Nana :2005/06/30(木) 00:54:13 ID:Wtg2DB0RO
清春、人時にぬっころされそうな予感がするorz もしくは逆。 清春でてこないかな。
39 :
Nana :2005/06/30(木) 01:12:57 ID:RAIwOllVO
コピペだとしたら仕方ないけどタモリが関西弁なのがいやだ(´_ゝ`) 楽しいけれど
40 :
Nana :2005/06/30(木) 01:20:53 ID:CEFqu1hkO
漏れ最初コージーなんたらがタモリの真似してるのかと思った
41 :
Nana :2005/06/30(木) 01:48:55 ID:FolIjsmpO
漏れもタモの関西弁やだな(´・∀・) あと関西弁の麺が関西弁じゃないのもやだな(・∀・`)
42 :
Nana :2005/06/30(木) 02:08:36 ID:v2KlWOkJO
そう思う人は、自分で続き書いてぅpすればいいんじゃない?(煽りではなく) 所詮、今までのはコピペなんだし、原文いじって貼ってくだけのスレってちょっと…。 自分はV系麺を手広くカバーしてないので無理ですが。
43 :
Nana :2005/06/30(木) 02:39:56 ID:FolIjsmpO
漏れも無理だ(・∀・`) 文句っぽいこと言ってすまなかったよ。 続きあるなら楽しみにしてます(・∀・)
44 :
Nana :2005/06/30(木) 10:03:46 ID:AkqFA872O
以上コメント糸冬 了 コメントしたいならスレたてたらいいとオモ ここだと話が進まないからヤメレ ちなみに漏れも書いてるがコピペしてない
45 :
Nana :2005/06/30(木) 16:55:57 ID:AgTLoyl60
35のログのやつを盤麺と口調を変えてちょっと書いてみたんだけど駄目かな まぁコピペ文には変わりないけどorz
46 :
Nana :2005/06/30(木) 18:01:26 ID:3BcFw0vl0
清春は登場予定です。
47 :
Nana :2005/06/30(木) 18:04:15 ID:Wtg2DB0RO
>>46 マジですか?!
正座して登場まってます!
48 :
Nana :2005/06/30(木) 18:05:35 ID:3BcFw0vl0
本部に向かう途中、スタジオ内の廊下で男はタモリに呼び止められた。 「よ。元気そうだな」 「…どうも」 「まぁそう硬くなんな、適当に言いたいこと言ってりゃうまくいく」 「言いたい事なんてありませんよ」 かつての仲間たちの殺し合いに対して、一体何を言えというのだ。 ああ可哀想ですね、と泣き真似でもするのか。 糞面白くもない。 「極端な話、スタジオで座っとるだけでもいいよ。 お前が出てるってだけで番組を見る奴はいくらでもいる。 特にこの東京の辺りには」 「客寄せパンダをやれってわけですか」 いや、そんないいものじゃない。晒し者だ、自分は。 「ま、そう睨まんでも…ああ、そろそろ八時だな。本部スタジオが待ってるぞ」 「…じゃ、また」 スタジオか。早足で歩きながら男は思った。
49 :
Nana :2005/06/30(木) 18:12:23 ID:3BcFw0vl0
スーパーライブさながらのセットとカメラの群れが自分を待っているのだろう。 スーパーライブの解説なら、いくらでも資料を集めて臨むのだが。 現在の状況は大まかに聞いていた。 死者は四人。IZAM、敏弥、HIDEKI、DAISHI。 IZAMが開始前に始末されたのは見ていたからまだ信じられる。 しかし、敏弥がyasuに、HIDEKIがHUKUEIに、DAISHIが雅に殺されたと、それだけ聞いてもまるで実感が湧かない。 雅はライブ以外の場では物静かで敬虔だったし、HUKUEIは、対談などした限りでは…多分に強気ではあるが…気さくな男だった。 yasuは温厚で世話好きで、多くの後輩に慕われていた男だ。 男は唇を歪めた。このプログラムは人を狂わせるというわけか。 「デーモンさん」 スタジオから出てきたスタッフらしき人間が男を呼んだ。 ああ、と男――デーモン小暮閣下は投げやりに言葉を返した。
50 :
Nana :2005/06/30(木) 18:12:52 ID:9Vy+A1To0
こんな小説個人サイトでやれよ・・
51 :
Nana :2005/06/30(木) 18:20:00 ID:3BcFw0vl0
『伊勢の名匠千子村正による本品はその鋭い斬れ味と徳川家康にまつわる因縁により妖刀との異名を持ち…』 Gacktはその説明書をひととおり読み流すと丸めてぽいと草むらへ捨てた。暗闇の中、鞘から抜いた刀が月明かりに照らされる。 ぶんと、素振りの要領で真横に振ってみる。薄い刃が横にしなるので、バットよりもコントロールが難しいものなのだとわかった。 帰りたい。怖い、怖い。 恐怖心から彼はテレビ朝日からさほど離れていない高校の敷地に身を寄せた。 高校時代のGacktは、休み時間にこうやって校舎の裏で素振りをするのが好きだった。
52 :
Nana :2005/06/30(木) 18:32:37 ID:3BcFw0vl0
ガサッ。 背後の草が揺れる音がした。 一気に血の気が引いたGacktは、刀を闇雲に振り回そうとした… が、彼の最初の一降りで刀は止まった。 その刃は草陰から現れた怜(バロック)の首に、ざくりと刺さっていた。 「あ…がく…っと……」 あああああああああああああああああああああああああ。 震える手で刀を抜いた。鮮血が飛び散った。 「うわあああああああああああああああああ!!!」 俺は知らない。俺は何もしていない。 あいつが悪いんじゃないか。俺の背後から襲おうとしたんだ、そうに決まってるんだ。 俺はちっとも悪くなんかないんだ。俺は悪くない。俺は悪くない。 物凄い勢いで、Gacktは駆けていった。
53 :
Nana :2005/06/30(木) 18:37:20 ID:3BcFw0vl0
時間は少し遡り、夜の九時半。 すっかり辺りは闇に包まれている。 身を隠すために忍び込んだ団地の一角、入り口からは見えない建物の影で、yasuは膝を抱えてアスファルトの上に座っていた。 三月の夜はまだまだ寒い。体を動かしたい。 「いつまでもここにいても仕方ないんじゃないか…」 隣に座るhydeに縋るように問い掛けると、その体が微かに震えているのが見て取れた。 「ん…確かにここに座っているだけじゃ、誰かに襲われた時とっさに逃げられないだろうしな」 「だろ。さっき決めた通り、人が集まりそうもない千種の方に行って、それからまた考えよう」 「わかったよ」 バッグを持って立ち上がり、伸びをしてみると、随分体が強張っているのがわかった。寒い中ずっと座っていたのだから当然だ。
54 :
Nana :2005/06/30(木) 18:39:40 ID:3BcFw0vl0
「それにしても寒いなー」 「まぁ、歩けば暖まってくるだろ」 「あれ…yasu」 「んん?」 「何か聞こえないか…」 ばりばりばりばり。 「ん、何だこの音」 hydeに言われて気付いた時には微かだったその音は、あっという間に膨れ上がり、辺り一帯の空気を揺らす轟音になっていた。 見上げると、上空にはぎらぎらとした金属の固まり。ヘリコプターだ。 「…NHKのヘリか!」 「畜生、今更何の用だっ」 石でも投げてやろうかと睨み付けたが、そんな事をしても無駄だと自分を落ち着かせる。
55 :
Nana :2005/06/30(木) 18:42:00 ID:3BcFw0vl0
反抗したら何があるか解らないのだ。 『みなさーん、元気に殺し合いしてますかー。本部からのお知らせでーす。 会場が東京一帯だと広すぎる、退屈だ、と視聴者の方から苦情が来たのでー、今から二時間後、十一時半ですね、それ以降この東区は立ち入り禁止にしまーす。 二時間たっても居座っている人はー、首輪が爆発してしまいますよー。 速やかに他の区へ退去してくださーい。以上でーす』 アナウンサーらしき男の、はっきりした声が辺りに撒き散らされた。 プログラムを盛り上げるための措置というわけだ。 「…くそっ、これで嫌でも移動しなきゃならなくなった」 hydeが吐き捨てる。yasuは唇を噛んだ。 去っていくヘリコプターが堪らなく憎い。
56 :
Nana :2005/06/30(木) 18:46:54 ID:3BcFw0vl0
いつもは人が溢れかえっているはずの街は、不気味に静まり返っていた。 街灯だけが照らし出す町の景色はなんとも言えない威圧感のようなものが漂っていた。 そこでTAKA(ラクリマクリスティ)はぜえぜえと息を切らしていた。 先程のヘリからの放送を聞いて必至になって走ってきたため、いつもの彼にならわかるはずの道も全然わからなかった。 さっきまでいた東区からは出たつもり、ただなんとなくそれだけはわかった。 ―仲間が欲しい…。クソ!こんなだだっ広い街の中じゃ探しようが無いじゃないか!! 実はここまで逃げてくる途中に一度だけ誰かに呼びとめられたような気もしたが、その時の彼には立ち止まって仲間を見つける事よりも確実に命の期限が迫ってくる東区から出る事が先決だった。 TAKAは心底後悔した。あのとき立ち止まっていたらこんなに辛い思いをする事は無かったんじゃなかったのかと。 バッグに入っていた武器は護身用などに使うスタンガンだった。 こんなものが武器じゃあ万が一襲われてもまともに応戦すら出来ない…。 これも彼にとって大きな不安要素の一つでもあった。
57 :
Nana :2005/06/30(木) 18:51:14 ID:3BcFw0vl0
暫くそこで息を整えているとどこかから小さく足音が聞こえた。 TAKAは、それに気付いた瞬間ビクリと体を起こし、バッグの中のスタンガンを取り出した。 まともに使い方もわからなかったが、こんなものでもないよりはマシだった。 そして、それを震える右手でしっかりと持ち、聞こえた気がした方向に声を飛ばす。 「誰ですか!?僕はTAKAです!!居るんなら返事して下さい!!」 足音の主はその姿を彼の前に表した。 「…よ・・よ、YOSHIKIさん…」 足音の主―YOSHIKIはククッと鼻を鳴らした。 「ようTAKAー、探したんよ、お前の事。」 そう言った彼の口の端にはわずかな笑みが貼りつけられていた。 「さっき呼び止めたのにお前走ってしまうからさあ、負いかけるのに必至だったよ。」 どんどん距離が狭まってくる。気付くとYOSHIKIはすぐそばに居た。 そして、彼は言った。 「なあTAKA、悪いんやけど…死んでくれんか?」 瞬間、左の太もも辺りに激痛が走る。
58 :
Nana :2005/06/30(木) 18:55:44 ID:3BcFw0vl0
「ーーーーーーーッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」 声にならない声で叫ぶ。そして足を刺され、バランスを失ったTAKAはその場に倒れこんだ。 「お前等が居るからX系のレベルが下がるんだ!!!!」 そう、あの時だって抱いていた敵意はyasuにたいしてではない、そのそばに居たhydeに対する敵意だった。 ただあの時の相手は銃を持っていたし人数も二人、そしてこっちは一人。 本気で戦っても体に鉛弾を埋め込まれるだけで終わりになっていたかもしれなかったのだ。 YOSHIKIは倒れたTAKAに馬乗りになって首を締める。 「…や…やめ・・てくださ…い…」 必死にもがきながら腹のそこから力を振り絞って叫ぶ。 止めを刺そうとした瞬間どこかから「やめろ!!!!」という声と共にYOSHIKIとTAKAの顔の間を何かが走り抜けた。 とたんに拘束が解け、TAKAは酷く咳き込む。 『それ』が飛んでいった方向に顔を向けると街灯の鈍い光に照らされた細長い銀色の物体が落ちていた。
59 :
Nana :2005/06/30(木) 19:00:43 ID:3BcFw0vl0
その物体は、細身の銀の矢だった。悪魔を討つ為の銀の矢だった。 飛ばされてきた方向からは、MAKOTO(リシュフェル)が姿を表した。 YOSHIKIの手には先程のTAKAのスタンガンが収められていた。ドサクサに紛れTAKAから奪ったのだ。 そして彼は「チッ」舌打ちしてその場から姿を消した。 「TAKAさん?!大丈夫か?!」 「な・なんとか大丈夫みたい、だ…」 まだ咳き込みながらではあるが、しっかりとした声で返事をした。 「嫌な空気が流れてきた様な気がした。まさかこんな事になっていたとは…」 MAKOTOはYOSHIKIが消えた方を見つめ、小さく呟く。 「…YOSHIKIさんとはまた顔をあわすことになりそうだな…」 また中心街に静寂が訪れた。
60 :
Nana :2005/06/30(木) 19:02:13 ID:3BcFw0vl0
残り35人
61 :
Nana :2005/06/30(木) 19:21:11 ID:oleQk92MO
あれ?ヨシキって…関西…?なんて思わなかったことにしておこう。
62 :
Nana :2005/06/30(木) 19:32:47 ID:Jzr/fA5MO
全部読んだ。面白い。 京に萌えた
63 :
Nana :2005/06/30(木) 19:46:45 ID:OR9E40Bc0
好きな麺が生き残ってくれるとホッとする
64 :
Nana :2005/06/30(木) 20:31:43 ID:oiN9P8iqO
なんかハマったかも(*´Д`)
65 :
Nana :2005/06/30(木) 22:13:03 ID:xno/VvCq0
ぐらぐらと煮立つ鍋の前で額に汗を浮かべるMAKOTOの姿があった。 その横で、石月努(ファナテッククライシス)はぼんやりと立っている。 手伝うつもりで厨房に入ったのだが、あまりの手際の良さに、入る隙がなかった。 「そこのどんぶり、持ってきて」 「あっ、はい」 チャッ、チャッ、リズミカルに湯を切り、湯気の上がった麺を石月の差し出した丼に開ける。 「具はそこにあるの適当に…でも明日のぶんは残しておいて。tamaさん!メシ。ちょっと休憩だ」 遠くでtama(CASCADE)が応え、こちらへやってくる。いい匂いが辺りに漂う。 「MAKOTO特製宮きしめん、完成ーーー。早く座って」 逃げ込んだ熱田神宮の売店には、冷蔵庫に保管された食材が山ほど残っていた。普段の参拝客の多さを物語っている。 「では、揃ったところで、頂きます」 「頂きます」 箸を割り、麺を口に運ぶ。MAKOTO流は、かつおとこんぶの合わせだし。
66 :
Nana :2005/06/30(木) 22:16:37 ID:xno/VvCq0
「……MAKOTO………」 泣きそうな顔。 「どうした、石月さん、口に合わんか?」 「………うまいッス……」 くしゃくしゃな表情に、MAKOTOはほっとした。そして再び、麺をゆでているときと同じく真剣な顔つきになり、tamaのほうを向いた。 「どうだtamaさん、ラジオのほうは」 「難しいね…なかなかバンドが合わなくて。今誰かのマイクを拾ってるんだけど、一人でいるみたいで息がハアハア言ってるだけなんだよ」 「そうか…俺達以外は単独行動なのかな」 「そうなら寂しいね」
67 :
Nana :2005/06/30(木) 22:26:20 ID:xno/VvCq0
休憩所の座敷にTAKAが眠っている。 石月は再びtamaときしめんを作りながら考えていた。 「相当体力消耗してそうだったから、卵も乗せてやって」 ここにいるメンバーで、役に立たないのは俺だけだ。 「わかめはさっき冷蔵庫しまったからな」 MAKOTOは気が利くし、tamaさんは器用だし、 「TAKAさんって出身どこだっけ?もっと濃いめのほうがいいかな」 TAKAさんは頑張りやだから俺達よりバンドを長く続けられているんだ。 「お盆あっちにあったぞー」 嫌なこと思い出させないでくれ…… 「…いし、し・つ・き!」 はっと気が付くと、丼を乗せた腕を掴まれていた。汁が波打って盆の上にこぼれた。 「刃物をひとに渡すときは、自分が刃のほうを持つ、でしょ?」 石月の手から、盆の下に隠したキッチンバサミが落ちた。 「滅多なことは考えるんじゃないっすよ、俺達もTAKAさんもtamaさんも、みんな同じヴィジュアル系仲間なんだから」 石月がわあと泣き出す声で、TAKAは目を開けた。
68 :
Nana :2005/06/30(木) 22:32:31 ID:xno/VvCq0
澄んだ静寂の中、杉本善徳(waive)は心地よい倦怠感に身を任せていた。 黄味がかった薄明かりと湿った空気。木の長椅子。 ああ、本当に静かでいいな。今にもパイプオルガンの音色が聞こえてきそうじゃないか。 支給品の地図の裏にここのスケッチもしてしまったし、もうする事は何もない。 正面の大きな十字架を何となく眺めながら、杉本はスポーツバッグの中を探った。 別にキリスト教を信仰しているわけではない。 ただ、目的も無く昭和区の住宅街を歩いている時、不意に目に入った「南山教会」の文字に何故か惹かれた。 それにここの静けさは、死に場所には丁度いい。 神様のお膝元からなら迷わず昇天できそうだ。 期待と若手と呼ばれて一年間をライブで過ごし、その報いがボロボロになった体と殺人ゲーム。 ああ、下らない。もう疲れた。疲れ果てたよ俺は。 せめてこの死を以って反抗の意としておこう。
69 :
Nana :2005/06/30(木) 22:36:02 ID:xno/VvCq0
バッグの中から取り出したのは、ごく一般的なカッターナイフ。 武器としては役立たずだが、手首の動脈を切り裂いて死ぬには充分だろう。 左手にしっかりと握ると、右手首に当てがった。 冷たい刃物の感触に思わず微笑む。 力を込めると皮膚に鋭い痛みが走り、それから刃の下から血が滲み出した。 もっと奥だ。ああ…さすがに痛いな。 刃がずぶずぶとのめり込んでいくのがまるで作りものの様だ。 鼓動に合わせてどくりどくりと溢れ出す血は、鮮やかな赤色をしていた。 だんだん全身から血からが抜けていく。座っている事ができなくなり、体を横たえた。 カッターを引き抜こうかと思っていたのだが、もうそんな余力は無いようだ。 杉本は目を閉じた。この瞼を上げる事は二度とないだろう。 父さん母さん先立つ不孝をお許し下さい、か。やれやれ。金は残していくから勘弁な。 椅子を伝い、床に鮮血が滴り落ちていった。
70 :
Nana :2005/06/30(木) 22:44:31 ID:xno/VvCq0
「キョオーモゲーンキナアーサガキター、シアワセイッパイアーサガーキター」 「−−−%&☆@◇*ッ!!」 鶴舞公園のスピーカーから大音響で響き渡るデーモン小暮の歌唱と思われる歌声は、常人よりも繊細な部類に入る清春の神経を覚醒させるに十分であった。 起こされなくても、とっくに起きてるっての。いや、ほとんど寝てないっての。この状況で熟睡なんか出来るかよ。 全く、他人の神経逆撫ですることばかりしやがって……、生きて返ったら滅茶苦茶にしてやる。 歯噛みをする清春の耳からあまりに美しすぎた歌声がフェイドアウトし、ほどなくして、あの、スタジオで聞いたタモリの声が飛び込んできた。 「皆さん、おはようさん…タモリですー。こっちも各局総力あげて中継さしてもらってますから、この調子でどんどんいっちゃってください」 そしてタモリは至極当たり前のように、これまでに死亡した人間の名前を、そしてそれを放映した時点の瞬間最大視聴率をアナウンスした。 「おかげさまでいーい絵を撮らしてもらってますー。今日も一日、頑張ってください。じゃ、また」 死亡者の中に『杉本善徳』の名前があったことで清春は脅えていた。昨晩、八事の方向へと歩いてゆく、彼の姿を見かけていたからだ。
71 :
Nana :2005/06/30(木) 22:45:00 ID:5en02F2H0
てか、地名が…東京じゃなくて名古屋になってね?
72 :
Nana :2005/06/30(木) 22:47:06 ID:xno/VvCq0
確かに清春は声をかけた。 しかし、杉本はただ、寂しげな表情(街灯のせいでそう見えただけなのかもしれないが)を返して足を止めることなく去っていったのだ。 もしも力づくで杉本を引き止めていたなら、あの人は助かっていたかもしれない。あのあと、誰が杉本を殺したんだ…、誰が!! もしかしたら犯人はこの近くにまだいるかもしれない。むざむざと殺されてなどやるものか。早くトラップを張らなければ……… 木の枝で作った鳴子は着実に増えていた。 支給品のゲイラカイトにセットされていたたこ糸で繋ぐ。 来るな。来るな。誰も来るな。ここへ来るな。 ひとつ、またひとつ、清春は無心に鳴子を繋いだ。
73 :
Nana :2005/06/30(木) 22:50:41 ID:Wtg2DB0RO
待ってました!清春!
74 :
Nana :2005/06/30(木) 22:57:51 ID:xno/VvCq0
「キリトさん、隠れるのダメ。出て来い」 …ナルシストが、好き勝手言ってくれる。出て行ったら殺すつもりだろうに。 斬り付けられた左手を押さえながら、毒づいた。 テレ朝スタジオ前駅構内。 かつては多くのファンが通ったであろう改札の陰に、キリト(Pierrot)は隠れていた。 青龍刀を振りかざしてきた河村隆一の目を支配していたのは、間違いなく狂気。 誰も殺さず、誰にも殺されず事が終われば良かったが、そうは問屋が下ろしてくれないらしい。 自分の足下に目をやると、左腕を伝った血が点々と落ちていた。傷は浅い。だが、いずれ見つかる。 あの男を殺さなければ、自分が殺される。 …やるしかないか。そう決めると不思議と心が落ち着いた。
75 :
Nana :2005/06/30(木) 23:01:10 ID:xno/VvCq0
「キリトさぁぁん?ドコデスかぁ?」 なんだよ、その喋り方?いつまで経ってもキモいヤツだ…。 顔をしかめながら、リュックの中に手をやる。 「ハハハァ、こっちカ」 どうやら血の痕を見つけたらしい。足音が次第に大きくなる。 不意に…キリトは立ち上がり、振り向きざまに手榴弾を投げた。 その手榴弾が河村の足下に転がるのを確認すると、キリトはリュックをつかんで走り出した。 背後で爆発が起こった。
76 :
Nana :2005/06/30(木) 23:07:00 ID:xno/VvCq0
残り33人
77 :
Nana :2005/06/30(木) 23:13:35 ID:817zV/vS0
キリトがんがれ(`・ω・´)
78 :
Nana :2005/06/30(木) 23:28:17 ID:gvrSaFH2O
現時点で名前の出た麺、23人。 あと半分、誰がでるのかな。楽しみ。
79 :
Nana :2005/06/30(木) 23:32:58 ID:v2KlWOkJO
まさか玉の名をV板で見る日がくるとは思わなかった。
80 :
Nana :2005/06/30(木) 23:48:35 ID:VhbKgMILO
その頃誰もいないレストランの厨房で、男の話し声が聞こえてきた。 「それにしてもたらちゃんが話しかけてきた時はビックリしたよ」 「ごめんごめん。でもお互い武器が笑えるな。つばっちが玩具の手裏剣で、俺が花火って…」 たらと翼だった。(パニックちゃんねる) 笑いながら食事を作り終えるとテーブルに並べた。 席についた瞬間、翼が立ち上がった。 「俺水取ってくるわ」 数分後2人分の水を持ってきたところで、やっと口に料理を運ぶことができた。「たらちゃん料理上手いなー!って、あれ?たらちゃんは食べな…ごふっ!!」持っていたスプーンを落とすと血を吐きながら、その場に崩れる翼。 それを見下ろすたらは笑っていた。 「ごめんな。つばっち。俺、つばっちと逢う前に誰かのバック拾ったんだ。で、中身見たらさ、白い粉が入ってて。試しに使ったらやっぱり毒だったね」 最後まで言い終わらないうちに翼は死に至った。 それを見届けるとたらは翼が持ってきたグラスを持ち、レストラン内の熱帯魚の入った水槽に落とした。 ゆっくりと浮かんでくる魚達…。 「はは…。きちぃーすわ」 そう静かに笑うとたらはレストランを後にした。
81 :
Nana :2005/06/30(木) 23:56:30 ID:oN6NmGhnO
激しく不愉快なスレだな
82 :
Nana :2005/07/01(金) 00:34:39 ID:EIDQl7vg0
これって1バンド1人選出?
83 :
Nana :2005/07/01(金) 00:37:54 ID:rQbRiiy4O
清春と人時出てるよ。 人時は黒夢で表記されてるけど、清春はなにもかかれてないね。
84 :
Nana :2005/07/01(金) 00:39:10 ID:APij1gV4O
ハマった!! 続き読みてぇ〜!! 漏れは地下線盤を期待(*´∀`*)
85 :
Nana :2005/07/01(金) 00:49:56 ID:5v+4e6wYO
楽しい!!なんか本当にVはバトロワ似合うなw メアとかドレミとかループ盤希望!!古い盤わからない派には辛い;
86 :
Nana :2005/07/01(金) 00:59:17 ID:APij1gV4O
塚、麺を集めて映画化したい(・∀・)
87 :
Nana :2005/07/01(金) 01:12:23 ID:jYYrvd6UO
需要あるかわからんけど今まで出た麺投下。 やられた麺=〆 有村竜太郎(プラトゥリ) 〆IZAM 石月努(◇) INORAN(ルナシー) 〆河村隆一 Gackt 京(ディル) 清春 キリト(ピ) 人時(黒夢) 〆杉本善徳(波) 〆DAISHI(最古) TAKA(ラクリマ) tama(カスケード) たら(ぱにch) 〆翼(ぱにch) 〆敏也(ディル) hyde(ラルク) HAKUEI(ペニシリン) 〆HIDEKI(シャムシェイド) MAKOTO(リュシフェル) 雅 yasu(ジャンヌ) YOSHIKI 〆怜(バロ)
88 :
Nana :2005/07/01(金) 01:15:37 ID:qvTbmftlO
>85 そんなこと言ったら、最近のバンド知らない人も同じだろ。 つか、最初に「テレビ的に面白い人を集めた」って書いてあったから、ある程度知名度ある人達でやるのかと思ってた。
89 :
Nana :2005/07/01(金) 01:22:07 ID:APij1gV4O
>>87 乙!
わかりやすくて助かったよ(´∀`*)
90 :
Nana :2005/07/01(金) 01:56:09 ID:7oEym6sSO
>>88 漏れもそう思ってたからパニ出てきたのにビクーリした
あと出てきそうな盤っていったら何だろう
ムクとかカリガリとか?メジャ盤あんまりいないな
91 :
Nana :2005/07/01(金) 02:07:56 ID:APij1gV4O
ラレーヌとかどうだろう
92 :
Nana :2005/07/01(金) 02:51:16 ID:gpFjjzE4O
大御所でまだ出てないといえば、BT・GLAY・マシンガンズとか? というか、テレビ的に〜のくだりは気にしなくてもいいんじゃないの? 人数制限もあるけど、本部から攻撃目的で投入などにするとか。
93 :
Nana :2005/07/01(金) 06:54:08 ID:5v+4e6wYO
>>88 そっか、ごめんorz
まあとにかく続きに期待!!(´∀`)
94 :
Nana :2005/07/01(金) 06:59:09 ID:ORY5YwBZO
そういやぁ…京にバトロワ出演のオファー来てたらしいね。 スレズレ、スマン。
95 :
Nana :2005/07/01(金) 07:12:02 ID:5v+4e6wYO
96 :
Nana :2005/07/01(金) 07:23:07 ID:ORY5YwBZO
>>94 昔、KERAって雑誌でバトロワの衣装デザイナーと対談したとき言ってた。
97 :
Nana :2005/07/01(金) 07:25:07 ID:ORY5YwBZO
98 :
Nana :2005/07/01(金) 10:25:09 ID:v+7zrdMsO
原宿のイエローに一人辿り着いた男がいた‥ 「‥おばちゃん」 有紀(米)だ 「そろそろ来るんじゃ無いかって思ったよ」 相変わらずタバコをふかし暇そうにしてるおばちゃん でも心なしか寂しげな顔をしていた‥ 「どんどん仲間が死んでくな‥」 イエローの中には遊びに来た麺達の写真、サインが所狭しと飾られている おばちゃんは何も言わない 「‥ねぇ、おばちゃん」 「なんだい?」 「タバコ一本もらっていい?」 有紀が手を出す 何も言わずにタバコを渡した そのタバコに火を付け一息つく 「‥なんか楽しかったなぁ‥」 有紀はタバコを吸いながら写真やファンの子達のプリクラを見る 「楽しかったって‥まだ先があるだろ」 おばちゃんにそう言われて有紀の顔が少し笑顔になる。 「‥もぅダメなんだー‥華月が呼んでるんだよね」 自分の懐かしい写真を見ながら呟く ちょうどタバコを吸い終わった時 「おばちゃん‥ヒロが来たら宜しく言っといて」 これが有紀が最期に見せた笑顔だった 「タバコんまかった‥ありがとね」 そのままバタっと倒れ込んだ有紀の背中にはハンドナイフが突き刺さり背中は血だらけだった‥ ここに来てから必死に隠してたらしい‥ おばちゃんは有紀を壁にもたれさせま
99 :
Nana :2005/07/01(金) 10:30:05 ID:jYYrvd6UO
↑本物?
100 :
Nana :2005/07/01(金) 10:45:46 ID:+mN3DTliO
ジャンヌ他麺出ないかな(´・ω・`)
101 :
Nana :2005/07/01(金) 18:37:30 ID:+KOM9Y/W0
メア、ラレーヌ近々出します。 ジャンヌ他メンなどはまだ保留。
102 :
Nana :2005/07/01(金) 18:40:48 ID:+KOM9Y/W0
「・・・うぅっ」 「起きましたか?」 hydeはタモリのアナウンスで目が覚めた。 「今メシ作ってあげるからもう少し横になってな」 yasuは泊まっていた民家の階段を下りてながら昨晩の出来事を思い出していた。 〜〜〜ヘリからの警告を聞きyasuとhydeは西へ向かっていた。放送から30分たっただろうか。 2人は歩き続けていた。 東区からは出た。 しかし、ここまで来る間に誰にも会うことは出来なかった。 やっぱり東京は広いんだな―― 「これからどうします」 yasuはバッグの中に入っている水を飲んだあと言った。 「あぁ・・・」 「とにかく仲間になってくれそうな人を探そう」 「そうですね」
103 :
Nana :2005/07/01(金) 18:44:49 ID:+KOM9Y/W0
―――仲間になってくれそうな人――― yasuはふとYOSHIKIさんのことを思い出した。 彼は必ず仲間になってくれると思っていた。みんなが助かる方法を考えて何とかしてくれるんだろうとも思った。 ―――しかし現実は違った。 彼は自分たちに刃を向けた。自分たちを殺す気だった。 今でも信じられない・・・。いや、信じたくない。 あのYOSHIKIさんが・・・。 yasuとhydeは進み続けると、大きな通りの交差点がある所に出た。 夜であることもあったし、車の行き来が全くないので静まり返っていた。 街灯が数個だけついていた。 十字路の真ん中に誰かが立っている。 2人から見て後ろ向きに立っていて顔はわからなかったが、背中を見て誰だかわかった。 SOPHIAの松岡充だ。 「松岡だ」 hydeは松岡の方へ走っていった。 「松岡はここで何してるんだ」 「ちょっとhydeさん、待てよ」
104 :
Nana :2005/07/01(金) 18:48:34 ID:+KOM9Y/W0
hydeと松岡との距離が5メートルくらいになった時、松岡は2人の方に向いた。 松岡は向いたと同時に何かを構えていた。 ボウガンだ。 「hydeさん、逃げろ!」 yasuはhydeの方へ走りながら叫んだ。コイツは殺る気になっている。 ボウガンから矢が発射された。 「うっっ」 矢がhydeのわき腹をかすった。 hydeも必死によけようとしたが、間に合わず、わき腹をおさえながら倒れていった。 血がおさえている指先の間から流れ出ている。 「hydeさん!・・・くそっ!!」 yasuは倒れているhydeの所へ駆け寄った。 hydeが顔中汗だらけになりながら苦しんでいる。
105 :
Nana :2005/07/01(金) 18:52:01 ID:+KOM9Y/W0
「大丈夫か」 カチャカチャ。松岡の方から音がする。yasuが松岡の方を見ると、松岡が次の矢を装填しているのだ。 俺たちを殺す気か―― しかし、使い慣れていないせいか、装填に手間取っている。 やばい。この距離から矢をさけるのはまず不可能だ。 仕方がない・・・。yasuは自分のバッグを開け、奥底にしまっているあれを取り出した。 ―――使わないと決めていたが 松岡にあれ・・・COLT GOVERNMENT M1911A1を向けた。 「ここから消えろ。撃つぞ」 声が震えていた。当たり前だが、こんなセリフ今まで言ったことがない。 「・・・・・・」 松岡は表情を変えず、ボウガンをおろした。そしてそのまま走っていった。
106 :
Nana :2005/07/01(金) 19:05:21 ID:+KOM9Y/W0
海を臨む貨物の廃駅に造られた小さな遊園地。誰もいないはずのその場所で、観覧車が、今、ゆっくりと動き始めた。 ルキ(ガゼット)はそれを確かめると、目の前に降りてきた真っ赤なゴンドラに乗り込む。 一人で乗るそれはやや危なげに傾いたが、やがて安定を取り戻し、遠くに名港トリトンが姿を現す。 何度も訪れたそこは穴場でも何でもない、東京の定番デートスポットではあったが、夜の闇に紛れてしまえば誰も自分が著名なバンドマンであることなど気づかなかった。 東京の上空を巡ったゴンドラは、地面に降りる。 ドアを自らの手で開けて、ルキはその男と対面した。 「こんにちは、雅さん」
107 :
Nana :2005/07/01(金) 19:15:00 ID:+KOM9Y/W0
『君には悪役になってもらいたい』 松岡は血まみれで瀕死状態のINORAN(LUNA SEA)を見つめていた。 常にこの言葉が頭から離れない。 ゲームが開始し、名前が呼ばれドームのゲートから外へ出ようとした時 「ちょっと君、来てくれないかな」 40代くらいの男性に呼び止められた。 「君にやってほしいことがある」 やって欲しいこと?何だ?? 理由もわからないまま、男性についていった。断る理由もないしな。 男はドーム内の駐車場にあるワゴン車の中へ松岡を連れて行った。
108 :
Nana :2005/07/01(金) 19:19:11 ID:+KOM9Y/W0
―――逃してくれるのか?免除か? そんな期待も一瞬、した。しかし、現実はとても残酷なものだった。 車内には先ほどの男以外に4人いた。 首から何かを下げている。どうやらNHKの関係者らしい。 「さっそくだが、君には悪役になってもらいたい」 意味がわからなかった。悪役?? 「いきなり言われてもわけわからんかもしれんが、悪役を演じて欲しいんだよ、君にね」 松岡は黙ったままでいた。状況がいまいちつかめない。 関係者の1人がニヤニヤしながら言う。 「ほらぁ、ヴィジュアルバンドってどちらかというと仲良しグループて感じじゃん。だからさぁ、殺し合いをやると言ってもなかなか実行する奴いないと思うんだよねぁ、だったら視聴者も楽しくないじゃん?」 奴らが言っていることが何となくわかった気がした。 「要するに俺にバンドマンを積極的に殺して欲しいって言ってるんだな」 「まっそんな感じ」 冗談じゃない。チームメイトを殺すなんて・・・。 「やめてもらっては困るんだよねぇ。こっちとしては。上の人たちに頼まれたことだし」 他の関係者たちがニヤニヤ笑っている。
109 :
Nana :2005/07/01(金) 19:23:02 ID:+KOM9Y/W0
「君さぁ、奥さんいるでしょ?」 ・・・何言ってるんだ? 「断られたら困るからさぁ、君の家族を人質としてとらせてもらったよ」 「・・・嘘だ」 松岡は怒りで拳が震えている。 「いやいや、本当さ。別に信じなくてもいいけどさぁ、その代わり君の大切な家族殺しちゃうよ?いいの?」 どうやら本当らしい。俺が従わなければ妻は殺される。俺が従えば妻は助かる。 本当に頭にくる話だ。しかし・・・ 「わかりましたよ。やりますよ。その代わり妻は解放してください」 妻が無事でいるんならそれでいいかもしれない。 「OKね。あとこの事は口外しちゃダメだよ。盗聴器があるから丸聞こえなんだからね」 はいはい。用意周到だこと。 関係者たちの話を聞き終え、松岡はワゴン車から出て歩いた。 「あとー、ボクたちの話は放送されないからさぁ、君は視聴者から見たら本当の悪者にしか見えないんだよー。もちろんテレビで見てるアーティストにも。誰も同情すらしてくれないよーー」 ワゴン車の窓が開いて男が10メートルくらい離れた松岡に言った。
110 :
Nana :2005/07/01(金) 19:26:28 ID:+KOM9Y/W0
そして今・・・ いきなり襲ってきたINORANを(この人はずいぶん前から発狂していたんだろう)突き飛ばし、INORANが持っていた銃(イングラムM10サブマシンガンというらしい)を奪い、突き飛ばされているINORANに銃口を向けた。 『君には悪役になってもらいたい』 INORANに向けて容赦なく撃った。 INORANの体が何回も跳ねた。そして動かなくなった。 松岡はただ見つめているだけ。 松岡自身は気づいていなかったが、彼はもう家族のために殺してはいなかった。 すでにこのプログラムに魅了されていたのかもしれない。 あぁ、悪役も悪くないかもな。
111 :
Nana :2005/07/01(金) 19:31:34 ID:+KOM9Y/W0
「よォ」 右手で挨拶、左手に銃。 雅はあまりに非現実的な姿でルキの到着を待っていた。 「馬鹿だな。こんな目立つモン動かしたら、一発で誰かいるってことが分かるだろ」 「別にどうも思っていません。死ぬ前に海が見られれば、それでよかったんです」 ルキは雅の脇をすり抜ける。その黒く光った拳銃の恐怖をものともせずに。 「俺に殺されることが、わかっていたのか……?」 くるり、ルキは振り向いて言った。その手には、いつのまにか背負ったバッグの中に収められていたワルサーPPKが握られている。 「−−−ええ、昨日の夜に、港の売店でテレビを見ていましたから。DAISHIを殺したのが貴方だってことも、知っています」 「ふぅん……、俺と撃ち合う気か?」 目を伏せたルキは首を振る。もう少しだけ時間がほしいのだと答えた。海へ行くための時間を。
112 :
Nana :2005/07/01(金) 19:42:11 ID:+KOM9Y/W0
ルキの口から、言葉にならず、溜め息が漏れた。 「−−−これを、お願いします。貴方が生きて帰ったら」 「綺麗な女性だな、彼女か?」 「5年前交通事故でなくなったんです。」 手渡されたロケットを、雅はそっとポケットに仕舞った。 「形見の品か…、俺が預かるのもおかしいがな」 「いえ、貴方にこそ、持って帰ってほしいんです。 雅は、何も言わない。 ただ、銃口をルキの胸に向けていた。 「でも…、雅さんは、俺が手に入れられなかったものを全て手にしていながら、俺が手にした『トップバンドのボーカル』の称号を欲しがっていたんですね。 本当に手に入れたいものなんて、きっといつまでたっても手に入らないのかもしれない。 貴方もいつかわかるかもしれない、でも、貴方みたいに屈強な人は、メンバーと話が合わないから、俺やyasuさんのことは永遠に理解できないかもしれませんね」 銃声が、一度だけ響いた。
113 :
Nana :2005/07/01(金) 19:46:11 ID:+KOM9Y/W0
雅は、引き金を引かなかった。 いや、引けなかったのだ、正しくは。 なぜなら、彼が引き金に力を込める以前に、ルキは自らPPKの銃弾を放ち、こめかみから鮮血を噴出していたからだ。 視界が真っ赤に染まった。 ゆっくりと、スローモーションで、ルキの身体が崩れ去る。 ゆらり。 散りゆくガゼットのボーカルの表情は、笑っているようだった。 そして、その姿は、水面に消えていった。 苦悶の表情を浮かべながら、どす黒い波間に漂うルキの頭に弾丸を打ち込む。一発、二発と。 体が沈んでいったのを見届けると、雅は踵を返して再び歩き始めた。 そうだ、それでも欲しいのだ。トップスターの栄光が。 ポケットの中のペンダントには、ルキの愛した女性が微笑んでいた。
114 :
Nana :2005/07/01(金) 19:48:41 ID:+KOM9Y/W0
残り31人
115 :
Nana :2005/07/01(金) 19:55:28 ID:ORY5YwBZO
ルキ来たね☆若手…次は誰が…ワクワク と、いってもあまり知らないんだけどねorz
116 :
Nana :2005/07/01(金) 19:58:28 ID:5v+4e6wYO
るきがこんないいキャラなのにビクーリ
117 :
Nana :2005/07/01(金) 20:12:17 ID:gpFjjzE4O
ルキがトップバンドのヴォーカルって…。
118 :
Nana :2005/07/01(金) 20:20:42 ID:WqepHneo0
でもオイシイね、ルキのキャラに惚れるw
119 :
Nana :2005/07/01(金) 20:23:44 ID:APkWcui6O
塚さGacktが村正とかハマりすぎw
120 :
Nana :2005/07/01(金) 20:25:45 ID:qvTbmftlO
漏れの本命麺キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! 一応ヴィジュアル系かww お流鬼が悟りきっててワロタwつか、トップバンドのボーカルだったんだ?w
121 :
Nana :2005/07/01(金) 20:31:54 ID:APkWcui6O
AKI(ラピュータ)とかKAZUSHI(ルアージュ)とか来ないかなぁ
122 :
Nana :2005/07/01(金) 21:11:38 ID:0mI8cxJe0
刈ー! 刈ー! 刈ー! 刈ー! 刈ー! 刈ー! ((∩ ∩)) 刈ー!(∩_, ,_ _, ,_∩))刈ー! ((⊂ ((Д´;≡;`Д))ノ∩)) ((⊂ l⌒i / ⊃)) 刈ー! ((⊂ (_) ) )) ∪)) 刈ー!((_(((_)))_)))
123 :
Nana :2005/07/01(金) 22:42:25 ID:Dx1cpUKx0
とっち・・・早すぎる
124 :
Nana :2005/07/01(金) 22:54:42 ID:28QRF0b/0
たのしい!!
125 :
Nana :2005/07/02(土) 16:28:33 ID:JA7csWQo0
ラピュータは出ると思います。
126 :
Nana :2005/07/02(土) 16:37:36 ID:JA7csWQo0
櫻井敦司(BUKU-TICK)は焦っていた。このプログラムが始まってからずっと歩き回っているというのに、未だにYOSHIKIが見付からない。 今朝の放送でまだ死んではいないと知り安心したが、それでも、あれからもう数時間経つ。そろそろ昼だ。 どこにいるんだ、YOSHIKIよ。 俺たち、二人揃えばきっと生き残ることができる そう櫻井が思ったその時、前方の道路上に人影が現れた。 かなり小柄だ。一目でYOSHIKIではないとわかった。 しかし、もしかしたら目撃くらいはしているかもしれない。 ひょっとして、「あいつは俺が殺したぜ」なんて… 「櫻井さん!?」 考えているうち、人影もこちらを見付けたらしく、一声叫ぶと一気に駆け寄ってきた。 すらっとした体躯、ナイトメア。YOMIだ。 どうも敵意は無いらしい。というか、むしろ怯えているようだ。 こいつ意外と気が弱いんだよな。 バンド内でもめて、泣きながらYOSHIKIに電話をしたこともあったらしいが。 「おい…無用心だな」 「櫻井さん、俺、俺…」
127 :
Nana :2005/07/02(土) 16:40:17 ID:JA7csWQo0
どうも少し動揺しているらしい。 「落ち着けよ。なあ、お前YOSHIKIを見かけなかったか?」 「え、いや、見てませんけど…」 「そうか。って…ついて来る気か」 歩き始めると、YOMIはちゃっかりと櫻井の後ろについていた。 「お願いしますよ。一人は嫌なんですよ…あの、俺の武器使っていいですから」 そう言ってバッグを差し出してくる。 「いや、別にそこまでしなくても」 「どうせ恐くて使えないんで…銃なんです」 「やれやれ…じゃあ預かっておく」 櫻井はYOMIからベレッタを受け取った。さすがに本物だけあって重い。 ああ、俺は今、殺し合いの中にいるんだな。何となく実感した。 自分に当たった武器がプラスチック製のフリスビーというふざけた物だったことと、まだ死体も戦いも見ていないことなどが相まって、いまひとつ実感が無かったのだが。 「行くぞ」 何だか変な連れが出来てしまった。
128 :
Nana :2005/07/02(土) 16:49:39 ID:JA7csWQo0
ピンポンパンポーン 「聞こえたますかぁ〜?タモリですぅ。皆さん、本当に仲がよろしいですなぁ。 仲よき事は美しき哉…いや〜わがいいともメンバーも見習いたいですわぁ」 …何事だ、一体?定期放送にはまだ時間があるはず… KAMIJO(ラレーヌ)は訝し気にスピーカーを見た。 「だけど、あまり仲が良すぎると数字が取れんのです。 もっと過激にせぇってクレームがガンガン来とるんです」 …ふざけやがって…オレ達に殺し合いをさせておいて、手前は高みの見物かよ… 右手に力が入る。 「そーこーで!です。今から新しいルールを発表します。よぉ聞いて下さいよぉ!」 声のトーンが上がる。 「今から三日、72時間以内に一人も殺せんかった情けな〜い方の中から抽選で一名の首輪を…爆破しまぁす!」 !
129 :
Nana :2005/07/02(土) 16:54:16 ID:JA7csWQo0
KAMIJOはAKI(ラピュータ)を見た。AKIもKAMIJOを見ている。 「…ど、どうします?KAMIJOさん…」 「大丈夫、72時間もあるんだ…何とかなる…」 さすがに声が震える。 …丸腰同然のオレらに何ができる…とにかく誰かを見つけないと… 誰かを見つけたとして、それでどうなる 「…大丈夫だ、AKI。とにかく誰かと合流しよう」 「…はい…」 「…行こう…」 …だが、どこへ? 生ぬるい風が2人の間を吹き抜けて行った。
130 :
Nana :2005/07/02(土) 17:03:33 ID:JA7csWQo0
「おーーーい?いるのか?入るぞ???」 京はその間が抜けた声の主を、精一杯の『作り笑顔』で出迎えた。 「HISASIさん!!!僕達とっても怖くてずっとここに隠れてましたぁ」 その隣で人時が舌を出してみせたが、背中を思いきりつねられてしまった。 「ん?どうした?人時さん」 「いえ…っいタッ…あ、何でもないちょっとやめッ」 「人時さんさっき拾ったお菓子食べてお腹壊しちゃったみたいなんです」 HISASHI(GLAY)はどこから持ってきたのだろうか正露丸をバッグから取り出して人時に飲ませた。 単純な、と言うのが失礼に当たるなら言い換えよう、HISASHI素直な性格のお陰でうまくこの場は切り抜けた。 いつどこでカメラに収められているのかわからないのだから、あまりことを大きくしたくない。 そう、この店の防犯カメラだってもしかしたらスタジオのモニターに直結しているのかもしれないのだ。 非常に優秀なディレクターならば、今、自分の頭の中にある計画が画面の前で堂々と実行されたとしても、『番組構成上非常に面白い』として妨害はしないだろう。 だって。
131 :
Nana :2005/07/02(土) 17:08:19 ID:JA7csWQo0
『主催者に果敢にも挑む知的なロックスター』なんて、最高に格好いい絵が取れるじゃないか? 結果的にその主人公が生き残ろうと死のうとも。 しかし、全ての番組制作者がそうとは限らない。 制作サイドに火の粉が飛び散るのであれば、それを水面下でもみ消そうとする奴らもいる。マスコミの悪い癖だ。叩くときだけ好きなだけ叩きやがって。 「人時さん!コレ面白いんですよ!HISASHIさんも、ほら見てくださいよ…」 隣のマシンのブラウザを開き、人時に目で合図して、自分からHISASHIの注意をそらした。今のうちに早く指示を送ろう。 「へー…なになに」 案の定、インターネットなどやったことのないHISASHIは、人時の指差す水色の画面に興味を示した。 『Welcome to Way To Win ようこそ雅-miyaviホームページへ』
132 :
Nana :2005/07/02(土) 17:18:43 ID:JA7csWQo0
吐いても吐いてもこみあげてくる。もう胃の中は空となり、胃液しか出ないがそれ でも吐き気は収まらない。 既に事切れた月森健一(wyse)、その遺骸の横で苦しげに蹲るプラトゥリ、竜太郎。 東京は広い。絶海の孤島では無い。住宅地の星の数程ある民家、その一つに 隠れ潜めば明かりが漏れない限り発見はほぼ不可能に近い。 一軒一軒探しに入 るのは現実的゛は無いからだ。名東区で適当な民家で立てこもり、最終状況に近 くなるまでとりあえず事態を静観しようとした竜太郎だったが、 保存食を調達しようと 出かけた星が丘三越で月森と遭遇してしまったのだ。 「OH!竜太郎さん!」目を輝かせて駆け寄ってくる月森の右手に光るナイフを見 た時、彼は支給された武器であるS&W M66を使ったのだ。月森が何を考えて いたのかはもはや知る由も無い。 ただ単に護身用に持っていただけなのかも知れ ないが、どの道あんな体格の奴に刃物付きで近寄られる訳にはいかないのだ。い かに甘言を弄したとしても、いつ不意を突かれるか判ったものでは無い。 やがて、銃声を聞きつけた誰かが来る可能性に思い至った彼はゆっくりと起き上が り、その場を離れた。吐き気はまだおさまらない。
133 :
Nana :2005/07/02(土) 17:20:52 ID:JA7csWQo0
残り30人
134 :
Nana :2005/07/02(土) 17:32:23 ID:1vmQP20DO
キタ――(゚∀゚)―――! デカダン帝王☆櫻井氏☆ けどアレだな…機械ヲタのHISASHIが…;
135 :
Nana :2005/07/02(土) 21:07:20 ID:C0eH778z0
漏れ、思わず今までの話を印刷してしまったw 完全保存版でつw
136 :
Nana :2005/07/02(土) 23:17:42 ID:+7rgWZfIO
漏れもしようか考えた
137 :
Nana :2005/07/02(土) 23:48:39 ID:yMwNXbhwO
保管所作る? その方が読みやすいしイイ それより話終わったらこのスレどうなるんだw 今作者は何人? 次はマイナー盤でやると面白いかも 最初に名簿作っておけば、本作者以外も書きやすいだろうし
138 :
Nana :2005/07/03(日) 01:18:46 ID:NRWQ0vGAO
何か残りの人数間違ってないか? 漏れの勘違いかな…とりあえず今まで出た麺投下しときます やられた麺=〆 AKI(ラピュータ) 有村竜太郎(プラトゥリ) 〆IZAM 石月努(◇) 〆INORAN(ルナシー) 〆河村隆一 Gackt KAMIJO(ラレーヌ) 京(ディル) 清春 キリト(ピ) 櫻井敦司(BUCK-TICK) 人時(黒夢) 〆杉本善徳(波) 〆DAISHI(サイコ)
139 :
Nana :2005/07/03(日) 01:19:40 ID:NRWQ0vGAO
続き。 TAKA(ラクリマ) tama(カスケード) たら(ぱにch) 〆月森健一(wyse) 〆翼(ぱにch) 〆敏弥(ディル) hyde(ラルク) HAKUEI(ペニシリン) HISASHI(GLAY) 〆HIDEKI(シャムシェイド) MAKOTO(リュシフェル) 松岡充(SOPHIA) 雅 yasu(ジャンヌ) YOSHIKI 〆有紀() YOMI(ナイトメア) 〆ルキ(ガゼ) 〆怜(バロ) 計34人。 間違ってたら補足ヨロ orz
140 :
Nana :2005/07/03(日) 06:04:05 ID:6QKi5C8C0
中の人別なのあるよね
141 :
Nana :2005/07/03(日) 07:40:38 ID:QXbPzCr8O
清春は黒夢扱いじゃないんだな…。
142 :
Nana :2005/07/03(日) 09:56:35 ID:5wctAglgO
別に何扱いでもいいよ 鳴子 w イエモン吉井とか来ないの?
143 :
Nana :2005/07/03(日) 16:54:49 ID:fcie+M8D0
>137 よろしくお願いします >142 イエモンはX系ですか?
144 :
Nana :2005/07/03(日) 16:59:40 ID:fcie+M8D0
一度目の放送直後、タモリの周りは非常な喧騒に包まれていた。 それは放送の一時間ほど前、タモリからの提案によるものだった。 「ヨシッ!参加者リストにない奴らを追加させよう!!」 「!?…今からですか?」 ずっとタモリの傍に侍っているデーモン小暮が聞き返した。 「あぁ。装備はすぐ用意出来るだろう?発信機は…そうだ、旧式の首輪あったろ? あれならすぐ付けられる。うん、我ながら名案だ!ハッハッハッハッハッ…」 この提案はプログラム実行委員会が提出した参加者メンバーを大きく逸脱させる。 しかしタモリには相当の無茶でも強引に実行出来るほどの権力が与えられていた。 「さっさと居場所の分かるヤツから適当に連れて来い!!」 「分かりました。では放送でその事をお伝えに?」 デーモンはわずかな動揺も見せず答えた。 「いや、少しこのまま知らせずにやってみよう。アイツらの驚く顔を考えてみろ!?めちゃくちゃ楽しみじゃないか!!」 いつもながらのこのタモリの自信に溢れた横暴は、デーモンを身震いさせた。
145 :
Nana :2005/07/03(日) 17:09:22 ID:fcie+M8D0
yasuとhydeはやっとのことで名大病院へ着いた。 2人は薬品庫を目指した。 しかし、薬の知識のまったくない自分に何ができるんだろう? 家にあった救急箱のマキロンと塗り薬で何とかすることくらいが自分の出来る限りだった。 薬品庫を見つけ入ると、そこは壁一面全てが棚で埋まっていた。棚の中には何種類くらいあるのだろうと思うほどの瓶。 とにかく消毒できるものを探さなければ。 yasuはhydeを床に座らせて、棚の中を探し始めた。 何て数なんだ。 あまりの多さに消毒液一つ探すのも一苦労だ。 「おい、何やってるんだ?」 ビクッ、突然の声にyasuは飛び跳ねそうになった。 誰だ?振り返るとドアの前に達瑯(ムック)が立っていた。 「達瑯・・・」 yasuもすっかり驚いている様子だ。 こんな所に自分たちの他に人がいるなんて。
146 :
Nana :2005/07/03(日) 17:15:32 ID:fcie+M8D0
「こんにちは、hydeさんそのケガはどうしたんですか。まさかあの時の松岡さんの・・・?」 「達瑯なんで知っているんだ?」 「ここの待合室で見ていたんですよ。松岡さんが殺そうとしたところを」 達瑯は棚の中を払拭しながら淡々と言った。 「テレビで見れるのか・・・」 yasuたちが今までいた所は妨害電波のせいで見れなかったうえ、車内でもラジオが聞けなかった。 「えぇ、いろいろなことがありましたよ。いろいろと・・・でも今は妨害電波のせいでみれませんけど」 達瑯は棚から瓶2、3本を取り出し、引き出しから包帯を持って、2人の所へやってきた。 「達瑯?」 「ちょっと痛いかもしれませんが、我慢してください」 hydeのわき腹の傷口に消毒液をつける。 「達瑯、おまえ・・・」 「俺にこういう心得があったらおかしいのですか?」 ひたすら手当てしている達瑯が少々怒りっぽく言った。 「ごめん・・・でも何でここまでしてくれる?」 「"ケガしている人が近くにいるから助ける"じゃダメですか?」 ははっ、コイツはいい奴かもしれない。がしかし、何かをもう悟っているようにも見える。 自分の死がすぐ近くにあることを。 「テレビで見たことを話して欲しいんだが」 「・・・いいですよ」 手当てしている達瑯は渋々うなずいた。
147 :
Nana :2005/07/03(日) 17:24:40 ID:fcie+M8D0
達瑯はhydeとyasuにテレビで見たことを話した。 「達瑯、清春は、清春はどうしてる?」 hydeはずっと清春のことが気になっていた。 「清春さんですか・・・。会わないほうがいいですよ。今はどうかわかりませんけれどテレビで見た限りでは、今の清春さんとまともに話すことは難しいと思います」 「どうして?」 やたら熱心になって聞き出すhyde。 「どうしても会いたいというなら鶴舞公園へ行った方がいいですよ。清春さんはそこにいると思います」 「すぐそばだ。達瑯本当にありがとう」 清春に会える喜びのせいかhydeはとてもハキハキしている。さっきまでとは全くの別人だ。 「では、失礼します」 達瑯はそう言って薬品庫から出て行った。達郎の足音が遠のいていく。 「これからどうする?」 達瑯の言ったとおりここから出たほうがいい。 「清春の所へ行く」 「清春さん!?でも今の清春さんの状態を聞く限りでは・・・」 まともに話すことができないらしいが・・・ 「yasuに行く気が無いなら俺1人でも行く」 「・・・わかった、行きますよ」 hydeは清春さんを慕っていた。hydeが心配するのも無理はないが・・・。 それに清春さんのことだ、きっと大丈夫だろうけど。 2人は病院を後にした。
148 :
Nana :2005/07/03(日) 17:43:03 ID:fcie+M8D0
アンちゃん(セックスマシンガンズ)は随分長い間空を眺めていたが、ふと目の疲れを覚えて寝返りをうった。 先ほどまで両足が信じられないほど痛んでいたのたが、だんだん意識が薄れてきたお陰か、今はそれもあまり感じなくなっていた。 ここ庄内緑地は、じきに立ち入り禁止となる西区の中に位置している。 留まるのは自殺行為だ、そんな事は解っていた。 でも、だからどうしろっていうんだ?アンちゃんは自嘲した。 二本の足の折れてしまった今となっては、この広大な緑地の外に出ることさえ叶わない。 ただゆっくりと迫る死を待つのみだ。 どうして人間は殺し合いなどするのか、全く馬鹿馬鹿しくなってくる。 そう、けれども、全ては自業自得なのだ。 ヘリコプターによる放送の直前頃、自分はここでタラ(パニックちゃんねる)を見付け、攻撃したのだから。 こちらの武器はコルトパイソン357マグナム。 完全な不意打ちで、銃弾は間違いなくタラの背中を抉るはずだった。
149 :
Nana :2005/07/03(日) 17:46:03 ID:fcie+M8D0
…アンちゃんが防弾チョッキを身に着けてさえいなければ。 そしてアンちゃんの足はへし折られた。追ってこられないようにと。 勿論、銃はバッグごと持ち去られ、もうここには無い。 それから五分も経たぬ内に、西区が立ち入り禁止になるとの予告があったのだ。 そろそろ二時間経つ頃だろう。 ああ、生きて帰りたかった。 家には家族やメンバーが待っている。 悲しいほど美しい景色の中、アンちゃんは自分の首輪が発する電子音を聞いた。最後通牒だ。 「ごめんな」 画面の向こうにいるであろう家族たちに、アンちゃんは囁いた。 この緑地を血で汚してしまうのは残念だが、自分はここまでらしい。
150 :
Nana :2005/07/03(日) 17:51:21 ID:fcie+M8D0
hydeは目に見えて落ち込んでいる。 何と言っていいかわからず、yasuは痒くもないのに首筋を掻いた。 まあ、当然か。怪我しているのにあまり気落ちするのも問題だが。 つい五分ほど前、清春は確かにhydeの目を見て言ったのだ。 俺は誰とも組めない、と。 きっと迷惑をかけるから、とも。 それだけだった。hydeがどんなに引き止めようとも、清春は振り向きさえしなかった。 達瑯の言っていた事と関係があったのだろうが、プログラムが始まってから今までの間に、清春に何があったのか…
151 :
Nana :2005/07/03(日) 17:57:17 ID:fcie+M8D0
(よかった。hyde、まだ生きていたんだな。) 清春は歩を進めながら、ふと笑みを口元に浮かべた。 これから自分がどうしていくのかを考えながら歩いていたところへ、hydeとyasuが現れてくれた。 「なぜですか?!」 一緒に行動しましょう、と誘われて断った。 少し悲しげで、すがりつくような目でhydeは俺を見ていた。 でも俺は、「一緒には行けない。誰とも組めない。」と繰り返した。 「どうして?」 hydeは何度も繰り返していた。 でも、断った。「きっと迷惑をかけるから。」、と。 背を向けた俺に、hydeは何度も何度も同じ言葉を繰り返した。 「どうして?」 それに・・・。 清春は顔を上げた。 清春は短く息を吐いた。そして再び歩き出した。
152 :
Nana :2005/07/03(日) 17:59:19 ID:fcie+M8D0
残り29にん
153 :
Nana :2005/07/03(日) 18:05:15 ID:lUxuZw0dO
リアルタイム(・∀・)!!
154 :
Nana :2005/07/04(月) 06:50:42 ID:S+7k2kkIO
みんな土人とかやってる奴らなんだろうね。 気持ち悪い
155 :
Nana :2005/07/04(月) 07:09:14 ID:DYN97uSvO
土人苦手だがこれは楽しいよ(*´Д`)達郎…!
156 :
Nana :2005/07/04(月) 09:59:22 ID:zxd0j9YY0
(ヽ´、ゝW)Φ
157 :
Nana :2005/07/04(月) 10:58:51 ID:J7o945KQO
たらちゃんてまだ生きてるの?よく解らんorz
158 :
Nana :2005/07/04(月) 11:37:24 ID:0eGke2jkO
達瑯おいしいな。 ルキ格好よかった。すぐ死んじゃったけど真っ赤な乗り物イイ 櫻井と黄泉の凸凹コンビに期待
159 :
Nana :2005/07/04(月) 12:03:04 ID:S+7k2kkIO
人殺して楽しいとか最低
160 :
Nana :2005/07/04(月) 12:32:17 ID:hjbR/gRZO
>>159 いやいや、此れは『えんたーていめんと』ですから。ホラー小説やら映画が面白い!と一緒ですから。
161 :
Nana :2005/07/04(月) 12:58:42 ID:S+7k2kkIO
実在する人間をエンターテイメントで殺すのはどうかと。
162 :
Nana :2005/07/04(月) 14:00:31 ID:7PW8Udj5O
嫌なら見なきゃ(・∀・)イイ!!
163 :
Nana :2005/07/04(月) 14:01:51 ID:DYN97uSvO
イエス!!
164 :
Nana :2005/07/04(月) 15:20:13 ID:8ecoo115O
ヤバい続きが楽しみだ、早く続きを・・・。
165 :
Nana :2005/07/04(月) 15:32:16 ID:DVbPNXQxO
は、はまる‥(*´д`)ハァハァ
166 :
Nana :2005/07/04(月) 17:17:47 ID:dVXb4MW40
前のバトロワは結構良かったな。 個人的にはToshiyaがアホな死に方したのと殿の最後が可哀相で泣けた。 今回は生き残ってくれるといいなぁ
167 :
Nana :2005/07/04(月) 17:51:59 ID:S+7k2kkIO
ばか
168 :
Nana :2005/07/04(月) 18:54:17 ID:YhSuumQw0
つーかもうToshiya死んでるなw
169 :
Nana :2005/07/04(月) 19:05:09 ID:i9t1d9+6O
敏弥がどんな死に方したのか気になる
170 :
Nana :2005/07/04(月) 19:16:00 ID:hjbR/gRZO
え?前にもヴィジュバトあったんや。 そっちも読みたいわぁ。
171 :
Nana :2005/07/04(月) 19:36:11 ID:RM34LKN90
172 :
Nana :2005/07/05(火) 21:51:22 ID:cPdRICLM0
ka-yu(ジャンヌダルク)は大きく伸びをした。 東京の広さを実感する。歩いても歩いてもyasuには会えない。 (他にいそうな場所は・・・) 誰かいるだろうと思って鶴舞公園にも行ってみた。 そこで見つけたのは狂いかけの清春。 ka-yuは知らなかった。 自分のいるその場所から公園をほんの半周もしないところに櫻井敦司がYOMIとともにいることを。 (栄にでも行ってみるかなぁ・・・) 当てがないのだから人が来そうなところを探すしかない。 もちろんそれは既に殺人鬼に化しているバンドマンに出くわす危険もあるのだが。 そんなka-yuの目の前に突然飛び出してきたものがあった。 「yasu!? ・・・HUKUEIさんか・・・」 痩身・美形がka-yuに重なるHUKUEIが目の前に立っていた。 HUKUEIの手には誰かの死体から奪ったサブマシンガンがあった。 その銃口が静かに自分に向けられて、ka-yuはゆっくりと息を吐いた。
173 :
Nana :2005/07/05(火) 21:54:35 ID:cPdRICLM0
自分の武器・デリンジャーはバッグの底にしまったままだ。 すぐに出せれば威嚇にくらいは使えたかもしれない。 でもどちらにしろHUKUEIのマシンガンの前には、逃げるすべはない。 HUKUEIは何も言わずに銃口を向けている。殺す気なのだ。 命乞いなど何にもならないだろう。 yasuに会えずに死ぬのは心残りだが、仕方がない。 ka-yuはもう一度深く息を吐いて目を閉じた。 (マシンガンで蜂の巣なら、苦しまずに死ねるかな) ka-yuはそんなことを思っていた。 「ぐあっ・・・!」 叫び声をあげたのはHUKUEIの方だった。 ka-yuは目を開けた。HUKUEIが顔を抑えて足元に転がっていた。 その傍にまだ揺れながら落ちているのは、フリスビー。
174 :
Nana :2005/07/05(火) 22:01:24 ID:cPdRICLM0
「ka-yu!」 「櫻井さん!!!」 ka-yuは振り返った目に櫻井の姿を認めて、嬉しそうに顔をゆがめた。 櫻井はYOMIに荷物を預けてka-yuに駆け寄った。 倒れているHUKUEIにYOMIから預かった銃を向けて威嚇しながら櫻井はka-yuの肩に手を置いた。 「よかった。大丈夫か」 「は、はい。」 言葉を交わし、笑みを浮かべた2人の足元でHUKUEIが体を反転させた。 「あっ」 足を掴まれてka-yuはビクッと体を震わせた。 瞬間、櫻井は引き金にかけていた指に力を込めた。 「ヒィ・・・ッ」 HUKUEIの手がka-yuから離れた。その腕の付け根に血がほとばしっていた。 「た・・・助けてくれ。俺達を殺し合わせた主催者が悪いんだ。一緒にあのズラ・・・」 ピピピピピ・・・ HUKUEIの首輪が警告音をたて始めた。 あの禁句を口にしかけたHUKUEIの口封じにあいつらが装置を作動させ始めたのだ。 櫻井はとっさにka-yuの腕をひいて離れた。 背後で軽い爆発音がした。
175 :
Nana :2005/07/05(火) 22:08:19 ID:cPdRICLM0
さてと、この辺りか。 達瑯は道路脇に救急車を停め、辺りの様子を窺いながら外に出た。 二時間前に雅がガーデン埠頭にいたことを考えると、真っ直ぐ歩いていればこんな辺りか、もう少し北か。 まあ、何しろ雅は携帯テレビを持っているのだ。 恐らく自分が車で移動している姿も見ていただろうから、向こうから来てくれるだろう。 「達瑯」 そう、こんな具合に。達瑯は声のした方に顔を向けた。 道路の向こう側、丁度山北の死角になっていた建物の陰から雅が姿を現す。 左手に握り締めているのは、長身に似合わぬ小さなリボルバー。 「…雅くん」 自分の口元が笑っている。 嬉しいわけではない。楽しいわけでもないのに。 「動くな」 「わかってますよ」 辺りを見回しながら、ゆっくりと雅が道路を横断する。 「何がおかしい」 「いいえ、何も」 あなたの姿ですよ、と言うのを堪えるとまた口元が緩む。 道路を渡りきった雅が露骨に顔を顰めた。 「死ぬのが恐くないのか…」 言いながら間近で見上げてくるその顔は、明らかに疲弊していた。 「恐いですけど」 胸に銃口が押しつけられる。 「そうは見えないな」 「知ってるんでしょう。あなたにだったら殺されてもいい」
176 :
Nana :2005/07/05(火) 22:15:29 ID:cPdRICLM0
口説き文句のような気障な台詞が、するりと喉を通って出てきた。 「俺はお前が思ってるほど立派な人間じゃない。 この期に及んでもそれが解らないのか。俺は人殺しだ」 「…俺はただ、雅の手助けがしたいだけです。 トップボーカルを全員殺すのがあなたの目的なら…それに殉じますよ。 雅は、いい人だから」 インディーズ時代から注目され…あらゆる記録をその手にしてきた雅。 それなのに全く傲らず、自分にも笑顔で接してくれるのが嬉しかった。 「いい人?違う…俺は…」 「喩え雅の優しさが全部ニセモノだったのだとしても、俺は嬉しかったんです。 今でも、雅を尊敬してます」 涙が顎を伝い、乾いたアスファルトの上に落ちた。 「お前は馬鹿な奴だ」 雅が銃を握り直す気配がした。いよいよらしい。流石に鼓動が早くなってきた。くらくらする。 バンッ! 激しい衝撃が、胸のみならず全身に走った。 達瑯にとって雅は目標とすべき星だった。 その輝きが永遠に失われないことを、四散していく意識の中で願う。 俺の死があの星の、ほんの一片にでもなれればいい。ほんの一輝きにでもなれればいい。
177 :
Nana :2005/07/05(火) 22:21:06 ID:cPdRICLM0
「えーー皆さん、システムエラーによって首輪のタイマーが止まってまーす。 残念ながら当分の間は爆発しませーん。一人も殺せなかった人にも少々余裕ができましたー。 明日には復旧しますので、せいぜいチャンスだと思って引き続き頑張るようにー」 NHKのヘリが去ると、京は小さくガッツポーズを決めた。 京は即座に指示を送り、村田館長の部屋に鎮座するサーバの設定を変更させ、外部からのtelnetアクセスを可能にした。 昇竜館サーバ経由で本部サーバに接続すると、手探りではあったがまず手始めに首輪の制御装置を停止し、先のアナウンスに至ったのである。 もちろん、接続成功と同時にrootのパスワードを変更してしまうあたり用意周到である。 人時とHISASHIはもはや出る幕なしで、ネットサーフにも飽きてしまった様子だ。 しかしそんな二人に構っている余裕はない。京はディレクトリ構成をひとつひとつ調べていた。 しかし。 『サーバから切断されました』 思いも寄らないメッセージに、京は表情を凍らせた。
あぼーん
179 :
Nana :2005/07/05(火) 22:41:46 ID:cPdRICLM0
「なんだって!?」 hydeとyasuは本部からのアナウンスを聞いてほぼ同時に立ち上がった。 「俺たち脱出できるんじゃないのか?」 hydeは興奮気味に言う。 「でも1日たったら復旧するんだぞ?俺たちが東京の外へ出たってバレたらそこで終わりだぞ?」 「それまでにこの首輪を壊せばいいんだよ。」 確かに。今だったらこの首輪を壊したって自分たちに何の危害もない。 「みんなを集めよう」 yasuは肩にバッグをかけ、行く準備をしている。 「みんなだって別々に逃げるって。行くぞ」 hydeもバッグを持って、2人は歩いていった。 中央本線沿いを歩き、金山駅からは国道沿いを南下していった。 hydeは脱出できることがうれしいのだろう、足取りが軽い。 しかしyasuは不安に思っていた。 そう簡単に脱出なんて出来るものなのだろうか。殺し合いのためのこのゲーム、こんなにもあっけなく終わるのか。 yasuは前方を歩いているhydeを見ると、hydeが動かずに止まっているのが見えた。 「hydeさん?」
180 :
Nana :2005/07/05(火) 22:45:41 ID:cPdRICLM0
走ってhydeのもとへ行ってみるとそこには妙な光景が見えた。 「Gacktさん・・・」 それはただ立ったままのGacktと血まみれになり倒れているヒロ(ライス)の姿があった。 「ち、違うんだ!!」 Gacktは2人の方へ近寄ってくる。 「違うんだ。あいつがいきなり襲ってきたんだ。殺されると思ったから必死に抵抗して・・・」 「抵抗して銃を奪って殺したんですね」 「そうだ。本当に殺されそうだったよ」 やけに淡々と話す。本当に殺されそうだったのか。 「Gacktさんはさっきの放送を聞いたのですか?」 「聞いたよ。もちろん逃げるつもりだ。で、その前にいきなりこいつが襲ってきたんだ」 偉そうな話し方。彼から全く今までの恐怖などが感じられなかった。 hydeも不信そうな目でGacktを見ている。
181 :
Nana :2005/07/05(火) 22:53:39 ID:cPdRICLM0
でも怜を・・・ 「でも怜を殺したでしょう?」 yasuが思っていたことをhydeは口にして言った。 「あれだってあいつがいきなり背後から・・・」 「正当防衛ってやつだね」 2回とも正当防衛だって?いかにも嘘くさい話である。 yasuはヒロの死体を見た。シャツの胸の辺りが真っ赤に染まっている。 もっと近寄って見てみると胸に1箇所だけ大きな穴が開いていて、そこから血が出ている。胸に一発撃たれたらしい。 襲われそうになった相手から銃を奪いその銃を相手に向けて撃った時、こんなに正確に胸に撃てるのだろうか。しかも一発で致命傷となっている。 Gacktは嘘をついているのではないか。 「うわっ」 後方からhydeの叫び声がした。 振り返るとGacktがhydeを人質にとっていた。 右手に握られた日本刀らしきものの刃がhydeの首にぴったりくっついている。 「hydeさん!!・・・・・・あんた何考えてるんだよ!」 「ふっ・・・俺はお前らを殺してから逃げるとするよ。これで俺は怜、ヒロ、hyde、yasuと4人殺したことになるのか。すごいな、俺ふふふ」 やっぱりコイツが怜もヒロも殺したのか。 Gacktは狂っていた。yasuに対し開かれた目は赤く、狂犬病にかかった犬のようだった。 「hydeさんを離せよ」 「くっくっくっやだね〜〜ん」 怒りでどうにかなりそうだった。しかしここは冷静になりつつ言った。 「Gacktさん、逃げたほうがいいんじゃないですか?早くしないと首輪が元通りになってしまいますよ」
182 :
Nana :2005/07/05(火) 23:02:13 ID:cPdRICLM0
「お前さぁ、本当にバカだな。本当にここから逃げられると思ってるワケ?誰かが本部のコンピューターに入って、この首輪を破壊したとしてもよぉ、そんな復旧に1日もかかると思うか?その手のエキスパートに頼めばほんの1,2時間で元通りになるさ。 1日かかるんだと信じるバカは逃げてる途中でバーンって首が吹っ飛ぶのさ。しかしまぁ、このゲームの誰かだと思うが勝手に侵入した奴もバカだよ。見つかったらどうなるのかわかっているのか?本部からすれば自分がやりましたって言ってるもんだよ」 hydeもyasuも驚いている。Gacktはやけに的確なことを言っている。 狂ってはいないのか。 「俺たちはこのゲームから逃げる逃れられないんだぜひゃーひゃひゃっひゃっ」 やっぱり狂っていた。 「なぁyasu、お前の銃貸せよ」 「持っていませんよ、銃なんて」 「嘘を言え!!ふっ俺は知ってるんだよ。お前がHUKUEIに向けて銃を構えていたのをな!」 ちっ、テレビを見ていたのか。 yasuはバッグの奥から銃を出し、構えた。 「あひゃ、俺を殺すのか?しかし、お前みたいなヘタレが撃ったってhydeに当たるだけだぞひゃーひゃっひゃっひゃっ」 ―――尊敬する先輩を殺すなんて無理だ さっき言ったばかりだった。しかし、このままGacktに銃を渡せば2人とも殺されてしまう。 「さすがアマちゃん、撃てるものなら撃ってみろや」 プチンとyasuの頭の中の何かが切れた。 その時だった。 一瞬のすきをつき、hydeがGacktから離れた。 「うああああああああああ!!!」 yasuは引き金を引いたのだった。 パンッ Gacktの額のほぼ中心に小さな点ができ、そのまま後ろへ倒れていった。
183 :
Nana :2005/07/05(火) 23:05:18 ID:cPdRICLM0
残り25人
184 :
Nana :2005/07/05(火) 23:09:41 ID:opJG9BWDO
今更だが、yasuとhydeが主役と考えて良いのだろうか
185 :
Nana :2005/07/05(火) 23:11:48 ID:v1M3zkpjO
>>171 さん
…折角、過去レス貼って頂いたのに、読めませんでした(泣
携帯からだからでしょうか?
186 :
Nana :2005/07/05(火) 23:35:24 ID:SDfa53Tf0
>185 そうだと思う
187 :
Nana :2005/07/05(火) 23:35:25 ID:9diwe1v+O
>185 そうだよ。ネカフェへGO 凸カッコイイ死に方だな。 つか、これはコピペの改変?流鬼や凸の扱い(?)が、なんか違うね。
188 :
Nana :2005/07/05(火) 23:36:05 ID:rU6hrWcxO
早く続きが読みたい(*´Д`*)
189 :
Nana :2005/07/05(火) 23:45:07 ID:/QiZvman0
なんか読みにくいな 他でやってるロワを参考にしてきたほうがいい>作者
190 :
Nana :2005/07/05(火) 23:45:53 ID:v1M3zkpjO
>>186 さん
>>187 さん有難う御座います。でも…過疎地過ぎてネットカフェが…orz
車飛ばして行ってきます!
やっぱり名古屋の名所が出てくる辺り、気になりますね。
191 :
Nana :2005/07/06(水) 00:11:41 ID:cETGkbRPO
雅とYOSHIKIガンガレ!にしてもルナシーの扱いがひどいなw 支援age
192 :
Nana :2005/07/06(水) 01:54:24 ID:DqNbhd7VO
>>187 そうみたい。
改変ならなおさら、矛盾点をなんとかしてほしいかも…。
193 :
Nana :2005/07/06(水) 07:12:27 ID:bQuioTBJO
誰も突っ込まないからとりあえず言ってみよう HUKUEIってなんじゃい!!
194 :
Nana :2005/07/06(水) 09:51:08 ID:MY99yM0cO
禿同。
195 :
Nana :2005/07/06(水) 10:31:44 ID:YxbGVOeTO
ハクエイの間違いでしょ
196 :
Nana :2005/07/06(水) 10:41:09 ID:TzMUs5KsO
ふくえいwwwwww
197 :
Nana :2005/07/06(水) 15:45:09 ID:XPTFyd6tO
>>193 漏れは敢えてソコは突っ込んじゃいけないものだと思ってたよ。
突っ込んでくれてマリガdw
198 :
Nana :2005/07/06(水) 16:58:54 ID:kwQxpyR3O
うちの近所のラーメン屋が福栄だw
199 :
Nana :2005/07/06(水) 19:58:30 ID:f93+RlWfO
元ルイ・マリー 西川貴教とか出てこないの??
200 :
Nana :2005/07/06(水) 22:36:38 ID:PoJqfyNr0
わざわざスレ立ててまで書くなら改変じゃなくてオリジナルでやれよ。 丸パクじゃ元ネタ書いた人もいい気しないだろ。
201 :
Nana :2005/07/06(水) 22:41:15 ID:bQuioTBJO
清春がかっこいくない… 邦楽バトロワスレのが好きだ
202 :
Nana :2005/07/06(水) 22:50:27 ID:C/Y2MgI8O
>>201 ハゲド
邦楽スレどんな感じでした?
203 :
Nana :2005/07/07(木) 01:15:54 ID:OUxdOOs8O
話の続きキボン(´∀`)
204 :
Nana :2005/07/07(木) 08:15:39 ID:svQF05ZAO
>>202 清春と松岡が殺人マシンだったような気が…
とりあえず人物ごとの言葉使いや心情がちゃんとしてた
今もググるかヤフーで邦楽バトルとか検索すればまとめて読めると思うよ
205 :
Nana :2005/07/07(木) 12:13:21 ID:6g6OK7wdO
206 :
Nana :2005/07/07(木) 23:17:11 ID:4++kwJ7AO
今日は進まナッスング?
207 :
Nana :2005/07/08(金) 07:43:19 ID:Q2j7XD5DO
火曜以降全然進まんね
208 :
Nana :2005/07/08(金) 16:07:35 ID:9RogiTXl0
>>206-207 ぶっちゃけたいして面白くないロワだが、
それでも文を書くってのは大変なことなんだよ
読んでるだけのカスは黙って待っとけや
209 :
Nana :2005/07/08(金) 18:50:17 ID:WeWrFdYu0
>208 中日のバトロワをコピペして名前変えるのが大変なんですか?
210 :
Nana :2005/07/08(金) 21:58:29 ID:6gW6sm9bO
続きキボン
211 :
Nana :2005/07/08(金) 21:59:04 ID:8N7tnbEZ0
>>209 選手の名前と入れ替えるのだけでもちょっと面倒だべ
で、中日のバトロワスレって…
探してきます
212 :
Nana :2005/07/08(金) 22:42:33 ID:gx05tIJL0
>>209 ならお前が続けていけばいいじゃん
簡単なんだろ?
213 :
Nana :2005/07/08(金) 23:11:57 ID:NBSaPoCB0
>>209 大変ですよ、けっこう野球用語とか出てくるし
214 :
Nana :2005/07/08(金) 23:17:00 ID:pWrC93+80
でもコピペ改変で「文を書くのは大変」も大げさだよな。
215 :
Nana :2005/07/08(金) 23:17:33 ID:NBSaPoCB0
『一人も殺せなかった人にも少々余裕ができましたー』 さっきのタモリの放送はなんだったのだろう。 清春は空を振り仰いだ。 青い青い空が広がっている。 狂気の中で清春は先の放送を聞いていなかった。 72時間以内に1人も殺せなかった者の中から抽選で1名の首輪が爆発する、というあの放送を。 清春は何をするべきか考えながら、ただ足をライブハウスへ向けていた。 当てがあるわけではなかったが、何かある、と思っていた。 「清春さん」 不意に後ろから声が掛かった。 「たら・・・か?」 清春は振り向かなかった。振り向く必要はなかった。 背中に当てられているのは多分、銃口。 「なんで俺を殺す?」 清春の声は冷静だった。 たらは清春の背にアンちゃんから奪ったコルトを突きつけていた。 「・・・死にたくないんです」 「そうか」 清春は静かに息を吐いた。
216 :
Nana :2005/07/08(金) 23:23:14 ID:NBSaPoCB0
「逃げないんですか?」 たらは尋ねた。普通ならば逃げる。命乞いの一つもするはずだ。 「銃を押し付けられて逃げられる余裕があるか。俺がちょっとでも動けば引き金を引くんだろう」 たらは答える代わりに更に銃を押し付けた。 このコルトはアンちゃんから奪ったものだ。でもアンちゃんを殺したわけじゃない。 ただ足をへし折って放ってきただけだ。 そして今自分は生き残るために清春に銃を向けている。 死にたくないから殺す。 でも・・・。 少し心をざわめかせた、たらの隙を清春は見逃さなかった。 一瞬を衝いて清春は体を沈ませた。 たらの足を払い、倒れたたらの上に馬乗りになった。 「わああああああっ」 たらは怯えたように清春に銃を向けた。 しかし動揺したその手は照準を定めることは出来なかった。 大きな反動とともに放たれた弾は清春の顔の横を通り過ぎた。
217 :
Nana :2005/07/08(金) 23:27:44 ID:NBSaPoCB0
再び清春に向けたコルトが火を吹く前に、清春のナイフがたらの細い首を撫でた。 2度目の銃弾は虚空に飛んだ。 たらの首から生暖かい血が噴きだすのを、清春は黙って見つめていた。 人を殺すのはなんて簡単なんだろう、そう思っていた。 清春は立ち上がった。 たらはもう動かない。 清春は再び空を振り仰いだ。 高みの見物をしている奴らにこの苦しみが分かるか。 今のを中継で見て喜んでいる奴らに。 ただのエンターテイメントとして笑っている奴らに。 清春はたらにしばしの黙祷を捧げた。 そしてたらの手からコルトを外して携帯すると清春は再び歩き始めた。 たらを殺したことが、72時間後(もう少し猶予は減っているだろうが)の無作為爆破から清春を救ったことなど知ることもなく・・・。
218 :
Nana :2005/07/08(金) 23:31:04 ID:gaqzdB/U0
清春カコイイ! 続きキボン!
219 :
Nana :2005/07/08(金) 23:33:30 ID:NBSaPoCB0
灰色がかった雲が空全体を覆っている。 これから雨でも降るのだろうか。 TAKA(ラクリマ)は見上げてそう思った。 つい先ほど目が覚めたばかりのTAKAはMAKOTO(リシュフェル)が作ってくれた料理(これがまたすごくおいしいものらしい)を食べ、少し外の空気を吸いたいということで今、熱田神宮敷地内の歩道を散歩している。 TAKAが外へ出たいと言うとMAKOTOはもちろん反対した。 それでもどうしても出たいと言ったら神宮敷地内だったらということで許してもらった。 TAKAがわがまま言って外へ出たかったのはただ外の空気を思いっきり吸いたかっただけなのである。 ふぅーーーーーー TAKAは深呼吸した。 そして空を見上げ、雲をじっと見ていた。 「・・・っ」 左太ももが痛む。YOSHIKIにやられた太ももが。 TAKAの中に恐怖がぶり返した。 そしてYOSHIKIの自分に対して向けられた憎悪でいっぱいのあの顔が頭によぎった。 またYOSHIKIさんに会ったらどうしよう。
220 :
Nana :2005/07/08(金) 23:37:35 ID:NBSaPoCB0
ぞくっと冷たいものが背筋を通る。 いや、大丈夫、大丈夫だ。現れるわけがない。 いきなり襲ってきた恐怖で狂いそうだった。 震えが止まらない。顔も汗だらけである。 はぁはぁ。呼吸も荒くなっていく。 「よぉ」 背後から声がした。 ビクッ、心臓が飛び跳ねそうだった。 そしてTAKAが振り返る間もなくその声をかけた人物はTAKAの口元を手で押さえ、首にナイフを突きつけた。 「・うう・・・」 「動いたら殺すぞ」 その男は耳元で囁いた。 その声はどこかで聞いたことがある。 あまりの恐怖でおかしくなってしまっているTAKAははっと一瞬正気に戻った。 ま、まさか・・・・・ さらなる恐怖が襲った。 汗でアンダーシャツは背中とぴったり密着している。 パラパラと雨が降ってきた。 男はふっと鼻で笑い、TAKAの口元を押さえている左手でそのまま後方へ押し、倒れたTAKAの上に馬乗りになった
221 :
Nana :2005/07/08(金) 23:42:24 ID:NBSaPoCB0
「よ、YOSHIKIさん・・・」 YOSHIKIの冷え切った目がTAKAを見下ろしている。 死にたくない、助けて・・・ 前にもこんなことがあった。あの時はMAKOTOが助けてくれた。だが今はMAKOTOはいない。MAKOTOのいる売店とは少し距離が離れている。 「ううっ!!」 YOSHIKIは両手でTAKAの首を絞めた。 全身の毛穴が開き、冷たい汗みたいなものが吹き出してくる。 ・・・た・・すけ・・て・・・・・くるし・・・い・・・・・ YOSHIKIは相変わらず冷たい目でTAKAを見ている。 目がかすみ、音も聞こえなくなってきた。 ・・・よ・・しき・・・さん・・ やがて意識が遠のいていった。 YOSHIKIはTAKAが全く動かなくなるのを確認すると、先ほどのナイフをTAKAの胸めがけて思いっきり刺した。そしてもう一度。 何度も何度も刺す。力任せにメッタ刺しにした。 気がつけばYOSHIKIの服はTAKAの血で赤く染まっていた。 雨は降っているが服の血はとれない・・・ ようやくYOSHIKIは立ち上がり、近くに置いてあった自分のバッグを持ち熱田神宮を後にした。 ザーザーと降る雨の中、YOSHIKIは小さな声でつぶやく。 「hydeはどこだ・・・」
222 :
Nana :2005/07/08(金) 23:49:11 ID:NBSaPoCB0
…誰か来るな… 気配を感じ、松岡充は咄嗟に手近の建物の陰に隠れた。 耳をすますと、足音が聞こえた。 そっと足音の主を確かめると、そこには右手に拳銃を持ったTETSU69の姿があった。 こちらに気づいた様子はない。まだ、距離がある。 相手は銃。不意を付くより他にない。 もっと近くへ来い。もっとだ…。 足音が少しずつ、大きくなる。 同時に、自分の鼓動も少しずつ大きくなる。 ちっ、こんな所で緊張するとは…オレもまだまだだな… 心の中でそう呟く。 失敗すれば、自分が殺られる。 足音がすぐそこに聞こえた。 よし、今だ。 「ホールドアップ、充」 背後から変な声がした。
223 :
Nana :2005/07/08(金) 23:57:37 ID:NBSaPoCB0
同時に、頭に冷たい鉄の塊を押し付けられた感触が。 「…Mana…お前ら、グルだったのか…」 「ホールド、アップ、充」 Mana(マリスミゼル)はゆっくりと同じ言葉を繰り返した。 …松岡はサバイバルナイフを投げ捨てた。 「はいはい、分かりましたよっと!」 振り向きざま、ポケットから果物ナイフを抜き、切り掛かった。 が、手首をManaに掴まれ、そのまま後ろ手にひねりあげられる。 「ぐあっ…」 降参しても、殺される。となれば、一か八かに賭ける他ない。 だが、その博打も失敗したようだ。…くそ、ここでゲームオーバーか… ガチャッ。 松岡の目の前に無線機らしきものが落とされた。 「testu?」 見上げるとtetsuがその物体を指差し、その後、自分の耳を指差した。 同時にManaも手を離す。 「…これを付けろ…ということか?」 訝しがりながらイヤホンを耳にあて、無線の電源を入れる。 「おお、松岡、久しぶりだのぉ」 テレ朝でも聞いた、そして脅された時も聞いた、憎々しい声が聞こえて来た。 「タモリさん…あなた…!」 「怒っとるんか?はは、まぁそうだろうな。ところでな、お前に2つ目の頼みがあるんだ」 「頼み…だと?」
224 :
Nana :2005/07/09(土) 00:05:05 ID:P1ea+F3f0
タモリの頼み。それは、このゲームを盛り上げる事。 そのために、無線の指示通りに動いてもらいたい、と言う事。 もちろん断る事はできない。 だが、他のメンバーの動向を把握したまま動けるとなれば、生き残る確率は高くなるだろう。 もっとも、タモリをどこまで信じる事ができるのか、という問題はあるが…。 「どう、悪い話じゃないだろ?」 「…オレの命もあなたの思うがまま、というわけか…」 「ま、そういうこった」 「…仕方ない、乗ってやるさ」 「ええ返事だ。褒美に隠してある武器の場所も教える」 「用意周到だな」 「まぁ、そう褒めんでもいい。じゃぁ、最初の指令だ。な〜んもせんと、うどん食べてる奴らがおるらしいな」 …とことんやってやるさ。だが、これが終わったらあなたを必ず殺す。NO1はオレだ。 「レッツゴー、充」 Manaが声をかけた。いずれ裏切る事を約束された、とりあえずの仲間だ。 「分かった」 松岡、tetsu、Manaの3人は、動きだした。 (残り23人)
225 :
Nana :2005/07/09(土) 00:09:20 ID:x3BeNV7KO
清春がたらなんて知ってるわけねーw
226 :
Nana :2005/07/09(土) 00:50:18 ID:r7SanEtdO
TAKAしんじゃった(´Д`;)
227 :
Nana :2005/07/09(土) 00:58:49 ID:1aHkmrDLO
おもへー でも漏れの本命もう…
228 :
Nana :2005/07/09(土) 01:33:58 ID:bGVgkW2jO
ハマって一気に読んだ。紅一点で犬神凶子さんの登場きぼんぬw
229 :
Nana :2005/07/09(土) 01:34:15 ID:bGVgkW2jO
ハマって一気に読んだ。紅一点で犬神凶子さんの登場きぼんぬw
230 :
Nana :2005/07/09(土) 01:35:49 ID:8m130zS1O
黒猫サソ…
231 :
Nana :2005/07/09(土) 12:45:00 ID:/VpV2JPY0
漏れも黒猫さんきぼん。華麗に殺して欲しい‥
232 :
Nana :2005/07/09(土) 12:45:55 ID:/VpV2JPY0
↑あ、黒猫さんが殺されるんじゃなく誰かを華麗に殺して欲しいて意味です。 連書きすまそ
233 :
Nana :2005/07/09(土) 17:18:06 ID:17+ZNzfQO
>>204 ぐぐったら、邦楽バトロワ見れました。
清春、邦楽版だとコエー!松岡、確かに殺人マシーンでしたが。
こっちの清春の配役の方が好きだな。
234 :
Nana :2005/07/09(土) 17:25:12 ID:i6KYrxbN0
>>233 実はその清春を書いてたのは俺だったり
また邦楽でやりたいなあ
235 :
Nana :2005/07/09(土) 17:29:56 ID:5ANKaLm/0
>>234 邦楽版の清春の方が怖いんだけど、「らしい」よな。
狡猾さとか、(笑)多用とか。
何かの機会があったら期待してるぜ!
236 :
Nana :2005/07/09(土) 17:32:26 ID:i6KYrxbN0
237 :
Nana :2005/07/09(土) 18:09:19 ID:17+ZNzfQO
>>234 マジですか。
まだ、途中までしか読んでないけど、楽しませて貰ってますよ。
ガクガクしながらw
238 :
Nana :2005/07/09(土) 20:15:00 ID:RNmj4Wc90
小川が良い役もらってる希ガスw
239 :
Nana :2005/07/09(土) 21:05:51 ID:l41cUCj/0
犬神サーカス団、近く登場させます。
240 :
Nana :2005/07/09(土) 21:11:52 ID:l41cUCj/0
「何だよこれは…」 渋谷前駅にあるコインロッカーの前で松岡は毒づいた。 タモリから指示された番号の扉を開けると、そこには草刈り用の鎌が置いてあった。 いや、良く見れば柄の先に鎖が繋がっており、先端には鉄の分銅がついているのが分かった。 …これが武器だというのか?古いカンフー映画でもあるまいに。 「贅沢言ったらいかんぞ」 イヤホンからタモリの声が流れ込んで来た。 「相手はほとんど丸腰だってな、そんなに差を付けたら不公平だろ」 楽はさせないということか。いいだろう。 鎖鎌を手にして振り返ると、ベンチに連れ2人が座っている。 tetsuは黙々と散弾銃を磨き、Manaはトカレフを弄んでいる。 最初の抽選で手に入れた武器だ。 外を見ると、夜の雨の中から森が目に入ってきた。 あそこにMAKOTOとtamaがいるらしい。 「恨みはないが、狩らせてもらうぜ」 頭の中では狩りのプランが練られている。 タモリの思い通りに動くのは癪だが、どうせなら派手な場面を演出してやろう。 松岡は2人の連れへ歩み寄った。
241 :
Nana :2005/07/09(土) 21:25:33 ID:l41cUCj/0
清春は目の前で起きたことを呆然と見つめていた。 ライブハウスに入って、上の階にある事務フロアに着いたところで一志(kagrra)と葵(シド)に出くわした。 そして有無を言わさず2人に腕を引っ張られるようにして、今来た階段を駆け下りさせられた。 間一髪、外へ出たところで上から激しい爆発音が響いたのだ。 降ってくるガラスや瓦礫から身を守るように、転がるようにしてなるべく遠くへと離れた。 なんとかバスターミナルの屋根の下まで来て、煙の立ち上るビルを見上げた。 「危なかったすね」 一志と葵が声をかけてきた。 「・・・なんなんだ、これ」 清春はそう尋ねるのがやっとだった。 「トラップだったんです。誰かが来ると予想しとったやつがいたんやろ。ドアを開けると時限装置が作動するようになっとったらしい。俺らがドア開けたらいきなり警告音が鳴り出しよって」 葵はそう言うと大きく息を吐いた。 「俺達も来たし、清春さんも来たんやから、仕掛けた誰かさんの読みは当たったわけやな」 葵の口調は軽かったが、その表情は重かった。
242 :
Nana :2005/07/09(土) 21:32:34 ID:l41cUCj/0
「清春さん・・・これからどうするんです?」 一志が問いかけた。清春はすぐに返事が出来なかった。 「お前さんたちは?」 「俺らですか? まあ、適当に東京の名所巡りでもして生きてますわ」 一志はそう言うと葵を振り返って笑った。 「清春さん、一緒に行きませんか? こんなゲーム、なるようにしかならんし。足掻いてもしゃあないでしょ。死ぬ時は死ぬ時や思うて、のんびりしといたらええです」 一志に誘われて清春は少し目を伏せた。 「すまない。俺はもう少し1人で・・・」 「そうですか。ま、ええ。頑張ってくださいね」 そう言われて清春は頷いた。そして2人から離れた。 これからどうすればいいのかはまだ思いつかなかった。 でも何か、どうにか出来ないだろうか。 清春はベンチに腰掛けて止まない雨を見つめていた。
243 :
Nana :2005/07/09(土) 21:41:45 ID:l41cUCj/0
3、2、1、Fire! 木陰からMana(マリス)が威嚇射撃の第一発を撃ち込む。 反応はない。 松岡とtetsuは一気にドアを蹴破った。 瞬間、弓矢が迎え撃つ。 ボウガンを構えたMAKOTO(リシュフェル)と、鍋の蓋に包丁でとりあえずの武装をしたTama(CASCADE)。 「はん、少しはやる気になったってわけか」 床に転がったラジオからは、松岡自身の声が聞こえていた。 盗聴。戦闘態勢に入っていたのはそういうことか。 分銅を振り回しながらじりじりと近づく。 Tamaはともかく、MAKOTOの武器なら接近戦に持ち込めばこっちが有利だ。 パァン tetsuのトカレフが煙を上げた。 MAKOTOはボーカルの命である肩に血を滲ませてうずくまっている。銃声で耳鳴りがする。 今だ、 松岡は鎌を振りかざして飛びかかったがTamaの向けた刃に遮られた。 ぎりぎりと互いの刃で攻め寄りあう。脂汗が額を流れる。 松岡はちらりとtetsuに目を移した。 何だよ、笑ってやがる。眺めてないで早くとどめを刺せよ。 その隙に松岡の身体はTamaに跳ね返された。 後方によろめくも再び体勢を立て直した松岡の耳、いや誰もの耳に、そのとき、呻くように重々しい叫び声が入った。
244 :
Nana :2005/07/09(土) 21:48:01 ID:l41cUCj/0
KAMIJO(ラレーヌ)は、目の前で起きていることを即座に理解できなかった。 その場に立ちすくむことすらままならず、がくりと地面に膝をついていた。 向かった先の寺の一角がやけに騒がしい。 息を潜めて接近すると、その先に待ち受けていたのは、あのMAKOTOたちが襲われているところであった。 とうとうここも知られてしまったんだ… 呆然とするKAMIJOに、更なる予期せぬ事態が起きた。 常に自分の背後にいたはずのAKI(ラピュータ)が…飛び出したのだ。 隆一さん、僕に、力を。 目の前にいる獲物にばかり気を取られていたtetsuが振り返ったときにはもはや遅かった。 AKIがその両の手で振りかざした青龍刀は、大きく袈裟懸けにtetsuの胸を切り裂いた。 絞るような叫び声を上げる。 自分に斬りかかった相手に発砲を試みるも、引き金にかけた指に込める力はなかった。 散弾銃をその場に取り落とし、tetsuは、重い身体を引きずりながら、闇の中へと消えていった。
245 :
Nana :2005/07/09(土) 21:52:27 ID:l41cUCj/0
「邪魔が入ったか…これで終わったと思うなよ!」 捨て台詞を残してManaとともに立ち去る松岡が一度だけこちらを見た。そのあまりに冷徹な視線と目が合って、KAMIJOは小便を漏らしたかと思った。 やがて、静寂が寺の境内に戻る。 あの、自分の背後で怯えてばかりいたAKIが。 目の前の敵に危険をものともせず立ち向かっていった。 非現実的な理想や建て前ばかりを主張して、一緒にいる意味すら忘れかけていたバンドマンが、今は自分より一回りも二回りも大きく見える。 KAMIJOは、力の抜けた足でどうにか立ち上がり、目の前で剣を握りしめているAKIの側へと近寄った。 「AKI、凄いな、見直したぞ、おい、AKI。AKI?」 KAMIJOが肩を揺すった途端、AKIの身体は仰向けに倒れた。白目を剥いて気絶していた。
246 :
Nana :2005/07/09(土) 22:07:06 ID:l41cUCj/0
暗い雨の中を、ヘリコプターのライトが円形に照らし出す。 この悪天候の中を飛ぶのは危険だと本部に散々説得されたのだが、数十人が殺し合いをやっているこの時に何を今更、とデーモン小暮ははねつけていた。 本部の連中を見ていると反吐が出そうだ。奴等は感覚が麻痺しているとしか思えない。 人気だとか、視聴率だとか、そういうものに踊らされているのだ。 「なあ、まだ着かないのか…」 『ある男に会いたい』と名乗り出た非参加者西川貴教は、当初から頻りに外を気にしていた。 「いや、そろそろでしょう」 雨の下に東京の街並みが霞んで見える。 「そうか…」 西川が何を考えているのか、デーモンには解らない。 ただ色々なことを考えては棄て、考えては棄て、深く悩んでいるらしいことは見て取れた。 『閣下、西川、もう着くけど準備はいいか。こっちはバッチリだー』 いきなり無線でタモリの声が入り、機内に緊張が走る。 終始無言を守っていたパイロットはやはり何も言わなかった。 『テレビ的な事も考えて、西川が一緒やって事は公表しとらんから。 きっと雅も驚くわ。んじゃ頑張ってな』 「くそっ」 小さく西川が呻いた。 窓の下に、青いビニールのような物を纏った雅の姿が見えた。
247 :
Nana :2005/07/09(土) 22:16:05 ID:l41cUCj/0
雅の目は、一瞬だけ見開かれた。 「西川」 雨に紛れた呟きは聞き取れなかったが、口の形からそう言ったのだろうとデーモンは推察した。 だが、驚きは一瞬だった。すぐに雅の口元には昏い笑みが広がっていく。 「救えないな、西川。情に訴えようってのか。 俺が今更殺しを怖がってると思うなよ」 雅は立ち上がると同時にビニールシートを払い捨てた。 見る間にその姿が雨に濡れていく。 西川も、今し方その隣に降り立ったデーモンも条件は同じだ。 ヘリコプターを背後に待機させたまま、遂に二人は雅と対峙していた。 「雅、こんな事はもうやめろよ。 こいつを殺して何になるんだ」 「デーモンさんは黙ってろ。俺はずっとこいつが憎かった… 殺してやりたいくらい、憎かったんだ、畜生っ」 殺してやりたい、か。ここまで憎まれるのは、ある意味では貴重な経験ではないだろうか。 何故か西川は他人事のように感心していた。 「で、デーモンさん。どういうつもりでこいつを連れてきた。 殺す前に教えろ」 いつの間にか雅はチーフスの銃口をこちらに向けていた。
248 :
Nana :2005/07/09(土) 22:23:23 ID:l41cUCj/0
「西川」 デーモンがまた一歩、歩を進めた。 「来るな!撃つぞ!」 「ええ。撃ちたければ撃ってくれ。覚悟はしているぞ」 余裕の声音だった。撃てるはずがないという自信に溢れた。 しかし万が一のことも考えられる。 西川は前進しながら、雅に悟られぬよう慎重に上着の中に手を差し込んだ。硬い感触がある。銃だ。 いざとなれば、威嚇射撃くらいはしなければ… 「雅。雅は、トップスターになりたかったのか?」 「…ああ。そうだよ。何度も言わせるな」 「俺には、そうは見えなかった。さっきの雅の叫びは、トップになりたいと言うよりも…まるで」 「黙れ!」 雅が遮った。怯えが声に含まれている気がした。 しかし、デーモンは臆した様子も見せずに続けた。 「嫌われるのに怯えながら外っ面を取り繕い続けるのはもう嫌だ…って、俺には見えた。違うか?」 「違うっ!違う!俺は栄光が欲しいんだ!」 「スーパースターになれば、もう誰にも自分を偽らなくていいと思ったのか?」 「違う…」 雅は遂に押し黙ってしまった。
249 :
Nana :2005/07/09(土) 22:37:24 ID:l41cUCj/0
「…解った。じゃ、こうしよう」 西川が止める間も無かった。デーモンは駆け出し、一瞬のちに雅の左腕を掴んでいた。 「っつ…離せよっ、この」 「これだけ近ければ、隙も何も無いだろう。撃ってくれ」 西川も駆け出していた。馬鹿な。こんな筈ではなかった。デーモンを死なせるなど。 デーモンは雅の腕をずらし、チーフスの銃口を己の左胸に宛がっていた。 「デーモンさん、やめて下さい!こんな事…俺はそんなつもりじゃ」 …さあ、雅。俺を殺してくれ。 その代わり…俺を殺したら、もう無理に自分を押さえつけないと約束してくれよ。 少しくらい我がままになっても、誰も雅から逃げたりしないから。 皆、雅が好きなんだ」 死を以って証明するとでも?やめてくれ。そんな話は美しすぎて現実にはそぐわない。 「雅、デーモンさん!もうやめてくれ!」 「…デーモンさん、お前そこまで」 雅の顔が、ふと和らいだ。 先程までの、獣か鬼かという表情から一変し、いつもの優しい「雅」に戻っていた。 いや、それ以上に素直な温かささえ感じられるような… 「信じても、いいのか…?」
250 :
Nana :2005/07/09(土) 22:45:21 ID:l41cUCj/0
次の瞬間、西川は硬直した。 忌まわしい電子音が耳に届いたかと思うと、 「あ…デーモンさん…」 更に二度と聴きたくないと思っていた軽い爆発音がそれに続いた。 雅の体が、赤い血の線を引きながらゆっくりと頽れる。 いや、それはもしかしたら一瞬の出来事だったのかもしれないが、西川には堪らなく長い時間に感じられた。 嘘だ… 考えるまでもなかった。雅の首輪が爆破されたのだ。 血溜まりが雨に混じって広がり始め、主を喪ったチーフスが、雨に濡れて転がる。 そこで漸く西川の体感時間は平常に戻った。 「…み…雅…」 デーモンががくりと膝をつく。 西川は振り向き、ヘリコプターを睨み付けた。畜生。 「…どういう事だ!何故雅を殺した!」 降りてきたパイロットに詰め寄ると、やはり無言で無線機をつき付けられた。 『参加者以外に危害を加えようとした奴は、その場で始末する。 運営側として当然の措置だろ? ついでに首輪の動作チェックも出来たしな。こうやって使う分には問題ないみたいで良かった』 雑音に混じり、タモリの冷徹な声が耳を突き刺す。 馬鹿な…こんな馬鹿な、こんな… 「あ、あ、あ…こんな馬鹿なことがあっていいのか!こんな事が許されると思ってんのか!」 西川は豪雨に体を打たれるのも気にせず、ただその場で泣いた。
251 :
Nana :2005/07/09(土) 22:48:48 ID:l41cUCj/0
残り22人
252 :
Nana :2005/07/09(土) 23:55:24 ID:VueAeQlTO
モツカレ(´∀`) でもシドの葵って誰だw
253 :
Nana :2005/07/09(土) 23:56:57 ID:5OhnIC810
アクション頑張ってるなー。 葵?
254 :
Nana :2005/07/10(日) 00:47:07 ID:mtID6EliO
続きアプ期待アゲ
255 :
Nana :2005/07/10(日) 01:15:11 ID:wHgWQM+cO
暗い廊下が続いている。 廊下の先には怪しげな祭壇が組まれていた。 その祭壇の前に男は立っていた。デーモン小暮に言われた「もし、お前さえよければ…アレをやっといてほしい。あの三人が必要になってきた。」という言葉を思い出しながらライデン湯澤は儀式を進めた。 長い呪文の様な言葉の後ライデンの目の前の三体のマネキンが動き出した。やがてそれは人の肌になり何処から見ても人間になった。が、目には生気というものが全く感じられない。 「すまない…。君達には安らかな眠りがふさわしいのだが…君達にもこのゲームに加わって欲しい。許してくれ… 華月…kami…hide…」 ライデンは溢れる涙を止める事が困難になってきた事に気付いた
256 :
Nana :2005/07/10(日) 01:39:15 ID:zMGvMRmXO
キリトは目を覚ました。 河村隆一を爆破(そりゃもうご大層に)させた後、精神的疲労からJR職員用仮眠室で眠ってしまっていたのだ。 『さて、どうしようかね…』隆一に切られた傷痕を気にしながら体を起こした。『とにかく武器と仲間だな…』 身仕度を整え仮眠室を出て直ぐに何かが目についた… −銃が落ちてる?罠? 辺りを伺いながら近づいてみるとそこには【コルトガバメント】が落ちていた。 『誰もいねー…誰か落としたのか?何があったんだろう…』銃を拾うと、キリトは駅を後にした。
257 :
Nana :2005/07/10(日) 12:01:15 ID:ov50LlN20
再びdキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
258 :
Nana :2005/07/10(日) 14:16:40 ID:2RVXtxWaO
259 :
Nana :2005/07/10(日) 14:52:12 ID:NzR2q0N9O
当たり前だろw
260 :
Nana :2005/07/10(日) 16:21:20 ID:K/D+Ojtj0
あきんかわいいよあきん
261 :
Nana :2005/07/10(日) 17:12:28 ID:GbZhdBjqO
え?携帯からって、何処で解るんですか?
262 :
Nana :2005/07/10(日) 17:32:56 ID:9MdSBsBsO
自分で考えろと言いながら教えちぁる Oが携帯、0がPC 分かるかしら?
263 :
Nana :2005/07/10(日) 22:03:48 ID:zMGvMRmXO
駅を後にしたキリトはマンションの非常階段に隠れていた。 「…此処じゃ襲われたら逃げられないかな?」等と独り言をぼやいてるいると足音が聞こえてきた。 −なっ!?まずいっ!! キリトは銃を構えた。冷や汗が一筋、やけに気分がハイだ。 足音の主は声をあげた。 『やーキリト…テレビでここらへんにいるのは解ってたけど捜したよ…』 キリトは驚いた。その声の主は、このゲームに参加しているはずでは無い男だったのだ。
264 :
Nana :2005/07/10(日) 22:05:30 ID:zMGvMRmXO
「ア、アイジ!?」 視界には、いつも黙々とギターを弾いてる男、アイジ(pierrot)が映っていた。 『途中参加だってよ、次の放送で他の面子も呼ばれるだろ…』アイジは首輪を触って、 『見ろこれ、古臭ぇ…誤爆しねーか心配だぜ…』 アイジは溜息をつくとデイパックを漁り始めた。中から何やら物騒なものが出てくる。 UZI、サブマシンガンだ。キリトが驚く中、アイジは更に深く溜息を吐いた。 『これ…電動ガンだ…』 と、遠くから騒がしい声が聞こえてきた。誰が聞いてもわかる、追う者と追われる者の声だ。 キリトとアイジは顔を見合わせた。
265 :
Nana :2005/07/11(月) 01:38:46 ID:izOgS83kO
アイジキターーーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!
266 :
Nana :2005/07/11(月) 13:57:29 ID:0HvIM8trO
267 :
Nana :2005/07/12(火) 14:49:44 ID:vwo4zZ5rO
続き待ち。
268 :
Nana :2005/07/12(火) 14:57:41 ID:39y95ahnO
蘇った三人の活躍キボン
269 :
Nana :2005/07/12(火) 21:51:57 ID:+EXG40+q0
訂正 葵→マオ
270 :
Nana :2005/07/12(火) 21:57:27 ID:+EXG40+q0
どれほどの時が経ったのだろう。 清春はゆっくりと辺りを見回した。 ベンチに座ったまま少し眠ってしまっていたらしい。 もう少し安全なところへ行って今日は休もう。 そう思って歩き出した清春の足は自然と元来た方へと向いた。 それにしても人のいない栄の街の夜は、どことなく薄気味悪い。立ち並ぶビルも入る気を起こさせない。 足を早めて若宮大通を越えかけたとき、清春は前方に街灯に浮かぶ人影を見た。 (YOSHIKIさん・・・っ) 清春はとっさに物陰を探した。 そして上を通る東京高速の橋脚の陰に入ろうと身を翻した瞬間だった。 「清春か?!」 YOSHIKIの声が自分の名を呼んだ。走ってくる足音もした。 「・・・YOSHIKIさん」 清春は観念してYOSHIKIの前に出た。 YOSHIKIのユニフォームが返り血に染まっている。雨に濡れて滲んだそれは不気味さを増していて、清春は思わず目をそむけた。 「ちょうど良かった。hydeを知らないか?」 ギラギラした目をしてYOSHIKIはそう尋ねた。 「さあ・・・? 昼ごろyasuといるのは見かけましたが、その後は知りません」 清春は努めて冷静に答えた。 hydeを狙っている?
271 :
Nana :2005/07/12(火) 22:02:52 ID:+EXG40+q0
「ふん、まだyasuと一緒か・・・」 YOSHIKIはそう呟くと手の中のナイフを見やった。清春もつられるようにそのナイフを見た。 赤黒い血がこびりついていた。 そんな清春にYOSHIKIはニヤリと笑う。 hydeが狙われている。 どうすればいい? このまま背後からYOSHIKIを・・・、いや・・・。 その時、YOSHIKIが振り返った。 「清春、良かったらお前も休んでいかないか?」 「え?」 思いがけない誘いに驚く清春にYOSHIKIが顎で指し示したのは、道を渡った先の『ランの館』。 「なかなか快適だぞ。まさにオアシスだ」 清春はYOSHIKIとランの館を見比べた 清春はコックリと頷くと、YOSHIKIの後についていった。
272 :
Nana :2005/07/12(火) 22:10:13 ID:+EXG40+q0
したたるなどという生易しいものではない、流れ出る血によって途切れることなく描かれた一本の線がtetsuの歩いた道筋を示していた。 己の命がもう長くないことを悟った彼はせめて、最期のときを迎えるに相応しい場所へと向かうべく進んでいた。それだけが、彼の身体を動かしていた。 白い十字の掲げられたその建物を目指し、階段を登る。歩を進めるたびに、胸の傷が口を開けようとしている。生暖かい感触が触れる。 重い扉に上体を預け、とうとう、tetsuはそこへたどり着いた。 祭壇の前に掲げられたイエス像。 神に仕える者として、己の死に場所はここしかなかった。 うずく胸の傷と、膝に抱えた爆弾。不思議と、それでも足は祭壇へと向かっている。 そして・・・・ ラルクアンシエルのリーダーでありながら神に命を捧げた男、tetsuは、異国の地南山教会の礼拝堂の中で、その生涯に幕を閉じた。
273 :
Nana :2005/07/12(火) 22:16:17 ID:+EXG40+q0
YOSHIKIに連れられて入ったそこはまるで別世界だった。 煌々と点けられたライトの下、花と緑が溢れていた。 「あっちにカフェがある。冷蔵庫に食材が入っているから勝手に食べるといい」 やけに親切なYOSHIKIを訝りながら、清春は指された方へ足を運んだ。 背後を気遣いながら通路を抜けると、広い吹き抜けの中に観葉植物に取り囲まれてカフェがあった。 キッチンに回るとYOSHIKIが言ったとおりに冷蔵庫に食材が詰め込まれたままになっている。 「ふぅ・・・」 誰もいないフロアの真ん中のテーブルについて、清春は椅子に身を預けた。 何の音もしない静かな空間だった。 今までのことが夢のようだ。いや違う。今のこの状況が夢なのか。 どれくらいそうしていただろう。 ガサッという物音で清春は振り返った。 「清春、俺にもコーヒーを淹れてくれないか」 YOSHIKIがゆっくりとした足取りで近づいてきた。 清春は立ち上がって、そのYOSHIKIの姿に目を見開いた。 YOSHIKIの血に汚れた服に生々しく鮮血が飛び散っていた。
274 :
Nana :2005/07/12(火) 22:22:50 ID:+EXG40+q0
「YOSHIKIさん・・・まさか・・・っ」 清春は駆け出した。YOSHIKIの横を抜け、さっき来た通路を逆走した。 そしてエントランスにたどり着いた清春が見たものは、血溜まりの中に倒れている石月(ファナクラ)の姿だった。 「石月・・・?」 何も気付かなかった。自分がしばし休んでいる間にこんなことが起きていたなんて・・・。 「清春は飯は食わんのか?」 背後から声が掛かった。振り返ることが出来ない清春のすぐ後ろに立つ気配がした。 「ほら、食え。腹が減ってはなんとやら、だ」 横からYOSHIKIにパンを渡されて清春は慄然とした。 「心配するな。お前はまだ殺さん。それを食ったら適当に好きな場所で眠れ」 YOSHIKIがそう言うと清春はようやくYOSHIKIの方を振り向いた。 「YOSHIKIさん、なんで石月を殺したんです?」 「うん? 突然飛び込んできて掴みかかってきたから刺したまでだ」 YOSHIKIは平然と答えて清春に背を向けた。それはあまりに無防備に見えたが、だからといって不穏な動きをすればすぐに反撃されるだろう。 「まあ、今日はもう眠れ。俺も寝る」 そう言ってYOSHIKIは木々の重なる通路へと消えていった。
275 :
Nana :2005/07/12(火) 22:32:43 ID:+EXG40+q0
大阪郊外にて ピンポーン。 その音で目が覚めた。時計を見る。00:01。 ピンポーン。 …無視したら諦めるやろか… ピンポーン。 はいはいはいはい…しょーもない事やったらしばくぞ、ホンマ… ベッドから転がるように降り、玄関に向かう。明かりをつける。 ピンポーン。 電気がついたらチャイムは押さんやろ、普通。何を考えとんねん。 「…誰やねん、こんな時間に」 壁にもたれ掛かりながら、細目の男は明らかに寝起きと分かる低い声でインターホン越しに聞く。 「なんや、こんな時に寝とったんかSUGIZOUさん。相変わらずマイペースやなぁ」 SUGIZOUは一瞬にして目が覚めた。聞き覚えのある声だった。いや、忘れられない声だった。 「お、お前ら!?」 あわてて玄関を開けた。男達が見慣れた笑顔で立っていた。開いた口が塞がらなかった。 「おいおい、お前らはないでしょ?SUGIZOUさん」 ラファエル、真っ白な衣装の服を着た華月達の姿がそこにあった。
276 :
Nana :2005/07/12(火) 22:41:32 ID:+EXG40+q0
「あ、誰か来ますよ」 YOMI(メア)が不意に通りの向こうを指差した。2人連れのようだ。 「YOSHIKIさんと、清春だな」 櫻井敦司もそれを確認した。ka-yu(ジャンヌ)も頷く。 3人は歩みを止めて2人が来るのを待った。 「あれはYOMIたちか?」 その頃、YOSHIKIたちも前方の3人に気付いた。向こうは立ち止まっている。どうやら自分達を待っているらしい。 「・・・・・」 YOSHIKIに続いて少し足を早めながら清春は3人を見た。 「あ、ka-yu」 清春はその中にka-yuを見つけて嬉しそうにその名を呼んだ。 「ka-yuか。・・・一応殺しとくか」 駆け寄ろうとした清春の隣で、YOSHIKIが呟いた。 清春は全身が凍りついたように動けなかった。
277 :
Nana :2005/07/12(火) 22:46:03 ID:+EXG40+q0
「・・・ka-yuっ、逃げろ!」 搾り出すように叫んだ清春の声と、YOSHIKIの投げたナイフは同時にka-yuに届いた。 「ka-yu!」 倒れかけたka-yuの体を櫻井は抱きとめた。ka-yuの胸には深々とナイフが突き刺さっていた。 「・・・このやろう!」 よくもka-yuを・・・。 カッとして櫻井はYOSHIKIに銃を向けた。 清春はとっさにYOSHIKIの腕を引いて路地へと入っていった。 「チッ」 後を追おうとした櫻井は足を止めた。それよりka-yuの方をなんとかしなければ。
278 :
Nana :2005/07/12(火) 22:51:34 ID:+EXG40+q0
「ka-yu! しっかりしろ! ka-yu!!」 「・・・櫻井・・さ・・・ん・・・・頑張って・・くださ・いね・・・・最後まで・・・生き残っ・・・て・・」 ka-yuの声はもはや途切れ途切れだった。 櫻井が揺さぶってもka-yuの体からは次第に力が抜けていくようで、櫻井の腕に死んでいく重さがのしかかった。 やがてka-yuは目を閉じ、がっくりと頭をたれた。 「・・・ka-yu・・・」 櫻井はka-yuを頭を抱え込むようにして肩を震わせた。 こんな風に殺されてしまったka-yuの無念さ、そしてどうすることも出来なかった自分の無力さに、声も無く涙が零れた。 「櫻井さん・・・」 どうしていいのか分からず、YOMIはそう呼びかけた。 「・・・独りにしてくれ。どこかへ行ってくれ。ここからはもう独りで行かせてくれ」 櫻井は顔を上げずにそうYOMIに言った。YOMIは俯いた。 「これは返す。丸腰では困るだろう」 櫻井は持っていたベレッタをにYOMI向かって突き出した。 YOMIはためらった。 目の前で殺されるka-yuを見ては、やはり1人になるのは怖い。 しかしYOMIはそれを震える手で受け取ると、その場を離れるしかなかった。
279 :
Nana :2005/07/12(火) 22:53:35 ID:+EXG40+q0
残り19人
280 :
Nana :2005/07/12(火) 23:15:57 ID:cROn1W9q0
カーーーーユーーーーーー!!11!1 。・゚・(ノД`)・゚・。
281 :
Nana :2005/07/12(火) 23:20:08 ID:kjxr/fIb0
粥死んじゃった・・・。
282 :
Nana :2005/07/13(水) 00:37:24 ID:QaDc9TxJO
「SUGIZO、久しぶりだな。もう俺の為に髪をピンクにしてくれたりしないのかな?」 「hideさん…」 hideのいつも見せてた口許を少し引きつらせたしゃべり方にSUGIZOは戸惑いを押さえれなかった。 「そうそう、SUGIZOに頼みがあんだよね。俺達と東京に来てくれ。」 東京…? INORANとRYUICHIの事はテレビで見ていた。 俺もあの東京へ? 「二人の仇討ちしましょうよ。」 華月の少年の笑顔にさらに心がざわめいていた。
283 :
Nana :2005/07/13(水) 00:53:20 ID:pq6qCvELO
杉様キター! 活躍激キボン!! 職人さん達GJです。 大変だろうけどガンガッテ下さい。
284 :
Nana :2005/07/13(水) 01:08:00 ID:kcQx/7b40
ka-yuもう氏んだのか・・・早いな yasu頑張れyasu頑張れyasu頑張れyasu頑張れyasu頑張れ
285 :
Nana :2005/07/13(水) 11:59:01 ID:QaDc9TxJO
用意されていたヘリの中でSUGIZOは武器を受け取った。 「仕込み刀か…また古臭いものを。」 「いいなぁ。SUGIZOさん。僕これですよ。」華月は二連式デリンジャーを見せた。 「なんかもっとビジュアル系って感じのが良かったなぁ」 『そうかこの三人は私なないのか。だから少しも怖がってないんだ』SUGIZOは華月を見て思った。 「kamiは?」 「僕はこれですよ。」何やら液体の入った小瓶が箱にぎっしり詰まっている… 『何でもありかよ?』 SUGIZOは頭を抱えてうなだれた。
286 :
Nana :2005/07/13(水) 13:12:24 ID:X5R74D1M0
>>285 携帯厨は短いし変なとこで切るから止めてくれ
しかもつまらないし
287 :
Nana :2005/07/13(水) 20:40:54 ID:q6H5t+VBO
>286 じゃあ、286が面白い内容書いてよw
288 :
Nana :2005/07/13(水) 20:53:13 ID:NubDothAO
漏れの本命麺が生き残ってるーしかも出番多い(*´∀`*)キヨッパルガンガレ!w
289 :
Nana :2005/07/15(金) 00:45:08 ID:oRe2+ChAO
Jと真矢は?
290 :
Nana :2005/07/15(金) 02:26:00 ID:0qDHKWF/O
キソトとアイジキターーーーー!! でも、コータは出して欲しくない;
291 :
Nana :2005/07/15(金) 11:11:40 ID:YRzNghteO
しかし清春がYOSHIKIと一緒に行動してるって作者サン的な皮肉なんかな?
292 :
Nana :2005/07/15(金) 13:01:31 ID:PNkn4raX0
前回の話はコータが主人公だったよね
293 :
Nana :2005/07/15(金) 17:36:43 ID:kLKFd1uqO
>292あれって完結したの? 最後まで読めてないんだけど…
294 :
Nana :2005/07/15(金) 18:49:14 ID:uJEdkEkK0
「見つけたぞ、YOSHIKIー!」 ハッとしてYOSHIKIと清春は振り返った。櫻井が近付いてきていた。 「よくもka-yuを殺したな! ka-yuの仇だ! 殺してやる!」 櫻井はそう言うと迷わず発砲した。 清春は再びYOSHIKIの腕を掴んでその銃弾を避けた。そして再びYOSHIKIを引っ張って走った。 「清春! YOSHIKIを庇うならお前も殺すぞ!」 背後から櫻井の声がした。それでも清春はYOSHIKIを掴んだまま走り続けた。 そして2人は万松寺へ飛び込んでいた。 「清春・・・」 「あなたを殺すのは俺です」 YOSHIKIが言いかけた言葉を遮って清春はそう言った。 「あなたがhydeを殺そうとした瞬間に、俺があなたを殺します。そこでしか、あなたに隙は出来ない」 YOSHIKIの手がこの瞬間もナイフに触れているのを知っている。清春の言葉にYOSHIKIはニヤリと笑った。 「まあ、当面はhydeを探すより、櫻井から逃げるしかないようだがな」 「櫻井さんは殺さないんですか?」 「殺せたら、殺す」 YOSHIKIはそう言ってもう一度ニヤリと笑った。 清春は目を伏せた。 hyde、今お前はどこにいる? 清春は短く祈り、そして追ってくる櫻井の気配に神経を尖らせた。
295 :
Nana :2005/07/15(金) 18:55:26 ID:uJEdkEkK0
朝のアナウンスの声と共にhydeは目を覚ました。 ん?この声は・・・。 「yasu、この声って・・・犬神凶子じゃねーのか?」 『タモリさんがね今ちょっと他の作業で忙しいらしいから代理でこの凶子がやらせていただきます』 犬神凶子、あなたまであっち側の人間だったのか・・・。 『視聴者からもっとバンドマンが疑心暗鬼になっているところが見たいという意見がたくさんあったので、テレビ、ラジオなどを禁止するため、全ての電源を切りまーす。夜はろうそくや懐中電灯とかで何とかしてください。』 もっと疑心暗鬼になってほしいだと?こっちはどんな思いでやっているのかわかってるのか。 『あと、移動は徒歩のみです。車、自転車等は一切禁止ですよ。ではがんばりなさい』 「クソッ、規制だらけじゃねーかよ」 と言い、hydeは壁を蹴る。
296 :
Nana :2005/07/15(金) 19:02:47 ID:uJEdkEkK0
「う、うわっ!」 YOMI(メア)が物音に驚いて後ろを振り返ると、カラスがゴミをあさっていた。 YOMIはつくづく自分の気の弱さを呪った。 ボーカルとしてだって、度胸がないせいでいつもここ一番でへたれている。 櫻井と別れたYOMIはとにかく誰かと、一緒に行動する仲間と会いたかった。 栄まで戻ってきたのも、ここになら誰かがいそうな気がしたからだ。 と、その時、誰かがYOMIの視界の中に入ってきた。 「あれは‥、竜太郎さん!?」 YOMIの前方を歩いていたのは荷物をたくさん背負った竜太郎(プラトゥリ)だった。 「竜太郎さ〜ん!!」 YOMIは大声をあげて竜太郎を呼び止めた。 この際、1人でなくなるなら誰でも構わない。 だが、振り返った竜太郎から投げられたのは再会を喜ぶ言葉ではなく、何やら丸い物体だった。 「え?」 何かが自分の横を通り過ぎて行ったのに気付いた時、YOMIは後ろからの爆風に吹き飛ばされていた。 「‥‥い、竜太郎さん、な、何でっ?!」 しかし、その物体(手榴弾?)が遠くはずれたお陰か奇跡的にYOMIは軽傷だった。 「あ‥‥、あ‥‥、も、もう嫌だ!もう嫌だ!」 混乱したYOMIは全速で竜太郎から逃げ去っていった。
297 :
Nana :2005/07/15(金) 19:09:31 ID:uJEdkEkK0
マオ(シド)と一志(kagrra)は東区今池の辺りを歩いていた。 ふと一志が支給品のレーダーに目をやると、すぐに異変に気付いた。 「どないしたん?」 「しばらく目を離していたら誰かが凄いスピードで近付いて来ている反応があるんです! ‥‥あ、も、もう、すぐ後ろに‥‥。」 後ろを振り返ると、そこには銃を構えた男が立っていた。 終わった、一志はそう思った。 だが、その男の口から発っせられた言葉は一志にすれば意外なものだった。 「く、来るな!来ないでくれぇ!!!」 は? 柄にもなく、覚悟を決めていたのに‥‥。 一志は全身から緊張が抜けていくのを感じた。 「なんや、YOMI。そないな物騒なもん持って。とっととしまってこっち来いや。」 「い、嫌だ!あんたらも俺が油断する所を狙ってるんだろう‥‥? 早くどっかに行ってくれよ!」 YOMIは青ざめた顔をして立っていた。 「しょーもないやっちゃな〜。俺らは武器になるもん持ってないで。ほら、両手を上げるから。」 この人は本当は凄い器なのかもしれない、そう思いつつ一志もマオに続いて両手をあげた。
298 :
Nana :2005/07/15(金) 19:16:41 ID:uJEdkEkK0
…何が起きているんだ…キリトは走り続けている。 『誰かが待っている」 仲間たるアイジと会い、銃撃を受けて、彼の死顔を見ている時にその事に気づいたのだ。 「そうか…」 キリトは足を止めた。 奴らは、自分が今いる場所を知らない…! 多分、首輪のタイマーが止まったと言うタモリのアナウンスがあった時間から…! その時、キリトの視界の隅に光るものが入った。 アイジから失敬した双眼鏡を目にあててみる。 パチンコ屋のネオンの間に、そっぽを向いたテレビカメラが見えた。 ! 監視カメラ! だが、双眼鏡に写ったそのカメラは動いている様子がない。 沈黙を守り、あさってを向いたままだ。 『テレビ、ラジオなどを禁止するため、全ての電源を切りまーす』 今朝の犬神凶子のアナウンスが耳の奥で蘇った。 まさか、監視カメラの電源まで落とされている!? もしそうだとすれば…。 …チャンス、だ。 キリトは禁止地区に指定されている東区へ向けて動き始めた。 監視カメラや首輪の位置検索システムがいつ復旧するかは分からない。 だが、主催者にカウンターを喰らわせるなら、今をおいて他にない。
299 :
Nana :2005/07/15(金) 19:23:58 ID:uJEdkEkK0
本部に立ち寄るとそこにあったGLOCK 26をスタッフの男に押し付け、タモリは再びドームの外へと急いでいた。 「あ、あの、タモリさん、これ、本物ですか…」 後からついてくる男は未だに自分が何をさせられるのか理解していない様子だ。 「当然だろ。今から不届きモンを処刑しに行くんだぞ」 息を呑む音がした。 「そ、そんな。俺…ひ、人殺しなんてできませんよ」 「この番組のスタッフになった以上、番組進行の障害を排除する義務ってもんがあるだろうが。 安心しろ、首輪付けた奴を殺しても罪にはならん」 「で…でも」 男はまだ何か言いたげだったが、タモリにはそれ以上聞いてやる気は無かった。 鬼とでも悪魔とでも呼ぶがいい、ヴィジュアル系の歌手など死のうが知ったことか。 俺は芸人さえ手出しされなければそれでいい。
300 :
Nana :2005/07/15(金) 19:25:19 ID:uJEdkEkK0
残り19にん
301 :
Nana :2005/07/15(金) 20:27:58 ID:MNgIiXO6O
アイジ死んじゃった━━━━。・゚・(ノД`)・゚・。━━━━!!! でも読み返したらアイジが殺されるシーンが出てきてないけれど? しかし清春がhydeと行動を共にせずにYOSHIKIと行動を共にしてたのは そういう事だったのか!! 作者さんGJ(・∀・) この展開で思考回路を思い出した漏れはオバンギャだなorz
302 :
Nana :2005/07/17(日) 21:58:28 ID:1ziURu7rO
アイジ死んじゃった。。。キソトガンガレ!!!
303 :
Nana :2005/07/19(火) 17:21:28 ID:cXwbkOVHO
続き待ち(・∀・)
304 :
Nana :2005/07/20(水) 00:05:27 ID:1gai0ltn0
コレって1じゃない人も書いてるの? だったら続き書きたいけど迷惑かな?
305 :
Nana :2005/07/20(水) 00:11:33 ID:iteuikZCO
>>304 パソからの書き込みは多分全部
>>1 っぽい(話書き込む前になんらか、レスへの反応示してるし)
携帯からの書き込みは別の人の書き込み。
306 :
Nana :2005/07/20(水) 00:16:40 ID:1gai0ltn0
そっか・・・じゃぁ書かないほうがいいかな?
307 :
Nana :2005/07/20(水) 00:20:31 ID:iteuikZCO
308 :
Nana :2005/07/20(水) 00:20:32 ID:JOSl95KO0
309 :
Nana :2005/07/20(水) 17:51:37 ID:fU/217AmO
>>1 の書き込みは、既にある中日バトロワにV系麺の名前等を当てはめて
コピペしているものなので、誰かが途中で続きを書いてしまうと、
つじつまが合わなくなってしまう。
でも、遠慮せず書いていいと思うよ。
他板では、人物ごとにトリップつけた担当がいたりするけど(構想上の問題から?)
310 :
304 :2005/07/20(水) 18:01:42 ID:1gai0ltn0
解かりましたー。 コピペだってのは解かっていたので、それに合うような間のストーリーだったら大丈夫ですよね? なんでこんなに必死になってるかって、どうしても登場させたい人物が居るんで・・・。
311 :
Nana :2005/07/20(水) 23:17:04 ID:sxXKJqCI0
どうしても登場させたい人物がいるならリクエストしておけば?
>>1 が隠し玉で取っておきたい麺だったら
>>1 もやりづらくなるだけだよ
書くのは反対かな
312 :
Nana :2005/07/21(木) 00:38:08 ID:86cf1z1z0
他の人のも読みたいから書いて欲しい。
313 :
Nana :2005/07/21(木) 01:50:53 ID:QotwaCgx0
>>310 出したいなら別スレでやってくれ
正直コピペでいいからこのまま続けてほしいから
マジで止めてくれよ
314 :
Nana :2005/07/21(木) 02:23:24 ID:w76Susjg0
コピペだと元のと話が同じだし違う話が読みたいから書いてほしい。 他板のだって色んな人が書いたりしてるじゃん。
315 :
Nana :2005/07/21(木) 02:36:45 ID:rWP3ux0T0
>>314 同意。
2ちゃんにスレ立てて書いてるんだから色んな人が書いてもいいんじゃない?
一人で書きたいならサイト作って公開すればいい。
316 :
Nana :2005/07/21(木) 13:04:17 ID:V+fhX7oUO
何でもいいから続きを…
317 :
1 :2005/07/21(木) 17:52:13 ID:UQLfudf20
別に書いてもいいよ
318 :
Nana :2005/07/21(木) 18:11:10 ID:VTAGiAkCO
319 :
Nana :2005/07/21(木) 21:48:04 ID:ELPvBaYOO
続き…
320 :
Nana :2005/07/22(金) 09:42:18 ID:PBZIROftO
321 :
Nana :2005/07/22(金) 13:07:34 ID:W3Z855xI0
hydeとyasuは金山駅を出て、そのまま北上し伊勢山辺りにいた。 「なぁhydeさん、何か聞こえないか?」 「ん?」 ようやく口を開いたyasuにhydeは少し驚きながらも聞き返す。 「何か聞こえる?」 耳を澄ますと確かに何かが聞こえる。ピアノの音?のような気もする。 しかし今ここにいるのは生き残っているヴィジュアル系のバンドマンだけのはず。バンドマンの中にピアノを弾ける人なんてYOSHIKIくらいだ。 「もう少し行ってみるか・・・」 2人はそのピアノの音の方向へもっと近づいた。 2人は音を頼りに歩いていくと目の前に小学校があった。ここからピアノの音が聞こえていたのだ。 「行ってみるだろ?」 hydeが言うと、yasuは頷いた。 小学校の中へ入ると、電気もついていなく陽もあまり入っていなく薄暗い。 階段で2階へ行くと、ピアノの音がかなりはっきり聞こえる。 廊下を歩いていると前方にドアが開いたままの教室が見えた。音楽室だ。 hydeは万が一のために銃をベルトに挿して、音楽室へ入った。 入った瞬間、2人はぎょっとした。 部屋の中心に置いてあるグランドピアノ、 自分達を睨むかのように壁掛けてある作曲者の肖像画、ピアノの後ろには山のように積んである武器の数々、そして・・・迷彩服にヘルメットをかぶりピアノを弾いている竜太郎の姿・・・。 「よぉ」 竜太郎は伴奏をやめ、2人に話かける。 「何ぼーっとつっ立ってるんだ?こっちこいよ」 2人は黙って竜太郎の元へきた。
322 :
Nana :2005/07/22(金) 13:12:45 ID:W3Z855xI0
「竜太郎さんはピアノを弾けたんですね。しかもかなりうまいじゃないですかー」 yasuは警戒しつつ言った。 「あぁ軽く趣味程度でな。お前ら俺が弾いていた曲知ってるか?」 2人は同時に首を振る。 「さっきの曲はな、ブラームスの『レクイエム』ていう曲なんだ。死者に捧ぐ、そう俺に殺されるお前らへのな」 やばい!! hydeはyasuの手を引っぱり逃げる。 2人が音楽室から出るとほぼ同時に座っていた竜太郎がいつの間にか構えていた無反動砲が発射された。 後方でドカーンと鼓膜が破れそうな音に2人は思わず振り向いた。 竜太郎が発射した弾が壁を突き破り、グラウンドを超え、小学校の隣にある建物などが崩壊し炎上している。 「な、なんだ・・・」 その時、竜太郎が音楽室から出てきて廊下の遥か前方にいる2人に向け構えている。 「yasu、逃げるぞ!!」 hydeは気づいて、yasuの手を再び引っぱり、前方右にある階段へ全速力で走り降りた。 階段を降りたとほぼ同時にまた無反動砲が発射され、廊下の真っ直ぐ突き当たりをぶち破り、また建物が炎上した。 「ちっ」 竜太郎は2人を探すため、走り出した。 はぁはぁ・・・ 2人は1階の男子トイレに潜んでいた。 「な、何なんだよ!あれは!!」 あんなのまともに喰らったら自分たちは一瞬で肉片と化すだろう。 hydeは興奮している自分を必死に抑え考える。 さっき見たようにあの大砲はあんな距離があったとしても十分に破壊力がある。 もし学校外へ逃げたとしても、2人とも肉片になってしまう。
323 :
Nana :2005/07/22(金) 13:19:34 ID:W3Z855xI0
「今の音は?」 櫻井の追跡をかわして大須を抜け南下した清春とYOSHIKIは物陰に潜んだまま周りを見回した。 爆発音が聞こえる。 「あれだ」 前方に黒煙が立ち上っていた。 「派手なのがいるな」 YOSHIKIはその煙を眺めてニヤリと笑う。 「あんな武器があったら無敵だろうな・・・つっ」 左腕に熱いショックが走って、YOSHIKIは腕を押さえて振り返った。 「櫻井!」 櫻井が肩で息をしながら銃を構えていた。どうやら櫻井の撃った銃弾が腕を掠めたらしい。 櫻井がゆっくりと近付いてくる。 「YOSHIKIさん、腕は?」 走りながら清春は訪ねた。YOSHIKIはまだ腕を押さえてはいるが血がにじんでいる様子はない。 「掠っただけだ。残念ながら、hydeを殺すには何の支障もないぞ」 YOSHIKIの答えに清春は苦笑いを浮かべた。 再び爆発音がした。 建物の向こうから聞こえる。2人が回り込むとそこには学校があった。 「誰がいるんだ?」 門をくぐり校舎を見上げてみる。 「あ・・・」 清春は小さく声をあげた。 今、一階の窓に映った影はhydeではなかったか? 清春は校舎に向かって走った。YOSHIKIは反射的にそれに続いた。
324 :
Nana :2005/07/22(金) 13:25:34 ID:W3Z855xI0
「yasu!」 「清春さんっ?」 1階の男子トイレに隠れていたyasuは突然現れた清春に驚いたように立ち上がった。 そして駆け寄ると清春の腕を掴んだ。 「助けてください。hydeさんを、hydeさんを助けてください。このままじゃhydeは竜太郎に・・・」 そこまで言ってyasuはハッとした。清春の後ろにはYOSHIKIがいた。 yasuは言葉の続きを失った。 「ふん、この派手なのは竜太郎の仕業か。だが気に食わんな。hydeを仕留めるのは俺だ。誰にも邪魔はさせん」 YOSHIKIが言うと清春はYOSHIKIをキッと睨んだ。 「hydeは俺が守ります。あなたにも、竜太郎にも殺させはしない」 そうYOSHIKIに言って、清春はyasuの肩を掴んだ。 「hydeはどこにいる?」 「竜太郎を止めにいくと言って・・・」 yasuは視線を上に向けた。 「上の階か」 YOSHIKIはニヤリと笑って出て行った。清春はそれを追いかけた。
325 :
Nana :2005/07/22(金) 13:32:19 ID:W3Z855xI0
hydeは息を殺して一歩ずつ歩を進め 廊下に突き出した音楽室のプレートを見上げる。 あのドアを開けたら自分はすぐに肉片と化すかもしれない。 いや、相手はピアノを弾いているのだ。武器を持ち直す一瞬がある。 そこでなんとか先手をとれれば・・・。 ドアに手を掛けた。まだピアノの音は聞こえている。 「!」 hydeはとうとうドアを開けた。そして竜太郎に照準を定めて、矢継ぎ早に銃弾を打ち込んだ。 「・・・それだけか?」 竜太郎の声は悪魔の声だった。竜太郎を取り巻くシールドがhydeの銃弾から竜太郎を守ったのだ。 「無駄だ」 そう言って竜太郎はhydeに銃口を向けた。hydeはギュッと目を閉じた。 もう終わりだ。そう覚悟した。 (yasu、ごめん・・・・) そんなhydeの耳に銃声と竜太郎のうめき声が聞こえた。 竜太郎の手から銃がゴトリと落ちた。 竜太郎の二の腕には深々とナイフが刺さっていた。肩の銃痕からは鮮血が噴出している。 「?!」 hydeはハッとして振り返った。
326 :
Nana :2005/07/22(金) 13:38:34 ID:W3Z855xI0
「た、YOSHIKIさん・・・」 ドアの所にYOSHIKIがいた。そしてその隣には竜太郎に銃を向けたままの清春の姿も。 「清春!? なんで清春がYOSHIKIさんと!?」 自分には「一緒には行けない」と言った清春がYOSHIKIと一緒にいる。 一番会いたかった清春が、一番会いたくなかったYOSHIKIとともにいることにhydeは愕然とした。 「竜太郎、ちょっと手を引いてもらうぞ。hydeを殺すのは俺の仕事だからな」 そう言ってYOSHIKIはhydeを見た。hydeは顔を引きつらせてYOSHIKIの手のナイフを見ていた。 「hydeっ」 清春がYOSHIKIの横から飛び出すのと、YOSHIKIがナイフを振りかぶるのは同時だった。 hydeを庇うようにhydeの前に身を呈し、清春はYOSHIKIに銃を向けた。
327 :
Nana :2005/07/22(金) 13:44:04 ID:W3Z855xI0
銃声が響いた。 YOSHIKIの手を離れたナイフがhydeと井端の横数十センチの床に刺さった。 YOSHIKIの体がゆっくりと前に倒れていく。 その向こうに、いつの間に追ってきていたのか、櫻井の姿があった。 清春は引き金をひいてはいなかった。YOSHIKIを襲ったのは櫻井から放たれた銃弾だった。 「やった。やったぞ。ka-yu、お前の仇は取ったぞ!」 櫻井はそう叫んで倒れたYOSHIKIの背中に乗った。 YOSHIKIの背中は櫻井に撃たれた場所から血が溢れて服を染め直していた。 櫻井はYOSHIKIの髪の毛を掴むとその首にナイフを当てた。 ka-yuを殺ろされたナイフで、YOSHIKIの首を切っていく。 最後に一気に力をこめて骨を断つと、櫻井はYOSHIKIの首を高々と掲げた。溢れる血が櫻井の腕を濡らした。 「ka-yu、俺がお前の仇を取ってやったぞ。この首、憎いこの首、今持って行ってやるからな」 そう言って櫻井はYOSHIKIから離れると満足げに去っていった。
328 :
Nana :2005/07/22(金) 13:51:13 ID:W3Z855xI0
清春は自分も櫻井に殺されるかもしれないと息を詰めていたが、YOSHIKIを殺すだけで満足したようだ。 「hyde、大丈夫か?」 「・・・清春・・・」 「お前がYOSHIKIさんに殺されなくて良かった。結局俺が守ってやれたわけじゃないけどな」 そう言ってはhydeの手を取って引き起こした。 振り返ると竜太郎が呻いている。しかし死ぬような傷ではなかったようだ。 「トドメを刺したほうがいいな」 そう言った清春にhydeはビクッと体を震わせた。 「どうした? お前だって竜太郎を殺すつもりだったんだろう?」 清春の言うとおりだったが、しかし一時期の覚悟に水を差されて、hydeには人を殺す怖さがよみがえってきた。 「殺さないなら逃げるしかないな。下でyasuも心配してるし、とりあえず早いとこ無事な姿を見せてやれ」 清春に促されてhydeは音楽室を出た。 「yasu?」 yasuが立っている。刀を握り締めたままのyasuはホッとしたように表情を崩した。 「hydeさん、無事だったのか。良かった」 hydeの様子が普通なのを見てyasuは安心した。きっとhydeは人殺しをせずに済んだのだ。 3人は階段を駆け下りた。 玄関に着いたとき階上で爆発音がした。校舎が揺れた。 「ヤバイ。早くここから離れるぞ」 校庭に飛び出すと、3人は全速力で学校の敷地を後にした。
329 :
Nana :2005/07/22(金) 13:55:22 ID:W3Z855xI0
清春は大きく息を吐いた。hydeは清春を見つめていた。 「・・・清春、じゃあこれからは俺達と一緒にいてくれるか?」 hydeは恐る恐る聞いた。 清春は黙っていた。 長い長い沈黙だった。 そして清春は首を横に振った。 「お前たちは2人で頑張れ。俺は、人時を探して合流しようと思う。・・・生きているならな」 首輪のシステムが故障して生死が把握できないのか、本部からの死者の発表は止まっている。 無事なのか、もうこの世にいないのか、まったく解らないが清春は人時が気になった。 「じゃあな」 「清春・・・っ」 引きとめかけたhydeの肩をyasuはギュッと押さえた。hydeは立ち止まりyasuの後姿を見送った。
330 :
Nana :2005/07/22(金) 13:56:44 ID:W3Z855xI0
残り18にん
331 :
Nana :2005/07/22(金) 14:08:42 ID:679fx6KdO
乙!(・∀・)
332 :
Nana :2005/07/22(金) 23:09:32 ID:tbFQCBg30
これ今の清春なのかな? 確実に人時なんて清春のブラックリストに載ってるだろ
333 :
Nana :2005/07/22(金) 23:35:34 ID:Hsh5j43K0
人時のブラックリストに清春じゃまいか?
334 :
Nana :2005/07/22(金) 23:50:48 ID:ZAQIxNJSO
この清春は今の清春だろうな。 でも人時と組みはしないだろうけど。
335 :
Nana :2005/07/24(日) 00:06:38 ID:jas1mYq90
今の清春なら西川と組むよな 人時とかは一切相手にする事は無いだろう
336 :
Nana :2005/07/25(月) 23:13:35 ID:c/lD8Aiu0
前の生姜さんが書いてたのは途中で終わってる? 続きが気になって仕方ないんだけど・・・
337 :
Nana :2005/07/27(水) 21:56:27 ID:hAyOJAzrO
ワク(・∀・)ワク
338 :
Nana :2005/07/28(木) 15:53:03 ID:n4xWOLJZ0
面白いです。続き期待してまつ。 個人的にYOMIと京にハマりました。。
339 :
Nana :2005/07/28(木) 17:49:02 ID:WuExMEH3O
あげ
340 :
Nana :2005/07/28(木) 18:15:20 ID:eM+du+LlO
YOMI可愛い(*´Д`*)どうか死にませんように…(;人;)))
>>1 さん乙
続き待ってます
341 :
Nana :2005/07/28(木) 21:58:44 ID:0OwZe3Ze0
「一志、YOMI! 中の奴らがあっちに気を取られているうちに侵入するで!」 マオ、一志、YOMI、がスタジオの様子を外から伺っていると、突然駐車場の方からマシンガンらしき銃声が響きわたったのだ。 「一志さん、他にも誰かがドームに?」 マオは先頭を行く一志に尋ねた。 「それは分からん‥‥。 ただ、俺達はこの試合を止めるために俺達ができることをするまでや。 監視カメラに見られてないな?」 警備に発見される事もなくすんなり入れたのが一志には意外だった。 「中枢部はどっちや!?マオ分かるか?」 「ちょ、ちょっと待って下さいよ。 警備が少なすぎて逆におかしいですよ!」 YOMIはこの後に及んで泣き言を言っている。 その瞬間、マオの左肩に熱く、激烈な痛みが走った。 「う、うわあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 「な、何や!? YOMI、柱の陰に隠れろ!!!!! マオもこっちへ……!」 一志はとっさにマオを担ぎ上げ柱の陰に隠れると、銃弾が飛んで来た方向に振り向いた。 黒スーツを来た見知らぬ外国人が、にやけながら銃を握りしめていた。
342 :
Nana :2005/07/28(木) 22:06:19 ID:0OwZe3Ze0
櫻井はYOSHIKIの首を持って飛ぶようにka-yuの元へと帰った。 「・・・櫻井・・さ・・・ん・・・・頑張って・・くださ・いね・・・・最後まで・・・生き残っ・・・て・・」 心の中で言葉が浮かんできた。そのときもka-yuは少し笑っていたように思う。 最後まで生き残って・・・。 しかし、ka-yuのいないここで1人生き残ってどうなるのか。 「ka-yu・・・すまん・・・お前のところに行かせてくれ」 櫻井はデリンジャーに弾が装填されていることを確かめて、こめかみに銃口を押し当てた。 逆手に持ち、親指で引き金を押し込んだ。 脳漿を飛び散らせながら櫻井はka-yuの上に倒れこんだ。 その反動でka-yuの腕がはねた。そして櫻井の背に腕がかかる。 その情景はまるで最後までka-yuが櫻井をなだめているようだった。
343 :
Nana :2005/07/28(木) 22:12:38 ID:0OwZe3Ze0
「こっちの行動なんてお見通しやったっちゅーわけか!」 一志の頬には血がにじんでいた。 マオの目の前を跳弾がかすめる。 一気に殺せばいいのに、まるで何か、そう、俺達をいたぶっているこの状況を楽しんでいるみたいだ。 もう、助からないのか…? 「おい!YOMI! 何やってるんや!!銃で応戦せんかい!!!!!」 一志が通路の向い側の柱に隠れているYOMIに叫んだ。 だが、YOMIは首を振った。 「ちいっ!役に立たんやっちゃ!!」 嫌だ。 死にたくない……。 激痛と出血でしだいに薄れていくマオの意識にそんな感情が浮かんだ。 ……ああ、ついに目の前が白くかすんできやがった。 「さよなら…。」 マオはこの世への餞別にそうとだけ呟いた。 ……。 あれ、まだ生きてる? 煙? 一志さんの、煙幕? 「YOMI!いったん引くで!」 一志さんの声が聞こえる……。 マオはほとんど無意識の中で一志の背中に必死にしがみついていた。
344 :
Nana :2005/07/28(木) 22:23:48 ID:0OwZe3Ze0
人時は、テレ朝へと向かっていた。 赤門の角を曲がり、少し開けた通りを南下する。 HISASHI、京と一緒に。 テレビ局が入っているビルの前を通り過ぎようとしたとき、不意に人時は視線を感じた。 誰だ。ようやくこいつら以外の人間に会えそうだ。 「見てるんだろう?人時だ。戦う気はない、出てきてほしい」 人時の咄嗟の行動に顔を青くしている京のことなどお構いなしに人時は続ける。 「隠れているなら、俺のほうから向かって行くぞ−−−」 京が止めるのも耳に入らない川上がビルの陰に歩み寄ろうとしたとき、相手はようやく顔を出した。 yasuと、その後ろには、hydeの姿。 表情には生気がなかった。 ずっとここにいたわけではないこと、二人がテレ朝を出発したときから一緒に行動していたことなどを聞く。 言葉を発するたびに苦しげな表情を増してゆくyasuにいたたまれなくなり、人時はそこを去ることにした。 「どこへ行くんですか?」 「テレ朝にでも行こうかと思って。清春、探してるんだ」 「清春なら向こうの橋を渡っていきましたよ」 それまでひとことも発することのなかったhydeが初めて口を開いた。 「え…清春、見たのか?」 「清春も、人時さんのことを探してました。そう遠くに行ってるわけじゃないと思いますけど」 表情を固くしたままのhydeとyasuに礼を言い、相変わらず二人の後輩の手を取って、人時は方向転換して再び歩き出した。
345 :
Nana :2005/07/28(木) 22:30:05 ID:0OwZe3Ze0
人時たちと別れてもう1時間が過ぎただろうか。 hydeとyasuは東本願寺別院に戻って中で何もすることなく過ごしていた。 ぱらぱらと外が何やらうるさい。 何だろうと思い、2人が外へ出てみると、自分たちのほぼ真上辺りの空にヘリコプターが飛んでいるのがわかった。 自分たちの様子でも撮っているのか?と思ったが、徐々にこちらの方に近づいてきた。 「何だぁ?」 yasuの声がかき消されそうなほどの音がする。 ヘリと2人の距離が10メートルくらいにせまってきた時、ドアが開き人が顔を出してきた。 「だ、誰だ・・・?」 hydeが見上げても逆光のせいでその姿が誰だか確認できない。 そのヘリの奴は2人に向けて何かを構えた。 「yasu、逃げるぞ!」 と言った瞬間、大砲が発射された。 別院は一瞬にして全壊し、炎につつまれた。 「い、痛え・・」 爆風で2.30メートル身体が吹き飛ばされた。地面にこすってできた傷、建物やガラスの破片でできた傷が体のあちこちにでき、熱風でやけどもしている。 hydeは起き上がり周りを見た。 煙に覆われていて何も見えない。 「yasu!?どこだ!!」
346 :
Nana :2005/07/28(木) 22:34:24 ID:0OwZe3Ze0
隣にいると思っていたyasuがいない。あの爆風にyasuもどこかに吹き飛ばされたのだ。 一体誰だよ!こんなことしたのは!! そんな煙だらけの空間にヘリがhydeの目の前に着地した。 ヘリの中から出てきたのは白いコートを身にまといサングラスをかけた男だった。 「誰だ・・・」 煙でぼやけていてまだはっきりとhydeの目にはその姿が見えない。 その金髪の男はhydeに近づく。 「Hey! hyde」 プロペラも止まり、男の声がわずかながら聞こえた。 「Mana?」 元マリスミゼル、Manaだ。 何でManaがヘリに乗ってるんだ?そもそもヘリなんてどうやって・・・。 「hyde、goodbye!!」 Manaはベルトに両手をまわし銃を取り出した。 ブローニングハイパワー9ミリとトカレフの二丁拳銃を座り込んでいるhydeに向けて構えた。 煙は相変わらず辺り一面をつつむ。 hydeはどうすることもできなかった。 もう死を覚悟するしかなかった。
347 :
Nana :2005/07/28(木) 22:50:44 ID:0OwZe3Ze0
人時は相変わらずHISASHIと京と一緒に歩いていた hydeの言葉では清春はこっち方面へ歩いていったというが、どこで道を曲がっているかもわからない。 キィィ・・・キィィ・・・キィィ・・・ 2つ目の大きな通りを越えたところで人時は金属のきしむ音を聞いた。 ブランコ、だ。この音はブランコをこぐ音だ。規則正しく、繰り返される音。 横の立ち木に囲まれた場所はどうやら公園らしい。 キ・・・キ・・・ まだきしみは聞こえる。 人時は道を曲がって公園の入り口に向かった。 「清春!」 狭い公園の隅のブランコに清春が座っていた。 うつむいていた清春が顔を上げ、人時を確認して嬉しそうな笑顔を見せた。 「人時、無事だったんだな!」 清春がブランコを降りて駆け寄ってくると、人時の後ろの京もHISASHIもちょっと頭を下げて挨拶した。 「・・・さっきhydeとyasuに会ったぞ。お前はてっきりhydeと一緒にいるもんだと思ってたんだがな」 人時がそう言うと、清春は少しうつむいた。 「清春?」 人時が清春の顔を覗き込むと清春はちょっと口元をゆがませた。
348 :
Nana :2005/07/28(木) 22:53:37 ID:0OwZe3Ze0
残り17人
349 :
Nana :2005/07/28(木) 23:04:03 ID:WuExMEH3O
えぇっΣ(゚Д゚; なにそれ
350 :
Nana :2005/07/29(金) 00:41:51 ID:N6z6dA0KO
ちょっと確認したいんだけど17人も生きてる? 漏れの中では16人しかいないんだが…ちなみに ハイド 安 竜太郎 人時 京 ヒサシ タマ 黄泉 KAMIJO aki 清春 キリト 松岡 Mana様 一志 マオ あと一人誰?
351 :
Nana :2005/07/29(金) 00:55:17 ID:neVrtx5nO
352 :
Nana :2005/07/29(金) 01:07:17 ID:SYgbPAtdO
続きキボン!櫻井の死に方が漏れはビクーリした!
353 :
Nana :2005/07/29(金) 01:09:26 ID:SYgbPAtdO
スマソ…さげ忘れorz
354 :
Nana :2005/07/29(金) 02:31:43 ID:m+6HrEQMO
教えるのもどうかとは思うが、厨がさらに何か言い始めるとウザなので言っとく。 YOMI=黄泉。 初歩的なことだから、もう少しお勉強してから書きましょうね、351サソ。 不愉快な感じたらごめんなさいね。
355 :
Nana :2005/07/29(金) 10:29:06 ID:EgYKjqAwO
人時と清春の再会キタ━━━(゜∀゜)━━━ でもちょっとお願いしていいですか…? 人時は、清春のこと呼び捨てにはしないんで、次また出てきた時は「清さん」でお願いします (´д`)ノ
356 :
Nana :2005/07/29(金) 13:03:15 ID:d9BebDC70
いや、呼び方以前の問題だろw
357 :
Nana :2005/07/29(金) 13:08:20 ID:K8V+wkByO
ageんなよバカw
358 :
Nana :2005/07/29(金) 14:22:07 ID:lFsxZ8sIO
359 :
Nana :2005/07/29(金) 23:50:30 ID:RAAL+Wi50
>>357 sage進行なんて何処にも書いてないだろうが馬鹿w
360 :
Nana :2005/07/30(土) 02:05:42 ID:lLIB3IYu0
361 :
Nana :2005/07/31(日) 18:38:21 ID:fgFf4/QBO
期待あげ
362 :
Nana :2005/08/01(月) 01:34:05 ID:Ahi9bpciO
363 :
Nana :2005/08/03(水) 17:56:47 ID:cOemyCSoO
きっとあと一人は黒猫さんだよ
364 :
Nana :2005/08/03(水) 21:34:35 ID:L/z6/XcmO
>>354 サソ
本編ではYOMI表記だったので黄泉を読み飛ばしてしまった…_| ̄|〇V;
スマソ;ついでにケータイからでスマソ(´・ω・`)
逝ってきまつ(つд`)。゜*
365 :
Nana :2005/08/03(水) 21:54:33 ID:vXMOlqhiO
hyde、ヒロインなのね… 心密かに東海林のり子母の活躍を期待してみる もちろん、麺の味方でね
366 :
Nana :2005/08/04(木) 18:56:33 ID:yx622K3O0
YOMIは窓から外の様子を伺っていた。 一志ら3人はテレ朝スタジオから必死に走り続け国立病院までたどり着ついたのだ。 「…なあ、YOMI。 お前はマオとここに残れ。」 突然一志が切りだした。 「え?」 「1度乗りかかった船や。 俺は最後の最後まであがいてみたいんや。 だから、お前はここに残ってマオの面倒を見たってくれ。」 「で、でも俺1人じゃ……。」 YOMIの顔が一瞬こわばる。 「……お前な〜、さっきから情けなすぎるんとちゃうか? 俺達はヴィジュアル系なんやで。 いつだってその誇りを忘れちゃいけないんや。 しっかりせんかい!YOMI!」 「一志さん……。」 YOMIはそうまくしたてる藤立に何も反論できなかった。 「YOMI、他人の心配しとる暇があったら自分の事を考えろ。 …とにかくっ、俺は行くで!」 一志は自分の荷物を持ち上げると病室のドアに向かって歩きだした。 「…死ぬなよ、YOMI。 マオを頼む。」 一志は部屋をでる時に振り返らずにそう言った。 YOMIは一志が出て言ったドアをしばらく見つめ続けた。
367 :
Nana :2005/08/04(木) 19:02:12 ID:yx622K3O0
もうもうと立ちこめる煙を振り払い、yasuはガバメントをしかと握り締めて走っていた。 誰だ、こんな派手な事しやがったのは。 全身の傷は痛むが、幸い大したことはないようで、動きの妨げにはならない。 撃て。迷わず「敵」を撃て。 人を殺すのは自分の役目だ。そう、もう何も怖くなどない。 あれは… はっとyasuは足を止めた。心臓が破れそうなほど鼓動を刻んでいる。 煙の裂け目に、ぼやりと長身の男が浮かび上がっていた。 幽霊、ではなさそうだ。 サングラス…拳銃…金髪…Mana? そして地面に座り込んでいるのは… 「伏せろ、hydeさん!」 ギャラードの顔が腕ごとこちらを向いたが、遅い。 目が合ったその瞬間、yasuはトリガーを引いていた。躊躇なく。 反動が腕を跳ね上げる。 遅れて轟音が響いた。もう耳がおかしくなりそうだ。 しかし、煙に霞む長いシルエットは揺らぎもしなかった。 「…な、」 疑問符で頭がパンクしそうになったが、それらの全ては次の瞬間に吹き飛んでいた。「ぐあ!」 銃声と共に、太股に激痛が走った。たまらず地面に膝をつく。 殺される…? かさついた唇を舐めて、yasuは顔を上げた。 眼前には、Manaがただ悠然と立っている。
368 :
Nana :2005/08/04(木) 19:06:56 ID:yx622K3O0
防弾チョッキを着ているとは言え、さすがに45口径を食らうとそのショックは大きい。一本くらいは肋骨が折れたかも知れない。だが彼、マリスミゼルのManaはそんな痛みも感じない程昂っていた。 こいつを殺って、その後絶望に歪んだ顔のhydeを殺る。その表情さえ瞼に浮かぶ。畜生、俺やっぱりイッちまいそうだよ。 ゆっくりと腕を上げ、yasuに照準を合わせる。何かを覚悟したように、胸に銃を抱いて目を瞑るyasuに。時間はたっぷりある。まずは両手両足から、ゆっくりといたぶってやる。 -突然、yasuの体がビクン跳ね飛び、血沫が弾けた。瞬間、銃声が轟く。 スローモーションのようにゆっくりと倒れ伏せるyasu。 「!」 別の誰かが、yasuを撃った。そう理解するのに大した時間はかからなかった。 Manaの顔が驚愕と、そして怒りに歪む。 獲物を奪われた、肉食獣の怒り。 銃声のした方向に顔を向ける。200mは離れているだろうか、ビルの二階に何か動く影が見える。 誰だ、俺の獲物を、最高の見せ場を、そして最大の楽しみを横取りした奴は。殺してやる。まずおまえから殺してやる。 怒りに我を忘れ、両手の銃を乱射しながらその標的に向かって駆け出した。 楽に死ねると思うな。この世に生まれてきた事を後悔させてやる。 ある程度まで来た所で、胸に着弾の衝撃が走った。先ほどのよりも、よほど強い。それだけで吹き飛ばされそうになり、なんとか踏みとどまる。 馬鹿め。俺が防弾チョッキを着ている事に気付いて無い・・え?・・血?! 胸を見下ろすと、、ぽっかりと穴が開き、血が噴出している。何故? 二発目、三発目を胸に受け、ようやくManaは崩れ落ちた。
369 :
Nana :2005/08/04(木) 19:12:14 ID:yx622K3O0
標的が崩れ落ちるのをスコープ越しに確認して、ようやく竜太郎(プラトゥリ)は銃をおろした。 「二人、いや標的ふたつか・・・。」 人だと思えばこんなことは出来ない。あくまで標的、ただの標的にすぎないのだ。そう自分に言い聞かせ、煙草に火をつける。 Manaを襲った不運、それは小銃と拳銃の間にあるふたつの差による物だった。 ひとつ目は、命中を期待できる有効射程の差。せいぜい2〜30m程度の拳銃に対して、小銃は約400m。彼の撃った弾はすべて届かないかあらぬ咆哮に着弾するかだった。 そしてふたつ目は、貫徹力の差。拳銃弾を受け止める防弾チョッキ、しかし弱装弾とは言え小銃弾を食い止める事はできない。 小銃弾を受け止めるだけの強度を持たせた場合、ひどく厚く重くなったそれは常人の体力ではまともな戦闘行動を阻害しすぎるほどの重量になるからだ。 「まだあとひとつ、標的があったはずだが・・」 この位置からでは、瓦礫の陰に隠れて見えない。近付いて始末するか? ・・・危険だ。不用意に近付けばまた思わぬ逆襲を受けかねない。彼のアドバンテージは射程と火力だが、それをむざむざ殺す事になる。 そして生身の体にはナイフだろうが拳銃だろうが致命傷を与えうるものだと言う事を、この右手の痛みが教えてくれている。 「・・・ここは一旦撤退するか。」
370 :
Nana :2005/08/04(木) 19:17:59 ID:yx622K3O0
アドレナリンのおかげかようやく痛みにも僅かに慣れたhydeだったが、その目がそこに倒れ伏すyasuの姿を認めた時、その痛みすらも忘れて絶叫した 「yasuっ!」 必死に這いずり、yasuの元に急ぐ。 「yasu、yasu・・なんで・・なんで・・」涙声はもはや、言葉にならない。 この動かない右足が、うらめしい。 hydeの声に反応するかのように突然、yasuの意識が戻った。 「うっ・・・ん・・・はっ!あ、hydeさん!大丈夫かっ!?」飛び起きた彼は、こちらに這いずって来るhydeの元に駆け寄った。 唖然とするhyde。涙まみれの顔が何とも言えない間抜けな表情を作っている。 「yasu・・お・・お前、生きてる・・・の・・か?」 「ああ・・何か良くわからんが・・助かったみたいだ。」yasuはそう答えながら手元の銃に目をやった。醜く壊れ、ひしゃげている。 Manaに追い詰められ、反射的に銃を抱いたまま身を丸めたyasu。 胸に吸い込まれるはずだった竜太郎の弾は、彼の銃に当たってしまったのだ。 身を丸めた為にひどく浅い角度で着弾してしまった小銃弾はその障害物を手ひどく破壊した代償に、跳弾となって彼の腕をかすめて行ったのだ。腕からの派手な出血だけを残して。 だが、その衝撃で意識を失った彼にはそんな事はわからない。 「・・・・とにかく病院だ。」 足手まといだ、自分はここに置いて行けと喚く相棒を殴りつけ、無理やり背負う事にする。
371 :
Nana :2005/08/04(木) 19:24:43 ID:yx622K3O0
病院に向かおうと歩き出した瞬間だった。 ブォーーーンという音が遠くから聞こえた。 その音はだんだんと大きくなっていく。 その音の元を確かめるため1度hydeをおろし、音の方向を見る。 「あれは・・・」 もの凄いスピードでやってくるそれは黒いバイクだった。 エンジン音の大きさに座り込んでいるhydeは耳をふさぐ。 バイクが2人のほうへ向かってくる。 やばい、また誰かが狙っているのか? そのバイクは時速100km以上出しているにもかかわらず一瞬にして2人の右2メートルくらいにあるManaの死体を持ち上げ、担ぎ一瞬にして2人の目の前を通り過ぎ、去っていった。 2人はその一瞬の出来事に唖然としていた。 「何だったんだ・・今の」 yasuは驚きを隠せない。 「yasu、さっきの人って・・・」 「松岡さんだ」 SOPHIAの松岡だったのだ。 しかし今は乗り物は一切禁止のはず。Manaにしても松岡さんにしても一体どうして?? 「yasu、あれは?」 そこには折りたたんである紙と四角い物体があった。 先ほど松岡がManaを担いだ時にManaのコートのポケットから落ちてしまったものらしい。 yasuが取りに行き、見てみると、その四角い物体は何かスイッチであるかのようなボタンがついていた。 何か嫌な予感がしつつもhydeに促されボタンを押してみると、ドカーンともの凄い音をたててまわりの建物が次々と壊されていく。 気づけば2人のまわりは瓦礫の山になっていた。
372 :
Nana :2005/08/04(木) 19:28:43 ID:yx622K3O0
「Manaはこんな物を持っていたのか・・・」 もしかしたら自分たちが建物に逃げていたらこれを使われていたのかもしれない。それを考えるとゾッとする。 そしてyasuは折りたたんである紙を広げてみた。 一番上に「MISSION」と英語で大きく書かれていた。その後も延々と英語で書かれている。 「TARGET・・・・・yasu,hyde・・・」 hydeがその部分を口に出し読み終えると、2人は顔を見合わせた。 自分たちは狙われていたのだ。MISSIONと書かれた紙をManaに渡した人物に。 一番下にはTAMORIの文字。本部からだったのだ。 「yasu!これ・・・」 hydeの指差した所を読んでみると、「SPY・・・?」 SPY・・・スパイ?どういう意味だ? そこにはnever kill SPY と書いてあった。 2人にはよくわからなかった。 とりあえず前の文章と一緒に何となくだが和訳してみると、「yasuとhydeに会う以前に誰かに出くわしたら構わず殺せ。しかしスパイは絶対に殺すな」という意味になった。 「俺たちの中にスパイがいるっていうのか?」 松岡以外の生き残っている奴の中に本部と通じている奴がいる・・・。
373 :
Nana :2005/08/04(木) 19:35:05 ID:yx622K3O0
突然のことだった。 ぐらぐらとした鈍い振動を足下に感じ、地震かと思った瞬間、一気に衝撃が突き上げてきたのだ。 爆風で派手に吹き飛ばされて、植え込みに落下したのが幸いだった。木の枝が腕をえぐったが、手も足もなんとか普通に動くらしい。 周囲の高層ビルも、見事に崩れ去っている。 「腕…腕が……」 埋もれている部分の瓦礫を注意深くどけてゆく。 KAMIJOの左腕は、見事に−−−いささか不謹慎だが、見事なまでに骨折していた。まるで肘が二カ所にあるように。怪我とは隣り合わせの商売をしていても、このような状態の腕は見たことがなかった。 「もう…駄目です、俺……」 AKIは、泣き出した後輩の上に依然積み上がった瓦を少しずつ片づけてゆく。 「大丈夫か!!」 背後から声と、足音が耳に入った。 びくりと体を震わせて振り向いた先には、砂利道を走って近づいてくる一志の姿があった。 「近くを歩いてたんだが、凄い音が聞こえて…酷いな、顔中血だらけじゃないか」 こくりと無言で頷いたAKIの背後に横たわるもう一人の姿を見つけると、一志はすぐさま駆け寄って瓦礫を動かし始めた。 やっとのことで全身を現した後輩の腕を壊れ物のように支えて起こしている男の姿を、AKIは黙って見つめていた。
374 :
Nana :2005/08/04(木) 19:42:58 ID:yx622K3O0
残り16人
>>350 あと1人はリシュフェルのMAKOTO
375 :
Nana :2005/08/04(木) 21:47:34 ID:fUzOMylXO
ぶった斬りスマソ V系版バトロワを本にして売ってる椰子をイベントで見たんだが、まさかここの転載じゃあないよな??ちなみに1〜2年前の話。メンバーはルナシーやらジグゾやらいろいろ。
376 :
Nana :2005/08/04(木) 21:57:37 ID:fYQG1v1v0
本人に聞けよ
377 :
Nana :2005/08/04(木) 23:06:51 ID:xL2GCG/HO
一ヶ所名前おかしかったぞwww
378 :
Nana :2005/08/05(金) 01:34:02 ID:/5O+IfWwO
>374マコトですか!!マリガです。頭のモヤがとれますた
379 :
Nana :2005/08/05(金) 02:19:37 ID:+Pb7ZpzOO
誰もつっこまないのだろうか 一志が関西弁なことにw
380 :
Nana :2005/08/05(金) 02:53:59 ID:LmtiAJFyO
漏れも思ってたw
381 :
Nana :2005/08/05(金) 07:08:36 ID:4kfrvY8qO
>>375 が言ってるのってもしかして装丁も本物のバトロワっぽいやつ?
それだったら漏れ持ってるけどあれとこのスレは全くの別物
382 :
Nana :2005/08/05(金) 17:32:07 ID:8NH8Zb1dO
個人的にバトロワ書いてる香具師なんて沢山いるじゃんw 邦板にもあるけどあっちの方がタノシス
383 :
Nana :2005/08/06(土) 00:49:14 ID:5JrS2phC0
じゃ書いてみろよw って何回言われてもわかんないんだよな。このブタ…
384 :
Nana :2005/08/06(土) 01:22:28 ID:XJSvN8Mk0
俺は別スレで書いてるよ 少なくとも名前だけ変えたりしないで 全部オリジナルでやってる
385 :
Nana :2005/08/06(土) 02:43:33 ID:7r9bH7p9O
それが普通
386 :
Nana :2005/08/08(月) 19:01:44 ID:0D+0iovD0
作者様乙です すっごく面白いなこれw
387 :
Nana :2005/08/08(月) 23:23:44 ID:a3PTKcT+O
なんでyasuとhyde標準語喋ってんの?
388 :
Nana :2005/08/08(月) 23:38:00 ID:wtNmeUUT0
ヒント:名前だけ変えたコピペだから
389 :
Nana :2005/08/09(火) 03:18:20 ID:yLHKJ5Q5O
あげ
390 :
Nana :2005/08/09(火) 07:46:41 ID:8Y3Ec7DMO
391 :
Nana :2005/08/10(水) 12:11:04 ID:CRXqwshDO
あげ
392 :
Nana :2005/08/10(水) 17:36:07 ID:Lvyi8llZO
ワクワクテカテカ 続き待ち
393 :
Nana :2005/08/10(水) 19:00:54 ID:ymQEsFZ4O
漏れもワクワク
394 :
Nana :2005/08/10(水) 21:16:33 ID:ocKOyJb9O
邦楽板バトロワもあるけど、hydeの性格が全く違ってオモシロイな。 作者さん乙っす。がんばってください。
395 :
Nana :2005/08/10(水) 23:04:18 ID:+PTuoo6hO
続きまだー?
396 :
Nana :2005/08/11(木) 23:27:02 ID:nLQyTv5xO
>>394 わかる
向こうのhydeは殺人鬼なのにね
397 :
Nana :2005/08/12(金) 01:34:51 ID:AH+SEAMZO
邦楽バトロワの板、どこにあるのか教えてくださいとかうざい事いってみるテス(ry 邦楽の所で何度も探してるのにみつからない(づД`*)゜。
398 :
Nana :2005/08/12(金) 11:14:05 ID:1lany3InO
>>397 邦楽板の「ソニー歌手バトルロワイヤル」ってスレ
ソニーあたりで検索すればすぐ見つかるはず
399 :
Nana :2005/08/12(金) 11:16:58 ID:s2aVEO3DO
>>397 すぐ見つかると思うんですけど…(゚Д゚)
400 :
Nana :2005/08/14(日) 18:37:22 ID:S31Zx0TzO
>>398 サソ
アリマdw
教えてチャソスマソorz
そろそろ逝きまつ
401 :
Nana :2005/08/14(日) 23:20:25 ID:ydS36pERO
続き(・∀・)続き
402 :
Nana :2005/08/15(月) 16:49:49 ID:u39xuvCBO
もう更新しないの?
403 :
Nana :2005/08/17(水) 12:34:05 ID:GV6cqAT30
404 :
Nana :2005/08/18(木) 21:46:41 ID:3knZXuWq0
>>403 なんだねそれは?
見た人レポしてくれww
405 :
Nana :2005/08/18(木) 22:36:55 ID:JtOsqfWb0
>>404 目がちかちかする
よくわかんないサイト
406 :
Nana :2005/08/20(土) 00:14:16 ID:poISHCsk0
407 :
Nana :2005/08/20(土) 06:51:03 ID:/MnQ2rZaO
私怨晒しみたい カワイソ
408 :
Nana :2005/08/20(土) 12:01:26 ID:poISHCsk0
そうなのか、本当ありがとう チキンな漏れアボーン
409 :
Nana :2005/08/20(土) 19:15:10 ID:Kds9lIKxO
続きはぁ?
410 :
Nana :2005/08/21(日) 14:41:29 ID:HPc0VG9j0
続きキボン
411 :
Nana :2005/08/22(月) 13:52:58 ID:LZallOkJ0
白い天井が視界に広がっている。 東海林のり子は空に腕を上げてみた。指を曲げたり伸ばしたり。 よし、動ける。 医務室のベッドから上半身を起こし、彼女は意識を取り戻すまでの出来事を回想した。 今まで育てたかわいい我が子達に殺し合いをさせるという事実。 怒鳴り込んで行った社長室で―――急に意識を失ったのであった。 痛みを感じて腰のベルトを外すと、腹部が青く腫れている。 東海林はドアを開け、勝手知ったるスタジオの通路を歩き始めた。
412 :
Nana :2005/08/22(月) 13:57:02 ID:LZallOkJ0
犬神凶子は代用に急遽あつらえられたサーバマシンの前で大あくびをしていた。 メインサーバのデータはあろうことかDATテープにバックアップを取ったのみだったので、犬神はその入れ換えを指示されていた。 一本推定6時間×3本。テープが最後まで回るのをじっと待つ。 何もしないのが仕事って…ドモホルンリンクルじゃないんだからよ。yasuくんはまだ生きとるかな… そのときドアが開いた。目の前に、眠っているはずの東海林が姿を現した。 「なんでここに…うッ」 アンダースローの如き東海林の腹部への一撃で犬神の身体は崩れた。 「すまん」 犬神からジャケットとサングラスを奪い取ると、それらを身に付け、東海林は部屋を後にした。
413 :
Nana :2005/08/22(月) 14:01:30 ID:LZallOkJ0
■掲示板に戻る■ 1- 101- 201- 最新50 お前ら1リアルでバトロワですよ〜part31 1 :NANA :02/03/25 08:54 ID:RkdW/Arw / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | もう31スレ目。終結までにいくつ行くんだ? \____________________ |/ ∧ ∧ (て__(メ゚Д゚) \⊂ ノつ ━^━
414 :
Nana :2005/08/22(月) 14:04:07 ID:LZallOkJ0
195 :NANA :02/03/25 09:42 ID:B9DX5NHK
なんかすごい荒れてるね・・・
196 :NANA:02/03/25 09:44 ID:oHkAAkxm
>195
ニュー速厨が大量に流入してるからな。
197 :反転石 :02/03/25 09:47 ID:q3F/kAPZ
田舎バンド殺しあえプ
198 :NANA :02/03/25 09:49 ID:B9DX5NHK
学糞の野郎よくも怜タンを・・・
199 :NANA :02/03/25 09:53 ID:w3Fjvqet
漏れとしては
>>1 にスレタイの事を小一時間問い詰めたいんだが・・・
415 :
Nana :2005/08/22(月) 14:05:59 ID:LZallOkJ0
200 :NANA :02/03/25 09:54 ID:m2av8D0r スレタイ厨うざすぎ 201 :NANA :02/03/25 10:03 ID:+gOSrcJq さっき俺んちの前を自転車乗っ物凄い勢いで通り過ぎて逝ったヤシ イエモンの吉井に似てたんだが・・ まさか・・な。鬱
416 :
Nana :2005/08/22(月) 14:15:01 ID:LZallOkJ0
「SUGIZO、ここに何しに来たんだ?」 「うん?やっぱりお前には会っておきたくてな、J」 それとも、迷惑だったか?そう聞かれてJは首を振った。 オレとお前の仲じゃないか。何を遠慮する事がある。 「やっぱり、お前はそっちが似合うな」 HIDEからの連絡を受けて行ったホテルの一室。そこにSUGIZOがいた。 ついこの前までやっていたバンドが大変な時に、何をしているんだ? …こいつ、死ぬつもりだな… 直感だった。が、それは間違っていないという確信があった。 「それで、どうするんだ?」 「今回の事はウチの阿呆フロントの失態だ。そのケツを拭かなアカンだろ」 「…死ぬなよ」 自然と言葉が口をついて出た。 「…まぁ、頑張る」 そう言うと、SUGIZOは部屋を出て行った。 Jの表情はサングラスによって隠されていた。 その頬を涙が伝って落ちる。 「お前らの気持ちは受け取っておく。だが、この馬鹿馬鹿しいゲームを止めるのは、オレの友の仕事だ」
417 :
Nana :2005/08/22(月) 14:21:19 ID:LZallOkJ0
雅の死体の目を閉じさせて丁寧にビニールシートに包むと、西川貴教はゆっくりと立ち上がった。 右手に雅の遺した銃。 ヘリコプターの方を振り仰ぐと、デーモンが無線機に向かって何やら言っていた。 あの無口な…何も言うなと命令されているのだろうが…パイロットは、もう機内に引っ込んでいる。 「デーモンさん」 「ああ…西川。これからどうする。何なら家まで送りましょうか」 デーモンの目元は赤かった。自分のことで精一杯で気付かなかったが、ポーカーフェイスの代名詞のようなこの男が泣いていたらしい。 「あんたは本部のスタジオに戻るんですか」 「ああ。…それしかないよ」 あいつらに一泡吹かせてやりたいからね。そうデーモンは西川の耳元で囁いた。 恐らく今の言葉、さすがに本部にキャッチされてはいまい。 時期を待って内側から崩す心積もりというわけだ。
418 :
Nana :2005/08/22(月) 14:25:41 ID:LZallOkJ0
「俺もスタジオに行く」 「いや、それは…危険だよ。西川はもう向こうの人間だ。 これ以上俺たちのせいで迷惑かけられんよ」 「落とし前をつけたいんだ。」 雅の死を看とる為に東京に来たわけではない。 こうなったらとことん関わってやる。 デーモンはしばらく俯いていたが、解ったよ、とため息混じりに言った。 「…一応本部に取り計らってみる。どうなっても知らんよ」 「覚悟はしたって言ったでしょ」 こんなプログラムを実際に見せ付けられて、黙って見過ごせるものか。 雅の苦しみを暴き引きずり出し、一瞬のみ救ってくれた事だけには感謝してやってもいいが。 二人は再びヘリコプターに乗り込んだ。 目指すは「敵地」テレ朝スタジオ。 「いつかチャンスは来ると思う」 デーモンが誰にともなく言った。
419 :
Nana :2005/08/22(月) 14:42:02 ID:LZallOkJ0
「AKIとKAMIJOが何者かに殺された」 YOMIは救急車を使って国立病院から移動している。 禁止エリアが停止している今なら、少しくらい車を使っても差し支えないはずだ。 「さっきの爆発、あれが……。」 中区の方から立ち上る煙をバックミラーで見ながら戦慄を感じた。 YOMIが病院からの移動を決意したのは他でもない、その立地条件のせいだった。 国立病院のある中区はあの男、竜太郎と遭遇した地だったからだ。 ひょっとしてまだあの人は俺達の近くを徘徊してるんじゃ? マオの血痕をたどって俺達を殺しにくるんじゃ? 中区に漂う竜太郎の見えない陰はYOMIに車を使って移動するという多少の危険を犯させるに足る動機だった。 もし竜太郎と一対一で戦う事になったら、たとえこちらが不意打ちをしたとしても勝てる自信はなかった。
420 :
Nana :2005/08/22(月) 14:45:10 ID:LZallOkJ0
ベレッタと竜太郎の持っていた重火器とではいくらなんでも馬力が違い過ぎる。 とにかく、後ろで眠っているマオが目覚めるまでは死ぬ訳にはいかないんだ。 ……この責任は俺にあるんだから。 (マオを、頼む。) それが一志さんが出て行く時の最後の言葉だった。 (しっかりせんかい!YOMI!) 一志さん……。 「やるしか、俺がやるしかないんだよな……。」 YOMIは一志の言葉を何度も何度も噛み締めていた。 「少し郊外の病院でも探すか…。」 体の震えと必死に戦いながら、YOMIはアクセルを踏み付けた。 残り14人
421 :
Nana :2005/08/22(月) 15:33:41 ID:ly/40afV0
更新乙! 続きが楽しみです
422 :
Nana :2005/08/23(火) 10:28:56 ID:i1pD5Oy9O
作者タソ更新乙です!
423 :
Nana :2005/08/23(火) 14:10:13 ID:2mP7Na71O
ママ強いw
424 :
Nana :2005/08/24(水) 20:20:05 ID:z9rs21jpO
もぅリレー小説にしないか?とか言ってみるテスト
425 :
Nana :2005/08/24(水) 20:40:23 ID:nEWE0tDMO
それは嫌だ
426 :
Nana :2005/08/25(木) 00:48:38 ID:/wzXfGRx0
427 :
Nana :2005/08/27(土) 00:06:42 ID:8O3Pyt3J0
邦楽版を読んだんだけど、いい所で終わってしまって気になる あっちの清春と松岡は凄いな・・・
428 :
Nana :2005/08/27(土) 00:08:55 ID:3t2H54bl0
429 :
1 :2005/08/27(土) 12:36:54 ID:if829C4D0
>>424 じゃあ、誰か続き書いてください。
しばらく、自分は読み専門とさせていただきますね。
430 :
Nana :2005/08/27(土) 14:11:22 ID:BcAzH5k4O
中日バトロワの原文ってどこにあるの? まとめサイトとか貼っておけば、誰かが続きやってくれるとオモ
431 :
Nana :2005/08/27(土) 16:50:35 ID:SViqempaO
リレー式はイヤだわ。 楽しみにしてるのになぁ…('A`)
432 :
Nana :2005/08/27(土) 18:01:50 ID:P/QTejEG0
433 :
Nana :2005/08/27(土) 23:25:27 ID:3t2H54bl0
ここまで続けといて今さらリレーにしたってなあ・・・ 次からでよくないか?
434 :
Nana :2005/08/28(日) 08:54:57 ID:+kEk1SeK0
更新楽しみ
435 :
Nana :2005/08/28(日) 22:48:49 ID:6qnFdtT00
でも中日ロワって文章力低いよな
436 :
Nana :2005/08/29(月) 12:02:05 ID:5chbs/og0
yasuはまず自分が横たわっていることに気づき、ほどなくして先ほどまで移動用のバスに乗っていたことを思い出した。 おかしい… ぼんやりとした頭で周囲を見渡すと、はたしてそこは、先ほどまでライブを行っていたはずのナゴヤドーム。 違うのは、照明が一切ついていないことと、観客席が無人であること。やがて視覚がはっきりしてくると、同じようにいぶかしげな顔をしているバンドマン達の姿を確認する。 「おい、hydeさん、起きろ」 hydeはまだ眠っているようで、自分の隣にうつぶせに倒れ込んでいた。肩を揺さぶる。 「ううん…、あー、誰?」 寝ぼけまなこのhydeはついさっきのyasuと同じように辺りを見回している。 「なんだ、ドームじゃないか…。真っ暗だし…、何で俺達、戻ってきてるんだ?」 「俺が知りたいですよ…何なんだ、いったい?」 そのとき、バンドマン達が横たわるステージ一帯に突如スポットライトが向けられた。 暗闇に目が慣れていたせいか、誰もが目をしばだたせる。 「ヴィジュアル系バンドの皆さん、こんにちはー、世紀末…、じゃないなぁ、デーモン小暮閣下です」 悪魔の甘い声がスピーカーから流れ、お馴染みの化粧デーモン小暮の顔が、スコアボード下のライブビジョンに現れた。
437 :
Nana :2005/08/30(火) 12:42:59 ID:DXEJq4hdO
438 :
Nana :2005/08/30(火) 20:57:45 ID:zSuWWhFOO
誰でも良いから更新してくれる神まち
439 :
Nana :2005/09/04(日) 15:35:39 ID:UotkgoSRO
更新待ち。
440 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:22:05 ID:MAqigD7c0
「いやあ、なんと申しますか、世間では不況不況と言われてまして、ヴィジュアル系も例外ではないみたいですなあ。 今年くらいはなんとかなる思ってましたけど、ジャンヌダルクのブレークもありまして、いやあなんとも言えませんなあ」 何だこりゃ。今時、ドッキリか?金屏風まで立ててるじゃないか。 への字に曲げた口元で不快感を現しながら、それでも仕方なくyasuは映像を見やる。 「バンドマンの皆さんも、聞きましたわ!ライブでの人気はなかなかみたいですけど、ここ数年はミリオンヒットがないそうじゃないですか。困りましたねえ…」 そして画面の向こうのタモリは、一段、声のトーンを上げた。 「そーこーで!です。私ども邦楽界上層部は、この不況を打破する対策を検討すべくNMPと緊急会議を設けまして、あるひとつの結論に達したのです。 ヴィジュアル系人気を復活させるため、皆さんにはライブ前にひと仕事してもらうことになりました。 ヴィジュアル系の権威復活のための一大プロジェクト。その名も……、『バトル・ロワイヤル』。」 デーモン小暮が放ったその言葉でドーム内全ての照明が点いた
441 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:23:39 ID:MAqigD7c0
これはですね、プロレスに『バトルロイヤル』ていうのがありますけど、早い話がそれの応用です。 バンドマンの皆さんには、最後の一人になるまで――」 そこまで言うと、画面の中でデーモンは一息ついた。 「――殺し合いをしてもらいます」 一気にざわめきが広がった。 「殺し合いだって!?」 「おい、一体何なんだよ…」 「ゆ、夢見てんのかな、俺」 そんな中、yasuは一体自分の身に何が降りかかったのか、いまひとつ理解できずにいた。 起き抜けで頭が働かないと言うよりは、あまりに非現実的で… 隣で呆然としているhydeも同じ気持ちなのだろう。 しきりに首を振ったり瞬きをしたりしている。 「…デーモンさん、悪趣味な冗談はやめろよ」
442 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:26:56 ID:MAqigD7c0
不意に、ドーム内に櫻井敦司のよく通る声が響いた。 「あなたが言ってることは滅茶苦茶じゃないか。ヴィジュアル系人気が低迷してるからって、どうして俺たちが殺し合いをしなきゃならないんだ」 「おお、櫻井くん。今からそこを話そうと思ってたとこだ。 はい、いいですか皆さん。 その殺し合いの様子は、NHKで全国に生中継されます。 いやー、これは凄い視聴率になりますよ。サッカーなんて目じゃない。」 「…へぇ。そういう事か」 相変わらず明るいデーモンの声を聞き、櫻井は諦めに満ちた笑みを声に含ませながら呟いた。 「解ってもらえたみたいだな。んじゃルール説明させてもらいますんで、よく聴いて下さいねー」
443 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:29:07 ID:MAqigD7c0
「えー、皆さんの首にはこっちで首輪を着けさせてもらってますー。 弄くると爆発するんで、触らん方がいいですよ」 はっとyasuは首に触れた。確かに冷たい金属の感触がある。 周りを見回すと、間違いなく全員の首に銀色の首輪が嵌められていた。 「その首輪は、皆さんの位置をこっちで掴むためのもんです。 要するに逃げようとしても無駄って事です。 変な動きをしている人がいたら容赦なく爆発させますんで。 …んー、一応ここらで見本を見せといた方がええかも解りませんね。 まだ疑ってる人もいると思うんでー」 デーモンが言い終わるが早いか、ピッ、という電子音が、微かにyasuの耳に届いた。 「tetsu。お前みたいな奴は生きとってもしょうがないだろ」 ピッ。ピッ。 音のする方を見ると、確かにそこには絶望の表情を浮かべたtetsuがいた。 嵌められた首輪の一部が赤く光っている。
444 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:31:29 ID:MAqigD7c0
か、閣下…」 「命乞いしても無駄だ、これ、止められんから。 まぁ最期に人の役に立てると思って笑って死んでくれ」 これは悪夢か? 「yasuくん、なぁ…変だよ。これ。現実なのか?なぁ」 hydeの声が震えている。 「そんなのわかんないよっ」 ピッピッピッピッ。音のテンポが上がっていく。 tetsuの周りから自然、人が退いた。 「あー、離れんでも大丈夫ですよ。爆発って言っても小さいもんです。ま、首を吹っ飛ばすには充分ですけど」 ピーッ… 「化けて出てやる」 ぽつり、tetsuが言った。それが最期だった。 ぱん、と妙な音がして、辺りに血飛沫が広がった。
445 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:34:37 ID:MAqigD7c0
hydeは頭がガンガンと痛むのを自覚していた。 tetsuが死んだ…目の前で。 その死体は、まだ生きた人間と殆ど変わらぬ姿をしていた。 ただ、首だけは皮膚が破れ、剥き出しの肉が焦げ付いて二目と見れない状態だったが。 肉の焦げる匂いと血の匂いに吐き気がする。 奇妙な程周囲は静まり返っていた。 「というわけで、これはドッキリでも冗談でもなんでもありません。本当の殺し合いです」 わざとらしい程陽気なデーモンの声。 「はいはい、いつまでも死体なんか見てると聴き逃しますよー。いいですかー。それでですね、皆さんには一つずつ武器が支給されます。 ただし、これは誰がどれとか決まってるわけじゃないんですね。 銃を手に入れる人もいれば、水鉄砲が当たる人もいます。 そこんとこは運です。もちろん、他人の武器を奪ってもかまいません」 デーモンがぺらぺらと喋っている間、hydeはまだtetsuの死体から目を離せずにいた。
446 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:37:13 ID:MAqigD7c0
別に親しかったわけではない。しかし… 「hydeさん、余所見してると危ない…」 「…解ってる」 yasuに咎められ、漸くhydeはライブビジョンに視線を戻した。 「えー、ここ、名古屋ドームを出発したら、基本的には名古屋から出なければどこへ行っても結構です。 但し、皆さんで一つの所に固まったりするのは駄目ですよー。 二十四時間の間一人も死者が出なかったりすると、自動的に全員の首輪が爆発してしまうんでね。 それじゃ面白くないんで、はい。 あ、あと全員が出発したらもうドームには近寄らんといて下さいね。 ここはプログラムの本部になってるんで、あんまり近付くと首輪が爆発しますよー」 それだけ一息に言うと、デーモンはやれやれといった風にまた一つ息をついた。
447 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:39:39 ID:MAqigD7c0
「皆さんにお配りするバッグの中には武器と食料、地図、筆記用具一式に、それと名簿が入ってます。 参加者はテレビ的におもろい人をちょうど数十名選ばしてもらいました。 死んだ人の名前は一日二回、9時と夕方5時に読み上げますんで、商店街の有線なんかで確認してくださいね」 バラエティー番組でルール説明でもしているかのようにデーモンは淡々と話し続けた。 これが勝者と敗者の違いか?画面の向こうでのうのうと高見の見物をしている男を誰もが苦々しく思った。 「それでは、今から順々に名前呼びますんでー、前に出てきてください。」 上ばかり向いていたので気づかなかった。視線を落とすと、観客席あたりに『お立ち台』のセッティングが既に終わっており、兵士たちが、大量にバッグを積んだ台車を押してやってくる。 「最初だから私が呼びます。50音順ですよ、01番、AKI」 「ひッ」 yasuは背後で小さく上擦った声を聞いた。
448 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:42:38 ID:MAqigD7c0
はーい呼ばれたらさっさと前へ出るー。たらたらしなーい。」 AKIが一旦つんのめりそうになり、慌てて前へ駆けてゆく姿が見える。 「はーい、いいウォーミングアップになりましたね。で、前に出てきた人は、お立ち台に上って箱の中に入ってるボールを一個、引いてもらいます。 ああ安心してくださいね、人数分より余計に用意してありますから、最後の人、ルキが不利になるっちゅうわけじゃありませんよ」 名前が挙がったルキは普段にも増して顔を引きつらせた。 デーモンに促され、AKIが兵士の差し出す箱に手を突っ込む。 「はい、引いたら高々と手を挙げて皆さんに見せましょうー。そう、そうです。高校野球のくじ引きみたいで実にすがすがしいですね」 デーモンはまるでこども相手のような口調と笑顔でぱんぱんと拍手した。お立ち台を降りたAKIは、色となにやら文字が付いたボールと引き替えに、同じ印のついたスポーツバッグを受け取る。 そして不安そうな表情でステージに待機する面々を一瞬見ると、一気にライト側に開いた出口まで駆けだした。
449 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:44:54 ID:MAqigD7c0
「わかりましたかー?こんな感じで始めさしてもらいます。 私もいつまでもこんなんやってられませんので、あとは会場のほうにお戻しします。じゃ、さよなら。あ、JOCX-TVて言うんだっけ?」 映像はデーモンが椅子を立ち上がった中途半端なところで途切れ、代わりに名古屋のNHK本社の静止画像を背景にテロップが流れた。『この番組はNHKと民放各社の協力により全国ネットで放送しています』。 目の前にある、あまりに非現実的な現実。それをなんとか飲み込もうと、hydeは大きく深呼吸した。 落ち着け、落ち着け。 そして、隣で同じように大きく息をしていたyasuに目を移した。 待ってる。 そう、声に出さずに口を動かして、ウグイス嬢に名前を呼ばれた、30番、hydeは、走り出した。
450 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:50:15 ID:MAqigD7c0
ドームから出ると、辺りは薄暗くなり始めていた。猫の子一匹居ない。 hydeはぞっとした。 本当に、もう逃げられないのだ。これは現実なのだ。 それでもhydeは複雑な気分にならずにはいられなかった。 やっぱり、みんなで殺し合うのか、もう逃げられないのか。と。 いや。ともかく、自分だけでもここで待とう。 腹を決めてドームのゲート前に座り込むと、hydeはスポーツバッグの中を探ってみた。 入っていたのは先の説明でデーモンの言っていた物が一通り。 そして最後に、バッグの底から一枚の紙と共に重い鉄の塊が出てきた。 一瞬それが何なのか福留は理解する事にに躊躇した。 それは、どこをどう見ても、拳銃だったのだ。 一緒になっている紙は説明書のようだったが、英語表記の為わけが解らない。 理解できたのは、COLT GOVERNMENT M1911A1、 というのがこの銃の名前らしいという事ぐらいか。 hydeは銃と説明書をバッグの底に押し込んだ。 狂ってる。何だよ、これ。 殺し合いだって?畜生。バンドマン同士が殺し合うなんて。 …いや、落ち着け…落ち着け。今はyasuと合流することが一番だ。出来れば清春くんとも。 そして、hydeの前方、ドームの一番ゲート内からyasuが姿を現した。
451 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 16:59:34 ID:MAqigD7c0
hydeはゲートから現れた清春の姿に、yasuが止める間もなく声を上げていた。 「清春くん!!」 瞬時、清春の応えを待つhydeの頬を、何かがかすめた。 手をやると、ぬるりとした感触。hydeは目を疑った。血だ。 カシャンと落下音がした先には、小さな両刃のナイフが落ちていた。 「死にたくなければ、早くここから離れろ」 呆然とする二人に清春が与えた言葉はそれだけだった。hydeには、ただ、急速に小さくなっていく黒服姿の男を見送ることしかできなかった。 「hydeさん…誰か出てくる」 慌ててyasuが腕を引っ張り、売店の陰に姿を隠した。 両肩に荷物を背負った、松岡充。 片方には例のスポーツバッグ。もう片方には、……人間。 ドサリとその『荷物』を床へ落とすと、松岡は呟いた。 「あんた達の出番はもうないよ、きっと」 そして、胸の前で小さく十字を切り、床に寝かされた人間の腕からバッグを奪い取ると、松岡は悠々と、地下鉄の駅まで続く歩道橋へ向かって歩いていった。 あとには、胸の辺りを真っ赤に染めた、既に事切れたTAKAの身体だけが残った。
452 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 17:08:04 ID:MAqigD7c0
ナゴヤドームバックスクリーン側には、ガラス越しに観戦が出来るレストラン席がある。 そこで男はウェイトレスが運んできた料理をつつきながら、 ぼんやりとグラウンドを見下ろしていた。 下ではAKIがスポーツバッグを受け取ろうとしている。流石に声は聞こえない。 「スピーカーをお持ちしましょうか」 「いや…いいよ」 ウェイトレスの申し出を断ると、男はAKIがゲート方向に歩いていくのを目で追いながら 又一口、料理を口に運んだ。 「yasu、それにhydeはどうなったんや」 「あ、はい。 yasuさんとhydeさんは、ドーム前で言い争いをしているようです」 「言い争い。あいつらがか」 「清春さんを信用するかしないかでもめ事になったようですが」 「ははぁ。清春くんな。ありゃ信用したらあかんわな」 男はくっくっと背を揺らして笑った。 「…お食事の後はどうされますか」 「俺に選択権は無いんやろ。ちゃんと本部の方に行くわ」 「御賢明な判断です。それでは、ごゆっくりどうぞ。 また何かございましたらお申し付け下さい」 ウェイトレスは一礼すると下がっていった。 「初めての解説が…こんなゲームとはなぁ…」 酒も料理も少しも美味く感じられない。当然と言えば当然のことだ。 バンドマン達の殺し合いを、これから観なければならないのだから。
453 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 17:12:30 ID:MAqigD7c0
大曽根駅のほど近くまで続く長い歩道橋を渡り終えたHISASHIは、階段の陰でバッグの中身を検め、その支給された武器を目にし、失笑せざるを得なかった。 デリンジャー。 自分の手の中に納まってしまうほどの銃身、装填可能な銃弾はわずかに二発。 くじ運がいいんだか悪いんだか、小兵の自分には、こんなおもちゃみたいなピストルがお似合いってわけか。 ならば櫻井さんや雅は、大砲でも背負ってくるのか? いついかなるときでもクールでいること、それがHISASHIの信念であった。それはときに必死さが伝わらないと受け取られることもあったが、彼を理解する人は皆、彼の存在によって心を和ませていた。 そして『彼』の向かうであろう場所の心当たりを自分の中でまとめながら、道路標識で歩くべき方向を確かめた。 あいつは、俺がいないとすぐ暴走するんだから…。一人で暴れて死にました、なんてのだけはやめてくれよ? そしてゆっくりと歩き始める。 己が半身、TAKUROUに出会うために。
454 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 17:21:08 ID:MAqigD7c0
yasuに手を引かれる儘、hydeはドーム付近の住宅街を縺れるように歩いていた。 まだ頭が混乱している。非道く気分が悪い。 hydeは何においても清春を親友と思い、尊敬していた。 いつかあんな男になりたいと思っていた。 しかし、現実には…清春は自分を攻撃してきた。既に、人を殺す気になっていたのだ。 「これで解りましたか。清春さんはああいう人なんだ」 大股で歩きながらyasuが言った。 掴まれた左腕が痛いのに、振り払うことが出来ない。 今はとてもではないが体が動かなかった。 「解った。解ったから、手ェ離せ。もういいよ。一人で歩ける」 団地の前で立ち止まり、その敷地内に入るとyasuは漸く手を離した。 「…あなたをドームの前に置き去りにしたくなかったんだ」 言い訳するようなyasuの声に、hydeはただ頷くしかなかった。 「ここだと人目に付くから、もっと奥の方まで行ってこれからの事を考えよう」 「…解ったよ」 「…まぁ、気持ちは解るけど。あ、武器何だった、」 「銃」 「げ、俺なんかバットだったのに。しかもその辺で売ってるようなやつ」 「へぇ、なんかyasuくんらしいね」 hydeは久しぶりに笑った。それを見てyasuも笑った。
455 :
バトル開始 :2005/09/07(水) 17:29:52 ID:MAqigD7c0
次々とバンドマン達が外に出ていく。 ある者は怯え、ある者は笑い、ある者は無表情の儘。 マオの名前が呼ばれたのを聞き、いよいよか、とHIDEKIは息を吐いた。 すぐ隣にはGacktが、何やら考えありげに天井を眺めている。 「Gackt、どうする」 「どうって」 選択肢は色々ある。結束するか、一人になるか。戦うか、信じるか。その他諸々。 「戦うつもりか、お前も」 「…俺さ、この機会にどうしても欲しいものがあるんだ」 Gacktはにやりと笑ってみせた。どこか子供じみた笑みだ。 「へぇ。欲しいものねぇ」 「心配すんな、お前を殺すつもりはないから」 スポーツバッグを持ったマオのシルエットが小さくなっていく。そろそろ呼ばれそうだ。 「HIDEKI、そう言うお前はどうなんだ」 「俺は…まぁ、適当にやってみるわ」 最後まで生き残れるとは我ながら思えないが、まぁ、なるようになればいい。 そんな心境だった。 「理想が低いな」 「そっちこそ、年寄りの癖にちょっと欲深じゃないのか」 そこまで言った時、HIDEKIの名が呼ばれた。 「はいはい。今行きますよ」 ま、せいぜいやってみるか。
456 :
Nana :2005/09/07(水) 18:22:41 ID:k3UWwJ5w0
別に親しかったわけではない。 って同じメンバーなのに酷いなハイド
457 :
Nana :2005/09/07(水) 19:01:39 ID:No1fjNjgO
これ本当に続き?
458 :
Nana :2005/09/07(水) 20:56:19 ID:mO4UK0kh0
>>456 思ったw
メンバー殺されてるのに・・
てかこれ続きじゃないだろw
459 :
Nana :2005/09/07(水) 21:19:37 ID:FPnmO8kI0
違うだろ。 違うのでもいいから完結させてくれ。
460 :
Nana :2005/09/07(水) 22:23:07 ID:EWrK8MRvO
でもこっからじゃ完結するのかなり時間かかるキガス。 まぁ携帯厨の漏れは偉そうなこと言えないが。 前に書いてた方は?どこさ行った?
461 :
Nana :2005/09/07(水) 22:45:16 ID:oKTuwyO7O
>>460 暫らくロムる様な事言ってたね。
バトル再開作者サソはこのまま新しい方続けて、
>>1 サソは自分が書いたやつ続けてほしいわ。
462 :
Nana :2005/09/07(水) 23:04:42 ID:qo6K6iUv0
結局つまらない書き手が引き継いだのか・・・ もうダメポ
463 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:08:59 ID:Y403m+Ud0
TAKUIは、自然、その足を南へ向けて歩いていた。 走るでもなく、ただ、ゆっくりと。 目指すは、名古屋港。 ふと立ち止まり、ハイネックのアンダーシャツの中から、小さなペンダントを取り出す。 蓋を開けると、微笑んだ女性の写真が現れる。 TAKUIの学生時代からの知り合いであり、TAKUIの恋人になるはずだった女性の名を呼ぶ。 恐らく彼がその女性に再会することはあり得ないだろう。TAKUIにはわかっていた。 だから、TAKUIはせめて彼女との思い出の場所、名古屋港の水族館を目指して歩いていた。 もしも俺がこのまま死んでしまっても、未来永劫、俺だけを愛してくれるかい? 寝ても覚めても、俺のことだけを思っていてくれるかい? 今、何をしている? 会いたい。 TAKUIはロケットの蓋を閉じ、再び胸にしまった。そしてまた一歩、歩き始めた。
464 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:12:58 ID:Y403m+Ud0
紫がかってきた空に星が輝き始めている。 清春は常に自信に満ち溢れたその顔を不機嫌に歪ませ、 頬の返り血をシャツの袖で拭った。 「お前みたいな、こういう時にもへらへらしているような奴が、俺はこの世で一番嫌いなんだ」 返答は無い。辺りは静まり返っていた。 清春は名古屋の地理には明るくないので現在地の正確なところはわからなかったが、 ともかく大曽根駅の方角に歩いてきたつもりだった。 「昔から、ずっとお前が気に食わなかったんだよ。思えば変な縁だな。えぇ?IZAMよ」 清春の足元に蹲ったIZAMは、何も言わなかった。 いや、言えないのだ。その首から、胸から、夥しい量の血を流し、 言葉など発することもかなわないのだから。 「何か言ってみろよ。んぁァ?俺を笑わせてみろよ、おら」 右手に持った銃を弄びながら、清春はごつっ、とIZAMの頭を蹴った。
465 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:16:02 ID:Y403m+Ud0
微かなうめきが上がったが、ごぼこぼと血の泡立つ音に紛れ、 それは清春の耳に殆ど届かなかった。 「結局お前には何もできねぇじゃねぇか。世の中、食い合いが全てなんだ。 おかまなんて必要ねぇんだよっ」 ひときわ強く頭を蹴上げられ、IZAMの上体はふうっと宙に持ち上がり、 それから、仰向けにアスファルトの上に倒れた。血がはねる。 IZAMはもう殆ど意識が無いのだろう。清春の顔を見ることもなく、ただ血溜まりの中に横たわっている。 或いはもう死んでいるのかもしれない。 「…さてと。とどめはささねぇ。せいぜい苦しんで死ねよ。じゃあな」 それだけ言うと、清春は自分のバッグとIZAMのバッグの二つを両の肩にかけ、 再び大曽根に向かって悠々と歩き出した。口笛など吹きながら。
466 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:21:01 ID:Y403m+Ud0
金山駅まで一気に走り抜け、YOMIは、はあはあと荒く息を上げながらその足を止めた。 ちくしょう、どこ行ったんだ、あいつは…。 YOMIが『尋ね人』を連れて来たことのあるCDショップが入っているビルを覗く。 「なにしてるんですか?YOMIさん」 背後からの声に驚き、YOMIは即座に振り向いた。 連絡通路橋から、こちらを見下ろすルキの姿があった。 「やっぱりここか…。何してるって、お前を捜してたに決まってるだろ?」 ルキは紅潮してまくし立てるYOMIを見て笑った。 「それはそれは…。でも、御心配なく。マイクのコントロールは出来ないけど、ほら、銃だって撃てるし」 ルキが手を伸ばすとYOMIの背後のガラスが割れた。 「なッ…、おまッ…、なにやってんだよ!」 「格好いいでしょう?ワルサーP38、ってね。ルパン三世にも出てきた奴ですよ」 ひらりとルキの身体が宙を舞い、そしてYOMIの目の前に降り立った。YOMIは一歩、後退する。
467 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:24:04 ID:Y403m+Ud0
「フフ…、殺しはしません、安心してください。こんな馬鹿げたゲームであなたと決着をつけようとは思ってませんから」 まるで子供がおもちゃで遊んでいるかのようだった、くるくると銃身を弄び笑う。 自分が知っている『ルキ』はこんなにも恐ろしい男だったか? 今まで感じたこともない不気味な雰囲気にYOMIは身震いした。 「ねえ…、YOMIさん。せっかくだから、僕と組みませんか?」 「は?」 思いも寄らない言葉にYOMIは混乱する。 「僕とあなたが最後まで生き残ったら…。そしたら、決着をつけましょうよ。勝つのはもちろん、僕ですけどね」 「ふざけるな、人殺しなんて御免だ」 「YOMIさん」 離れようとするYOMIの腕を掴み、YOMIの肩に拳銃を突きつける。 「ああああはいはい、わかったよ。だからその物騒なものを降ろせ」 負けじと、YOMIも後ろ手に隠していた出刃包丁をルキの鼻先に突きつけた。 「こわぁい、そんなもん持ってたんだー。YOMIさんも、なかなかやりますね?」 「当たり前だ。お前なんかに負けてたまるか」 YOMIは思いきりアカンベエをしてみせた。
468 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:33:27 ID:Y403m+Ud0
ナゴヤドームに程近い民家の庭に隠れた優雅は、前方を横切る大きな体に気付いた。 見覚えのある横顔。雅だ。 良かった。じきに夜だというのに、これ以上一人で震えていたくない。 「雅さん」 小声で呼び掛ける。雅は流石に緊張しているのか、ぎょっとした風に辺りを見回した。 が、 「雅さん、こっちです。…優雅です」 再びそう声をかけると、すぐに気付いて苦笑いを浮かべながら歩み寄ってきた。 「なんだ、お前か。脅かすなよ」 「すみません。一人でいるのが恐かったんで、つい」 話しながら、家の裏庭まで移動する。いくらか人目に付きにくくなるだろう。 「お前、武器は?俺を襲わなかったって事は、大した物じゃなかったな?」 俺はこれだったよと、雅は左手に握り隠していたメスを見せた。 明らかに「ハズレ」の部類だ。 「まさか。見て下さいよ…本物の銃」 優雅は懐に隠していた小さな拳銃を雅に差し出した。 S&W M36チーフス・スペシャル。説明書も付いていたことだし、実銃だろう。 「お、すげえな。本物なのか」 「ええ。多分…」 そう言い終わった瞬間だったろうか。 テレビや映画でしか聞いたことの無かった銃声というものが、 優雅の鼓膜を激しく揺らした。 「…え」 右脇腹が熱い。
469 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:40:06 ID:Y403m+Ud0
「あれ。ちょっとズレた?もう一発いくか」 再び銃声。 今度は右肩が熱を持った。自分の鼓動がやけに五月蠅い。 何が起こっているのか解らなかった。 「へえ、反動がかなり来るなぁ。漫画みたいにはいかないか」 「み…みやび、さん…?何が…」 「撃たれたのに、逃げないのか?まあ…その体じゃ逃げても死ぬだろうけどな」 「え、撃たれた…って…」 痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。 右の脇腹と肩が気を失いそうに痛い。そして、目の前には小さな拳銃を構えた雅の姿。 「どう…して」 堪えきれず、地面に膝をついた。雅は屈んで頭に銃を押しつけてくる。 「ん?お前がソロシンガーだからだよ」 「そ、そんな…理由、で」 あまりにも理不尽。ソロなんて誰でもやってる。 「だから、俺、この機会にライバルは全員殺すことにしたよ。…ごめんな」 そして優雅に向けられたのは、いつも通りの優しい笑顔。 これは何かの冗談ではないのだろうか… 「あ、言っとくけど別に殺しが好きなわけじゃないからな。 お前がバンドをやってたら手は出さなかったんだよ。 残念だな。お前の事、嫌いじゃなかったよ。ソロシンガーでさえなければな」 「…ひっ、死にたく…ない…助け…」 そして、三発目の銃声が轟いた。
470 :
バト序盤戦 :2005/09/07(水) 23:52:03 ID:Y403m+Ud0
「櫻井さん、どうして俺を信じてくれたんですか?」 夜、錦のバーのカウンター。男が二人、語り合う。 ただし、明かりはない。酒もない。代わりに並ぶのは、水とレーダーと丸い球が数個。何かと聞いたら知らないと答えるので、試しに投げたら煙幕と分かった。 「うーん…、実のところは、誰も信じていないんだ」 「え?」 「誰も信じられないのなら、誰を信じようと一緒だろ?だから、たまたまだ」 河村隆一は櫻井敦司の返す言葉に寂しそうな顔をした。自分だからこそ信じてもらえたのだと言ってほしかったのだろう。 「御免な…、嘘つくの苦手だ、正直に言わしてもらった。こんな時だしな」 「そうか…、そうですよね、櫻井さん、いつもクールですからね…」
471 :
バト序盤戦 :2005/09/08(木) 00:00:36 ID:DAktgTef0
この『試合』が宣言されたとき、櫻井は死を覚悟した。こんな無愛想な自分を仲間にする人間はまずいないだろう。 無視されるか、さもなくば殺されるかのどちらかになる。ならば、流されてみようと考えた。一旦そう決めてしまうと、あとは楽だった。 「信じてもらえてなくても、櫻井さんと一緒にいられてよかった。心が休まりますよ。なんでそんなに落ち着いているんですか?」 お前がうるさいだけじゃないか、と目の前の男をほほえましく思いながら。 「まあ…、ライブも十分楽しめたし…いっぺん死んだ気になれば、なにも怖いものは、ない」 河村はそれを聞いて、丸い目をますます大きく見開いた。いい笑顔だ。 いつもはほとんどお喋りすることがないこの男と、遺言代わりに語り尽くそう。 男達の夜は、まだまだ続く。
472 :
Nana :2005/09/08(木) 00:23:57 ID:sWBOnKhT0
473 :
Nana :2005/09/08(木) 04:24:27 ID:5LhWQ5GqO
474 :
Nana :2005/09/08(木) 05:56:22 ID:hp4x23wv0
なんかつまらんな
475 :
Nana :2005/09/08(木) 05:59:31 ID:hp4x23wv0
なんかつまらんな
476 :
1 :2005/09/08(木) 11:29:23 ID:aX3UMsOK0
実を言うと、
>>440 からは自分が新しく書いてるんです。
最初書き始めた時は、麺とか行き当たりばったりで使ってたんで
ストーリーが成り立たなくなっちゃってorz(清春と人時の関係とか)
だから、ちゃんと始めから対人関係とか決めてやっているんです。
まぁ、信じるも信じないも勝手ですが。
477 :
Nana :2005/09/08(木) 14:24:29 ID:6OmMVph70
>>476 清春と人時の関係は疑問が残るが、元のやり方にして
はっきり言って
>>440 からクオリティ下がってる
478 :
Nana :2005/09/08(木) 16:21:57 ID:LlrkkymyO
かなり山場までいってたのと、まだ序盤までなのを比べるのはどうかと。
以前の流れが好きだったが
>>1 が納得いかないなら新しい方を続ければいいと思う。
さすがにもうどちらも続ける気がおきないかもしれないが、楽しく読ませてもらってきたんで、このままで終わるのはもったいないと思う
479 :
1 :2005/09/08(木) 16:23:07 ID:hp61mb6o0
元の文だとストーリーがつながらないので、続きが書けないんです。 できるだけ早く、最初書いた奴に追いつきます。
480 :
バトル序盤戦 :2005/09/08(木) 16:29:28 ID:hp61mb6o0
本部に向かう途中、ドーム内の廊下で男はデーモンに呼び止められた。 「よ。元気そうだな」 「…どうも」 「まぁそう硬くなんな、 適当に言いたいこと言ってりゃうまくいくよ」 「言いたい事なんてありませんよ」 かつての仲間たちの殺し合いに対して、一体何を言えというのだ。 糞面白くもない。 「極端な話、スタジオで座っとるだけでもいいよ。 お前が出てるってだけで番組を見る奴はいくらでもいる。」 「客寄せパンダをやれってわけですか」 いや、そんないいものじゃない。晒し者だ、自分は。 「ま、そう睨まんでも…ああ、そろそろ八時だな。本部スタジオが待ってるぞ」 「…じゃ、また」 スタジオか。早足で歩きながら男は思った。
481 :
バトル序盤戦 :2005/09/08(木) 16:33:37 ID:hp61mb6o0
紅白さながらのセットとカメラの群れが自分を待っているのだろう。 現在の状況は大まかに聞いていた。 死者は四人。tetsu、IZAM、TAKA、優雅。 tetsuが開始前に始末されたのは見ていたからまだ信じられる。 しかし、TAKAが松岡に、IZAMが清春に、優雅が雅に殺されたと、 それだけ聞いてもまるで実感が湧かない。 男は唇を歪めた。このプログラムは人を狂わせるというわけか。 「西川さん」 スタジオから出てきたスタッフらしき人間が男を呼んだ。 ああ、と男――西川貴教は投げやりに言葉を返した。
482 :
バトル序盤戦 :2005/09/08(木) 16:40:00 ID:hp61mb6o0
ここは大須の商店街、街灯のお陰で夜でも明かりには困らない。 どうやら電気は止められていないらしい。 YOSHIKIは辺りに人の気配が無い事を確認してから、 オープンカフェの店先に放置されていた椅子の一つに腰を下ろした。 何とかGacktやSUGIZOUに会えればと思っていたが、 今のところ手がかりが何も無い。 おまけに支給された武器は、その辺で売っていそうな金槌。如何にも心許ない。 問題は山積みな訳だが、さて、これから一体どうしたものか。 せめてここに居並ぶ店が戸締りさえしていなければ、中に侵入して使えそうな物を… …馬鹿な。何を考えてるんだ、俺は。それじゃ盗みじゃないか。立派な犯罪だ。 慌ててYOSHIKIは首を振り、良からぬ考えを振り払った。 きっと、このプログラムという異常な状況には人の狂気を引き出す力があるのだ。 負けてはいけない。飲み込まれてはいけない。 YOSHIKIは立ち上がった。やはり、まずは誰かと合流した方が良さそうだ。
483 :
Nana :2005/09/08(木) 16:49:04 ID:hp61mb6o0
定例放送の時間だ。 『みなさーん、元気に殺し合いしてますかー。本部からのお知らせでーす。 会場が名古屋一帯だと広すぎる、退屈だ、と視聴者の方から苦情が来たのでー、 今から二時間後、十一時半ですね、それ以降この東区は立ち入り禁止にしまーす。 二時間たっても居座っている人はー、首輪が爆発してしまいますよー。 速やかに他の区へ退去してくださーい。以上でーす』
484 :
Nana :2005/09/08(木) 16:52:42 ID:hp61mb6o0
いつもは人が溢れかえっているはずの街は、不気味に静まり返っていた。 そこでkiyoはぜえぜえと息を切らしていた。 先程のの放送を聞いて必至になって走ってきたため、いつもの彼にならわかるはずの道も全然わからなかった。 さっきまでいた東区からは出たつもり、ただなんとなくそれだけはわかった。 ―仲間が欲しい…。クソ!こんなだだっ広い街の中じゃ探しようが無いじゃないか!! バッグに入っていた武器は護身用などに使うスタンガンだった。 こんなものが武器じゃあ万が一襲われてもまともに応戦すら出来ない…。 これも彼にとって大きな不安要素の一つでもあった。 暫くそこで息を整えているとどこかから小さく足音が聞こえた
485 :
Nana :2005/09/08(木) 16:59:19 ID:hp61mb6o0
kiyoは、それに気付いた瞬間ビクリと体を起こし、バッグの中のスタンガンを取り出した。 そして、それを震える右手でしっかりと持ち、聞こえた気がした方向に声を飛ばす。 「誰ですか!?僕はkiyoです!!居るんなら返事して下さい!!」 足音の主はその姿を彼の前に表した。 「…き「・・き、清春さん…」 足音の主―清春はククッと鼻を鳴らした。 「ようkiyoちゃんー、探したんよ、お前の事。」 そう言った彼の口の端にはわずかな笑みが貼りつけられていた。 どんどん距離が狭まってくる。気付くと清春はすぐそばに居た。 そして、彼は言った。 「なあkiyoちゃん、悪いんだけど…死んでくれるか?」 瞬間、左の太もも辺りに激痛が走る。 「ーーーーーーーッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」 声にならない声で叫ぶ。そして足を刺され、バランスを失ったkiyoはその場に倒れこんだ。 「お前等はオレより売れてるからね!!!!」 そう、あの時だって抱いていた敵意は二人に対する敵意だった。 ただあの時の相手は銃を持っていたし人数も二人、そしてこっちは一人。 本気で戦っても体に鉛弾を埋め込まれるだけで終わりになっていたかもしれなかったのだ
486 :
Nana :2005/09/08(木) 17:04:20 ID:hp61mb6o0
清春は倒れたkiyoに馬乗りになって首を締める。 「…や…やめ・・てくださ…い…」 必死にもがきながら腹のそこから力を振り絞って叫ぶ。 「オレより売れてる奴は許さん!」 止めを刺そうとした瞬間どこかから「やめろ!!!!」という声と共に清春とkiyoの顔の間を何かが走り抜けた。 とたんに拘束が解け、kiyoは酷く咳き込む。 『それ』が飛んでいった方向に顔を向けると街灯の鈍い光に照らされた細長い銀色の物体が落ちていた。 飛ばされてきた方向からは、キリトが姿を表した。 清春の手には先程のkiyoのスタンガンが収められていた。ドサクサに紛れkiyoから奪ったのだ。 そして彼は「チッ」舌打ちしてその場から姿を消した。 「kiyo?!大丈夫か?!」 「な・なんとか大丈夫みたい、です…」 まだ咳き込みながらではあるが、しっかりとした声で返事をした。 「嫌な空気が流れてきた様な気がした。まさかこんな事になっていたとは…」 キリトは清春が消えた方を見つめ、小さく呟く。 「…清春とはまた顔をあわすことになりそうだな…」 また中心街に静寂が訪れた。
487 :
Nana :2005/09/08(木) 17:09:47 ID:hp61mb6o0
ぐらぐらと煮立つ鍋の前で額に汗を浮かべるキリトの姿があった。 その横で、KOUTAはぼんやりと立っている。 「そこのどんぶり、持ってきてくれ」 「あっ、うん」 チャッ、チャッ、リズミカルに湯を切り、湯気の上がった麺をKOUTAの差し出した丼に開ける。 「具はそこにあるの適当に…でも明日のぶんは残しておくんだぞ。アイジー!メシ。ちょっと休憩だ」 遠くでアイジが応え、こちらへやってくる。いい匂いが辺りに漂う。 「キリト特製宮きしめん、完成ーーー。早く座れ」 逃げ込んだ熱田神宮の売店には、冷蔵庫に保管された食材が山ほど残っていた。普段の参拝客の多さを物語っている。 「では、揃ったところで、頂きます」 箸を割り、麺を口に運ぶ。キリト流は、かつおとこんぶの合わせだし。 「……兄ちゃん………」 泣きそうな顔。 「どうした、KOUTA、口に合わんか?」 「………うまいッス……」 くしゃくしゃな表情に、キリトはほっとした。そして再び、麺をゆでているときと同じく真剣な顔つきになり、アイジのほうを向いた。
488 :
Nana :2005/09/08(木) 17:17:52 ID:hp61mb6o0
「どうだアイジ、ラジオのほうは」 「難しいね…なかなかバンドが合わなくて。今誰かのマイクを拾ってるんだけど、一人でいるみたいで息がハアハア言ってるだけなんだよ」 KOUTAは再びキリトときしめんを作りながら考えていた。 ここにいるメンバーで、役に立たないのは俺だけだ。 兄ちゃんは気が利くし、アイジは器用だし、 kiyoは頑張りやだからきっと俺よりかわいがられるに決まってる。 見捨てないで兄ちゃん…後輩に追い抜かれるのは嫌だ…… 「…こ、こ・う・た!」 はっと気が付くと、丼を乗せた腕を掴まれていた。汁が波打って盆の上にこぼれた。 「刃物をひとに渡すときは、自分が刃のほうを持つ、だろ?」 KOUTAの手から、盆の下に隠したキッチンバサミが落ちた。 「滅多なことは考えるんじゃないぞ、お前もkiyoもアイジも、みんな俺の仲間なんだから」 KOUTAがわあと泣き出す声で、kiyoは目を開けた。
489 :
Nana :2005/09/08(木) 17:29:35 ID:hp61mb6o0
ピンポーン。 その音で目が覚めた。時計を見る。00:01。 寝ぼけ眼を擦る。誰やこんな時間に…つぶやきながら、意味もなく天井を見る。 ピンポーン。 はいはいはいはい…しょーもない事やったらしばくぞ、ホンマ… ベッドから転がるように降り、玄関に向かう。明かりをつける。 ピンポーン。 電気がついたらチャイムは押さんやろ、普通。何を考えとんねん。 だいたい、近所迷惑やろ。 「…誰やねん、こんな時間に」 壁にもたれ掛かりながら、細目の男は明らかに寝起きと分かる低い声でインターホン越しに聞く。 「なんだ、こんな時に寝とったんか博。相変わらずマイペースだなぁ」 山本は一瞬にして目が覚めた。聞き覚えのある声だった。 「あ、敦さん!?」 あわてて玄関を開けた。男が見慣れた笑顔で立っていた。開いた口が塞がらなかった。 「おいおい、敦さんはないだろ?博」 真っ白なスーツを着た田村敦の姿がそこにあった。
490 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:10:30 ID:bsb6YIli0
「キョオーモゲーンキナアーサガキター、シアワセイッパイアーサガーキター」 「−−−%&☆@◇*ッ!!」 鶴舞公園のスピーカーから大音響で響き渡るエース清水の歌唱と思われる歌声は、常人よりも繊細な部類に入るGacktの神経を覚醒させるに十分であった。 起こされなくても、とっくに起きてるっての。いや、ほとんど寝てないっての。この状況で熟睡なんか出来るかよ。 歯噛みをするGacktの耳からあまりに美しすぎた歌声がフェイドアウトし、ほどなくして、あの、ドームで聞いたデーモンの声が飛び込んできた。 「皆さん、おはようさん…デーモンですー。こっちも各局総力あげて中継さしてもらってますから、この調子でどんどんいっちゃってください」 そしてデーモンは至極当たり前のように、これまでに死亡した人間の名前を、そしてそれを放映した時点の瞬間最大視聴率をアナウンスした。 「おかげさまでいーい絵を撮らしてもらってますー。今日も一日、頑張ってください。」 むざむざと殺されてなどやるものか。早くトラップを張らなければ……… 木の枝で作った鳴子は着実に増えていた。 支給品のゲイラカイトにセットされていたたこ糸で繋ぐ。 来るな。来るな。誰も来るな。ここへ来るな。 ひとつ、またひとつ、Gacktは無心に鳴子を繋いだ。
491 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:15:17 ID:bsb6YIli0
名鉄の線路沿いを南に歩く2人の影。 「…それにしても、腹減ったな」 この殺人ゲームが終わったら、きっと何ごともなかったかのように日常生活が始まるのだ。 オレ達の事も、いずれ忘れ去られる。そう考えて、youはふっと笑った。 「どうしたんですだ?」 「いや、オレもいずれ死ぬんだよな、と思ってな」 「そんな、止めてくれよ…」 そうだ。人間の一生なんてたかだか80年。 ka-yu、お前もだ。…尤も、そう簡単に死ぬつもりはないが… 2人はナゴヤ球場の近くに来ていた。辺りを朝日が包み始めている。 「あ、you、店が開いてるよ。ひと休みできるね」 ka-yuは言うが早いか走り出していた。 「おい、待て」 youの制止もka-yuには届かない。あっという間にその姿はシャッターの下りていない喫茶店に消えた。
492 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:20:59 ID:bsb6YIli0
…バカが。敵がいるかもしれないのに… youはka-yuの後を追った。そして、自分の考えが間違いでない事を知った。 「不用心だなyouさん、ka-yuさん。」 ka-yuの視線の先には銃が。そしてその銃を持っているのは… 「雅くん、何で…」 「ここにいれば、誰かが来るだろうと思ってな。リュックを降ろして両手を挙げろ」 「…雅くん、オレ達を殺す気?」ka-yuが聞く。 「いや、あんたらはオレのターゲットじゃない」 「ターゲット?」 「ん?ああ、気にするな…なんだyouさんは携帯テレビか…貰っておくぞ。…おいおいka-yuさん、あんたは石か。貧乏くじだったな」 リュックを調べ終わると、雅は銃を腰のベルトに差した。 …ここはこの人に従う他ないか…だが…。youは後ろポケットに手をやった。 小さなビニールに入った白い粉。自分に与えられた本当の武器はまだ黙っておいた方がよさそうだ。
493 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:29:06 ID:bsb6YIli0
「あんたら、TAKUI見なかったか?探してるんだよ」 言いながら、雅は立ち上がった。 「え、TAKUIですか…って!雅くん!」 自然と雅の姿を目で追い、そしてka-yuは気付いた。 雅のジャケット、腹部の辺りに広がる赤。 「雅くん、怪我してるんじゃないか…そこ、血が…」 「…これは返り血だ。質問に答えろ」 雅はベルトに挿した銃に手を伸ばして見せた。 「えっ、あっ、見てない…ねえ、you」 youはコーヒーを啜りながら頷いた。 「そうか、ならいいんだ。…俺はもう行くから」 そうですか、それは良かった。youは胸を撫で下ろした。 「じゃあな。せいぜい生き延びろよ」 「待ってくれ、雅くん」 ka-yuの声が、雅の背に向かって鋭く飛んだ。 「雅くん、一つ教えてくれ。 あなたは人を殺したのか」 一瞬の間の後、振り返らぬまま雅が答えた。 「殺したよ、優雅を。TAKUIも吉井さんも殺すつもりだ。 最後の仕上げには、高みの見物をしてるあいつをな」 そこまで言い、振り向いた雅の顔は笑っていた。
494 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:35:06 ID:bsb6YIli0
「松岡さん、隠れるのダメ。出て来い」 …アホが、好き勝手言ってくれる。出て行ったら殺すつもりだろうに。 斬り付けられた左手を押さえながら、毒づいた。 青龍刀を振りかざしてきた竜太郎の目を支配していたのは、間違いなく狂気。 誰も殺さず、誰にも殺されず事が終われば良かったが、そうは問屋が下ろしてくれないらしい。 自分の足下に目をやると、左腕を伝った血が点々と落ちていた。傷は浅い。だが、いずれ見つかる。 …やるしかないか。そう決めると不思議と心が落ち着いた。 「松岡さぁぁん?ドコデスかぁ?」 デビューして何年になるんだよ?いつまで経っても変なヤツだ…。 顔をしかめながら、リュックの中に手をやる。 「ハハハァ、こっちカ」 どうやら血の痕を見つけたらしい。足音が次第に大きくなる。 不意に…松岡は立ち上がり、振り向きざまに手榴弾を投げた。 その手榴弾が松岡の足下に転がるのを確認すると、 松岡はリュックをつかんで走り出した。 背後で爆発が起こった。
495 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:39:36 ID:bsb6YIli0
爆音に気付き外に駆け出したka-yuの目に映ったのは、黒煙の立ち上る「ナゴヤ球場前」駅の残骸だった。 「こりゃひどい…」 後から追いついたyouが眉を顰める。 「…おい、you。こっち来てみろ」 youが考え込んでいる間に、いつのまにかka-yuは瓦礫の中に立っていた。 「そんなとこ危ないよ、ka-yu」 「いいから。これ…見ろよ」 瓦礫に足をとられないよう恐る恐るka-yuの隣まで歩き、それからyouは腰を抜かした。 「おい、危ないぞ…そんなとこに座ってどうする」 「だ、だって、これ!竜太郎さん…が、死んでる…」 youの足元には、頭と右腕の無い焼死体がうつ伏せに横たわっていたのだ。
496 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:48:09 ID:bsb6YIli0
山本博は田村淳がいた空間をぼおっとながめていた。 頭の中では、淳の言葉が繰り返されていた。 「俺達も、もしかしたら参加させられるかも」 …何やて?… 「これから、塚地と板倉の所にも行く」 塚地さん?板倉て、ピンクハレルヤか? 「もしかしたら、これが最期になるかもしれん」 …え?最後?最後って…何でや? 「これからのお笑い界を、よろしく頼む」 え?何言うてますの?淳さん…オレ達はいまお笑い芸人なんやで…
497 :
バトル序盤 :2005/09/08(木) 21:56:28 ID:bsb6YIli0
何が起こったのか分からず、混乱した頭のまま寝室に戻った。 これは…夢ちゃうやろか。頬を抓る。痛い。夢ではない。 不意にテレビが目に入った。何かに導かれるようにスイッチを入れる。 深夜番組らしく、妙に高いテンションの番組が映し出された。 「松岡がTAKAを、雅が優雅を、そして未遂に終わりましたが、清春がkiyoを… これが今後、どういう影響を及ぼすのか、ひじょーに注目される所です」 アナウンサーの声と同時に画面に出たのは4人のバンドマンたちの顔写真。 TAKA/松岡に刺殺、IZAM/清春に斬殺、testu/首輪爆破(実験台)、優雅/雅に銃殺… 殺人番組。一瞬、その考えが頭を過った。だが、あり得ない…この日本でそんな…。 だが、カメラがスタジオ内をパーンした時、絶望的な表情を浮かべる西川と、 邪気のない笑顔を浮かべるデーモンの顔が写った。 「…そういうことでっか…淳さん…分かりました。」 山本は理解した。 少しでもヴィジュアル系にかかわった自分達、いや、少なくとも自分の使命。 それは、この馬鹿げたプログラムの後も、ヴィジュアルバンドをこの世に存在させる事。 ならばこの出来事は全て見ておかなければならない。
498 :
Nana :2005/09/08(木) 23:58:19 ID:Ob843l1x0
>>1 やり直すなら中日を見本にしないで他のロワを見本にしろ。
激しく読みづらい。
499 :
Nana :2005/09/09(金) 01:54:01 ID:9EZ9HFJ4O
こっちも面白いよ。 自分は小説書かないからかもしれないけど
500 :
Nana :2005/09/09(金) 03:32:31 ID:qxlDsU9c0
500
501 :
Nana :2005/09/09(金) 09:52:56 ID:QfN0mGDXO
久々に見たら寄与と湯が加わってる…。 市なないでーーーーーーーーー!!!。・゚・(ノд`)・゚・。
502 :
Nana :2005/09/09(金) 11:20:29 ID:JFgBUssYO
清春ひどい扱いw
503 :
Nana :2005/09/09(金) 13:08:21 ID:LM4H9dk8O
504 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:22:53 ID:yCgCoiPj0
〜〜〜ヘリからの警告を聞きhydeとyasuは西へ向かっていた。放送から30分たっただろうか。 2人は歩き続けていた。 東区からは出た。 「これからどうする」 hydeはバッグの中に入っている水を飲んだあと言った。 「うん・・・」 「とにかく仲間になってくれそうな人を探そう」 「そうですね」 hydeとyasuは進み続けると、大きな通りの交差点がある所に出た。 十字路の真ん中に誰かが立っている。 2人から見て後ろ向きに立っていて顔はわからなかったが、服装を見て誰だかわかった
505 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:26:51 ID:yCgCoiPj0
ディルの京だ。 「京さんだ」 yasuは京の方へ走っていった。 「京さんはここで何してるんですか」 yasuと京との距離が5メートルくらいになった時、京は2人の方に向いた。 京は向いたと同時に何かを構えていた。 ボウガンだ。 「yasuくん、逃げろ!」 hydeはyasuの方へ走りながら叫んだ。コイツは殺る気になっている。 ボウガンから矢が発射された。 「うっっ」 矢がyasuのわき腹をかすった。 「yasuくん!・・・くそっ!!」 hydeは倒れているyasuの所へ駆け寄った。 yasuが顔中汗だらけになりながら苦しんでいる。
506 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:30:15 ID:yCgCoiPj0
「大丈夫か」 カチャカチャ。京の方から音がする。hydeが京の方を見ると、京が次の矢を装填しているのだ。 俺たちを殺す気か―― やばい。この距離から矢をさけるのはまず不可能だ。 仕方がない・・・。hydeは自分のバッグを開け、奥底にしまっているあれを取り出した。 ―――使わないと決めていたが 京にあれ・・・COLT GOVERNMENT M1911A1を向けた。 「ここから消えろ。撃つぞ」 声が震えていた。当たり前だが、こんなセリフ今まで言ったことがない。 「・・・・・・」 京は表情を変えず、ボウガンをおろした。そしてそのまま走っていった。 「yasuくん、大丈夫か」 「・・あぁ・・」 汗がひかないyasuは弱々しい声で言った。 「とにかく手当てしたほうがいい。民家に行けば何か道具があるはず」 yasuを担ぎ、歩いていった。
507 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:39:00 ID:yCgCoiPj0
長島温泉・ホテル花水木。 名古屋のインディーズバンドマンの一人であるTUBAKIは、浴衣姿で部屋の窓から庭園を眺めていた。 お父さんは、大丈夫かな……。 TUBAKIには、父と慕う人物がいた。 SUGIZOU。 同じ高校の出身というだけで、一回り以上も年齢の離れたSUGIZOUはTUBAKIにあれこれと世話をしてくれていた。 「今日から俺のことは、父だと思って何でも言いなさい」 「親子と言えども音楽の場では他人だ!」 ……わけのわからない人だったなあ。 親子ほど年齢の離れた二人ではあったが、SUGIZOUが年齢に似合わず若々しくTUBAKIがしっかり者であったため、まるで兄弟のようにも見えた。 表情を曇らせたTUBAKIの耳に、電子音の『True Blue』が入った。 慌てて取り上げた携帯電話の画面には、メールの着信記録が表示されていた。
508 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:44:45 ID:yCgCoiPj0
臨時閉店中のツクモ電機本店の片隅に、人影があった。 一心不乱にキーボードを叩くルキと、それを観察するのにもいささか飽きた様子のYOMI。 「やった!!YOMIさん、通じましたよ!!」 腕を引っ張られて画面を覗く。 「何だ?これ」 「何だ、って…、ええとこれはですね、ブラウザから見られるフリーのメールを……、あーもう気にしないで下さい、メールが外の人間と通じたんですよ」 馬鹿にしたような口調に少し腹が立ったが、渋々指を差されたところを見る。 Date: Mon, 25 Mar 2005 9:32:55 +0900 (JST) From: tubaki@******.ne.jp To: ruki_a@*****.co.jp Subject:ルキさん?! TUBAKIです!!今どこにいるんですか?他の人達とは 一緒なんですか?!僕達は他のインディーズバンドと一緒に長島温 泉に来ています。
509 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:46:42 ID:yCgCoiPj0
「……これ、誰?」 ルキは満足げに笑みを浮かべた。 「知り合いですよ。マシンは落としてあったけど、ネットワークの回線は生きていたんで、設定変えたら繋がりましたよ」 「そっかあ長島温泉か……こっちは生きるか死ぬかなのにいいよなあ。 で、どうするんだ?」 ルキが口を開こうとしたそのとき、裏口で物音がした。 「おーーーーい、誰か、いるのか?」 言葉を返す代わりにルキの口をついて出たのは小さな溜め息だった。 厄介なことになったなあ………。
510 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:52:45 ID:yCgCoiPj0
『君には悪役になってもらいたい』 松岡は血まみれで瀕死状態のAKIを見つめていた。 常にこの言葉が頭から離れない。 ゲームが開始し、名前が呼ばれドームのゲートから外へ出ようとした時 「ちょっと君、来てくれないかな」 40代くらいの男性に呼び止められた。 「君にやってほしいことがある」 理由もわからないまま、男性についていった。断る理由もないしな。 男はドーム内の駐車場にあるワゴン車の中へ松岡を連れて行った。 「さっそくだが、君には悪役になってもらいたい」 意味がわからなかった。悪役?? 「いきなり言われてもわけわからんかもしれんが、悪役を演じて欲しいんだよ、君にね」 松岡は黙ったままでいた。状況がいまいちつかめない。 関係者の1人がニヤニヤしながら言う。
511 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 16:56:26 ID:yCgCoiPj0
「ほらぁ、ヴィジュアル系バンドってどちらかというと仲良しグループて感じじゃん。だからさぁ、殺し合いをやると言ってもなかなか実行する奴いないと思うんだよねぁ、だったら視聴者も楽しくないじゃん?」 奴らが言っていることが何となくわかった気がした。 「要するに俺にチームメイトを積極的に殺して欲しいって言ってるんだな」 「まっそんな感じ」 冗談じゃない。チームメイトを殺すなんて・・・。 「やめてもらっては困るんだよねぇ。こっちとしては。上の人たちに頼まれたことだし」 他の関係者たちがニヤニヤ笑っている。 「本当に出来ません」 「こっちが何回頼んだってそう言うと思ったよ。だからねこっち側もねいろいろ考えたんだよ」 「君さぁ、奥さんいるでしょ?」 ・・・何言ってるんだ? 「断られたら困るからさぁ、君の家族を人質としてとらせてもらったよ」 「・・・嘘だ」 「いやいや、本当さ。別に信じなくてもいいけどさぁ、その代わり君の大切な家族殺しちゃうよ?いいの?」 どうやら本当らしい。俺が従わなければ妻は殺される。俺が従えば妻は助かる。
512 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:01:27 ID:yCgCoiPj0
本当に頭にくる話だ。しかし・・・ 「わかりましたよ。やりますよ。その代わり妻は解放してください」 妻が無事でいるんならそれでいいかもしれない。 「OKね。あとこの事は口外しちゃダメだよ。盗聴器があるから丸聞こえなんだからね」 関係者たちの話を聞き終え、松岡はワゴン車から出て歩いた。 「あとー、ボクたちの話は放送されないからさぁ、君は視聴者から見たら本当の悪者にしか見えないんだよー。誰も同情すらしてくれないよーー」 ワゴン車の窓が開いて男が10メートルくらい離れた松岡に言った。 悔しい、悔しすぎる!あまりにも無力な自分が。 そして今・・・ いきなり襲ってきたAKIを(この人はずいぶん前から発狂していたんだろう)突き飛ばし、AKIが持っていた銃(イングラムM10サブマシンガンというらしい)を奪い、突き飛ばされているAKIに銃口を向けた。 AKIに向けて容赦なく撃った。 AKIの体が何回も跳ねた。そして動かなくなった。 松岡自身は気づいていなかったが、彼はもう家族のために殺してはいなかった。 すでにこのプログラムに魅了されていたのかもしれない。 あぁ、悪役も悪くないかもな。
513 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:06:13 ID:yCgCoiPj0
HIDEKIは一瞬、「それ」を巨大な蜘蛛の巣かと錯視した。 嫌味なくらい天気のいい午前中の公園に、 「それ」はあまりにも似つかわしくない存在だった。 「Gackt、お前…」 十重二十重に張り巡らされた凧糸と鳴子の巣の中、 Gacktはぎらぎらとした目を遠藤に向けたが、何も言わなかった。 「何だよ、これ。変…だろ。 かえって目立つじゃないか、こんなに糸張ってたら」 鳴子と糸を使った罠自体はごく一般的なものだ。 しかしGacktが公園の一角に作り出していた「それ」は、 糸の張り過ぎでもはや罠としての役割を果たしているようには見えなかった。 実際、ここ鶴舞公園に入ったほぼその瞬間、 遠藤はこの蜘蛛の巣を見咎めたのだ。完全に周りの景色から浮き上がっている。 「なあ、Gackt、聞いてるのか…」 「来るな、来るな、来るな、来るな…」 会話にならない…HIDEKIは首を振った。
514 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:08:40 ID:yCgCoiPj0
Gacktの目はこちらを向いてはいるが、HIDEKIを見てはいないらしい。 狂ってしまったのだ。Gacktは。 「Gackt、お前、その巣にいれば自分一人助かるって思ってるのか。 お前がそんな奴だなんて思わなかったよ…」 蜘蛛の糸に縋っても、自分一人助かろうと思った人間は地獄に落ちるんだぜ。 心の中で呟くと、HIDEKIはその場を後にした。
515 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:13:28 ID:yCgCoiPj0
海を臨む貨物の廃駅に造られた小さな遊園地。誰もいないはずのその場所で、観覧車が、今、ゆっくりと動き始めた。 TAKUIはそれを確かめると、目の前に降りてきた真っ赤なゴンドラに乗り込む。 一人で乗るそれはやや危なげに傾いたが、やがて安定を取り戻し、遠くに名港トリトンが姿を現す。 何度も訪れたそこは穴場でも何でもない、名古屋の定番デートスポットではあったが、夜の闇に紛れてしまえば誰も自分が著名なボーカリストであることなど気づかなかった。 名古屋の上空を巡ったゴンドラは、地面に降りる。 ドアを自らの手で開けて、TAKUIはその男と対面した。 「こんにちは、雅さん」
516 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:16:24 ID:yCgCoiPj0
「よォ」 右手で挨拶、左手に銃。 雅はあまりに非現実的な姿でTAKUIの到着を待っていた。 「馬鹿だな。こんな目立つモン動かしたら、一発で誰かいるってことが分かるだろ」 「別にどうも思わん。死ぬ前に海が見られれば、それでよかったんだ」 TAKUIは雅の脇をすり抜ける。その黒く光った拳銃の恐怖をものともせずに。 「俺に殺されることが、わかっていたのか……?」 くるり、TAKUIは振り向いて言った。その手には、いつのまにか背負ったバッグの中に収められていたワルサーPPKが握られている。 「−−−ああ、昨日の夜に、港の売店でテレビを見てたから。優雅を殺したのが貴方だってことも、知ってる」 「ふぅん……、俺と撃ち合う気か?」 目を伏せたTAKUIは首を振る。もう少しだけ時間がほしいのだと答えた。海へ行くための時間を。
517 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:21:20 ID:yCgCoiPj0
TAKUIの口から、言葉にならず、溜め息が漏れた。 「−−−これを、お願いしよう。貴方が生きて帰ったら」 「綺麗な女性だな、彼女か?」 「ああ・・・・・」 手渡されたロケットを、雅はそっとポケットに仕舞った。 「形見の品か…、俺が預かるのもおかしいがな」 「いや、貴方にこそ、持って帰ってほしいんだ。 雅は、何も言わない。 ただ、銃口をTAKUIの胸に向けていた。 「でも…、雅さんは、俺が手に入れられなかったものを全て手にしていながら、『NO1ソロシンガー』の称号を欲しがっていたんだね。 本当に手に入れたいものなんて、きっといつまでたっても手に入らないのかもしれない。 貴方もいつかわかるかもしれない、でも、貴方みたいに屈強な人は、他の人と話が合わないから、俺のことは永遠に理解できないかもしれんね」 銃声が、一度だけ響いた。
518 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:23:47 ID:yCgCoiPj0
雅は、引き金を引かなかった。 いや、引けなかったのだ、正しくは。 なぜなら、彼が引き金に力を込める以前に、TAKUIは自らPPKの銃弾を放ち、こめかみから鮮血を噴出していたからだ。 視界が真っ赤に染まった。 ゆっくりと、スローモーションで、TAKUIの身体が崩れ去る。 散りゆくTAKUIの表情は、笑っているようだった。 そして、その姿は、水面に消えていった。 苦悶の表情を浮かべながら、どす黒い波間に漂うTAKUIの頭に弾丸を打ち込む。一発、二発と。 体が沈んでいったのを見届けると、雅は踵を返して再び歩き始めた。 そうだ、それでも欲しいのだ。NO1ソロシンガーの栄光が。 ポケットの中のペンダントには、TAKUIの愛した女性が微笑んでいた。
519 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:34:54 ID:yCgCoiPj0
HISASHIは焦っていた。このプログラムが始まってから ずっと歩き回っているというのに、未だにTAKUROUが見付からない。 どこにいるんだ、TAKUROUよ。 俺たち、二人揃えばきっと生き残ることができる。 ここは中区と千種区の境界あたりだろうか。もう千種区に入っているかもしれない。 鶴舞公園にでも行って一休みして、それからまた探そう。 そうHISASHIが思ったその時、前方の道路上に人影が現れた。 かなり美形だ。一目でTAKUROUではないとわかった。 しかし、もしかしたら目撃くらいはしているかもしれない。 「HISASHIさん!?」 考えているうち、人影もこちらを見付けたらしく、一声叫ぶと一気に駆け寄ってきた。 ディルのshinyaだ。 どうも敵意は無いらしい。というか、むしろ怯えているようだ。 ふてぶてしい顔しといて、こいつ意外と気が弱いんだよな。 有り体に言ってしまえば「チキン」というやつだ。 「おい…無用心だな」 「HISASHIさん、俺、俺…」
520 :
バトル序盤 :2005/09/09(金) 17:37:43 ID:yCgCoiPj0
どうも少し動揺しているらしい。 「落ち着けよ。なあ、お前TAKUROUを見かけなかったか?」 「え、いや、見てませんけど…」 「そうか。って…ついて来る気か」 歩き始めると、shinyaはちゃっかりとHISASHIの後ろについていた。 「お願いしますよ。一人は嫌なんですよ…あの、俺の武器使っていいですから」 そう言ってバッグを差し出してくる。 「やれやれ…じゃあ預かっておく」 HISASHIはshinyaからベレッタを受け取った。さすがに本物だけあって重い。 ああ、俺は今、殺し合いの中にいるんだな。何となく実感した。 「行くぞ」 何だか変な連れが出来てしまった。
521 :
Nana :2005/09/09(金) 22:18:33 ID:ZPTHNAcP0
>>1 話の最後に誰が何処にいて、何を持ってて、どんな目的で動いてるか纏めろ
あと時間とかも
522 :
Nana :2005/09/09(金) 23:30:24 ID:dxjkL/bmO
KOHTAが出て来て嬉しいような…悲しいような…; てか、KOUTAじゃないよ…KOHTAだよ…;
523 :
Nana :2005/09/10(土) 07:44:17 ID:yTYCFVkhO
SUGIZOUじゃなくてSUGIZOだよ TAKUROUじゃなくてTAKUROだよ
524 :
Nana :2005/09/10(土) 08:15:05 ID:ARxbKmrDO
TAKUI死に際カコイイな(´∀`) 執筆ガソガー
525 :
Nana :2005/09/10(土) 08:18:44 ID:LzTenNgSO
キリトには、生きてほしいなぁ。 今だれでてんの?
526 :
Nana :2005/09/10(土) 08:56:33 ID:6Gmdfap1O
清春が陰険すぎるorz やるときはやってくれた前の方が…。 とりあえず、執筆ガンガレ
527 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:04:32 ID:RpmjDFLD0
ピンポンパンポーン 「聞こえますかぁ〜?デーモンですぅ。皆さん、本当に仲がいいですなぁ。」 …何事だ、一体?定期放送にはまだ時間があるはず… youは訝し気にスピーカーを見た。 「だけど、あまり仲が良すぎると数字が取れん。 もっと過激にせぇってクレームがガンガン来とるんだ」 …ふざけやがって…オレ達に殺し合いをさせておいて、手前は高みの見物かよ… 「そーこーで!です。今から新しいルールを発表します。よぉく聞いて下さい! 今から三日、72時間以内に一人も殺せんかった情けな〜い方の中から 抽選で一名の首輪を…爆破しまぁす!」 ! youはka-yuを見た。ka-yuもyouを見ている。 「ちなみに、今までに殺しをしている人は除外するんで安心して下さい。 抽選の結果は三日後の夕方に発表する、楽しみにしとってくれ。 」 放送が終わった。
528 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:11:50 ID:RpmjDFLD0
「おーーーい?いるのか?入るぞ???」 ルキはその間が抜けた声の主を、精一杯の『作り笑顔』で出迎えた。 「YOSHIKIさん!!!僕達とっても怖くてずっとここに隠れてましたぁ」 その隣でYOMIが舌を出してみせたが、背中を思いきりつねられてしまった。 「ん?どうした?YOMI」 「いえ…っいタッ…あ、何でもありませんちょっとやめッ」 「YOMIさんさっき拾ったお菓子食べてお腹壊しちゃったみたいなんです」 YOSHIKIはどこから持ってきたのだろうか正露丸をバッグから取り出してYOMIに飲ませた。 単純な、と言うのが失礼に当たるなら言い換えよう、YOSHIKIの素直な性格のお陰でうまくこの場は切り抜けた。 そう、この店の防犯カメラだってもしかしたらスタジオのモニターに直結しているのかもしれないのだ。 『主催者に果敢にも挑む知的な未来のロックスター』なんて、最高に格好いい絵が取れるじゃないか? しかし、全ての番組制作者がそうとは限らない。 制作サイドに火の粉が飛び散るのであれば、それを水面下でもみ消そうとする奴らもいる。マスコミの悪い癖だ。叩くときだけ好きなだけ叩きやがって。 「YOMIさん!コレ面白いんですよ!YOSHIKIさんも、ほら見てくださいよ…」 隣のマシンのブラウザを開き、YOMIに目で合図して、自分からYOSHIKIの注意をそらした。今のうちに早く指示を送ろう。 「へー…なになに」 『Welcome to Way To Win ようこそ雅―miyaviホームページへ』
529 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:15:29 ID:RpmjDFLD0
無茶ですよぉ〜。(>_<) TUBAKIは即座に返事を送った。 ルキからの二通目のメールには、『今から寮に帰ってほしい』と書かれていた。 なんでも、館長の部屋でやってほしいことがあるのだという。誰にも見られてはならないことなので、部外者にしか出来ないのだとも言っていた。 名古屋へ帰ることに恐怖はなかった。 ただ、問題はだ。 いったいここからどうやって名古屋へ向かえというのだろう? 車の免許も持ってないし、昨日着てきたユニホームはクリーニングに出してしまった。 頼む!信頼できる後輩はTUBAKIしかいないんだ!YOSHIKIさんとYOMIさんも君を頼りに してるって言ってるよ。fromルキ ああ、もう。何時間かかっても知りませんよ! 太陽は出ているがまだ肌寒い。浴衣に半天を羽織ったいでたちのTUBAKIは、フロントに借りた従業員用自転車のペダルを踏み出した。
530 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:21:52 ID:RpmjDFLD0
吐いても吐いてもこみあげてくる。もう胃の中は空となり、胃液しか出ないがそれ でも吐き気は収まらない。 既に事切れたシドのマオ、その遺骸の横で苦しげに蹲る松岡充。 保存食を調達しようと 出かけた丘三越でマオと遭遇してしまったのだ。 「松岡さん!」目を輝かせて駆け寄ってくるマオの右手に光るナイフを見 た時、彼は武器であるピストルを使ったのだ。マオが何を考えて いたのかはもはや知る由も無い。ただ単に護身用に持っていただけなのかも知れ ないが、どの道あんな体格の奴に刃物付きで近寄られる訳にはいかないのだ。い かに甘言を弄したとしても、いつ不意を突かれるか判ったものでは無い。 やがて、銃声を聞きつけた誰かが来る可能性に思い至った彼はゆっくりと起き上が り、その場を離れた。吐き気はまだおさまらない。
531 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:28:06 ID:RpmjDFLD0
『はーい、もうすぐお昼ですねー。ここ名古屋は実に清々しい天気で、えー、 午後の降水確率は0%だそうです。しかし夜頃から次第に雲が出てくると、 そういう天気予報が出ていますねー、はい。 えー、では二回目の「お知らせ」です。これより約二時間後の、午後一時半ですか、 それ以降、西区は立ち入り禁止になります。 今後一日二区ずつ立ち入り禁止になるので、あと七日でタイムアップですね。 まあその前に優勝者は決まると思いますが、時間切れの場合優勝者無しですよ。 先ほど放送した72時間ルールもありますからね、皆さんどんどん殺しあって下さいねー。以上でーす』 くそ、耳障りなヘリコプターめ。でも西区で助かったな、今のところ関係ない。 hydeは息をついた。しかし、すぐについ先ほどの放送を思い出し唇を噛む。 72時間以内に誰かを…?できるものか。自分の首輪が必ず爆発するとは限らないのだし。 しかし、だ。この広い名古屋で、あと一週間でケリが付くのだろうか… もし一週間後、二人以上の生存が確認されれば、優勝者は無し。全員死亡。 ともかく信頼できる仲間が欲しくてyasuと組んだけれども、そして今でもyasuのことは信頼しているけれども、 二人だけ生き残ったとして、その時どうする?
532 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:32:08 ID:RpmjDFLD0
「おい!yasuくん!!」 yasuが負傷した右わき腹をおさえて倒れていた。 近くによってみると、右わき腹からの真っ赤な血が包帯の上ににじみ出ているのがわかった。 昨晩、京が放った矢によってケガをしたyasuだが、その後すぐに民家にある出来る限りのもので手当てをし、その時には血が再び出てくるようなことはなかったのだ。 とにかくyasuを何とかしなければ。yasuの顔は真っ青である。 もっとまともな治療道具があるところへ行かなければ。 しかし、こんな状態のyasuを外へ出すのはあまりに無防備すぎる。 「yasuくん、外へ出よう」 hydeはこの家の車庫に車が一台あるのを思い出した。 これだと誰にも狙われずに遠くまで行くことが出来るだろう。 右にyasu、左に2人のバッグをかかえてhydeは車庫へ向かった。 とにかく大きな病院へ向かおう。 yasuを後部座席に寝かせて、トランクにバッグを押し込め、エンジンをかける。 さぁ、病院に向けて出発だ。
533 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:36:33 ID:RpmjDFLD0
何重にも張り巡らされたタコ糸を、TAKUROは1つ1つ切っていった。 1本切るたびに木の枝で作られた鳴子がカラカラと乾いた音を立てた。 巨大な蜘蛛の巣状の砦の中心部には、先ほどまで狂気の瞳でわめいていたGacktが、今はピクリとも動かずに地に倒れ伏していた。 足元に溜まっていく糸を踏みつけながら、TAKUROは途中で手に入れたー誰かが持っていた武器だったのだろうか、 それとも一般市民の忘れ物かはわからないがーその小型ナイフで張られた糸を丁寧に切り開いていった。
534 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:39:55 ID:RpmjDFLD0
TAKUROはようやく中心のGacktのもとにたどり着いた。 体を起こして鼓動を確認する。 ・・・生きている。 狂気を越えてのショック死を懸念してはいたが、どうやら気を失っているだけのようだ。 そしてTAKUROは手にしていた小型ナイフをそっとGacktの手の下に置いた。 拾った時には自分の護身用にしようと思っていた。 しかし護身のためとはいえそれで誰かを傷つけるつもりはなかった。本来の支給武器である銃でも、である。 Gacktがいずれ目を覚ました時、狂気に堕ちたままか、それとも正気に戻っていてくれるか、それは分からないが、TAKUROはGacktの命を繋ぎたかった。 Gacktが正気に戻ってくれることを望み、それに希望を託したかった。 TAKUROは立ち上がり、しばらくGacktの姿を見守るようにして、植え込みを出た。 再びHISASHIと合流すべく歩き出した。
535 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:46:43 ID:RpmjDFLD0
hydeとyasuはやっとのことで名大病院へ着いた。 2人は薬品庫を目指した。 家にあった救急箱のマキロンと塗り薬で何とかすることくらいが自分の出来る限りだった。 とにかく消毒できるものを探さなければ。 hydeはyasuを床に座らせて、棚の中を探し始めた。 「おい、何やってるんだ?」 ビクッ、突然の声にhydeは飛び跳ねそうになった。 誰だ?振り返るとドアの前にイエモンの吉井が立っていた。 「吉井さん・・・」 yasuもすっかり驚いている様子だ。 「これはこっちのセリフだ。ここになんでいるんだ?」 俺たちを殺しにきたのか。あの放送でお前もやる気になっているのか。
536 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:52:20 ID:RpmjDFLD0
hydeはポケットの中で民家で見つけた携帯用のナイフを握っていた。 「俺はドームを出てから今までずっとここにいたんだ。hydeくんたちは?」 「・・・・・」 まぁ、yasuの状態を見れば明らかだろうが、hydeはなぜか黙っていた。 「俺を信用していないのですか?俺は誰かを殺す気なんてありませんし、武器だってほら・・・」 吉井は右手に持っていたアイスピックを見せた。 「だけど、信用した俺たちを背後から襲うことはできる」 「hydeさんもう少し人を信用しましょうよ。みんなが人を殺すわけじゃないし」 yasuの言うことはもっともなことかもしれない。 「・・・吉井さん・・すまねぇ」 hydeは素直に謝った。 「いや、いいんでだ。で、yasuくんそのケガはどうしたんだ。まさかあの時の京の・・・?」 「吉井さんなんで知っているんだ?」 近くから見ていたのか?あの場所には誰もいなかったはずだが。 「ここの待合室で見ていたんだよ。京が殺そうとしたところを」 吉井は棚の中を払拭しながら淡々と言った。
537 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 16:56:04 ID:RpmjDFLD0
「テレビで見れるのか・・・」 hydeたちが今までいた所は妨害電波のせいで見れなかったうえ、車内でもラジオが聞けなかった。 吉井は棚から瓶2、3本を取り出し、引き出しから包帯を持って、2人の所へやってきた。 「ちょっと痛いかもしれませんが、我慢してくれ」 yasuのわき腹の傷口に消毒液をつける。 「吉井さん、あんた・・・」 「"ケガしている人が近くにいるから助ける"じゃダメか?」 吉井さんはhydeを見て笑った。 ははっ、コイツはいい奴かもしれない。がしかし、何かをもう悟っているようにも見える。 自分の死がすぐ近くにあることを。 「テレビで見たことを話して欲しいんだが」 「・・・いいよ」 手当てしている吉井は渋々うなずいた。
538 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 17:03:23 ID:RpmjDFLD0
吉井はyasuとhydeにテレビで見たことを話した。 「吉井さん、話には出てこなかったけど優雅は誰に殺されたんだ?」 「・・・」 吉井は黙っている。 「吉井さん?」 「本当に何も知らないんだね。でもそれは誰だかは言えん。そして俺はその人に狙われているんだ」 一瞬の沈黙。しかしそれは随分長く感じた。 「教えてくれ、誰なんだ?」 「hydeさんたちは大丈夫。バンドだから。俺はソロだからという理由で狙われている。TAKUIくんが自害したというのもその人が絡んでたし」 殺されるかもしれないというのに、恐怖とかそういうものを一切感じさせないそんな話し方だった。 「そうか・・・これからどうするんだ?」 「ここから出る。まだ妨害電波の届かない地域の方が多いから。他のバンドマンもテレビを見ているかもしれん。hydeさんたちも早くここから出たほうがいい」 「わかったよ・・・。がんばってこいよ」 何にがんばってこいなのかよくわからなかったが、そうとしか言えなかった。
539 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 17:12:06 ID:RpmjDFLD0
「じゃあ、hydeくんもyasuくんも無事でいてくれよ」 吉井は2人に深く礼をして薬品庫を去ろうとした。 「吉井さん、Gacktは、Gacktはどうしてる?」 hydeがドアから出ようとした吉井を呼び止めた。 「Gacktくんか・・・。会わないほうがいいよ。今はどうかわからんけれどテレビで見た限りでは、今のGacktくんとまともに話すことは難しいと思う」 「どうして?」 やたら熱心になって聞き出すhyde。 「どうしても会いたいというなら鶴舞公園へ行った方がいい。Gacktくんはそこにいると思う」 「すぐそばだ。吉井さん本当にありがとう」 Gacktに会える喜びのせいかhydeはとてもハキハキしている。 「では、さよなら」 吉井はそう言って薬品庫から出て行った。吉井の足音が遠のいていく。 「これからどうします?」 吉井さんの言ったとおりここから出たほうがいい。 「Gacktの所へ行く」 「Gacktさん!?でも今のGacktの状態を聞く限りでは・・・」 「yasuくんに行く気が無いなら俺1人でも行く」 「・・・わかりましたよ、俺もいきますよ」 2人は病院を後にした。
540 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 17:17:28 ID:RpmjDFLD0
Gacktの顔を不意の水が襲った。 それが刺激となって、Gacktはようやく意識を取り戻していた。 目を開けると、木々に遮られてはいるものの、昼の高い日差しが眩しい。 Gacktは再び目を閉じた。 頭がクラクラする。 バトルロワイヤル。チームメイトたちとの殺し合い。 悪夢のような事実をぼんやりと、そして次第にはっきりと思い出した。 あれからどれだけの時間が経ったんだ? そして俺は何をしていたんだ? 再び目を開けて、Gacktは首を左右に傾けた。 「!?」 Gacktの顔に再び水が掛かった。飛び起きる。まだ飛び起きるだけの体力はあるようだ。 「・・・公園?」 植え込みから見える芝生の中でスプリンクラーが作動している。さっきから掛かる水はこれだったらしい。 まだすべてが理解できないままぼんやりとスプリンクラーから放たれる水の放物線を見ていたGacktは、ふと手に当たる冷たく硬い感触に気付いた。 「ナイフ・・・だ」 こんなものを手に入れた覚えはない。しかし自分の手の中にそれはあった。 「誰が・・・」 自分の得たゲイラカイトとは違う、立派な武器だ。そんなものをわざわざくれるような相手に覚えはなかった。 考えあぐねてふと近くに視線を落とすと、木の根元に木の枝で書いたような文字があった。
541 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 17:20:18 ID:RpmjDFLD0
『生き延びろ』 馬鹿げた悪夢のようなこのゲームをどう生き延びろというのか。 しかし、その言葉はGacktの心に深く深く染みた。 Gacktは立ち上がった。 手にした小型ナイフを見やって、それをギュッと握り締めた。 植え込みを抜けたGacktの足元に、散乱したタコ糸の山があった。 自分がそれで何をしようとしていたのかは分からない。 しかしこれをこんな風に切った人は、きっと自分を救い出してくれたのだろうと思う。 ナイフをくれたのもその人だろう。 『生き延びろ』 心の中で言葉を反芻した。 生きよう。 Gacktの目にはもう狂気のかけらも無かった。 昼の強い日差しを浴びながら、Gacktはまっすぐ前を向いて歩き出した。
542 :
バトル序盤 :2005/09/10(土) 17:23:37 ID:RpmjDFLD0
現在2日目の昼 清春は「自分より売れている奴」 雅は「ソロ歌手」を標的に移動中
543 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう :2005/09/10(土) 17:24:19 ID:RZYOc1k3O
おもしろいです!書いてくれてありがとうございます。 なんか言う人もいますが、今現在の1さんなりのやり方で満足です。 がんばってください!
544 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう :2005/09/10(土) 22:09:15 ID:LzTenNgSO
キリトが清春押さえればいいのに
545 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:23:32 ID:QjHcXERH0
test
546 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう :2005/09/10(土) 23:23:58 ID:bkdYd9Nt0
キリト如きじゃ無理w ある意味じゃ清春が最強だろうよ
にしても扱いひどいw >>清春
548 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:25:27 ID:QjHcXERH0
松岡は唖然としていた。 倉庫の中には、武器の山、また山。 整然と立てかけられた小銃の列を前に、しばし立ちすくむ。 「好きに使え、と言う事か。」 ようやくたどり着いた結論に、体中の力が抜ける。 陸上自衛隊守山駐屯地。 これから戦い抜く為に便利な道具でもないか、あわよくば退避のどさくさにどこかにし まったまま忘れられた武器のひとつでも、と思って来たのだが、結果は予想以上だ。 武器庫の鍵は開いていた。主催者側の差し金だろう。ここの存在に思い至った者へ の贈り物。ここにある物を使って、このイベントを盛り上げろとのメッセージ。 「すべてはお釈迦様の手のひらの上、だな・・・。」 とりあえず64式小銃の列からスコープ付きの物を取り、マガジンを着ける。 サイドアームに9ミリ機関拳銃。
549 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:28:29 ID:QjHcXERH0
支給されたバッグに手榴弾と予備の弾薬を放り込み、他の火器類に目をやった。 「持ち歩くには重過ぎるな。だが・・・・何かの役には立つかもしれん。」いくつかを手近 にあった台車に積むと、それを押して武器庫を離れた。 「このへんかな・・・。」 台車に積んだ重火器を近くの民家に隠すと、再び駐屯地に戻って来た松岡。 肩には重火器のひとつ、カール・グスタフ対戦車無反動砲。 教本を開き、操作法を確認する。武器庫までは約300m。少し近すぎるが、これ以上 離れると障害物が多すぎる。覚悟を決めて、照準をつける。 「悪く思うな。他の奴らにここのブツを渡すのはまずいんだ。」 誰にとも無くそうつぶやく。 予想したよりも発射のショックは大きかった。飛び出した砲弾の行方を見定める暇 も無く、横にある建物の影に飛び込む。 最初の爆発に続いて・・・大地を揺るがす轟音。内部の弾薬類が誘爆した。
550 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:31:50 ID:QjHcXERH0
hydeは目に見えて落ち込んでいる。 何と言っていいかわからず、yasuは痒くもないのに首筋を掻いた。 まあ、当然か。怪我しているのにあまり気落ちするのも問題だが。 つい五分ほど前、Gacktは確かにhydeの目を見て言ったのだ。 俺は誰とも組めない、と。 きっと迷惑をかけるから、とも。 それだけだった。hydeがどんなに引き止めようとも、Gacktは振り向きさえしなかった。 吉井の言っていた事と関係があったのだろうが、プログラムが始まってから今までの間に、Gacktに何があったのか…
551 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:33:40 ID:QjHcXERH0
(よかった。hyde、まだ生きていたんだな。) Gacktは歩を進めながら、ふと笑みを口元に浮かべた。 これから自分がどうしていくのかを考えながら歩いていたところへ、hydeとyasuが現れてくれた。 「なぜ?!」 一緒に行動しよう、と誘われて断った。 少し悲しげで、すがりつくような目でhydeは俺を見ていた。 でも俺は、「一緒には行けない。誰とも組めない。」と繰り返した。 「どうして?」 hydeは何度も繰り返していた。 でも、断った。「きっと迷惑をかけるから。」、と。 背を向けた俺に、hydeは何度も何度も同じ言葉を繰り返した。 「どうして?」 それに・・・。 Gacktは顔を上げた。 Gacktは短く息を吐いた。そして再び歩き出した。
552 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:36:06 ID:QjHcXERH0
アンちゃんは随分長い間空を眺めていたが、ふと目の疲れを覚えて寝返りをうった。 先ほどまで両足が信じられないほど痛んでいたのたが、だんだん意識が薄れてきたお陰か、今はそれもあまり感じなくなっていた。 ここ庄内緑地は、じきに立ち入り禁止となる西区の中に位置している。 留まるのは自殺行為だ、そんな事は解っていた。 でも、だからどうしろっていうんだ?アンちゃんは自嘲した。 二本の足の折れてしまった今となっては、この広大な緑地の外に出ることさえ叶わない。 ただゆっくりと迫る死を待つのみだ。 どうして人間は殺し合いなどするのか、全く馬鹿馬鹿しくなってくる。 そう、けれども、全ては自業自得なのだ。 ヘリコプターによる放送の直前頃、自分はここで清春を見付け、攻撃したのだから。 こちらの武器はコルトパイソン357マグナム。 完全な不意打ちで、銃弾は間違いなく清春の背中を抉るはずだった。
553 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:37:24 ID:QjHcXERH0
…清春が防弾チョッキを身に着けてさえいなければ。 そしてアンちゃんの足はへし折られた。追ってこられないようにと。 勿論、銃はバッグごと持ち去られ、もうここには無い。 それから五分も経たぬ内に、西区が立ち入り禁止になるとの予告があったのだ。 そろそろ二時間経つ頃だろう。 ああ、生きて帰りたかった。 家には家族やメンバーが待っている。 悲しいほど美しい景色の中、アンちゃんは自分の首輪が発する電子音を聞いた。最後通牒だ。 「ごめんな」 画面の向こうにいるであろう家族たちに、アンちゃんは囁いた。 この緑地を血で汚してしまうのは残念だが、自分はここまでらしい。
554 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:43:59 ID:QjHcXERH0
TAKUROは大きく伸びをした。 名古屋の広さを実感する。歩いても歩いてもHISASHIには会えない。 (他にいそうな場所は・・・) 誰かいるだろうと思って鶴舞公園にも行ってみた。 そこで見つけたのは狂いかけのGackt。 TAKUROは知らなかった。 自分のいるその場所から公園をほんの半周もしないところにHISASHIがshinyaとともにいることを。 (栄にでも行ってみるかなぁ・・・) 当てがないのだから人が来そうなところを探すしかない。 もちろんそれは既に殺人鬼に化しているバンドマンに出くわす危険もあるのだが。 そんなTAKUROの目の前に突然飛び出してきたものがあった。 「HISASHI!? ・・・HAKUEIくんか・・・」 痩身・美形がTAKUROに重なるHAKUEIが目の前に立っていた。 HAKUEIの手には誰かの死体から奪ったサブマシンガンがあった。 その銃口が静かに自分に向けられて、TAKUROはゆっくりと息を吐いた。
555 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:46:15 ID:QjHcXERH0
自分の武器・デリンジャーはバッグの底にしまったままだ。 すぐに出せれば威嚇にくらいは使えたかもしれない。 でもどちらにしろHAKUEIのマシンガンの前には、逃げるすべはない。 HAKUEIは何も言わずに銃口を向けている。殺す気なのだ。 命乞いなど何にもならないだろう。 HISASHIに会えずに死ぬのは心残りだが、仕方がない。 TAKUROはもう一度深く息を吐いて目を閉じた。 (マシンガンで蜂の巣なら、苦しまずに死ねるかな) TAKUROはそんなことを思っていた。 「ぐあっ・・・!」 叫び声をあげたのはHAKUEIの方だった。 TAKUROは目を開けた。HAKUEIが顔を抑えて足元に転がっていた。 その傍にまだ揺れながら落ちているのは、フリスビー。
556 :
バトル中盤 :2005/09/10(土) 23:51:47 ID:QjHcXERH0
「TAKURO!」 「HISASHI!!!」 TAKUROは振り返った目にHISASHIの姿を認めて、嬉しそうに顔をゆがめた。 HISASHIはshinyaに荷物を預けてTAKUROに駆け寄った。 倒れているHAKUEIにshinyaから預かった銃を向けて威嚇しながらHISASHIはTAKUROの肩に手を置いた。 「よかった。大丈夫か」 「あ、ああ。」 言葉を交わし、笑みを浮かべた2人の足元でHAKUEIが体を反転させた。 「あっ」 足を掴まれてTAKUROはビクッと体を震わせた。 瞬間、HISASHIは引き金にかけていた指に力を込めた。 「ヒィ・・・ッ」 HAKUEIの手がTAKUROから離れた。その腕の付け根に血がほとばしっていた。 「た・・・助けてくれ。俺達を殺し合わせた主催者が悪いんだ。一緒にあのバト・・・」 ピピピピピ・・・ HAKUEIの首輪が警告音をたて始めた。 あの禁句を口にしかけたHAKUEIの口封じにあいつらが装置を作動させ始めたのだ。 HISASHIはとっさにTAKUROの腕をひいて離れた。 背後で軽い爆発音がした。
557 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう :2005/09/11(日) 20:22:22 ID:ACSF4E2x0
今まで出た参加者 ジャンヌダルク yasu,ka-yu,you,kiyo PIERROT キリト、アイジ、KOHTA ラルクアンシエル hyde,tetsu GLAY TAKURO,HISASHI ディルアングレイ 京、shinya Gackt,松岡充、YOSHIKI,櫻井敦司(B-T),雅、ルキ(ガゼット)、清春 TAKA(ラクリマ)、IZAM,優雅、TAKUI,YOMI(メア)、マオ(シド)、AKI(ラピュータ) 河村隆一、アンちゃん(マシンガンズ)、HAKUEI(ペニシリン)、HIDEKI(シャムシェイド) 吉井和哉(イエモン)
558 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 22:59:06 ID:szNLXZMX0
さてと、この辺りか。 吉井は道路脇に救急車を停め、辺りの様子を窺いながら外に出た。 二時間前に雅がガーデン埠頭にいたことを考えると、真っ直ぐ歩いていればこんな辺りか、もう少し北か。 まあ、何しろ雅は携帯テレビを持っているのだ。 恐らく自分が車で移動している姿も見ていただろうから、向こうから来てくれるだろう。 「吉井さん」 そう、こんな具合に。達瑯は声のした方に顔を向けた。 道路の向こう側、丁度山北の死角になっていた建物の陰から雅が姿を現す。 左手に握り締めているのは、長身に似合わぬ小さなリボルバー。 「…雅くん」 自分の口元が笑っている。 嬉しいわけではない。楽しいわけでもないのに。 「動くな」 「わかってるよ」 辺りを見回しながら、ゆっくりと雅が道路を横断する。 「何がおかしい」 「別に、何も」 あなたの姿だよ、と言うのを堪えるとまた口元が緩む。 道路を渡りきった雅が露骨に顔を顰めた。 「死ぬのが恐くないのか…」 言いながら間近で見上げてくるその顔は、明らかに疲弊していた。 「恐いけど」 胸に銃口が押しつけられる。 「そうは見えないな」 「知ってるんでだろう。おまえにだったら殺されてもいい」
559 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:03:28 ID:szNLXZMX0
口説き文句のような気障な台詞が、するりと喉を通って出てきた。 「俺はあなたが思ってるほど立派な人間じゃない。 この期に及んでもそれが解らないのか。俺は人殺しだ」 「…俺はただ、雅の手助けがしたいだけだ。 ソロ歌手を全員殺すのがおまえの目的なら…それに殉じるよ。 雅は、いい人だから」 「お前は馬鹿な奴だ」 雅が銃を握り直す気配がした。いよいよらしい。流石に鼓動が早くなってきた。くらくらする。 バンッ! 激しい衝撃が、胸のみならず全身に走った。 吉井にとって雅はライバルとすべき星だった。 その輝きが永遠に失われないことを、四散していく意識の中で願う。 俺の死があの星の、ほんの一片にでもなれればいい。ほんの一輝きにでもなれればいい。
560 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:07:14 ID:szNLXZMX0
時刻は午後四時を回ろうとしていた。 15分間のニュースを放送している今の時間は本来ならば休憩になるところであったが、スタジオにはにわかに慌しい空気が流れていた。 西川は極力平静を保とうとしていたが、歩み寄ってくるディレクターを避けるわけにもいかず、仕方なく耳を貸した。 「何者かが首輪のタイマーを停止したらしいんです」 男は告げた。指差された方向を見ると、確かにスタジオの壁に設置された二つのカウンタ…『全員の首輪爆破まであとXX:XX:XX』『無作為爆破まであとXX:XX:XX』の表示は『99:99:99』に切り替わっていた。 本部には厳重な警戒態勢を敷いている。しかし外部からメインサーバのデータへ不正アクセスが行われたらしく、現在制御不可能な状態となっているそうだ。 「まったく酷い損害ですよ…視聴者からの苦情の電話は鳴りっぱなしですし、復旧作業には丸一日かかると見ています」 それだけ言うと男は去った。ニュースの時間が終わったので、カメラはスタジオに切り替わる。 司会者は視聴者へのお詫びを告げ、現在状況を説明し始めた。 西川は興味なざげな顔をいまだ保っていたが、テーブルの下で両手を組んで祈った。 どうか少しでも生き長らえてほしいと。
561 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:10:43 ID:szNLXZMX0
「えーー皆さん、システムエラーによって首輪のタイマーが止まってまーす。 残念ながら当分の間は爆発しませーん。一人も殺せなかった人にも少々余裕ができましたー。 明日には復旧しますので、せいぜいチャンスだと思って引き続き頑張るようにー」 NHKのヘリが去ると、ルキは小さくガッツポーズを決めた。 TUBAKIが昇竜館に到着すると、ルキは即座に指示を送り、村田館長の部屋に鎮座するサーバの設定を変更させ、外部からのtelnetアクセスを可能にした。 昇竜館サーバ経由で本部サーバに接続すると、手探りではあったがまず手始めに首輪の制御装置を停止し、先のアナウンスに至ったのである。 YOMIとYOSHIKIはもはや出る幕なしで、ネットサーフにも飽きてしまった様子だ。 しかしそんな二人に構っている余裕はない。ルキはディレクトリ構成をひとつひとつ調べていた。 しかし。 『サーバから切断されました』 思いも寄らないメッセージに、ルキは表情を凍らせた。
562 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:14:26 ID:szNLXZMX0
−−−どうした?フリーズしたか? 停電です(>_<)いきなり落ちちゃいましたよ〜!! 騒がしい日常とはうって変わって物音ひとつしない寮の館長室で孤軍奮闘していたTUBAKIは肩を落とした。自分が現在生き残っているバンドマンたちの生命を左右しているという事実に疲労はかなりのものだった。 −−−仕方ない。復帰したら連絡してくれ ルキからの連絡はそれで途絶えた。重圧からようやく解放されたことで、TUBAKIはそのままマシンの前で横になった。窓から西日が差し込んでいる。 ギシッ。 何かがきしむ音が、耳に入った。 飛び起きる。 誰か、いる。確実に。 辺りを見回した。目に入ったのは、消火器。 安全ピンを外して構える。
563 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:17:14 ID:szNLXZMX0
ギシッ。ギシッ。ギシッ。 鼓動が早くなる。 大丈夫、大丈夫、バンドマンは皆、仲間なんだ。 ガラッ。 「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」 ドアが開くと同時に、TUBAKIはレバーを引いた。 一面、真っ白になる。 もくもくと立ち上る粉末が落ち着いたとき、そこに姿を現したのは、頭から粉をかぶった、真っ白なSUGIZOの姿であった。 「………あ、おとうさん!」 「ぶほ、なんだ、TUBAKIか。ぶほ!ぶほっ…お前の部屋で昼寝させてもらってたぞ。あーあ、こんなにしちゃって」 安堵によって脱力したTUBAKIは床に膝を付いた。表情は、笑っていた。目の前でむせているSUGIZOも、笑っていた。
564 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:24:24 ID:szNLXZMX0
「なんだって!?」 hydeとyasuは本部からのアナウンスを聞いてほぼ同時に立ち上がった。 「俺たち脱出できるんじゃないのか?」 hydeは興奮気味に言う。 「でも1日たったら復旧するんですよ?俺たちが東京の外へ出たってバレたらそこで終わりか?」 「それまでにこの首輪を壊せばいいんだよ。」 確かに。今だったらこの首輪を壊したって自分たちに何の危害もない。 「みんなを集めよう」 yasuは肩にバッグをかけ、行く準備をしている。 「みんなだって別々に逃げるって。行こう」 hydeもバッグを持って、2人は歩いていった。 中央本線沿いを歩き、金山駅からは国道沿いを南下していった。 hydeは脱出できることがうれしいのだろう、足取りが軽い。 しかしyasuは不安に思っていた。 そう簡単に脱出なんて出来るものなのだろうか。殺し合いのためのこのゲーム、こんなにもあっけなく終わるのか。 yasuは前方を歩いているhydeを見ると、hydeが動かずに止まっているのが見えた。 「hydeさん?」
565 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:29:19 ID:szNLXZMX0
走ってhydeのもとへ行ってみるとそこには妙な光景が見えた。 「一志くん・・・」 それはただ立ったままの一志と血まみれになり倒れているバロック圭の姿があった。 「ち、違うんだ!!」 一志は2人の方へ近寄ってくる。 「違うんだ。あいつがいきなり襲ってきたんだ。殺されると思ったから必死に抵抗して・・・」 「抵抗して銃を奪って殺したんだね」 「そうだ。本当に殺されそうだったよ」 やけに淡々と話す。本当に殺されそうだったのか。 「一志くんはさっきの放送を聞いたのか?」 「聞いたよ。もちろん逃げるつもりだ。で、その前にいきなりこいつが襲ってきたんだ」 偉そうな話し方。彼から全く今までの恐怖などが感じられなかった。 hydeも不信そうな目で一志を見ている。
566 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:32:53 ID:szNLXZMX0
yasuは圭の死体を見た。シャツの胸の辺りが真っ赤に染まっている。 もっと近寄って見てみると胸に1箇所だけ大きな穴が開いていて、そこから血が出ている。胸に一発撃たれたらしい。 襲われそうになった相手から銃を奪いその銃を相手に向けて撃った時、こんなに正確に胸に撃てるのだろうか。しかも一発で致命傷となっている。 一志は嘘をついているのではないか。 「うわっ」 後方からhydeの叫び声がした。 振り返ると一志がhydeを人質にとっていた。 右手に握られた日本刀らしきものの刃がhydeの首にぴったりくっついている。 「hydeさん!!・・・・・・あんた何考えてるんだよ!」 「ふっ・・・俺は君達を殺してから逃げるとするよ。これで俺は圭、hyde、yasuと3人殺したことになるのか。すごいな、俺ふふふ」 一志は狂っていた。yasuに対し開かれた目は赤く、狂犬病にかかった犬のようだった。 「hydeさんを離せよ」 「くっくっくっやだね〜〜ん」 怒りでどうにかなりそうだった。しかしここは冷静になりつつ言った。 「一志くん、逃げたほうがいいんじゃないか?早くしないと首輪が元通りになってしまうよ」
567 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:37:03 ID:szNLXZMX0
「あんたさぁ、本当にバカだな。本当にここから逃げられると思ってるワケ?誰かが本部のコンピューターに入って、この首輪を破壊したとしてもよぉ、そんな復旧に1日もかかると思うか?その手のエキスパートに頼めばほんの1,2時間で元通りになるさ。 1日かかるんだと信じるバカは逃げてる途中でバーンって首が吹っ飛ぶのさ。しかしまぁ、このゲームの誰かだと思うが勝手に侵入した奴もバカだよ。見つかったらどうなるのかわかっているのか?本部からすれば自分がやりましたって言ってるもんだよ」 hydeもyasuも驚いている。一志はやけに的確なことを言っている。 狂ってはいないのか。 「俺たちはこのゲームから逃げる逃れられないんだぜひゃーひゃひゃっひゃっ」 やっぱり狂っていた。 「なぁyasuさん、あんたの銃貸せよ」 yasuはバッグの奥から銃を出し、構えた。 「あひゃ、俺を殺すのか?しかし、あんたみたいなヘタレが撃ったってhydeさんに当たるだけだぞひゃーひゃっひゃっひゃっ」 ―――尊敬する先輩を殺すなんて無理だ さっき言ったばかりだった。しかし、このまま一志に銃を渡せば2人とも殺されてしまう。 「さすがアマちゃん、撃てるものなら撃ってみろや」 プチンとyasuの頭の中の何かが切れた。 その時だった。 一瞬のすきをつき、hydeが一志から離れた。 「うああああああああああ!!!」 yasuは引き金を引いたのだった。 パンッ 一志の額のほぼ中心に小さな点ができ、そのまま後ろへ倒れていった。
568 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:42:40 ID:szNLXZMX0
『一人も殺せなかった人にも少々余裕ができましたー』 さっきのデーモンの放送はなんだったのだろう。 Gacktは空を振り仰いだ。 狂気の中でGacktは先の放送を聞いていなかった。 72時間以内に1人も殺せなかった者の中から抽選で1名の首輪が爆発する、というあの放送を。 Gacktは何をするべきか考えながら、ただ足をライブハウスへ向けていた。 当てがあるわけではなかったが、何かある、と思っていた。 「Gacktさん」 不意に後ろから声が掛かった。 「YURAくん・・・か?」 Gacktは振り向かなかった。振り向く必要はなかった。 背中に当てられているのは多分、銃口。 「なんで俺を殺す?」 Gacktの声は冷静だった。 YURAはGacktの背にコルトを突きつけていた。 「・・・死にたくないんです」 「そうか」 Gacktは静かに息を吐いた。
569 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:45:16 ID:szNLXZMX0
「逃げないんですか?」 YURAは尋ねた。普通ならば逃げる。命乞いの一つもするはずだ。 「銃を押し付けられて逃げられる余裕があるか。俺がちょっとでも動けば引き金を引くんだろう」 YURAは答える代わりに更に銃を押し付けた。 死にたくないから殺す。 でも・・・。 少し心をざわめかせた、YURAの隙をGacktは見逃さなかった。 一瞬を衝いてGacktは体を沈ませた。 YURAの足を払い、倒れたYURAの上に馬乗りになった。 「わああああああっ」 YURAは怯えたようにGacktに銃を向けた。 しかし動揺したその手は照準を定めることは出来なかった。 大きな反動とともに放たれた弾は清春の顔の横を通り過ぎた。
570 :
バトル中盤 :2005/09/11(日) 23:48:10 ID:szNLXZMX0
再びGacktに向けたコルトが火を吹く前に、GacktのナイフがYURAの細い首を撫でた。 2度目の銃弾は虚空に飛んだ。 YURAの首から生暖かい血が噴きだすのを、Gacktは黙って見つめていた。 人を殺すのはなんて簡単なんだろう、そう思っていた。 Gacktは立ち上がった。 YURAはもう動かない。 Gacktは再び空を振り仰いだ。 高みの見物をしている奴らにこの苦しみが分かるか。 今のを中継で見て喜んでいる奴らに。 ただのエンターテイメントとして笑っている奴らに。 GacktはYURAにしばしの黙祷を捧げた。 そしてたらの手からコルトを外して携帯するとGacktは再び歩き始めた。 YURAを殺したことが、72時間後(もう少し猶予は減っているだろうが)の無作為爆破からGacktを救ったことなど知ることもなく・・・。
571 :
Nana :2005/09/12(月) 00:42:05 ID:4w5dmjRx0
なんでメリーででこないの(;´д`)…
572 :
Nana :2005/09/12(月) 13:46:02 ID:l/ehaQke0
誰もメリーなんて興味ないからじゃないかな
573 :
Nana :2005/09/12(月) 13:51:37 ID:gv5+UOlvO
そういうな
574 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:33:18 ID:e/0nJflq0
「あ…」 ガバメントを取り落としそうになり、yasuは漸く全身が震えていることに気付いた。 慌てて握り締める。落として暴発でもしたら大変だ。 ――人殺しが命を惜しむのか? 「あ…あ、そうだ、俺、一志くんを…一志くんを」 息ができない。目の前に横たわるのは一志の死体。 「殺したんだ…」 ふ、と足から力が抜け、yasuはその場に尻餅をついた。 力の入らない手で、バッグの底に銃をしまい込む。 「yasuくん、しっかりしろ…」 hydeが駆け寄ってきた。どうやら怪我は無いようだ。 しかし、yasuの心が安らぐことは無かった。
575 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:37:53 ID:e/0nJflq0
灰色がかった雲が空全体を覆っている。 これから雨でも降るのだろうか。 kiyoは見上げてそう思った。 つい先ほど目が覚めたばかりのkiyoはキリトが作ってくれた料理(これがまたすごくおいしいものらしい)を食べ、少し外の空気を吸いたいということで今、熱田神宮敷地内の歩道を散歩している。 kiyoが外へ出たいと言うとキリトはもちろん反対した。 それでもどうしても出たいと言ったら神宮敷地内だったらということで許してもらった。 kiyoがわがまま言って外へ出たかったのはただ外の空気を思いっきり吸いたかっただけなのである。 ふぅーーーーーー kiyoは深呼吸した。 そして空を見上げ、雲をじっと見ていた。 「・・・っ」 左太ももが痛む。清春にやられた太ももが。 kiyoの中に恐怖がぶり返した。 また清春さんに会ったらどうしよう。
576 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:40:23 ID:e/0nJflq0
「よぉ」 背後から声がした。 ビクッ、心臓が飛び跳ねそうだった。 そしてkiyoが振り返る間もなくその声をかけた人物はkiyoの口元を手で押さえ、首にナイフを突きつけた。 「・うう・・・」 「動いたら殺すぞ」 その男は耳元で囁いた。 その声はどこかで聞いたことがある。 あまりの恐怖でおかしくなってしまっているkiyoははっと一瞬正気に戻った。 ま、まさか・・・・・ さらなる恐怖が襲った。 汗でアンダーシャツは背中とぴったり密着している。 パラパラと雨が降ってきた。 男はふっと鼻で笑い、kiyoの口元を押さえている左手でそのまま後方へ押し、倒れたkiyoの上に馬乗りになった
577 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:47:23 ID:Y88qFI1Y0
「き、清春さん・・・」 清春の冷え切った目がkiyoを見下ろしている。 死にたくない、助けて・・・ 前にもこんなことがあった。あの時はキリトが助けてくれた。だが今はキリトはいない。キリトのいる売店とは少し距離が離れている。 「ううっ!!」 清春は両手でkiyoの首を絞めた。 ・・・た・・すけ・・て・・・・・くるし・・・い・・・・・ 清春は相変わらず冷たい目でkiyoを見ている。 目がかすみ、音も聞こえなくなってきた。 ・・・き・・よはる・・・さん・・ やがて意識が遠のいていった。 清春はkiyoが全く動かなくなるのを確認すると、先ほどのナイフをkiyoの胸めがけて思いっきり刺した。そしてもう一度。 何度も何度も刺す。力任せにメッタ刺しにした。 気がつけば清春の服はkiyoの血で赤く染まっていた。 雨は降っているが服の血はとれない・・・ ようやく清春は立ち上がり、近くに置いてあった自分のバッグを持ち熱田神宮を後にした。 ザーザーと降る雨の中、清春は小さな声でつぶやく。 「hydeはどこだ・・・」
578 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:50:14 ID:Y88qFI1Y0
…誰か来るな… 気配を感じ、京は咄嗟に手近の建物の陰に隠れた。 耳をすますと、足音が聞こえた。 そっと足音の主を確かめると、そこには右手に拳銃を持った犬神凶子の姿があった。 こちらに気づいた様子はない。まだ、距離がある。 相手は銃。不意を付くより他にない。 もっと近くへ来い。もっとだ…。 足音が少しずつ、大きくなる。 同時に、自分の鼓動も少しずつ大きくなる。 ちっ、こんな所で緊張するとは…オレもまだまだだな… 心の中でそう呟く。 失敗すれば、自分が殺られる。 足音がすぐそこに聞こえた。 よし、今だ。 「ホールドアップ、京」 背後から変な声がした。
579 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:56:19 ID:Y88qFI1Y0
同時に、頭に冷たい鉄の塊を押し付けられた感触が。 「…そのメイク…お前ら、グルだったのか…」 「ホールド、アップ、京」 犬神ジンはゆっくりと同じ言葉を繰り返した。 …京はサバイバルナイフを投げ捨てた。 「はいはい、分かりましたよっと!」 振り向きざま、ポケットから果物ナイフを抜き、切り掛かった。 が、手首をジンに掴まれ、そのまま後ろ手にひねりあげられる。 「ぐあっ…」 降参しても、殺される。となれば、一か八かに賭ける他ない。 だが、その博打も失敗したようだ。…くそ、ここでゲームオーバーか… ガチャッ。 京の目の前に無線機らしきものが落とされた。 見上げると凶子がその物体を指差し、その後、自分の耳を指差した。 同時にジンも手を離す。 「…これを付けろ…ということか?」 訝しがりながらイヤホンを耳にあて、無線の電源を入れる。 「おお、京くん、久しぶりだのぉ」 ドームでも聞いた憎々しい声が聞こえて来た。 「閣下…あなた…!」 「怒っとるんか?はは、まぁそうだろうな。ところでな、お前に頼みがあるんだ」
580 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 18:59:34 ID:Y88qFI1Y0
デーモンの頼み。それは、このゲームを盛り上げる事。 そのために、無線の指示通りに動いてもらいたい、と言う事。 もちろん断る事はできない。 だが、他のバンドマンの動向を把握したまま動けるとなれば、生き残る確率は高くなるだろう。 「どう、悪い話じゃないだろ?」 「…オレの命もあなたの思うがまま、というわけか…」 「ま、そういうこった」 「…仕方ない、乗ってやるさ」 「ええ返事だ。褒美に隠してある武器の場所も教える」 「用意周到だな」 「まぁ、そう褒めんでもいい。じゃぁ、最初の指令だ。な〜んもせんと、うどん食べてる奴らがおるらしいな」 …とことんやってやるさ。だが、これが終わったらあなたを必ず殺す。 「レッツゴー、京」 ジンが声をかけた。いずれ裏切る事を約束された、とりあえずの仲間だ。 京、凶子、ジンの3人は、動きだした。
581 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:07:16 ID:Y88qFI1Y0
白い天井が視界に広がっている。東海林のり子は空に腕を上げてみた。指を曲げたり伸ばしたり。 よし、動ける。 医務室のベッドから上半身を起こし、彼は意識を取り戻すまでの出来事を回想した。 マスコミからの突然の通達。 今まで育てたかわいい我が子達に殺し合いをさせるという事実。 怒鳴り込んで行った社長室で―――急に意識を失ったのであった。 しかしこれくらい大したことはない。東海林はドアを開け、勝手知ったるドームの通路を歩き始めた。 エース清水は代用に急遽あつらえられたサーバマシンの前で大あくびをしていた。 メインサーバのデータはあろうことかDATテープにバックアップを取ったのみだったので、清水はその入れ換えを指示されていた。 一本推定6時間×3本。テープが最後まで回るのをじっと待つ。 そのときドアが開いた。目の前に、眠っているはずの東海林が姿を現した。 「あんたなんでここに…うッ」 ロッキーの如き東海林の腹部への一撃で清水の身体は崩れた。 「すまん」 清水からサングラスを奪い取ると、それらを身に付け、東海林は部屋を後にした。
582 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:13:50 ID:Y88qFI1Y0
元デュールのsakitoは、迷った挙句に今日もまたテレビの電源を入れてしまっていた。 次第にはっきりとしてきた画面に真っ先に映し出されたのは、 デーモンが作り笑顔を顔全体に浮かべつつ原稿らしきものを読み上げている姿だった。 定例放送中、と画面の右下にテロップが出ている。 「はいはい、皆さんお元気ですかー。 五時になりましたんで死亡者の名前を放送しまーす。よく聴いて下さいよー。 今朝の九時から、これまでに死んだ人数は…えー11人か。 なかなかのペースだな。では、死んだ順番に読み上げますー」 何だって。sakitoは思わず目を見開いていた。 もうそんなに死んだのか。そんなに殺し合ったのか。 それは本当に自分が所属していたあのヴィジュアル系の話なのか。 眩暈がした。悪夢なら今すぐ覚めて欲しかったが、残念ながらやはり現実らしい。
583 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:18:16 ID:Y88qFI1Y0
「竜太郎、マオ、TAKUI、AKI。ここまでが朝に死んだ人です。 昼組は…アンちゃん、HAKUEI、吉井、圭、一志、YURA、kiyo。と、これで11人ですね。 kiyoが殺される瞬間は特にいい視聴率が出ましたー。いや、ありがたい事です。 …ああ、それでは、ここでスタジオに届いた応援ファックスを読み上げます。 これ聴いて元気出して、またどんどん殺し合って下さいね。一通目は…」 駄目だ、やはり見たのは間違いだったのだ。とても耐えられない。 sakitoはテレビのリモコンを取ろうとし…そこでふと気付いた。 西川がスタジオにいない。確か「解説」とかで、一日中スタジオに座らされているような雰囲気だったが。 『西川解説員は現在ヘリコプターで横浜に向かっています』 画面にその字幕が表示されたのと、手元にあった携帯電話の着信メロディが鳴り響いたのは同時だった。 薄暗い部屋の中、光る液晶ディスプレイに、西川からの電話だという情報が表示されていた。
584 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:23:12 ID:Y88qFI1Y0
徐々に強まる雨と夕闇の中、カンテラを手に夜回りをしていたPIERROTの一行は、つい先ほどまで彼らと歓談していたkiyoの凄惨な死体を発見し、身動きはおろか呼吸をすることさえも困難になっていた。 「俺のせいだ、俺が行かせたせいだ」 やっとの思いで声を絞り出したキリトはじっと目を強く閉じたまま、こぶしを握り締めている。 「…こんなときまで、一人で背負い込まないで」 アイジがそっと肩に手をやる。 その後ろで一人、KOHTAは初めて目の当たりにする現実により言い知れない恐怖に襲われていた。 先刻まで生きていた人が、今は死んでいるという現実。 キリトに止められたとはいえ、昨晩自分が犯そうとした罪が、たった今、別の人間の手によって犯されたという事実。 哀しみを理解する前に、彼の身に降りかかってきたものは、『恐怖』だった。 怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。 キリトが、kiyoの傍らにしゃがみこんだ。 せめてもの弔いに、瞼を閉じてやった。 すると、何か感触を得たキリトは、kiyoの瞼に触れた手をまじまじと見つめる。
585 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:27:16 ID:Y88qFI1Y0
「…花粉だ」 手についたのは花粉。もしかしたらそれは、犯人が残した手がかり。 「KOHTA、お前園芸に詳しかったよな。分かるか?」 雨で匂いは薄れていたが、それでもKOHTAは差し出された手の花粉を精一杯記憶と照合させる。 「………蘭、だと思う…デンドロビウムかな…蘭…蘭……ランの…館に…いる?」 そう呟くや否や、KOHTAは休憩所まで走り去った。キリト達が止める声など耳に入るはずもなく。 そしてバッグを手にすると、すぐに部屋を飛び出した。 誰だ、俺にこんなに怖い思いをさせるのは。 俺が犯そうとした過ちへの報いなのか。 こんな現実、乗り越えてやる。 kiyoを殺した奴を殺して、乗り越えてやるんだ。
586 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:35:11 ID:Y88qFI1Y0
激しく降りしきる雨の様子をhydeは窓から眺めていた。 一志を銃で殺してしまったyasuは激しく気落ちしていた。 そんな気落ちしているyasuにhydeはかける言葉もなくなっていた。 そんな中、雨がパラパラと降ってきてあっという間にザーザーと激しく降り出したのだ。 とにかく雨宿りできそうな場所を求め、hydeは歩く気力もないyasuを引っ張ってここ金山駅まで来たのだった。 2人は駅内の事務室で雨宿りすることにした。 hydeは今までの出来事を思い出してみた。 ゲーム開始からいきなり松岡に担がれているTAKAの死体を見た。そして京にはボウガンを向けられわき腹を負傷した。名大病院では吉井が名前を聞いたこともない薬を使って手当てをしてくれた。 鶴舞公園で探していたGacktに会った。そして彼に一緒には行けないと言われ、しばらく落ちこんだ。yasuに元気づけられ、そんな時に一志に出くわした。人質にとられそしてyasuが発砲・・・。 こんな経験一生かかったってもう二度と出来るもんじゃない。
587 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:42:33 ID:Y88qFI1Y0
「誰を連れてきてもいいと雅に言われたけど、 俺はsakitoくんしか居ないと思ったんだ」 電話の向こうで、西川が飄々とした調子で言っている。 それを半分くらい聞き流しながら、 sakitoはゆっくりと今まで言われた事を頭の中で整理していた。 雅がNO1ソロシンガーの栄光を掴むため、優雅を、吉井を殺し、 そして最後に西川に挑戦状を叩き付けた。 「俺をかつごうとしてるんじゃないっすよね?」 「こんな大規模なドッキリがあるか。 いや、ドッキリだったらどんなにいいかと今でも思うよ」 NHKの全国中継を二日間に渡って利用した壮大なドッキリなど、 普通に考えてあるはずがない。 「…解った。すぐに準備する」 「ああ、頼んでおいてこんな事言うのも何だけど…命の保証は出来んよ」 その事についての心配はしていない。 雅は俺を殺せない、sakitoは確信していた。 電話を右手に左手にと持ち替えつつ、 sakitoはふと窓の外を見た。 まだこの横浜に雲は来ていない。空に星が輝き始めていた。 名古屋は、雨だというのに。
588 :
Nana :2005/09/12(月) 19:47:27 ID:AzZPkeccO
俺はその日、本屋で立ち読みをしていた。 見ていたものはアニメ雑誌だ。 するとそこへ、見た目どう見ても25歳以上のゴスロリ服を着た女が二人、やってきた。 女共は、俺の少し離れた横へ来て、ひそひそと何かを話したり、俺の顔をのぞき込んだりしていた。 そして言われたのだ。「マジおたくだよ〜」「くすくす」 その言葉を聞いて、俺はもう耳を塞ぎたくなった。なるべく女共がなにを喋っているのか、聞かないようにした。 俺はその後うろうろして、日も落ちてきたので帰ろうとしたら、道を女共が塞いでいる。どうやらライブがあったらしい。 引き返すには遠すぎて、退いてもらうには多すぎた。 その邪魔な女共の中に、さっきの二人はいた。ギャーギャー言って押し合っている。 俺はそれを見て確信した。ヴィジュアル系好きは、見た目で男を判断する、低脳な生き物だと。 そして自分の醜さには気づかない、愚かな生き物だと。
589 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 19:52:52 ID:Y88qFI1Y0
590 :
Nana :2005/09/12(月) 20:56:10 ID:4w5dmjRx0
>>589 まじっすか(( ;゚д゚))アワワワワ
まじありがd…
591 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 22:23:07 ID:TZiIludr0
「何だよこれは…」 駅にあるコインロッカーの前で京は毒づいた。 デーモンから指示された番号の扉を開けると、そこには草刈り用の鎌が置いてあった。 いや、良く見れば柄の先に鎖が繋がっており、先端には鉄の分銅がついているのが分かった。 …これが武器だというのか?古いカンフー映画でもあるまいに。 「贅沢言ったらいかんぞ」 イヤホンからデーモンの声が流れ込んで来た。 「相手はほとんど丸腰だってな、そんなに差を付けたら不公平だろ」 楽はさせないということか。いいだろう。 鎖鎌を手にして振り返ると、ベンチに連れ2人が座っている。 ジンは黙々と散弾銃を磨き、凶子はトカレフを弄んでいる。 最初の抽選で手に入れた武器だ。 外を見ると、夜の雨の中から森が目に入ってきた。 あそこにキリトとアイジがいるらしい。 「恨みはないが、狩らせてもらうぜ」 頭の中では狩りのプランが練られている。 デーモンの思い通りに動くのは癪だが、どうせなら派手な場面を演出してやろう。 京は2人の連れへ歩み寄った。
592 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 22:27:40 ID:TZiIludr0
高架下で2人の男が肩を寄せあっていた。 全身を濡らす雨が体力を奪う。 「もうすぐだ」 とにかく誰かと合流したい。 そう思ったka-yuとyouは、紆余曲折の末にテレビで見たキリトたちを思い出した。 「夜のうちに行くぞ」 ka-yuはそう告げた。 頷いたyouはナゴヤ球場前駅の瓦礫から見つけた青龍刀を握っている。 「竜太郎さん…僕たちを守って下さい」 そう青龍刀に祈るyouをka-yuは冷ややかに見ていた。 「死んだ人間に何ができる。生きている奴だけが頼りだ」 そう言い放つと、ka-yuは雨の中へ走り出した。 竜太郎の遺品を両手に持ち直すと、youも後へ続いた。 今の2人は知る由もない事だが、間もなくそこは狩猟場になる。
593 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 22:32:38 ID:TZiIludr0
「雨、ひどくなってきたね」 TAKUROがそう言ってHISASHIを振り返った。 降り出した雨に、慌てて近くの民家のガレージに飛び込んだTAKURO、HISASHI、shinyaの3人。 これからどうしたものかも分からずに思案に暮れていたところへの雨だった。 「これからどうするんですか?」 不安そうにshinyaが尋ねた。 「・・・・・」 HISASHIは答えずにジッと降りしきる雨を見つめていた。 雨はいよいよ激しさを増してきていた。 その中に溶け込みながら、かすかに異音が響いた。 何かの爆発音。それも、大きな・・・。 3人は視界の効かない土砂降りの雨の向こうを凝視した。
594 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 22:37:01 ID:TZiIludr0
Gacktは目の前で起きたことを呆然と見つめていた。 ライブハウスに入って、上の階にある事務フロアに着いたところで櫻井と河村に出くわした。 そして有無を言わさず2人に腕を引っ張られるようにして、今来た階段を駆け下りさせられた。 間一髪、外へ出たところで上から激しい爆発音が響いたのだ。 降ってくるガラスや瓦礫から身を守るように、転がるようにしてなるべく遠くへと離れた。 なんとかバスターミナルの屋根の下まで来て、煙の立ち上るビルを見上げた。 「危なかったね」 櫻井と河村が声をかけてきた。 「・・・なんなんだ、これ」 Gacktはそう尋ねるのがやっとだった。 「トラップだったんだ。誰かが来ると予想しとったやつがいたんだろ。ドアを開けると時限装置が作動するようになっとったらしい。俺らがドア開けたらいきなり警告音が鳴り出して」 櫻井はそう言うと大きく息を吐いた。 「俺達も来たし、Gacktくんも来たんだから、仕掛けた誰かさんの読みは当たったわけだな」 櫻井の口調は軽かったが、その表情は重かった。
595 :
バトル中盤 :2005/09/12(月) 22:41:36 ID:TZiIludr0
「Gacktくん・・・これからどうする?」 河村が問いかけた。Gacktはすぐに返事が出来なかった。 「お前さんたちは?」 「俺らか? まあ、適当に名古屋の名所巡りでもして生きてますわ」 河村はそう言うと櫻井を振り返って笑った。 「Gacktくん、一緒に行かない? こんなゲーム、なるようにしかならんし。足掻いても仕方ないでしょ。死ぬ時は死ぬ時だと思って、のんびりしたらいい」 河村に誘われてGacktは少し目を伏せた。 「すみません。俺はもう少し1人で・・・」 「そうか。ま、いい。頑張ってね」 そう言われてGacktは頷いた。そして2人から離れた。 これからどうすればいいのかはまだ思いつかなかった。 でも何か、どうにか出来ないだろうか。 Gacktはベンチに腰掛けて止まない雨を見つめていた。
596 :
Nana :2005/09/13(火) 12:27:56 ID:72EZWeV70
age
597 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:26:41 ID:NKXRaZx80
暗い雨の中を、ヘリコプターのライトが円形に照らし出す。 この悪天候の中を飛ぶのは危険だと本部に散々説得されたのだが、 数十人が殺し合いをやっているこの時に何を今更、と西川ははねつけていた。 「なあ、まだ着かないのか…」 ごく狭い機内に詰め込まれる様にして乗り込んだsakitoは、 当初から頻りに外を気にしていた。 「いや、そろそろだろう」 雨の下に名古屋の街並みが霞んで見える。 「そうか…」 sakitoが何を考えているのか、西川には解らない。 ただ色々なことを考えては棄て、考えては棄て、 深く悩んでいるらしいことは見て取れた。 ずっと雅とバンドを組んできたsakitoを呼んだこと、 それは間違った選択ではないと思っている。
598 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:31:45 ID:NKXRaZx80
雅の目は、一瞬だけ見開かれた。 「sakito」 雨に紛れた呟きは聞き取れなかったが、 口の形からそう言ったのだろうと西川は推察した。 「救えないな、西川。情に訴えようってのか。 俺が今更殺しを怖がってると思うなよ」 雅は立ち上がると同時にビニールシートを払い捨てた。 ヘリコプターを背後に待機させたまま、遂に二人は雅と対峙していた。 「で、西川。どういうつもりでこいつを連れてきた。 殺す前に教えろ」 いつの間にか雅はチーフスの銃口をこちらに向けていた。 答えなくても殺すというわけだ。
599 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:38:35 ID:NKXRaZx80
「…さあ。実は大して考えがあったわけじゃないんだよ。 ただsakitoくんなら、雅くんの…何か、虚しさみたいなもんを」 言葉に詰まる。そこから先の言葉が思い浮かばなかった。 「どうした。答えられないんなら、今すぐ殺すぞ」 「…雅、駄目だっ」 sakitoが一歩前に出た。雅がぴくりと震える。 「sakito,お前までこいつの味方か!」 sakitoの一声が引き金を引いたのか、雅は一気に激昂した。 「俺はライバル全員殺してソロでNO1になって、俺に戻るんだ! その為には、西川を 殺さなきゃいけないんだよ!どうしても!」 雅は泣いていた。子供の様に泣きながら叫んでいた。
600 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:45:16 ID:NKXRaZx80
3、2、1、Fire! 木陰から犬神凶子が威嚇射撃の第一発を撃ち込む。 反応はない。 京と犬神ジンは一気にドアを蹴破った。 瞬間、弓矢が迎え撃つ。 ボウガンを構えたキリトと、鍋の蓋に包丁でとりあえずの武装をしたアイジ。 「はん、少しはやる気になったってわけか」 床に転がったラジオからは、京自身の声が聞こえていた。 盗聴。戦闘態勢に入っていたのはそういうことか。 分銅を振り回しながらじりじりと近づく。 アイジはともかく、キリトの武器なら接近戦に持ち込めばこっちが有利だ。 パァン ジンのトカレフが煙を上げた。 キリトはボーカルの命である肩に血を滲ませてうずくまっている。銃声で耳鳴りがする。 今だ、 京は鎌を振りかざして飛びかかったがアイジの向けた刃に遮られた。 ぎりぎりと互いの刃で攻め寄りあう。脂汗が額を流れる。 京はちらりとジンに目を移した。 何だよ、笑ってやがる。眺めてないで早くとどめを刺せよ。 その隙に京の身体はアイジに跳ね返された。 後方によろめくも再び体勢を立て直した京の耳、いや誰もの耳に、そのとき、呻くように重々しい叫び声が入った。
601 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:48:34 ID:NKXRaZx80
ka-yuは、目の前で起きていることを即座に理解できなかった。 その場に立ちすくむことすらままならず、がくりと地面に膝をついていた。 向かった先の寺の一角がやけに騒がしい。 息を潜めて接近すると、その先に待ち受けていたのは、あのキリトたちが襲われているところであった。 とうとうここも知られてしまったんだ… 呆然とするka-yuに、更なる予期せぬ事態が起きた。 常に自分の背後にいたはずのyouが…飛び出したのだ。 竜太郎さん、僕に、力を。 目の前にいる獲物にばかり気を取られていたジンが振り返ったときにはもはや遅かった。 youがその両の手で振りかざした青龍刀は、大きく袈裟懸けにジンの胸を切り裂いた。 絞るような叫び声を上げる。 自分に斬りかかった相手に発砲を試みるも、引き金にかけた指に込める力はなかった。 散弾銃をその場に取り落とし、ジンは、重い身体を引きずりながら、闇の中へと消えていった。
602 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 16:51:48 ID:NKXRaZx80
「邪魔が入ったか…これで終わったと思うなよ!」 捨て台詞を残して凶子とともに立ち去る京が一度だけこちらを見た。そのあまりに冷徹な視線と目が合って、ka-yuは小便を漏らしたかと思った。 やがて、静寂が寺の境内に戻る。 あの、自分の背後で怯えてばかりいたyouが。 目の前の敵に危険をものともせず立ち向かっていった。 非現実的な理想や建て前ばかりを主張して、一緒にいる意味すら忘れかけていたバンドマンが、今は自分より一回りも二回りも大きく見える。 ka-yuは、力の抜けた足でどうにか立ち上がり、目の前で剣を握りしめているyouの側へと近寄った。 「you、凄いな、見直したぞ、おい、you。you?」 ka-yuが肩を揺すった途端、youの身体は仰向けに倒れた。白目を剥いて気絶していた。
603 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:02:39 ID:NKXRaZx80
涙を流しながらも山本の眼は鋭さを失ってはおらず、 むしろいよいよ炯々と、獣のそれの様に光っていた。 「雅」 sakitoがまた一歩、歩を進めた。 「来るな!撃つぞ!」 「ええ。撃ちたければ撃って下さい。覚悟はしていますよ」 余裕の声音だった。撃てるはずがないという自信に溢れた。 「雅。雅は、ソロで一位なりたかったのか?」 「…ああ。そうだよ。何度も言わせるな」 「俺には、そうは聞こえなかった。さっきの雅の叫びは…まるで」 「黙れ!」 雅が遮った。 しかし、sakitoは臆した様子も見せずに続けた。 「嫌われるのに怯えながら外っ面を取り繕い続けるのはもう嫌だ…って、 俺には聞こえた。違うか?」 「違う…」 雅は遂に押し黙ってしまった。 あまりに分厚い偽りの仮面を着けていた雅には、 身勝手だった頃の自分が何一つ己を偽らぬ存在に見えたのだろうか。
604 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:09:15 ID:NKXRaZx80
「雅…誰に対しても本当の自分を出せなくなってから、 苦しかったから、今こうして爆発してしまったんだね?」 「なんだよ、気色悪ぃな。猫なで声出しやがって、 カウンセラーでも気取ってんのかよ、sakito」 「いや。俺はバンドのヴォーカルとして、もっと早く その苦しみに気付くべきだったと悔いているだけだ。 一番雅を追い詰めていたのは俺だ。 解らないか?雅の敵は西川じゃない。 …俺なんだよ。俺を撃ってくれ」 「sakito!」 その背に向かって西川は叫んだ。 何を言い出すのかと思えば、撃ってくれ、だって。冗談じゃない。 大体、今の雅は完全に頑なになってしまっている。誰の説得も聞くまい。 「そんな方法で西川を助けようとしても無駄だ。 俺が発砲しようとした隙に仕留めようってハラだろう。 何しろスタッフは全員お前らの味方なんだからな」 そして雅の心は閉ざされたまま。
605 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:13:34 ID:NKXRaZx80
「…解かった。じゃ、こうしよう」 西川が止める間も無かった。sakitoは駆け出し、一瞬のちに雅の左腕を掴んでいた。 「っつ…離せよっ、この」 「これだけ近ければ、隙も何も無いだろう。撃ってくれ」 sakitoは雅の腕をずらし、チーフスの銃口を己の左胸に宛がっていた。 …さあ、雅。俺を殺してくれ。 「…sakito、お前そこまで」 雅の顔が、ふと和らいだ。 「信じても、いいのか…?」
606 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:18:49 ID:NKXRaZx80
次の瞬間、西川は硬直した。 あの、もう二度と聴きたくないと思っていた 忌まわしい電子音が耳に届いたかと思うと、 「あ…sakito…」 更に二度と聴きたくないと思っていた軽い爆発音がそれに続いた。 雅の体が、赤い血の線を引きながらゆっくりと頽れる。 嘘だ… 考えるまでもなかった。雅の首輪が爆破されたのだ。 血溜まりが雨に混じって広がり始め、主を喪ったチーフスが、雨に濡れて転がる。 「…み…や…び……」 sakitoががくりと膝をつく。 西川は振り向き、ヘリコプターを睨み付けた。畜生。 「…どういう事や!何故雅くんを殺した!」 降りてきたパイロットに詰め寄ると、やはり無言で無線機をつき付けられた。 『参加者以外に危害を加えようとした奴は、その場で始末する。 運営側として当然の措置だろ? ついでに首輪の動作チェックも出来たしな。こうやって使う分には問題ないみたいで良かった』 雑音に混じり、デーモンの冷徹な声が耳を突き刺す。 「あ、あ、あ…こんな馬鹿なことがあっていいのか!こんな事が許されると思ってるのか!」 最早それ以上は声にならず、sakitoは頭を抱えて蹲った。 豪雨に体を打たれるのも気にせず、ただその場で泣いた。
607 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:25:31 ID:NKXRaZx80
どれほどの時が経ったのだろう。 Gacktはゆっくりと辺りを見回した。 少し移動しよう。このままここにいて好戦的なやつらの餌食になってもしょうがない。 そう思って歩き出したGacktの足は自然と元来た方へと向いた。 それにしても人のいない栄の街の夜は、どことなく薄気味悪い。立ち並ぶビルも入る気を起こさせない。 足を早めて若宮大通を越えかけたとき、Gacktは前方に街灯に浮かぶ人影を見た。 (清春・・・っ) Gacktはとっさに物陰を探した。 そして上を通る名古屋高速の橋脚の陰に入ろうと身を翻した瞬間だった。 「Gacktか?!」 清春の声が自分の名を呼んだ。走ってくる足音もした。 「・・・清春くん」 Gacktは観念して清春の前に出た。 「ちょうど良かった。hydeを知らないか?」 ギラギラした目をして清春はそう尋ねた。 「さあ・・・? 昼ごろyasuといるのは見かけましたが、その後は知りません」 Gacktは努めて冷静に答えた。 清春がhydeを探している。 hydeを狙っている?
608 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:30:49 ID:NKXRaZx80
hydeが狙われている。 どうすればいい? このまま背後から清春を・・・、いや・・・。 左手をナイフに、右手を銃に触れさせながら、Gacktは清春の背中を見つめた。 その時、清春が振り返った。 「Gackt、良かったらお前も休んでいかないか?」 「え?」 思いがけない誘いに驚くGacktに清春が顎で指し示したのは、道を渡った先の『ランの館』。 「なかなか快適だぞ。まさにオアシスだ」 Gacktは清春とランの館を見比べた。 清春と一緒にいればきっとhydeを救える。 Gacktはコックリと頷くと、清春の後についていった。
609 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:36:25 ID:NKXRaZx80
したたるなどという生易しいものではない、流れ出る血によって途切れることなく描かれた一本の線が犬神ジンの歩いた道筋を示していた。 己の命がもう長くないことを悟った彼はせめて、最期のときを迎えるに相応しい場所へと向かうべく進んでいた。それだけが、彼の身体を動かしていた。 白い十字の掲げられたその建物を目指し、階段を登る。歩を進めるたびに、胸の傷が口を開けようとしている。生暖かい感触が触れる。 重い扉に上体を預け、とうとう、ジンはそこへたどり着いた。 祭壇の前に掲げられたイエス像。 神に仕える者として、己の死に場所はここしかなかった。 うずく胸の傷と、膝に抱えた痛み。不思議と、それでも足は祭壇へと向かっている。 そして・・・・ 一度は死んだ身でありながら神に命を捧げた男、犬神ジンは、異国の地南山教会の礼拝堂の中で、その生涯に幕を閉じた。
610 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:43:24 ID:NKXRaZx80
雅の死体の目を閉じさせて丁寧にビニールシートに包むと、 sakitoはゆっくりと立ち上がった。 ヘリコプターの方を振り仰ぐと、西川が無線機に向かって何やら言っていた。 「西川さん」 「ああ…sakitoくん。これからどうする。何なら横浜まで送ろうか」 「あなたは本部のスタジオに戻るのですか」 「ああ。…それしかないよ」 あいつらに一泡吹かせてやりたいですからね。そう西川はsakitoの耳元で囁いた。 「俺もドームに行く」 「いや、それは…危険だよ。これ以上俺たちのせいで迷惑かけられんよ」 「落とし前をつけたいんだ。」 雅の死を看とる為に名古屋に来たわけではない。 こうなったらとことん関わってやる。
611 :
バトル中盤 :2005/09/13(火) 17:45:33 ID:NKXRaZx80
西川はしばらく俯いていたが、解かったよ、とため息混じりに言った。 「…一応本部に取り計らってみる。どうなっても知らんよ」 「覚悟はしたって言ったでしょ」 こんなプログラムを実際に見せ付けられて、黙って見過ごせるものか。 二人は再びヘリコプターに乗り込んだ。 目指すは「敵地」ナゴヤドーム。 「いつかチャンスは来ると思う」 西川が誰にともなく言った。
612 :
Nana :2005/09/14(水) 11:29:19 ID:l5znVF0j0
>>557 に竜太郎(プラトゥリ)、一志(kagrra)、圭(バロック)、SUGIZO(ルナシー)
,犬神凶子、犬神ジン(犬神サーカス団)を追加
613 :
Nana :2005/09/14(水) 14:48:32 ID:IOKBjQggO
乙です!更新も早いし、楽しく読んでます。
614 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 16:35:55 ID:l5znVF0j0
清春に連れられて入ったそこはまるで別世界だった。 煌々と点けられたライトの下、花と緑が溢れていた。 「あっちにカフェがある。冷蔵庫に食材が入っているから勝手に食べるといい」 やけに親切な清春を訝りながら、Gacktは指された方へ足を運んだ。 背後を気遣いながら通路を抜けると、広い吹き抜けの中に観葉植物に取り囲まれてカフェがあった。 キッチンに回ると清春が言ったとおりに冷蔵庫に食材が詰め込まれたままになっている。 「ふぅ・・・」 誰もいないフロアの真ん中のテーブルについて、Gacktは椅子に身を預けた。 何の音もしない静かな空間だった。 今までのことが夢のようだ。いや違う。今のこの状況が夢なのか。 どれくらいそうしていただろう。 ガサッという物音でGacktは振り返った。 「Gackt、俺にもコーヒーを淹れてくれないか」 清春がゆっくりとした足取りで近づいてきた。 Gacktは立ち上がって、その清春の姿に目を見開いた。 清春の血に汚れた服に生々しく鮮血が飛び散っていた。
615 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 16:40:25 ID:l5znVF0j0
「清春くん・・・まさか・・・っ」 Gacktは駆け出した。清春の横を抜け、さっき来た通路を逆走した。 そしてエントランスにたどり着いたGacktが見たものは、血溜まりの中に倒れているKOHTAの姿だった。 「KOHTA・・・?」 何も気付かなかった。自分がしばし休んでいる間にこんなことが起きていたなんて・・・。 「Gacktは飯は食わんのか?」 背後から声が掛かった。振り返ることが出来ないGacktのすぐ後ろに立つ気配がした。 「ほら、食え。腹が減ってはなんとやら、だ」 横から清春にパンを渡されてGacktは慄然とした。 「心配するな。お前はまだ殺さん。それを食ったら適当に好きな場所で眠れ」 清春がそう言うとGacktはようやく清春の方を振り向いた。 「清春くん、なんでKOHTAを殺したんです?」 「うん? 突然飛び込んできて掴みかかってきたから刺したまでだ」 清春は平然と答えてGacktに背を向けた。それはあまりに無防備に見えたが、だからといって不穏な動きをすればすぐに反撃されるだろう。 「まあ、今日はもう眠れ。俺も寝る」 そう言って清春は木々の重なる通路へと消えていった。
616 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 16:46:39 ID:l5znVF0j0
清春は3つ目の部屋でGacktを見つけた。 蘭のむせ返るような匂いの中で、Gacktはベンチに横たわっていた。 眠っている、その顔は険しい。 清春はジッとそれを見下ろした。その顔に笑みが広がった。 いい餌が手に入ったものだ。 hydeはGacktを慕っている。 どんなにうまく身を隠していても、Gacktが呼べば出てこざるをえまい。 出てきたところでGacktを楯に取ればhydeは手も足も出まい。 そうしてhydeをなぶり殺してやる。 黒夢が解散したとたんに売れやがって。 清春はニヤリと笑い、もう一度Gacktの顔を覗き込んだ。 改めて思う。いい人質だ。 清春は満足げな顔でゆっくりとその部屋を出て行った。
617 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 16:52:45 ID:l5znVF0j0
シャワーを浴びて戻ってくると、居間のソファで泣くTUBAKIを見つけた。雷のお陰か、電気が今になって復旧した様子である。 掠れ声は声にならない。震える手で指差すテレビ画面の向こうには、 『雅 死亡』 のテロップが、赤文字で浮かび上がっていた。 SUGIZOはTUBAKIの肩に手をやった。 たかだか18の、世間を知らない子供にこれは酷だ。あまりにも。 やがてテレビではTUBAKIがリアルタイムで観ただろう出来事がリプレイされる。 SUGIZOは、たまらずテレビを消した。 ポケットの中から取り出したハンカチで、TUBAKIの顔を拭う。 「もう、休め」 TUBAKIはこっくりと頷いた。
618 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 16:58:16 ID:l5znVF0j0
長い夜が明けた。 朝の定時放送が入る。相変わらず神経を逆撫でするようなデーモンの声が響いてくる。 「えー、じゃあ、立ち入り禁止区域ですがー、今日はぐぅーっと下がって南区。南区を立ち入り禁止にしますー。」 それを聞いて、Gacktはベンチから立ち上がった。 「昨夜はよく眠れたか?」 カフェに行くと既に清春がいた。それどころかテーブルの上には簡単な朝食の用意が整っていた。 「なんで俺にはそんなによくしてくれるんです?」 答えはなんとなく解っていたが、Gacktはそう尋ねた。 清春はニヤリと笑う。 「お前はhydeに対していい人質になるからな」 Gacktは考えていた通りの答えに小さく頷いた。 「じゃあお前は何のために俺についてきた?」 逆に清春が問いかけた。Gacktは清春をジッと見た。
619 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:01:55 ID:l5znVF0j0
「・・・清春くんにhydeを殺させないためです」 Gacktは答えた。清春もGacktの答えは解っていたようで、表情一つ変えることはなかった。 「まあ食べろよ。今日は暑くなりそうだ」 一面のガラス窓から昨日の大雨がウソのように、明るい日差しが差し込んでいた。 Gacktは清春に向かい合って腰掛けた。清春はもう食べ始めている。 それを見ているとこのゲームが本当にバカらしいモノに思えてきた。 平和だ。あまりにも平和なひとときだ。 「さて腹ごしらえもしたことだし、そろそろhydeを探しに行くか」 日常のなんでもない言葉のように清春はそう言った。 また悪夢が始まる。
620 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:08:42 ID:l5znVF0j0
「あ、誰か来ますよ」 shinyaが不意に通りの向こうを指差した。2人連れのようだ。 「Gacktと、清春くんだな」 HISASHIもそれを確認した。TAKUROも頷く。 3人は歩みを止めて2人が来るのを待った。 「あれはGLAYか?」 その頃、清春たちも前方の3人に気付いた。向こうは立ち止まっている。どうやら自分達を待っているらしい。 「・・・・・」 清春に続いて少し足を早めながらGacktは3人を見た。 「あ、TAKUROくん」 Gacktはその中にTAKUROを見つけて嬉しそうにその名を呼んだ。助けてもらったお礼を言わなければ。 「GLAYか。・・・俺より売れてるな」 駆け寄ろうとした清春の隣で、清春が呟いた。 Gacktは全身が凍りついたように動けなかった。
621 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:13:09 ID:l5znVF0j0
「・・・TAKUROっ、逃げろ!」 搾り出すように叫んだGacktの声と、清春の投げたナイフは同時にTAKUROに届いた。 「TAKURO!」 倒れかけたTAKUROの体をHISASHIは抱きとめた。TAKUROの胸には深々とナイフが突き刺さっていた。 「・・・このやろう!」 よくもTAKUROを・・・。 カッとしてHISASHIは清春に銃を向けた。 Gacktはとっさに清春の腕を引いて路地へと入っていった。 「チッ」 後を追おうとしたHISASHIは足を止めた。それよりTAKUROの方をなんとかしなければ。
622 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:17:56 ID:l5znVF0j0
「TAKURO! しっかりしろ! TAKURO!!」 「・・・ひ・・さ・・・し・・・・頑張って・・く・・・・・最後まで・・・生き残っ・・・て・・」 TAKUROの声はもはや途切れ途切れだった。 HISASHIが揺さぶってもTAKUROの体からは次第に力が抜けていくようで、HISASHIの腕に死んでいく重さがのしかかった。 やがてTAKUROは目を閉じ、がっくりと頭をたれた。 「・・・TAKURO・・・」 HISASHIはTAKUROを頭を抱え込むようにして肩を震わせた。 こんな風に殺されてしまったTAKUROの無念さ、そしてどうすることも出来なかった自分の無力さに、声も無く涙が零れた。 「HISASHIさん・・・」 どうしていいのか分からず、shinyaはそう呼びかけた。 「・・・独りにしてくれ。どこかへ行ってくれ。ここからはもう独りで行かせてくれ」 HISASHIは顔を上げずにそうshinyaに言った。shinyaは俯いた。 「これは返す。丸腰では困るだろう」 HISASHIは持っていたベレッタをにshinya向かって突き出した。 shinyaはためらった。 目の前で殺されるTAKUROを見ては、やはり1人になるのは怖い。 しかしshinyaはそれを震える手で受け取ると、その場を離れるしかなかった。
623 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:26:31 ID:l5znVF0j0
朝の定時放送で流れたラミレスの『アイーン体操』でラジオ体操をするYOSHIKIと、座り込んだままのYOMIの横に寝転んで、ルキは大いにふてくされていた。 雨はあがり、昇竜館のサーバは復旧したものの、肝心の本サーバが既に落とされており、不正進入は不可能となっていた。 「……なあ、どうするんだよ。なあ……、なあ!!」 揺り動かすと、ルキは飛び起きた。YOMIの鼻先に、ワルサーの銃口を突きつけて。 「うるさいなあ…どうするもこうするもどうにもならないから何にもできないんでしょう何かあるなら言ってみてくださいよ、さあ、さあ!」 ぐいと鼻を押しつぶされる。これ以上鼻の穴を大きくされてはたまらない。 「ふてくされてなんかいませんよどうせもう僕もあなたも死ぬんだからとっとと好きなところへ行ったらいいんじゃないんですか?当然そのときは僕のコイツであなたの頭を吹き飛ばしますけどね」 「ルキ…てめー、いいかげんにしろよ……?」 YOMIが床に転がしていた包丁に手をかけたそのとき、瞼の奥に火花が飛び散った。 「お前達、仲間割れもいいかげんにしろ!!!」 ゴツン、ゴツンとYOSHIKIのゲンコツが、YOMIとルキの頭に食らわされたのだった。 「はい、仲良くする!いいな!!」 二人の手をむりやりもぎ取って握手させる。口を尖らせたままの後輩たち。 あーー、もう…お守りなんて、やってられないよ…。 Gackt、生きてるんだったら助けてくれよ…。 YOSHIKIは窓の外に広がる、晴天の空を見上げた。
624 :
バトル中盤 :2005/09/14(水) 17:52:31 ID:l5znVF0j0
窓の外から差し込む日差しで、SUGIZOは目が覚めた。 夜が、明けたのか。 膝の上の少年を起こさないよう注意して動いたつもりだったが、環境の変化で過敏になっているのであろうTUBAKIも続いて目を覚ました。 あと数時間もしないうちに、定時放送が流れるだろう。 首が吹っ飛ぶ前には、ここから出て行かねばな。 。 「お前も、メシを食ったら、早く帰れ」 「……いえ、しばらくは名古屋に残ります」 「!!何で…。お前はまだ若い。俺たちがいなくなったあとのヴィジュアル界を背負って立つ人間だ」 「僕は…何が起きているのか、全てをこの目で確かめたい。たとえどうなってもいいんです」 「TUBAKI。辛い思いをさせて悪かった… どうか耐えてくれ。そして全てを残された者たちに伝えてくれ……」 SUGIZOは、ハンカチをTUBAKIの手首に結んだ。 そして、バッグを背負って再び戦場へと駆け出した。 背中を見送るTUBAKIの目にもはや涙はなかった。 父から授かった勇気を背に、少年は再び、ペダルを漕ぎ始めた。
625 :
Nana :2005/09/15(木) 09:42:34 ID:M0UdUgFG0
test
626 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:09:44 ID:f15GBcWx0
田村淳は名神高速道路を走っていた。 ラジオからは相変わらず悪趣味な実況が聞こえて来る。 信じられないことだが、もう人数は半分以下に減ってしまったらしい。 半年前、淳は後輩とヴィジュアル系バンドを結成した。 そして、インディーズデビュー。 だから、この馬鹿げたゲームが始まった事を知った時、いてもたってもいられなかった。 同じジャンルの仲間達が殺しあう場面をテレビの前の一視聴者として見ていることは、 淳の正義感がどうしても許してくれなかった。 「因果なもんだな‥。」 そう呟くと、ふと距離表示の看板が目に入ってきた。 『名古屋まで、あと50km』
627 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:17:35 ID:f15GBcWx0
「見つけたぞ、清春ー!」 ハッとしてGacktと清春は振り返った。HISASHIが近付いてきていた。 「よくもTAKUROを殺したな! TAKUROの仇だ! 殺してやる!」 HISASHIはそう言うと迷わず発砲した。 Gacktは再び清春の腕を掴んでその銃弾を避けた。そして再び清春を引っ張って走った。 「Gackt! 清春を庇うならお前も殺すぞ!」 背後からHISASHIの声がした。それでもGacktは清春を掴んだまま走り続けた。 そして2人は万松寺へ飛び込んでいた。 「Gackt・・・」 「あなたを殺すのは俺です」 清春が言いかけた言葉を遮ってGacktはそう言った。 「あなたがhydeを殺そうとした瞬間に、俺があなたを殺します。そこでしか、あなたに隙は出来ない」 Gacktの手がこの瞬間もナイフに触れているのを知っている。Gacktの言葉に清春はニヤリと笑った。 「まあ、当面はhydeを探すより、HISASHIから逃げるしかないようだがな」 「HISASHIくんは殺さないんですか?」 「殺せたら、殺す」 清春はそう言ってもう一度ニヤリと笑った。 Gacktは目を伏せた。 hyde、今お前はどこにいる? Gacktは短く祈り、そして追ってくるHISASHIの気配に神経を尖らせた。
628 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:21:42 ID:f15GBcWx0
朝のアナウンスの声と共にhydeは目を覚ました。 ん?この声は・・・。 「yasuくん、この声って・・・ゼノン石川じゃねーのか?」 『閣下がね今ちょっと他の作業で忙しいらしいから代理でこのゼノンがやらせていただきます』 ゼノン、あなたまであっち側の人間だったのか・・・。 『視聴者からもっとバンドマンが疑心暗鬼になっているところが見たいという意見がたくさんあったので、テレビ、ラジオなどを禁止するため、全ての電源を切りまーす。夜はろうそくや懐中電灯とかで何とかしてください。』 もっと疑心暗鬼になってほしいだと?こっちはどんな思いでやっているのかわかってるのか。 『あと、移動は徒歩のみです。車、自転車等は一切禁止ですよ。ではがんばりなさい』 「クソッ、規制だらけじゃねーかよ」 と言い、hydeは壁を蹴る。
629 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:30:11 ID:f15GBcWx0
朝の放送を終えるやいなや、不意にデーモンが席を立った。 「西川さんも、よかったら休憩を」 ディレクターに告げられ、席を離れる。 気分転換になんてなりやしない…そう思いながらも、せめてもの抵抗としてスタジオを出る。 目に、耳に、飛び込んでくるもの全てを消し去りたい。 思い出の品が揃うそこを訪れることは新たな苦しみになると思ったが、西川はバンド資料の展示コーナーへと向かった。 一瞬だけ訪れる静寂。 だが、その安堵感も先客の姿によって消える。 貼り出されたバンドマンのプロフィールを眺めていたのは、聖飢魔Uのエース清水。 この人も、既に『本部の人間』なのか。いや、もしかしたらそのためにスタジオへ入ったのかもしれない。 憎々しい顔をしてエースの背を凝視していると、彼は振り返った。マスクなどしている、風邪でも引いているのか。 エースは西川へ歩み寄る。 そして、すれ違うとき、 トレードマークのサングラスを、 ほんの少しだけ、 外してみせた。 「……東海林さん!!」 驚愕する西川に背を向けたまま、女は軽く手を挙げて立ち去った。
630 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:35:50 ID:f15GBcWx0
「う、うわっ!」 shinyaが物音に驚いて後ろを振り返ると、カラスがゴミをあさっていた。 shinyaはつくづく自分の気の弱さを呪った。 HISASHIと別れたshinyaはとにかく誰かと、一緒に行動する仲間と会いたかった。 栄まで戻ってきたのも、ここになら誰かがいそうな気がしたからだ。 と、その時、誰かがshinyaの視界の中に入ってきた。 「あれは‥、松岡さん!?」 shinyaの前方を歩いていたのは荷物をたくさん背負った松岡だった。 「松岡さ〜ん!!」 shinyaは大声をあげて松岡を呼び止めた。 この際、1人でなくなるなら誰でも構わない。 だが、振り返った松岡から投げられたのは再会を喜ぶ言葉ではなく、何やら丸い物体だった。 「え?」 何かが自分の横を通り過ぎて行ったのに気付いた時、shinyaは後ろからの爆風に吹き飛ばされていた。 「‥‥い、松岡さん、な、何でっ?!」 しかし、その物体(手榴弾?)が遠くはずれたお陰か奇跡的にshinyaは軽傷だった。 「あ‥‥、あ‥‥、も、もう嫌だ!もう嫌だ!」 混乱したshinyaは全速で松岡から逃げ去っていった。
631 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:42:53 ID:f15GBcWx0
「ゼノン、おまえの責任でもあるんだぞ!」 デーモン小暮のイライラは頂点に達していた。 いつまで経っても復旧しないシステム。 ドームから姿を消した東海林のり子。 目に付くものすべてが反乱因子に見えた。 「大体どういう事だ? 今後活躍しそうなのが、京、黒猫、松岡の3人だけってのは!? それに、さっきから全然人数が減ってないじゃないか! 」 「そんな事言われてもな‥‥。 そうだ、人数が減らないなら雅の時みたいに首輪をつかったらどうだ? 」 「ゼノン‥‥、スタッフから聞いてないんですか? 雅が亡くなった後、視聴者からの抗議が凄かったみたいなんだ。 だから、もう下手にその手は使えないんだよ。 ヴィジュアル系人気の回復のためにこんな事やってるのに、視聴者の反感買ってたら意味ないからね。」
632 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:48:24 ID:f15GBcWx0
「とにかく、このまま動きがなかったら、ゼノン、分かってるね?」 「ま、待ってくれ。 実はこんな事もあろうかと、フロントに頼んで助っ人を呼んで もらっていたんだ。」 「助っ人?」 「そうだ。 NANAのボーカル、もう1人は歌舞伎町の女王と呼ばれている奴らだ。 もうすぐここに着くと思うんだが‥‥。 そいつらならきっと今の状態をかき回してくれるぞ。」 「そんな人たち、当てになるんのか? ‥‥ったく、とにかく頼むよ。」 デーモンはそう言ってゼノンのもとを後にした。
633 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 17:56:48 ID:f15GBcWx0
櫻井と河村は東区今池の辺りを歩いていた。 ふと河村が支給品のレーダーに目をやると、すぐに異変に気付いた。 「どうした?」 「しばらく目を離していたら誰かが凄いスピードで近付いて来ている反応があるんです。」 後ろを振り返ると、そこには銃を構えた男が立っていた。 終わった、河村はそう思った。 だが、その男の口から発っせられた言葉は河村にすれば意外なものだった。 「く、来るな!来ないでくれぇ!!!」 は? 柄にもなく、覚悟を決めていたのに‥‥。 河村は全身から緊張が抜けていくのを感じた。 「なんだ、shinyaくん。そんな物騒なもん持って。とっととしまってこっち来い。」 「い、嫌だ!あんたらも俺が油断する所を狙ってるんだろう‥‥? 早くどっかに行ってくれよ!」 shinyaは青ざめた顔をして立っていた。 「仕方ないな。俺らは武器になるもん持ってない。ほら、両手を上げるから。」 この人は本当は凄い器なのかもしれない、そう思いつつ河村も櫻井に続いて両手をあげた。
634 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:00:33 ID:f15GBcWx0
…何が起きているんだ…SUGIZOは走り続けている。 『誰かが待っている」 仲間たるTUBAKIと会い、彼の寝顔を見ている時にその事に気づいたのだ。 「そうか…」 SUGIZOは足を止めた。 奴らは、自分が今いる場所を知らない…! 多分、首輪のタイマーが止まったと言うデーモンのアナウンスがあった時間から…! その時、SUGIZOの視界の隅に光るものが入った。 TUBAKIから失敬した双眼鏡を目にあててみる。 パチンコ屋のネオンの間に、そっぽを向いたテレビカメラが見えた。 監視カメラ! だが、双眼鏡に写ったそのカメラは動いている様子がない。 『テレビ、ラジオなどを禁止するため、全ての電源を切りまーす』 今朝のゼノンのアナウンスが耳の奥で蘇った。 まさか、監視カメラの電源まで落とされている!? もしそうだとすれば……チャンス、だ。 SUGIZOは禁止地区に指定されている東区へ向けて動き始めた。 監視カメラや首輪の位置検索システムがいつ復旧するかは分からない。 だが、主催者にカウンターを喰らわせるなら、今をおいて他にない。
635 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:07:26 ID:f15GBcWx0
半ば放心状態のまま夜を明かしたka-yuは、名古屋城の天守閣から城下を眺めていた。 希望を求めて向かった熱田の森で遭遇した、京達の奇襲。 怯える自分たちに重症の傷を負ったキリトは告げた、そこに残ってはならないと。 自由の利かなくなった身体をアイジに預け、キリト達もまた、夜の闇の向こうへと去っていってしまった。 部屋の中には、床に青龍刀を投げ出したまま宙を眺めて横たわるyou。 まさかこいつが、犬神サーカス団に斬りかかるとは。 最も従順な後輩が、もしかしたら自分の敵になるかもしれない。 一瞬だけ頭に浮かんだ良くない考えをうち消そうと頭を振った。 窓の向こうの景色に背を向けたその瞬間、爆発が起こった。 慌てて飛び起きたyouとともに、ka-yuはビルの谷間から立ち上る煙を確かめた。
636 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:12:31 ID:f15GBcWx0
「ふ、櫻井さん、い、い、今の爆発は?」 shinyaは突然の爆音に驚き櫻井敦司に寄り掛かった。 「誰かが殺しあってるんだろうな。 そんなことより、河村、shinya、この道路を越えたらそろそろ禁止エリアだ。」 現在、櫻井、河村、shinyaの3人は今池から北上して名古屋ドームに向かっている。 「そもそも、どうして禁止エリアに入れるなんて事が判るんですか!? 何か根拠でもあるんですか? もし間違ってたら首がふっとばされるんですよ!」 「勘だ、勘。勝負師の勘。 もし外れてても、死ぬのが少し早くなるだけだ。 グチグチぬかしてないで、さっさと行くぞ。」 ひょっとして櫻井さんはもう既に頭がおかしくなってしまっているんじゃないだろうか? そんな考えさえshinyaの頭に浮かんで来た。
637 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:17:08 ID:f15GBcWx0
河村さんは河村さんで櫻井さんを止めもしないし…。 「よし、俺から行く。 お前ら2人は離れて見とけ。」 「あ‥‥。」 櫻井が道路を越えて行く瞬間、shinyaは目をそらした。 ……。 あれ、何も起こらない? 「よっしゃ、このまま行くぞ。 監視カメラに気をつけろよ。」 「ちょ、ちょっと待って下さい。 首輪が爆発しないなら名古屋から逃げましょうよ! その方がいいですよ!」 「名古屋から逃げだせても近隣住民に通報されて一発でアウトだ。」 「で、でも今からドーム行ってどうするんですか!? 武器だって俺のベレッタしかないんですよ!」 「そんなこと分かってる! 今しか、禁止エリアが止まってる今しかチャンスはないかもしれないんだ!急ぐぞ!」 目的の地、名古屋ドームは3人のすぐそばまで迫っていた。
638 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:20:39 ID:f15GBcWx0
本部に立ち寄るとそこにあったGLOCK 26をスタッフの男に押し付け、デーモンは再びドームの外へと急いでいた。 「あ、あの、閣下、これ、本物ですか…」 後からついてくる男は未だに自分が何をさせられるのか理解していない様子だ。 「当然だろ。今から不届きモンを処刑しに行くんだぞ」 息を呑む音がした。 「そ、そんな。俺…ひ、人殺しなんてできませんよ」 「この番組のスタッフになった以上、番組進行の障害を排除する義務ってもんがあるだろうが。 安心しろ、首輪付けた奴を殺しても罪にはならん」 「で…でも」 男はまだ何か言いたげだったが、デーモンにはそれ以上聞いてやる気は無かった。 鬼とでも悪魔とでも呼ぶがいい、ヴィジュアル系の歌手など死のうが知ったことか。 俺は力士さえ手出しされなければそれでいい。
639 :
バトル中盤 :2005/09/15(木) 18:27:09 ID:f15GBcWx0
残り19人
640 :
Nana :2005/09/15(木) 18:41:37 ID:4PfEOZxtP
鬼とでも悪魔とでもってアナタ…
641 :
バトル中盤 :2005/09/16(金) 16:36:50 ID:PKVx6/zM0
hydeとyasuは金山駅を出て、そのまま北上し伊勢山辺りにいた。 「なぁhydeさん、何か聞こえないか?」 「ん?」 ようやく口を開いたyasuにhydeは少し驚きながらも聞き返す。 「何か聞こえる?」 耳を澄ますと確かに何かが聞こえる。ピアノの音?のような気もする。 しかし今ここにいるのは生き残っているヴィジュアル系のバンドマンだけのはず。バンドマンの中にピアノを弾ける人なんてYOSHIKIくらいだ。 「もう少し行ってみるか・・・」 2人はそのピアノの音の方向へもっと近づいた。 2人は音を頼りに歩いていくと目の前に小学校があった。ここからピアノの音が聞こえていたのだ。 「行ってみるだろ?」 hydeが言うと、yasuは頷いた。
642 :
バトル中盤 :2005/09/16(金) 16:38:44 ID:PKVx6/zM0
小学校の中へ入ると、電気もついていなく陽もあまり入っていなく薄暗い。 階段で2階へ行くと、ピアノの音がかなりはっきり聞こえる。 廊下を歩いていると前方にドアが開いたままの教室が見えた。音楽室だ。 hydeは万が一のために銃をベルトに挿して、音楽室へ入った。 入った瞬間、2人はぎょっとした。 部屋の中心に置いてあるグランドピアノ、 自分達を睨むかのように壁掛けてある作曲者の肖像画、ピアノの後ろには山のように積んである武器の数々、そして・・・迷彩服にヘルメットをかぶりピアノを弾いている松岡充の姿・・・。 「よぉ」 松岡は伴奏をやめ、2人に話かける。 「何ぼーっとつっ立ってるんだ?こっちこいよ」 2人は黙って松岡の元へきた。
643 :
バトル中盤 :2005/09/16(金) 16:42:13 ID:PKVx6/zM0
「松岡さんはピアノを弾けたんですね。しかもかなりうまいじゃないですかー」 yasuは警戒しつつ言った。 「あぁ軽く趣味程度でな。お前ら俺が弾いていた曲知ってるか?」 2人は同時に首を振る。 「さっきの曲はな、ブラームスの『レクイエム』ていう曲なんだ。死者に捧ぐ、そう俺に殺されるお前らへのな」 やばい!! hydeはyasuの手を引っぱり逃げる。 2人が音楽室から出るとほぼ同時に座っていた松岡がいつの間にか構えていた無反動砲が発射された。 後方でドカーンと鼓膜が破れそうな音に2人は思わず振り向いた。 松岡が発射した弾が壁を突き破り、グラウンドを超え、小学校の隣にある建物などが崩壊し炎上している。 「な、なんだ・・・」 その時、松岡が音楽室から出てきて廊下の遥か前方にいる2人に向け構えている。 「yasuくん、逃げるぞ!!」 hydeは気づいて、yasuの手を再び引っぱり、前方右にある階段へ全速力で走り降りた。 階段を降りたとほぼ同時にまた無反動砲が発射され、廊下の真っ直ぐ突き当たりをぶち破り、また建物が炎上した。 「ちっ」 松岡は2人を探すため、走り出した。
644 :
バトル中盤 :2005/09/16(金) 16:51:00 ID:PKVx6/zM0
はぁはぁ・・・ 2人は1階の男子トイレに潜んでいた。 「な、何なんだよ!あれは!!」 あんなのまともに喰らったら自分たちは一瞬で肉片と化すだろう。 hydeは興奮している自分を必死に抑え考える。 さっき見たようにあの大砲はあんな距離があったとしても十分に破壊力がある。 もし学校外へ逃げたとしても、2人とも肉片になってしまう。 「今の音は?」 HISASHIの追跡をかわして大須を抜け南下した清春とGacktは物陰に潜んだまま周りを見回した。 爆発音が聞こえる。 「あれだ」 前方に黒煙が立ち上っていた。 「派手なのがいるな」 清春はその煙を眺めてニヤリと笑う。
645 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 16:55:06 ID:PKVx6/zM0
「あんな武器があったら無敵だろうな・・・つっ」 左腕に熱いショックが走って、清春は腕を押さえて振り返った。 「HISASHI!」 HISASHIが肩で息をしながら銃を構えていた。どうやらHISASHIの撃った銃弾が腕を掠めたらしい。 HISASHIがゆっくりと近付いてくる。 「清春くん、腕は?」 走りながらGacktは訪ねた。清春はまだ腕を押さえてはいるが血がにじんでいる様子はない。 「掠っただけだ。残念ながら、hydeを殺すには何の支障もないぞ」 清春の答えにGacktは苦笑いを浮かべた。 再び爆発音がした。 建物の向こうから聞こえる。2人が回り込むとそこには学校があった。 「誰がいるんだ?」 門をくぐり校舎を見上げてみる。 「あ・・・」 Gacktは小さく声をあげた。 今、一階の窓に映った影はhydeではなかったか? Gacktは校舎に向かって走った。清春は反射的にそれに続いた。
646 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:00:01 ID:PKVx6/zM0
「yasuくん!」 「Gacktさんっ?」 1階の男子トイレに隠れていたyasuは突然現れたGacktに驚いたように立ち上がった。 そして駆け寄るとGacktの腕を掴んだ。 「助けてください。hydeさんを、hydeさんを助けてください。このままじゃhydeさんは松岡に・・・」 そこまで言ってyasuはハッとした。Gacktの後ろには清春がいた。 yasuは言葉の続きを失った。 「ふん、この派手なのは松岡の仕業か。気に食わんな。hydeを仕留めるのは俺だ。誰にも邪魔はさせん」 清春が言うとGacktはをキッと睨んだ。 「hydeは俺が守ります。あなたにも、松岡くんにも殺させはしない」 そう清春に言って、Gacktはyasuの肩を掴んだ。 「hydeはどこにいる?」 「松岡を止めにいくと言って・・・」 yasuは視線を上に向けた。 「上の階か」 清春はニヤリと笑って出て行った。Gacktはそれを追いかけた。
647 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:03:10 ID:PKVx6/zM0
hydeは息を殺して一歩ずつ歩を進め 廊下に突き出した音楽室のプレートを見上げる。 あのドアを開けたら自分はすぐに肉片と化すかもしれない。 いや、相手はピアノを弾いているのだ。武器を持ち直す一瞬がある。 そこでなんとか先手をとれれば・・・。 ドアに手を掛けた。まだピアノの音は聞こえている。 「!」 hydeはとうとうドアを開けた。そして松岡に照準を定めて、矢継ぎ早に銃弾を打ち込んだ。 「・・・それだけか?」 松岡の声は悪魔の声だった。松岡を取り巻くシールドがhydeの銃弾から松岡を守ったのだ。 「無駄だ」 そう言って松岡はhydeに銃口を向けた。hydeはギュッと目を閉じた。 もう終わりだ。そう覚悟した。 (yasuくん、ごめん・・・・) そんなhydeの耳に銃声と松岡のうめき声が聞こえた。 松岡の手から銃がゴトリと落ちた。 松岡の二の腕には深々とナイフが刺さっていた。肩の銃痕からは鮮血が噴出している。 「?!」 hydeはハッとして振り返った。
648 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:08:46 ID:PKVx6/zM0
「き、清春くん・・・」 ドアの所に清春がいた。そしてその隣には松岡に銃を向けたままのGacktの姿も。 「Gackt!? なんでGacktが清春と!?」 自分には「一緒には行けない」と言ったGacktが清春と一緒にいる。 一番会いたかったGacktが、一番会いたくなかった清春とともにいることにhydeは愕然とした。 「松岡、どけ。hydeを殺すのは俺の仕事だからな」 そう言って清春はhydeを見た。hydeは顔を引きつらせて清春の手のナイフを見ていた。 「hydeっ」 Gacktが清春の横から飛び出すのと、清春がナイフを振りかぶるのは同時だった。 hydeを庇うようにhydeの前に身を呈し、Gacktは清春に銃を向けた。
649 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:14:05 ID:PKVx6/zM0
銃声が響いた。 清春の手を離れたナイフがhydeとGacktの横数十センチの床に刺さった。 清春の体がゆっくりと前に倒れていく。 その向こうに、いつの間に追ってきていたのか、HISASHIの姿があった。 Gacktは引き金をひいてはいなかった。清春を襲ったのはHISASHIから放たれた銃弾だった。 「やった。やったぞ。TAKURO、お前の仇は取ったぞ!」 HISASHIはそう叫んで倒れた清春の背中に乗った。 清春の背中はHISASHIに撃たれた場所から血が溢れて服を染め直していた。 HISASHIは清春の髪の毛を掴むとその首にナイフを当てた。 TAKUROを殺ろされたナイフで、清春の首を切っていく。 最後に一気に力をこめて骨を断つと、HISASHIは清春の首を高々と掲げた。溢れる血がHISASHIの腕を濡らした。 「TAKURO、俺がお前の仇を取ってやったぞ。この首、憎いこの首、今持って行ってやるからな」 そう言ってHISASHIは清春から離れると満足げに去っていった。
650 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:17:55 ID:PKVx6/zM0
Gacktは自分もHISASHIに殺されるかもしれないと息を詰めていたが、清春を殺すだけで満足したようだ。 「hyde、大丈夫か?」 「・・・Gackt・・・」 「お前が清春くんに殺されなくて良かった。結局俺が守ってやれたわけじゃないけどな」 そう言ってはhydeの手を取って引き起こした。 振り返ると松岡が呻いている。しかし死ぬような傷ではなかったようだ。 「トドメを刺したほうがいいな」 そう言ったGacktにhydeはビクッと体を震わせた。 「どうした? お前だって松岡を殺すつもりだったんだろう?」 Gacktの言うとおりだったが、しかし一時期の覚悟に水を差されて、hydeには人を殺す怖さがよみがえってきた。 「殺さないなら逃げるしかないな。下でyasuくんも心配してるし、とりあえず早いとこ無事な姿を見せてやれ」 Gacktに促されてhydeは音楽室を出た。 「yasuくん?」 yasuが立っている。刀を握り締めたままのyasuはホッとしたように表情を崩した。 「hydeさん、無事だったのか。良かった」 hydeの様子が普通なのを見てyasuは安心した。きっとhydeは人殺しをせずに済んだのだ。 3人は階段を駆け下りた。 玄関に着いたとき階上で爆発音がした。校舎が揺れた。 「ヤバイ。早くここから離れるぞ」 校庭に飛び出すと、3人は全速力で学校の敷地を後にした。
651 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:21:45 ID:PKVx6/zM0
Gacktは大きく息を吐いた。hydeはGacktを見つめていた。 「・・・Gackt、じゃあこれからは俺達と一緒にいてくれるか?」 hydeは恐る恐る聞いた。 清春は黙っていた。 長い長い沈黙だった。 そして清春は首を横に振った。 「お前たちは2人で頑張れ。俺は、YOSHIKIを探して合流しようと思う。・・・生きているならな」 首輪のシステムが故障して生死が把握できないのか、本部からの死者の発表は止まっている。 無事なのか、もうこの世にいないのか、まったく解らないがGacktはYOSHIKIが気になった。 「じゃあな」 「Gackt・・・っ」 引きとめかけたhydeの肩をyasuはギュッと押さえた。hydeは立ち止まりGacktの後姿を見送った。
652 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:30:20 ID:PKVx6/zM0
HISASHIは清春の首を持って飛ぶようにTAKUROの元へと帰った。 「TAKURO・・・」 民家の軒先で眠ったように横たわったままのTAKUROの隣に身をかがめる。 しかしこうやって清春を殺しても、TAKUROが生き返るわけではない。 「TAKURO・・・」 上京してからがむしゃらに頑張ってきた。 すぐに熱くなる自分と対照的にいつもニコニコしながらそれを上手に抑えてくれたTAKURO。 TAKUROがいたから自分はGLAYで頑張ってこれたのだ。 でももうTAKUROは笑わない。 HISASHIは涙が溢れた。
653 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:38:43 ID:PKVx6/zM0
「HISASHI、スランプの1度や2度あって当然だよ。その内スカーンと晴れるよ」 「HISASHI、あんまりムチャしたら駄目だぞ」 「HISASHI、最近調子よくなってきたね。俺も頑張らなきゃ」 TAKUROの笑顔とともにTAKUROの言葉が思い出されてくる。 「・・・ひ・・さ・・・し・・・・頑張って・・く・れ・・・・最後まで・・・生き残っ・・・て・・」 最後の言葉が浮かんできた。そのときもTAKUROは少し笑っていたように思う。 しかし、TAKUROのいないここで1人生き残ってどうなるのか。 「TAKURO・・・すまん・・・やっぱりお前のところに行かせてくれ」 HISASHIはデリンジャーに弾が装填されていることを確かめて、こめかみに銃口を押し当てた。 逆手に持ち、親指で引き金を押し込んだ。 脳漿を飛び散らせながらHISASHIはTAKUROの上に倒れこんだ。 その反動でTAKUROの腕がはねた。そしてHISASHIの背に腕がかかる。 その情景はまるで最後までTAKUROがHISASHIをなだめているようだった。
654 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 17:56:08 ID:PKVx6/zM0
残り17人
655 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 22:41:42 ID:EQQAQgof0
「河村、shinya! 中の奴らがあっちに気を取られているうちに侵入するぞ!」 櫻井、河村、shinya、がスタジオの様子を外から伺っていると、突然駐車場の方からマシンガンらしき銃声が響きわたったのだ。 「櫻井さん、他にも誰かがドームに?」 河村は先頭を行く櫻井に尋ねた。 「それは分からん‥‥。 ただ、俺達はこの試合を止めるために俺達ができることをするまでだ。 監視カメラに見られてないな?」 警備に発見される事もなくすんなり入れたのが櫻井には意外だった。 「中枢部はどっちや!?shinya分かるか?」 「ちょ、ちょっと待って下さいよ。 警備が少なすぎて逆におかしいですよ!」 shinyaはこの後に及んで泣き言を言っている。
656 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 22:44:48 ID:EQQAQgof0
「う、うわあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 「な、何だ!? shinya、柱の陰に隠れろ!!!!! 河村もこっちへ……!」 櫻井はとっさに河村を担ぎ上げ柱の陰に隠れると、銃弾が飛んで来た方向に振り向いた。 黒スーツを来た見知らぬ女が、にやけながら銃を握りしめていた。 「こっちの行動なんてお見通しだったというわけか!」 櫻井の頬には血がにじんでいた。 河村の目の前を跳弾がかすめる。 一気に殺せばいいのに、まるで何か、そう、俺達をいたぶっているこの状況を楽しんでいるみたいだ。 もう、助からないのか…?
657 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 22:48:12 ID:EQQAQgof0
「おい!shinya! 何やってるんだ!!銃で応戦しろ!!!!!」 櫻井が通路の向い側の柱に隠れているshinyaに叫んだ。 だが、shinyaは首を振った。 「ちいっ!役に立たん奴だ!!」 嫌だ。 死にたくない……。 激痛と出血でしだいに薄れていく河村の意識にそんな感情が浮かんだ。 ……ああ、ついに目の前が白くかすんできやがった。 「さよなら…。」 河村はこの世への餞別にそうとだけ呟いた。 ……。 あれ、まだ生きてる? 煙? 櫻井さんの、煙幕? 「shinya!いったん引くぞ!」 櫻井さんの声が聞こえる……。 河村はほとんど無意識の中で櫻井の背中に必死にしがみついていた。
658 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 22:54:46 ID:EQQAQgof0
キリトが次に目を覚ましたときには、既に時刻は正午にならんとしていた。 自由の利かない身体を動かさずに視線だけ送ったベッドの端には、アイジがうつ伏せて眠っている。 キリトの身体を担いでアイジが闇の中向かったのは名大病院。 待合室のソファの上に、参加者が残しただろうと思われるどす黒く染まった包帯やガーゼを見つけて一瞬引き返すことも考えたが、それよりも治療が先決だとアイジが制止した。 右肩に開けられた傷に消毒液を吹き付けられ−−−気を失ったのだ、おそらくそのときに。 急に、悪寒が走った。 びくりと体を震わせた振動で、アイジが目を覚ます。 「あ…キリト、キリト?どうし…」 「見える」 キリトの視界には、アイジではない、真っ暗な映像が浮かんでいた。 見えないはずのものが見える、己の力をキリトは呪った。 「不吉だ……ナゴヤドーム…ドームに、蛇が…そう、ドームだけれど、竜じゃない、あれは、真っ黒な大蛇が絡み付いて、そう、ああ、ッアアアアアアアアアアアアアア!」 「キリト!キリト!!!」 「頭、頭が…ィたッ……アアアアアアアアアアア…ァァァ……」 キリトの意識は再び遠のいていった
659 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 22:59:56 ID:EQQAQgof0
その男、松岡充は苦痛に顔をゆがめながらゆっくりと身を起した。 とんだ醜態をさらしてしまった。いや、醜態などは良い。あやうく殺さ れる所だったのだ。二度とこんなミスは許されない。次の幸運は、おそらく無い。 おそるおそる手のひらを開閉して見る。激痛は走るが幸いにして 機能に異常は無い。派手な出血の割に傷は深くは無さそうだ。 カール・グスタフのバックブラストで目茶目茶になった室内を見渡 し、カーテンの残骸を見つけるとそれで手をきつく縛り、止血する。 自信と過信。 強力な火器を手に入れた事で舞い上がり、己を見失ってしまった。 「臆病者であれ、って事か。」 この手の痛みが、戒めとなってくれるだろう。 荷物を左肩に担ぎ、もう一度室内を見渡す。カール・グスタフは放置しておくことにする。 予備弾が無い以上、誰に利用される恐れも 無い。 装備は64式と、手榴弾数発、そしてサイドアームの機関短銃。人 を相手にするには充分な装備だ。弾薬も充分ににある。 「まずは鎮痛剤でも探すか・・・。」
660 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 23:05:20 ID:EQQAQgof0
YOSHIKIは、ナゴヤ球場へと向かっていた。 右手にYOMI、左手にルキの手を握って。 いつまで喧嘩しているつもりなのだろう、そっぽを向いて座り込む二人に耐えかねたYOSHIKIは店を出ることを提案した。 テレビ局が入っているビルの前を通り過ぎようとしたとき、不意にYOSHIKIは視線を感じた。 誰だ。ようやくこいつら以外の人間に会えそうだ。 「見てるんだろう?YOSHIKIだ。戦う気はない、出てきてほしい」 YOSHIKIの咄嗟の行動に顔を青くしているルキのことなどお構いなしにYOSHIKIは続ける。 「隠れているなら、俺のほうから向かって行くぞ−−−」 ルキが止めるのも耳に入らないYOSHIKIがビルの陰に歩み寄ろうとしたとき、相手はようやく顔を出した。 yasuと、その後ろには、hydeの姿。 表情には生気がなかった。
661 :
バトル終盤 :2005/09/16(金) 23:09:03 ID:EQQAQgof0
ずっとここにいたわけではないこと、二人がナゴヤドームを出発したときから一緒に行動していたことなどを聞く。彼らが遭遇した人々の名前も。 これまでさして危険な状況に遭うことのなかった彼にとっては、yasuが話す全てが絵空事のようにしか思えなかった。 言葉を発するたびに苦しげな表情を増してゆくyasuにいたたまれなくなり、YOSHIKIはそこを去ることにした。 「どこへ行くんですか?」 「ナゴヤ球場にでも行こうかと思って。Gackt、探してるんだ」 「Gacktさんなら向こうの橋を渡っていきましたよ」 それまでひとことも発することのなかったhydeが初めて口を開いた。 「え…Gackt、見たのか?」 「Gacktも、YOSHIKIさんのことを探してました。そう遠くに行ってるわけじゃないと思いますけど」 表情を固くしたままのhydeとyasuに礼を言い、相変わらず二人の後輩の手を取って、YOSHIKIは方向転換して再び歩き出した。
662 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 10:44:18 ID:9B36DAsH0
アレックス
663 :
Nana :2005/09/17(土) 10:53:55 ID:xkgeuOc70
hydeは言った… 「もう終わりにしようよ」 そう。彼らの戦いは終わったのだ。 yasuは笑った。そして死んだ。 はいはいワロスワソルw
664 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 19:52:55 ID:cJHq4GzF0
hydeとyasuは東本願寺別院に戻って中で何もすることなく過ごしていた。 ぱらぱらと外が何やらうるさい。 何だろうと思い、2人が外へ出てみると、自分たちのほぼ真上辺りの空にヘリコプターが飛んでいるのがわかった。 自分たちの様子でも撮っているのか?と思ったが、徐々にこちらの方に近づいてきた。 ヘリと2人の距離が10メートルくらいにせまってきた時、ドアが開き人が顔を出してきた。 「だ、誰だ・・・?」 hydeが見上げても逆光のせいでその姿が誰だか確認できない。 そのヘリの奴は2人に向けて何かを構えた。 それは松岡が持っていた無反動砲よりもさらに2回りくらい大きく、こんなものが発射されたら建物1つ簡単に吹っ飛ぶだろう。そんな物をそいつは人間に向けて構えているのだ。 「yasuくん、逃げるぞ!」 と言った瞬間、大砲が発射された。 別院は一瞬にして全壊し、炎につつまれた。 「い、痛え・・」 爆風で2.30メートル身体が吹き飛ばされた。地面にこすってできた傷、建物やガラスの破片でできた傷が体のあちこちにでき、熱風でやけどもしている。 ジーンとずっと音がする。爆音で鼓膜がおかしくなっている。
665 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 19:57:39 ID:cJHq4GzF0
hydeは起き上がり周りを見た。 煙に覆われていて何も見えない。 「yasuくん!?どこだ!!」 隣にいると思っていたyasuがいない。あの爆風にyasuもどこかに吹き飛ばされたのだ。 そんな煙だらけの空間にヘリがhydeの目の前に着地した。 ヘリの中から出てきたのは白いコートを身にまといサングラスをかけた女だった。 「犬神サーカス団?」 白いコートの間から見える犬神凶子だ。 「hyde、goodbye!!」 凶子はベルトに両手をまわし銃を取り出した。 ブローニングハイパワー9ミリとトカレフの二丁拳銃を座り込んでいるhydeに向けて構えた。 煙は相変わらず辺り一面をつつむ。
666 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:01:57 ID:cJHq4GzF0
「痛えな・・・」 爆風に吹き飛ばされたyasuは地面に強打したらしく、腰を押さえていた。 煙で周りが見えないがhydeがいない。 「hydeさん?」 痛めた腰を押さえながら立ち上がり、煙まみれの中を歩き探した。 「おい、どうしたんだ?」 何者かが後ろからyasuの肩をたたく。 振り向くとyasuは目を疑った。それは自分が殺したはずの一志が立っていた。 幻覚を見ているのか?目をこすってもそこに一志はいる。 「な、何で・・・」 yasuは怖くなり煙の中をにげていった。 「おい!!待てよ」 煙の中から一志がyasuの目の前に現れた。 「落ち着けよ!!」 「落ち着けって・・・。あんたは死んだはず!俺が殺して・・」 そう、俺が銃で殺したんだ。
667 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:15:09 ID:cJHq4GzF0
ずっと悩まされ続けた。常に頭の中で一志が『人殺し』とささやいていた。血まみれの一志が自分を睨みつけていた。 もう大丈夫だと思っていてもふと一志が現われ笑っていた。ずっと罪の意識にうなされた。 「今になって後悔してるさ。圭を殺したことを。あいつは何の罪もなく殺されたんだ・・・悪いことをした」 一志はそう言って、頭をボリボリ掻き笑った。 「俺だって一志くんを・・・」 ただ怒りにまかせて一志を撃った。 「あなたは間違ったことをしたか?あの時俺を殺さなければあなた達は俺に殺されていたんだぞ」 「俺はずっと・・・人殺しの自分が許せなかった。でも・・・あの時は死にたくなかったんだ!!やっぱり俺は弱かった・・・その後はずっと後悔したよ」 一志は黙って話を聞いている。 「hydeさんが俺をずっと励ましてくれたんだ。こんな俺放っておけばいいのに。あの人はそんなことしなかった。だから・・・あの人をおいて先には死ねない・・・」 yasuは自分の言いたかったことを全てぶちまけて目にいっぱいの涙を浮かべた。 「あんたは正しく生きてるよ。あの状況で殺さない奴なんていない。それにそのことで俺はあんたを怨んだりなんかしていない」 「本当・・・ですか?」 「あぁ。あんたそんなことよりhydeさんの所へ行ってやれ。あの人殺されるかもしれないぞ!」 hydeが今どうしているのかなど、どうして一志が知っているのか、未だわからなかった。 yasuは地面に置いたバッグを持ち上げ顔を上げた。 そこには一志の姿はなかった。 「あれ?一志くん??」 周りを見渡しても一志はいない。 俺は今まで何と話をしていたんだ?一志くんの霊??まぁ、いいや。 yasuは銃を右手に持ち、走り出した。
668 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:19:33 ID:cJHq4GzF0
脳を、心臓をえぐるはずの銃弾はしかし、hydeの膝を打ち砕いた。 声にならぬ悲鳴を上げ、転げるhyde。薄ら笑いをうかべ黒髪の 刺客は、次々にその周囲に銃弾を打ち込む。決して当たらぬように注意しながら。 そのまま素直に射殺するもりは、無かった。 自分の仕事は、ただ殺戮して回る事では無い。この「プログラム」 を盛り上げることだ。ならば-- 彼女は、子供の頃から弱い相手を嬲るのが好きだった。 ただ嬲るだけでは面白く無い。相手にいったん「希望」を与え、そ の上でその希望もろとも打ち砕く。より深いこの絶望に耐えられる 人間はいない。その絶望が、彼女の歓びになる。 こいつと一緒にいたのは何て奴だったっけ? そうだ、yasuとか 言ったな。
669 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:22:15 ID:cJHq4GzF0
yasu、早く来い。 彼が死んでいないのは判っている。どちらも死なないように注意 深く選んだ場所にロケット弾を打ち込んだのだ。 奴が来て、こいつに助かるかも知れないと希望が芽生えたその 時こそ、眉間に一発打ち込んでやる。・・いや、先にyasuを殺っ てからの方がより絶望が深くて良いかな?そう考えるだけで彼女の 体は歓びに打ち震える。時ならず彼の分身にさえ力がみなぎって来ていた。 ヘリのTVカメラを通じてこいつを見ているジャップどもに、最高の ショーを見せてやる。そしたらわたしは・・それだけでイッちまうかも知れんな・・・。 早く来い、yasu。
670 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:27:53 ID:cJHq4GzF0
もうもうと立ちこめる煙を振り払い、yasuはガバメントをしかと握り締めて走っていた。 誰だ、こんな派手な事しやがったのは。 全身の傷は痛むが、幸い大したことはないようで、動きの妨げにはならない。 人を殺すのは自分の役目だ。そう、もう何も怖くなどない。 あれは… はっとyasuは足を止めた。心臓が破れそうなほど鼓動を刻んでいる。 煙の裂け目に、ぼやりと小さい女が浮かび上がっていた。 サングラス…拳銃…犬神サーカス団? そして地面に座り込んでいるのは… 「伏せろ、hydeさん!」 凶子の顔が腕ごとこちらを向いたが、遅い。 目が合ったその瞬間、yasuはトリガーを引いていた。躊躇なく。 反動が腕を跳ね上げる。 遅れて轟音が響いた。もう耳がおかしくなりそうだ。 しかし、煙に霞む長いシルエットは揺らぎもしなかった。 疑問符で頭がパンクしそうになったが、それらの全ては次の瞬間に吹き飛んでいた。 「ぐあ!」 銃声と共に、太股に激痛が走った。たまらず地面に膝をつく。 殺される…? かさついた唇を舐めて、yasuは顔を上げた。 眼前には、凶子がただ悠然と立っている。
671 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:32:23 ID:cJHq4GzF0
防弾チョッキを着ているとは言え、さすがに45口径を食らうとそのショックは大きい。 一本くらいは肋骨が折れたかも知れない。だが彼女、犬神凶子はそんな痛みも感じない程昂っていた。 こいつを殺って、その後絶望に歪んだ顔のhydeを殺る。その表情さえ瞼 に浮かぶ。畜生、わたしやっぱりイッちまいそうだよ。 ゆっくりと腕を上げ、yasuに照準を合わせる。何かを覚悟したように、胸に 銃を抱いて目を瞑るyasuに。時間はたっぷりある。まずは両手両足から、ゆっくりといたぶってやる。 -突然、yasuの体がビクン跳ね飛び、血沫が弾けた。瞬間、銃声が轟く。 スローモーションのようにゆっくりと倒れ伏せるyasu。 「!」 別の誰かが、yasuを撃った。そう理解するのに大した時間はかからなかった。 凶子の顔が驚愕と、そして怒りに歪む。
672 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:35:07 ID:cJHq4GzF0
獲物を奪われた、肉食獣の怒り。 銃声のした方向に顔を向ける。200mは離れているだろうか、ビルの二階に何か動く影が見える。 誰だ、わたしの獲物を、最高の見せ場を、そして最大の楽しみを横取りした奴 は。殺してやる。まずおまえから殺してやる。 怒りに我を忘れ、両手の銃を乱射しながらその標的に向かって駆け出した。 楽に死ねると思うな。この世に生まれてきた事を後悔させてやる。 ある程度まで来た所で、胸に着弾の衝撃が走った。先ほどのよりも、よ ほど強い。それだけで吹き飛ばされそうになり、なんとか踏みとどまる。 馬鹿め。わたしが防弾チョッキを着ている事に気付いて無い・・え?・・血?! 胸を見下ろすと、、ぽっかりと穴が開き、血が噴出している。何故? 二発目、三発目を胸に受け、ようやく凶子は崩れ落ちた。
673 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:40:25 ID:cJHq4GzF0
標的が崩れ落ちるのをスコープ越しに確認して、ようやく松岡充は銃をおろした。 「二人、いや標的ふたつか・・・。」 犬神凶子を襲った不運、それは小銃と拳銃の間にあるふたつの差による物だった。 ひとつ目は、命中を期待できる有効射程の差。せいぜい2〜30m程度の 拳銃に対して、小銃は約400m。彼の撃った弾はすべて届かないかあらぬ咆哮に着弾するかだった。 そしてふたつ目は、貫徹力の差。拳銃弾を受け止める防弾チョッキ、し かし弱装弾とは言え小銃弾を食い止める事はできない。小銃弾を受け 止めるだけの強度を持たせた場合、ひどく厚く重くなったそれは常人の 体力ではまともな戦闘行動を阻害しすぎるほどの重量になるからだ。 「まだあとひとつ、標的があったはずだが・・」 この位置からでは、瓦礫の陰に隠れて見えない。近付いて始末するか? ・・・危険だ。不用意に近付けばまた思わぬ逆襲を受けかねない。彼のア ドバンテージは射程と火力だが、それをむざむざ殺す事になる。そして生 身の体にはナイフだろうが拳銃だろうが致命傷を与えうるものだと言う事 を、この右手の痛みが教えてくれている。 「・・・ここは一旦撤退するか。」
674 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:47:35 ID:cJHq4GzF0
「yasuくんっ!」 必死に這いずり、yasuの元に急ぐ。 「yasu、yasuくん・・なんで・・なんで・・」涙声はもはや、言葉にならない。 hydeの声に反応するかのように突然、yasuの意識が戻った。 「うっ・・・ん・・・はっ!あ、hydeさん!大丈夫かっ!?」飛び起きた彼は、こち らに這いずって来るhydeの元に駆け寄った。 唖然とするhyde。 「yasuくん、生きてる・・・の・・か?」 「ああ・・何か良くわからんが・・助かったみたいです。」yasuはそう答えな がら手元の銃に目をやった。醜く壊れ、ひしゃげている。 「・・・・とにかく病院だ。」 足手まといだ、自分はここに置いて行けと喚く相棒を殴りつけ、無理や り背負う事にする
675 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 20:54:13 ID:cJHq4GzF0
YOSHIKIは相変わらずYOMIとルキと一緒に歩いていた hydeの言葉ではGacktはこっち方面へ歩いていったというが、どこで道を曲がっているかもわからない。 2つ目の大きな通りを越えたところでYOSHIKIは金属のきしむ音を聞いた。 ブランコ、だ。この音はブランコをこぐ音だ。規則正しく、繰り返される音。 横の立ち木に囲まれた場所はどうやら公園らしい。 YOSHIKIは道を曲がって公園の入り口に向かった。 「Gackt!」 狭い公園の隅のブランコにGacktが座っていた。 うつむいていたGacktが顔を上げ、YOSHIKIを確認して嬉しそうな笑顔を見せた。 「YOSHIKI、無事だったんだな!」 Gacktがブランコを降りて駆け寄ってくると、YOSHIKIの後ろのYOMIもルキもちょっと頭を下げて挨拶した。 「・・・さっきhydeとyasuに会ったぞ。お前はてっきりhydeと一緒にいるもんだと思ってたんだがな」 YOSHIKIがそう言うと、Gacktは少しうつむいた。 YOSHIKIがGacktの顔を覗き込むとGacktはちょっと口元をゆがませた。
676 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 21:00:26 ID:cJHq4GzF0
shinyaは窓から外の様子を伺っていた。 櫻井ら3人はドームから必死に走り続け国立病院までたどり着ついたのだ。 「…なあ、shinya。お前は河村とここに残れ。」 突然櫻井が切りだした。 「え?」 「1度乗りかかった船だ。俺は最後の最後まであがいてみたいんだ。 だから、お前はここに残って河村の面倒を見といてくれ。」 「で、でも俺1人じゃ……。」 shinyaの顔が一瞬こわばる。 「……お前な〜、さっきから情けなすぎるじゃないか?俺達はヴィジュアル系なんだ。 いつだってその誇りを忘れちゃいけないんだ。しっかりしろよ!shinya!」 shinyaはそうまくしたてる櫻井に何も反論できなかった。 「shinya、他人の心配しとる暇があったら自分の事を考えろ。…とにかくっ、俺は行く!」 櫻井は自分の荷物を持ち上げると病室のドアに向かって歩きだした。 「…死ぬなよ、shinya。河村を頼む。」 櫻井は部屋をでる時に振り返らずにそう言った。 shinyaは櫻井が出て言ったドアをしばらく見つめ続けた。
677 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 21:06:32 ID:cJHq4GzF0
澄んだ静寂の中、HIDEKIは心地よい倦怠感に身を任せていた。 ああ、本当に静かでいいな。今にもパイプオルガンの音色が聞こえてきそうじゃないか。 正面の大きな十字架を何となく眺めながら、HIDEKIはスポーツバッグの中を探った。 バッグの中から取り出したのは、ごく一般的なカッターナイフ。 武器としては役立たずだが、手首の動脈を切り裂いて死ぬには充分だろう。 左手にしっかりと握ると、右手首に当てがった。 力を込めると皮膚に鋭い痛みが走り、それから刃の下から血が滲み出した。 もっと奥だ。ああ…さすがに痛いな。 だんだん全身から血からが抜けていく。座っている事ができなくなり、体を横たえた。 カッターを引き抜こうかと思っていたのだが、もうそんな余力は無いようだ。 HIDEKIは目を閉じた。この瞼を上げる事は二度とないだろう。
678 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 21:13:14 ID:cJHq4GzF0
現在、西川の隣にはsakitoが座っている。 「W解説」として番組スタッフが急遽その席を用意したのだ。 デーモンはどこかへ出払ってしまっており、アナウンサーの退屈なお喋りだけが 空しくスタジオに響き渡っている。 きっとこのプログラムは中断されるだろう。 あの東海林といい、ここにいる自分たちといい、 ドーム内には反プログラムの人間も忍び込んでいる。 あとはチャンスさえ来れば、何とかなるかもしれない。
679 :
バトル終盤 :2005/09/17(土) 21:15:51 ID:cJHq4GzF0
残り16人 だいたい追いついた
680 :
Nana :2005/09/17(土) 22:48:51 ID:ejcs+ZvU0
残ってる麺 hyde,yasu,Gackt,松岡、櫻井、河村、京、shinya,キリト、アイジ YOMI,ルキ、YOSHIKI,SUGIZO,ka-yu,you
681 :
Nana :2005/09/21(水) 14:18:18 ID:louowSi/0
作者さん乙です! 続き楽しみにしてます。 がんばってくださいね。
682 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:13:21 ID:QkoyHXgR0
病院に向かおうと歩き出した瞬間だった。 ブォーーーンという音が遠くから聞こえた。 その音はだんだんと大きくなっていく。 その音の元を確かめるため1度yasuをおろし、音の方向を見る。 「あれは・・・」 もの凄いスピードでやってくるそれは黒いバイクだった。 エンジン音の大きさに座り込んでいるhydeは耳をふさぐ。 バイクが2人のほうへ向かってくる。 やばい、また誰かが狙っているのか? そのバイクは時速100km以上出しているにもかかわらず一瞬にして2人の右2メートルくらいにある犬神凶子の死体を持ち上げ、担ぎ一瞬にして2人の目の前を通り過ぎ、去っていった。 2人はその一瞬の出来事に唖然としていた。 「何だったんだ・・今の」 yasuは驚きを隠せない。
683 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:15:57 ID:QkoyHXgR0
「yasuくん、さっきの人って・・・」 「京くんだ」 ディルの京だったのだ。 しかし今は乗り物は一切禁止のはず。凶子にしても京にしても一体どうして?? 「yasuくん、あれは?」 そこには折りたたんである紙と四角い物体があった。 先ほど京が凶子を担いだ時に凶子のコートのポケットから落ちてしまったものらしい。 yasuが取りに行き、見てみると、その四角い物体は何かスイッチであるかのようなボタンがついていた。 何か嫌な予感がしつつもhydeに促されボタンを押してみると、ドカーンともの凄い音をたててまわりの建物が次々と壊されていく。 気づけば2人のまわりは瓦礫の山になっていた。
684 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:18:06 ID:QkoyHXgR0
「あいつはこんな物を持っていたのか・・・」 もしかしたら自分たちが建物に逃げていたらこれを使われていたのかもしれない。それを考えるとゾッとする。 そしてyasuは折りたたんである紙を広げてみた。 一番上に「MISSION」と英語で大きく書かれていた。その後も延々と英語で書かれている。 「TARGET・・・・・yasu,hyde・・・」 hydeがその部分を口に出し読み終えると、2人は顔を見合わせた。 自分たちは狙われていたのだ。MISSIONと書かれた紙を凶子に渡した人物に。 一番下には閣下の文字。本部からだったのだ。 「yasuくん!これ・・・」 hydeの指差した所を読んでみると、「SPY・・・?」 SPY・・・スパイ?どういう意味だ? そこにはnever kill SPY と書いてあった。 2人にはよくわからなかった。 とりあえず前の文章と一緒に何となくだが和訳してみると、「yasuとhydeに会う以前に誰かに出くわしたら構わず殺せ。しかしスパイは絶対に殺すな」という意味になった。 「俺たちの中にスパイがいるっていうのか?」 京以外の生き残っている奴の中に本部と通じている奴がいる・・・。
685 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:20:53 ID:QkoyHXgR0
突然のことだった。 ぐらぐらとした鈍い振動を足下に感じ、地震かと思った瞬間、一気に衝撃が突き上げてきたのだ。 爆風で派手に吹き飛ばされて、植え込みに落下したのが幸いだった。木の枝が腕をえぐったが、手も足もなんとか普通に動くらしい。 周囲の高層ビルも、見事に崩れ去っている。 「腕…腕が……」 埋もれている部分の瓦礫を注意深くどけてゆく。 youの左腕は、見事に−−−いささか不謹慎だが、見事なまでに骨折していた。まるで肘が二カ所にあるように。怪我とは隣り合わせの商売をしていても、このような状態の腕は見たことがなかった。 「もう…駄目、俺……」 ka-yuは、泣き出したyouの上に依然積み上がった瓦を少しずつ片づけてゆく。 「大丈夫か!!」 背後から声と、足音が耳に入った。 びくりと体を震わせて振り向いた先には、砂利道を走って近づいてくる櫻井の姿があった。 「近くを歩いてたんだが、凄い音が聞こえて…酷いな、顔中血だらけじゃないか」 こくりと無言で頷いたka-yuの背後に横たわるもう一人の姿を見つけると、櫻井はすぐさま駆け寄って瓦礫を動かし始めた。 やっとのことで全身を現したyouの腕を壊れ物のように支えて起こしている男の姿を、ka-yuは黙って見つめていた。
686 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:25:08 ID:QkoyHXgR0
「くそっ、さっきから何なんだよ!」 shinyaは救急車を使って国立名古屋病院から移動している。 禁止エリアが停止している今なら、少しくらい車を使っても差し支えないはずだ。 「さっきの爆発、あのままあそこに居続けてたら今頃……。」 中区の方から立ち上る煙をバックミラーで見ながら戦慄を感じた。 shinyaが病院からの移動を決意したのは他でもない、その立地条件のせいだった。 国立名古屋病院のある中区はあの男、松岡充と遭遇した地だったからだ。 とにかく、後ろで眠っている河村が目覚めるまでは死ぬ訳にはいかないんだ。 「やるしか、俺がやるしかないんだよな……。」 shinyaは櫻井の言葉を何度も何度も噛み締めていた。 「少し郊外の病院でも探すか…。」 体の震えと必死に戦いながら、shinyaはアクセルを踏み付けた。
687 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:30:31 ID:QkoyHXgR0
ナゴヤドーム駐車場には数え切れないほどの車が止められていた。 その中の一台、白い大きめのワゴンの陰に隠れたSUGIZOはゆっくりと、右の二の腕に目をやった。 想像通り、複数の銃弾にえぐられて見る影もない。 閣下も派手に撃ってきたものだ。 「こらSUGIZO、出てこい。俺が直々に引導渡す」 凄みを含んだデーモンの声が近い。 腕の痛みを堪えて手榴弾を握り締めた。 投げられないのならば、突っ込むしかない。特攻だ。 「隠れても無駄だ。そこにいるのはわかってるんだ」 何とでも言え。避けられない距離まで誘い込めばこちらのものだ。 左手で手榴弾のピンに手をかけた。 ──今だ。 SUGIZOは一気に車の陰から飛び出した。そして息を呑んだ。 目の前に立っていたのはサブマシンガンを構えたデーモンではなく、どう見ても一般人の男だったのだ。 銃を持ってはいるが、明らかに怯えている。 畜生、こっちは囮だったのか。 どうする。…一般人を殺すわけにはいかない。 SUGIZOは慌てて体を反転させようとした。しかし、それより早く連続した銃声が耳に届いた。 「おお、残念だったなァ!死ね!」 同時に、背中に熱い痛みが走る。
688 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:36:32 ID:QkoyHXgR0
「ぅ…」 しくじったな、せめて手榴弾のピンを抜いておけば。SUGIZOはくずおれながら思った。 「まあ、いいセン行っとったけど読みが甘い。 俺みたいな悪魔の発想にお前が勝てるわけないだろうが ──ああ、兄ちゃんもう帰っていいよ。銃は置いていって」 ばたばたと足音がした。囮にされた男が逃げ出したのだろう。 確かにお前は悪人だよ、閣下。いくら番組のスタッフか何かでも、あれは一般人だ。 ああ、力が入らない。 「あれ、ところでお前一人なんか? センサーには複数の反応があったんだけどなぁ…まあいいか。 さて。なんか言い残すことあるか?特別に聞いてやる」 アスファルトに頬を押し付けながら、SUGIZOはふーっと長く息を吐いた。
689 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:40:23 ID:QkoyHXgR0
「うちの新人に…TUBAKIってのがいる…あいつに、とうさんはずっと…一緒だ、と伝えてくれ…」 「なんだ親子ごっこか」 デーモンが鼻を鳴らした。 他の誰にも理解はできないだろう。ただ、息子にだけ伝わればいい。 いずれ自分の死を知っても、嘆くことなく前に進んでほしい。 そして二度とこんな悪夢を繰り返さないよう、戦ってほしい。と。 「…それだけだな」 「それだけだ」 SUGIZOの死体から手榴弾を回収し、デーモンはもう一度鼻を鳴らした。 まったく…馬鹿な男だ。 「ところで、助っ人ってのはどうなったんだろ…もう来てるのか?」 それから気になることがもう一つ。 ドームに向かってきたのは一人だけではないようだが、進入などされていないだろうか。 囮用のスタッフが置いていった銃も回収すると、デーモンは頭を掻きながらドーム内へと戻っていった
690 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:46:51 ID:QkoyHXgR0
Gacktは長い沈黙の後、ふと顔を上げた。 「おい、あいつらはどうした?」 Gacktの声にYOSHIKIも顔を上げて辺りを見回した。さっき座らせたベンチにも、公園の中の別の場所にもYOMIとルキの姿はなかった。 「あいつらどこに行ったんだ。まったくちょっと目を離すと勝手に動きやがって」 YOSHIKIがそう言ったときだった。銃声が響いた。 YOSHIKIとGacktはハッとして顔を見合わせた。そしてGacktも立ち上がると公園を出た。 キョロキョロと見渡すと少し離れた小学校の前あたりにルキが立っているのを見つけた。 2人は駆け寄ろうとしてそのルキの足元に、YOMIが倒れているのに気付いた。 ルキの手にある銃はまだYOMIに向いていた。 「ルキ、お前がYOMIを殺ったのか!?」 Gacktが問いかけるとルキは頷いた。 「何があったんだ。お前達はずっと一緒に行動してたんだろう」 目の前に起こっていることを理解したくなくてYOSHIKIは叫んだ。 ルキは激しく首を振った。
691 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:51:05 ID:QkoyHXgR0
「どうせもう何も出来やしないんだ。何やったって結局は本部のやつらの手の中なんだ。だったら」 ルキはYOSHIKIとGacktの方へ銃を向けた。 「みんな殺して、生き残るんだ!」 「やめろ、ルキ!」 YOSHIKIはGacktの腕を振り切ってルキに向かって突進した。 2発の銃声がした。しかし照準を合わせずに発射された弾はことごとくYOSHIKIを逸れた。 「うわあぁぁぁっ」 至近距離に迫られてルキはもう1発撃った。それはYOSHIKIの足をかすめた。 YOSHIKIはバランスを崩してうずくまる。 ルキは肩で息をしながら今度はYOSHIKIに照準を定めた。 「ルキ!」 Gacktに名を呼ばれて振り返ったルキは、Gacktの銃口がピタリと自分に向けられているのを知った。 「そのまま銃をしまって立ち去れ。そうしたら今は見逃してやる」 ルキは少しGacktと銃を見比べて、静かに銃を下ろした。
692 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 16:54:40 ID:QkoyHXgR0
「今後またどこかで会って、お前が俺達に銃を向けたらその時は容赦しないからな」 Gacktの言葉を背にルキは走り去った。 それを見送ってGacktはYOSHIKIに駆け寄った。 「YOSHIKI、大丈夫か?」 「ああ・・・かすっただけだと思う」 しかし破れたズボンの周りにはじわじわと血がにじみだしていた。 かすめただけと思ったが、傷は意外に深いらしい。 「とりあえずお前の手当てが先だ。おとなしくしてろよ」 そう言ってGacktはYOSHIKIを歩道に座り直させると、すぐ傍の小学校に治療に使えそうなものを求めて入っていった。 YOSHIKIはその姿を見送って目を閉じた。
693 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:00:07 ID:QkoyHXgR0
ルキは走った。ひたすらに走っていた。 スポーツバッグとワルサーP38を片手に、人が集まっていそうな場所を目指して。 まだ生き残りはたくさんいるはずだ。朝の定時放送を聞いた時点で19人。 GacktさえいなければYOSHIKIも殺せたものを。これだから群れる人間は嫌いだ。 夕方の放送まで、あと二時間弱ある。いくらなんでも18人という事はないだろうが、 あまり人数が減っている期待はしない方がいいだろう。 ルキは知ってしまった。 自分より年上の人間を恐怖させる事への喜びを。 この右手に持った金属の塊を、YOMIに突きつけた時の高揚感が忘れられない ――お前は、俺に、勝てないんだよ。 ルキは笑った。 今に見ていろ。ただ早く生まれたというだけで威張っている奴らの脳天に、 鉛玉をぶち込んでやる。 俺は若くて、賢くて、強力な武器を持っている。誰も俺に勝てはしないはずだ。 生き残ってやるよ。無能な先輩どもを押しのけて。その方が、ヴィジュアル系の未来の為にもいいだろう?
694 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:05:49 ID:QkoyHXgR0
ルキは大きい交差点に差し掛かって足を止めた。 ふと頭が冷えかけてルキの中にさっき自分に銃を向けたGacktの残像が浮かび上がった。 そうだ、hydeだ。hydeをあいつの前に連れてって嬲り殺してやったらどうだろう。 それで「俺にはhydeは殺せない」だぁ? カッコつけるのもいい加減にしろよ。 ははは、いいなぁ。あいつの目の前でhydeを殺してやろう。 えーと、hydeに会ったのはもうちょい向こうだったよなぁ。ああ、確かyasuも一緒だったっけ。 まあ、あんなヘタクソ野郎なんかパンパーンと殺しちまって。誰も惜しまないよなぁ、あんなヤツ。 進む方向は決まった。 ルキはこれから自分が行う殺戮ショーを思い描いてニヤリと笑った。
695 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:09:52 ID:QkoyHXgR0
「おとうさん、今何をやってるんだろう…。」 TUBAKIは地下鉄浄心駅の改札口で休憩を取っていた。 TUBAKIはSUGIZOと別れた後自転車に乗って移動を始めたはいいが、今一歩西区から出る 踏ん切りがつかなかった。 その時、突然構内に誰かの足音が響き渡った。 どういう事なんだ?禁止エリアの西区にわざわざ入ってくる人がいるなんて…。 「誰だ!!」 TUBAKIは足音の方向に向かって叫んだ。 「旅館から消えたって情報があったけど、こんな所にいたのか。 上に自転車が置いてあったんで分かったよ。」 「あ、あなたは……。」 「俺に力を貸してくれないか?この状況をなんとかしたい。」 その男は静かに、だが熱くTUBAKIに語りかけた。
696 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:17:44 ID:QkoyHXgR0
YOSHIKIはやっと落ち着いてきてGacktを見た。 「・・・これからどうするんだ?」 「ルキを待つ」 間髪入れずに答えたGacktの意外な言葉に、YOSHIKIはいぶかしげな顔をした。 「どういうことだよ。あいつは行っちまったじゃないか」 「ルキは自分以外を皆殺しにしてこのゲームに勝つつもりだ。でも考えてみろ。 この広い名古屋にあと一体何人残っていて、しかもそいつらがどこにいるか解らない状態だ。 それを探すのは困難なことだ。だったらもう一度ここに戻ってきて、まず俺達を殺したほうがいい」 Gacktは少し先の地面に転がる石を見つめたまま答えた。 「でもルキが来たとしてどうするんだ? あいつは俺達を殺しに来るんだぞ。今度は確実に」 YOSHIKIの声が少し震えた。 「もちろん黙って殺られるつもりはない。さっきもルキに言ってある。今度は容赦しない」 「ルキを・・・殺すのか?」 「ああ、今度は、な」 頷いたGacktにYOSHIKIは全身から血の気が引いていくのを感じた。 Gacktにしろ、ルキにしろ、「バンドマンを殺す」などといともアッサリ言うような男だったろうか。
697 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:23:19 ID:QkoyHXgR0
次第に闇の濃くなっていく外を狭い病室内から眺めながら、yasuは一つ欠伸をした。 幸いにしてこの病院内には誰もおらず、yasuはゆっくりhydeと自分の治療に当たることができた。 疲れた… もう、心も体も限界が近い。 「hydeさん」 ベッドに寝かせたhydeはまだ起きているらしく、呼びかけにああ、と返事をした。 「怪我人なんだから、寝れるんなら寝た方がいいですよ」 「…yasuくん、君も疲れてるんじゃないか」 「いいから」 どうせ今のhydeでは見張りにもならない。外敵に備える為には自分が起きているしかないのだ。
698 :
バトル終盤 :2005/09/21(水) 17:26:13 ID:QkoyHXgR0
残り14人
699 :
Nana :2005/09/21(水) 22:54:00 ID:louowSi/0
おー更新早いね
700 :
Nana :2005/09/22(木) 00:00:40 ID:kEjaMLFw0
内容薄いなー 全然物足りん
701 :
Nana :2005/09/22(木) 00:00:44 ID:U4XwuctPO
!(・∀・)b
702 :
Nana :2005/09/23(金) 02:34:30 ID:WcbpW8in0
『・・・そして全世界で見捨てられた子供たち。 君たちは一人かもしれない。 でも一人で恐れるのはもうやめよう。 世界中で見捨てられた子供たち。 立ち上がれ。そして共に戦おう。 俺たちは古い靴を脱ぎ捨てて、 ここではないもっと遠くへと走り出す。』 本家バトロワUの七原秋也は馬路良かったんだけどな。
703 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:35:42 ID:uVUPllDu0
「いないと思ったらこんな事してたんですね〜、閣下!」 「いや〜、死ぬかと思いました。」 西川は無言のままデーモンとアナウンサーのトークを聞いている。 テレビ画面にはSUGIZOvsデーモンの映像が何度もリプレイされる。 「西川さんはどう思いましたか?」 アナウンサーが西川に話を振ってきた。 「さっき中区の街が爆破されてましたけどあれっていいんですか? これが終わった後、名古屋の人が困るんじゃないですか?」 ささやかな抵抗として、なんの脈絡のない話を振って話の流れをさえぎってやった。 「あ、そのことですか?西川さん。あれは名古屋市長からの依頼でやったことなんですよ。 栄の街もだいぶ老朽化が進んでましたからね。これを機に再開発を進めるということです。 テレビの前の名古屋から避難しているみなさん、御心配なく。」 「……。」
704 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:39:54 ID:uVUPllDu0
薄闇の中、黒猫の死体から無線機などを回収しながら、京は焦り始めていた。 今し方入った定期放送によると、生き残りは自分を含めてまだ十四人もいるという。 これは好ましい事ではない。明らかにペースが落ちてきている。 『京』 無線機からデーモンの声が入った。相変わらず人を舐めたような甘ったるい声だ。 「何だよ…」 『今、お前中区だろ。そっちにルキが向かってる』 「ルキ。あのクソ生意気な奴か」 ちょっと周りから天才だの何だのと騒がれて、すっかり勘違いしている様は 見ていて気持ちのいいものではなかった。
705 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:42:53 ID:uVUPllDu0
『次のターゲットは、あいつだ。できるだろ』 いいだろう。あのガキに現実ってものを教えてやる。 『位置はこっちからナビゲーションしたるから。…ヘマして殺されんようにな』 「俺があんなペーペーに殺されるかよ」 黒猫が持っていたトカレフとブローニングハイパワー、 そしてその弾薬を自分のバッグに詰め込み、京は自然と口元を綻ばせていた。 『それから…お前、ちゃんとスイッチとメモを落としてきたやろな』 「ああ。あれなら、指定された通りにhydeとyasuの目の前に落としてきた。ちゃんと爆発もしたしな」 『そんならええわ。じゃあな』 デーモンもずいぶん回りくどいことをするものだ。 「さて。ぼつぼつ行くか…」 再びバイクにまたがり、京は走り出した。 まずは、あの舞い上がった若造からだ。
706 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:49:27 ID:uVUPllDu0
「逃げろ!逃げるんだ!」 櫻井の声が、煙幕の作り出した煙の中に轟く。 ka-yuはただ唖然とするのみで、体は金縛りにあったかのように硬直していた。 何だ?あいつは。妙な服を着てはいるが、あんなバンドマンは見たことがない。 「こいつは俺たちを殺す…ぐぅっ!」 瓦礫の中に銃声が響き渡る。櫻井の苦しげな呻きがそれに続いた。 「ka-yu、何してるんでだ!戦わなきゃ…」 youが折れていない右手でka-yuの肩を叩いた。 「you…馬鹿言うなよ、相手は銃を持ってるんだぞ」 「でも、このままじゃ櫻井さんが死んじゃうよ!」 あんな人、俺は親しくもないし、信用も出来ない。助ける義理なんてないんだ。 「何をぐずぐず話してるんだ!はよ逃ろ!」 煙の向こう側から再度櫻井が怒鳴った。 「櫻井さん、俺も戦います!」
707 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:53:02 ID:uVUPllDu0
「おい、待てよ」 ka-yuはほとんど無意識にyouを止めようとした。 しかし、youは一瞬早くka-yuの脇をすり抜け、煙の中に駆け込んでいた。 「ば、馬鹿野郎っ…you!」 ka-yuは瓦礫に埋もれた地面に膝をついた。 容赦のない銃撃の音に、悲鳴と怒号と叫びが混じって聞こえてくる。 どうする、助けに行くか? いまさら自分が助けに行っても、戦況は何も変わらないはずだ。 そうだ、逃げてもいいんだ、俺は。二人とも逃げろと言ったじゃないか。 ガクガクと震える足に力を込め、ka-yuは立ち上がり… それから、youとは反対の方向に駆け出した。 悪く思うなよ。俺は死にたくないだけなんだ。
708 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 16:56:21 ID:uVUPllDu0
「くそっ、こんな時にっ!」 shinyaは救急車のエンジンを覗いていた。 国立名古屋病院を出て結局第一日赤に向かう事に決めたのだがその道中で エンジンの調子がおかしくなってしまったのだ。 「なんでこんなについてないんだよ。」 ……? 空には何か白い煙のような物が流れていた。 「瓦礫の煙か?いや、違う。あれは…、櫻井さんの!?」 そうだ、ドームで見た櫻井さんの煙幕だ。 「……河村さん、待ってろ。今櫻井さんを連れて来るから!」 そう眠っている河村に呼び掛け、shinyaは煙が立ち上る方向へ走り始めた。 でも、煙幕を使うなんて櫻井さんに何かが…? ベレッタを握りしめながら走り続けて、しだいに煙の発生元が近づいて来た。
709 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:00:27 ID:uVUPllDu0
「あそこか!」 煙の向こうにかすかに人陰が見える。 あれは…、櫻井さんだ! 「櫻井さん!」 櫻井はゆっくりと振り向いた。 「なんだ、shinyaか。まだ生きてたんか?……まずい所見られたな。」 shinyaは櫻井の言葉に妙な違和感を憶えた。 それに、何か様子がおかしい。 向こうで倒れているのは…、you?! それに櫻井さんの横にいるのは……。 shinyaの背筋から一気に血の気が引いた。 あ、あいつは、ドームの……。 「ふ、櫻井さん!逃げてください!! 殺されますよ!」 shinyaはとっさにベレッタ構える。 「逃げる必要なんてないだろ。殺されるのはお前なんだから。」
710 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:06:37 ID:uVUPllDu0
「な、何を言ってるんですか。そいつは、ドームにいた奴じゃないですか! 「意味が分かってないようやな。ふん、じゃあ冥土の土産に教えてやる。 俺は元々主催者側のスパイなんだ。」 「…スパイ?」 「最初、荷物を開いた時は驚いた。なんせ入っていたのは煙幕とNHKの携帯無線なんだから。 で、試合をテレビ用に盛り上げろって指示が来て。 俺はNHKの内部情報を提供されながら行動してきたってわけだ。」 「そんな……。じょ、冗談ですよね、櫻井さん! 最初から河村さんとずっと一緒に行動してたんでしょ?スパイなら1人で行動しているはずですよ!」 「河村と組んだのはレーダーを利用させてもらっただけだ。」 「…嘘だ!だって、ドームにだって命懸けで乗り込んだじゃないですかっ!!!」 「命懸け? 俺は命なんてかけたつもりはない。エースから頼まれてやっただけだ。 禁止エリアが停止してたことも、警備が俺を撃ってこない事も最初から知ってたんだからなぁ。」 また笑いながら櫻井は言った。
711 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:10:36 ID:uVUPllDu0
「ちょっとしゃべりすぎたな。shinya、死んでもらう。」 そういうと櫻井は拳銃をshinyaに向けた。 「ん?」 「ka-yu逃げて……。」 地面に倒れていたyouが櫻井の足にしがみつきながら煙の向こうに呼びかけた。 「ちっ、死に損ないがっ!」 1発、2発、櫻井がyouの体に銃弾を打ち込む。 しだいにyouの体から力が抜けていき、櫻井はyouを振り払った。 「ん、shinyaはどこいった? ……逃げられたか。 まあいいか。あんな奴すぐ死ぬだろうからな。美嘉ちゃん、行くぞ。 煙が晴れてこんな所カメラに撮られたらたまらんからな。」 そう言うと、櫻井達は煙の中に消えていった
712 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:15:35 ID:uVUPllDu0
櫻井は廃虚となった中区の街まで引き返して来て一息ついていた。 中島美嘉とは煙幕を抜けてすぐに別れた。 エースが連れて来たあいつはあいつなりに勝手に動くのだろう。 「youの奴、生き残ってればいいバンドマンになってたんかな。」 櫻井は自ら手をかけたyouの事を漠然と考えていた。 「感情が高ぶって撃ってしまったけど、今思うとかわいそうな事をしたかなぁ。」 やばい、そんな事考えたらだめだ。 さっきshinyaにあんな風に宣言したんだし、もう後戻りはできん。 ……ヴィジュアル系の人気回復のために、俺はヒーローにならなきゃいけないんだ。
713 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:20:57 ID:uVUPllDu0
「なん…で…」 ka-yuは今度こそ失禁しそうになっていた。 中区から飛び出さんばかりの勢いで走り続け、 やっと謎の女から逃れられたと思ったら、行く手にまたも見知らぬ女が立ち塞がったのだ。 ナースコスプレに縫い付けられた凶気の顔。 それに首輪をしていないではないか。非公式に参加しているとでもいうのか。 いったい、このプログラムはどうなっているんだ。 死にたくない。死にたくないよ、俺は。 ka-yuは自分が狂ってしまったかと思った。それほど混乱していた。 「…あ…あんた…何者なんだ…」 ナース服は答えなかった。 ただ、ka-yuにぴたりと向けられた銃口がその意思を明確に表していた。 足から力が抜けそうになるのを堪えるだけでも辛い。
714 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:25:30 ID:uVUPllDu0
「俺を殺すんだな…」 やはり返答はない。女は無表情に唇を引き結んだままだ。 しかし、ふとka-yuは、女の顔が見覚えのある顔だということに気付いた。 何だ?こいつの顔はテレビか新聞で見た事があるような… 「なあ、あんた…俺、どっかであんたの顔…」 唐突に銃声が響いた。 腹に衝撃と痛みが走る。ka-yuの足はついに負け、体は瓦礫の上に倒れた。 ka-yuは何とか体を起こそうとしたが、痛みが酷くてとても力が入らない。 その激痛でka-yuは思い出した。 「椎名林檎…!」 東京事変の椎名林檎だ。しかし、何故?何故その林檎がここに? 無論、その疑問の答えがka-yuに与えられることはなかった。 一殺50万円の約束でこの名古屋に降り立った林檎は、 ka-yuの体が動かなくなるまでモーゼルHScを撃つ手を休めようとさえしなかったのだ。
715 :
バトル終盤 :2005/09/23(金) 17:27:37 ID:uVUPllDu0
残り12人
716 :
Nana :2005/09/23(金) 22:27:21 ID:datsyhK6O
更新乙です(・∀・) 続き楽しみ
717 :
Nana :2005/09/25(日) 18:58:16 ID:3zViyRdU0
更新乙! 前よりオモシロイw
718 :
Nana :2005/09/26(月) 09:27:44 ID:3xoh0v/n0
719 :
Nana :2005/09/26(月) 18:49:18 ID:aSAp7ad90
>>718 え?そうなのか?
俺は自演じゃないけど('A`)
720 :
Nana :2005/09/26(月) 18:53:28 ID:+x90d7YSP
>718 中日バトロワスレの作者タソに失礼だな
721 :
Nana :2005/09/26(月) 22:18:45 ID:CTo/0fFtO
>>718 俺も誉めてたが、自演じゃないぞ。推測でそういうこと言うのはよくない。
722 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:11:36 ID:XWaCq5Yo0
ルキ〜side〜 ルキは不意に足元を襲った銃弾に、つんのめるようにして地面に倒れた。 しかしすぐさま体勢を立て直して、銃を胸の前に構えた。 「誰だ!?」 ルキが逆方向へと視線をめぐらせた瞬間、今度は腕の近くをかすめて少し先に着弾した。 「くっ」 熱い様な痛みに、ルキは腕を押さえた。 体を反転させる間に再び足元に着弾した。 ルキは近くのビルの陰に飛び込んだ。そして見えない相手を探ろうと少しだけ顔を覗かせると、今度はそのすぐ上の壁に銃弾が当たった。 ルキは慌てて首をすくめた。 相手はわざと自分を外して撃ってくるのだと理解して、ルキはチッと舌打ちした。 (なめたマネしやがって・・・) hydeをなかなか見つけられない苛立ちに加えて、更にルキの心を煽ってくる。
723 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:14:17 ID:XWaCq5Yo0
ルキがhydeとyasuに会った場所まで戻った時には、hydeたちと分かれてから数時間経過していた。 当然そこにはもうyasuもhydeもおらず、ただ戦闘の跡があった。 しかしそこから点々と続く血の跡、それからルキは何かを嗅ぎ取ったのか、それを追っていたところだった。 そこを不意に襲われたのだ。 ちくしょう、俺をなめやがって。こんなふざけたマネしやがったことを後悔させてやる! お前が誰だか知らないが、俺に銃を向けたことを後悔させてやる! 勝つのは俺だ。この天才・ルキだ! ルキはギリッと歯軋りをすると相手の気配に神経を尖らせた。
724 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:18:46 ID:XWaCq5Yo0
京〜side〜 京は予備の弾薬を手で探りながらルキの動向を覗っていた。 「1発で殺すな。なるべくゆっくりやれ。そして顔は最後まで傷つけるな」それがデーモンからの指令だった。 メディア経験はほとんどないが、その顔立ちで女性ファンはなかなか多いらしい。 だからジワジワと攻めて、その顔が怒りや恐怖によって千変万化するのをじっくり放送したいのだと、そうすることによって女性の視聴率を上げようというのだ。 デーモンからの指示で京は徒歩でルキに近付いた。 そしてhydeを探すことにだけ神経を集中していたルキは、近付く京にはまったく気付くことはなかった。 そして・・・。
725 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:21:45 ID:XWaCq5Yo0
いい絵は録れているだろうか。 怒りに満ちた顔で振り返った時は、なるほど可愛いかもしれないと思った。これなら女性にも受けはいいだろう。 しかし、自分にとってはただの小生意気なガキだ。 そろそろ周りじゃなく腕でも足でもちゃんと撃ってやろうか。痛みにゆがむ顔ってのも見ものだろう。 それからジワジワと・・・最後はあの顔を、あのこまっしゃくれた顔をズタズタに引き裂いてやろう。 視聴率は一気に跳ね上がるに違いない。 グロテスクすぎて逆に引かれるか? いや、この春の薄闇がいい具合にソフトフォーカスを掛けてくれる。 最高視聴率をたたき出してやる。 それがこっちの命も繋がるってことだ。 京はここからの演出を考えながら、ルキの隠れるビルの壁をジッと見つめた。
726 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:28:56 ID:XWaCq5Yo0
ルキはいまや目の前に立って自分を見下ろしている京を、荒く息を繰り返しながら睨みつけていた。 さっきからヘリコプターのホバリングの音がうるさい。 辺りはもう暮れて暗いのに、2人の周りは煌々と照らし出されている。 その眩しさもルキを苛立たせた。 既に使い物にならなくなったルキの右腕と左足からは血が溢れ出し、血溜まりは既に赤黒く変色している。 使い物にならなくなったのは京に撃たれた腕と足だけではない。 左手で握り締めているワルサーP38も既に弾切れになっている。 (俺はこのままこいつに殺られるのか。俺の栄光の未来が閉ざされるのか) そんなルキを見下ろして京は笑っていた。 ルキがもう反撃出来そうもないと見切って、手にしている武器も銃からサバイバルナイフに持ち替えている。
727 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:32:21 ID:XWaCq5Yo0
「いい顔が撮れてますよー。視聴率もさっきから上がりっぱなしです。じゃ、そろそろ次の一撃行きましょか」 デーモンのいやらしい声が指示を出してくる。 (うるせぇよ) そうは思っても京は素直にデーモンに従った。自分から死に急ぐことはない。 京はナイフを握りしめ振りかぶった。 (なんだ、アレ・・・) ルキは京の耳元に繋がるコードを見つけた。どうやらイヤホンを着けているらしい。 こんな時に何を聞いているのか。妨害電波の影響でラジオなんか使えるはずが無い。 じゃあアレは・・・あの相手は・・・。 ルキは自分にかぶさるように向かってきた京を、残っている右足で思い切り蹴り上げた。
728 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:36:46 ID:XWaCq5Yo0
「ぐふぅ・・・っ」 京のみぞおちに綺麗にルキの足が入った。京の体が落ちてくるのを何とか避けると、ルキはグイッと京のイヤホンのコードを引っ張った。 「・・・ルキくんだったなぁ? デーモンですー。君、人気あるんだねぇ。女の子からすごい応援メール来てますよー」 ルキがイヤホンを装着すると、想像通りにデーモンの声が聞こえてきた。 イヤホンを見たときに一瞬でルキは解った。京は本部と繋がっている、と。 「さっきからいい顔が撮れてます。この調子で頑張ってくださいねー」 白々しい言葉だ。そうやってさっきまで京に自分を殺すように指示してたんだろうに・・・。ルキは舌打ちした。
729 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:41:54 ID:XWaCq5Yo0
中継画面を先ほどまでの京がルキを追い詰めていくところのVTRに切り替えて、デーモンはルキに話しかけ続けた。 京だろうが、ルキだろうが、プログラムを面白くしてくれればいい。 「京はそのまま殺っちゃっていいですよー。京をうまいこと殺してくれたら、スタッフが君を連れ帰ってちゃんと手当てしてあげますからねー」 モニターの向こうでルキが京を見た。京はまだ起き上がることが出来ないでいる。 「それだけじゃありませんよー。君がみんなを殺して回るんをサポートしてあげましょ。名古屋はまぁ広いんでねー。偶然会えるのを待ってるんじゃー効率も悪いですからねー」 画面の中のルキがピクリと肩を震わせた。 (サポートする、だと?) ルキは目を見開いて虚空を見つめた。 確かに今のままでは効率が悪い。しかしデーモンが散らばるバンドマン達の場所を教えてくれるなら・・・。 ルキはコックリと頷いた。 「じゃ契約成立ていうことで。頑張ってくださいねー。中継再開します」 デーモンが言うとルキはイヤホンを投げ捨てた。そして倒れている京の頭に握り締めたままのワルサーのグリップを叩き付けた。 「ぐあ・・・っ」 頭骨の割れる手ごたえがルキに伝わった。
730 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:44:52 ID:XWaCq5Yo0
ルキは京の手から零れたナイフを拾い上げた。そしてためらうことなく京の心臓めがけて突き刺した。 負傷した体ではあまり力が入りきらないが、それでもナイフはズブズブと京の体にもぐっていった。 「・・・・・・」 もう京は声もあげなかった。 ルキはナイフを引き抜いた。そして何度も何度も繰り返し突き刺した。噴出す谷繁の血が中里を濡らしていく。 ルキの顔に笑みが、壮絶な笑みが広がった。 「勝つのは、俺だー!」 血まみれのルキをカメラはしばらく映し続けていた。 やがてヘリコプターが地上に降りた。 どうやらここからの中継は終わったらしい。 スタッフはルキを抱えるようにしてヘリコプターに乗せ、再び上空に上がり、かなたへと飛び去っていった。
731 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 22:51:40 ID:XWaCq5Yo0
何で、何でなんだよ、櫻井さん。 俺、あなたに励まされたからここまで頑張ってこれたんだ。 shinyaは必死に走りながらそんな事を考えていた。 見えた、あの角を曲がれば救急車の場所までもうすぐだ! 「河村さん、とにかく逃げるぞ!」 shinyaはそう叫んで後部車両に飛び乗った。 「なっ…?!」 そこに河村の姿はなかった。 さっきまで河村の腕にささっていた点滴が転がっていて、河村の荷物も なくなっていた。 「…何なんだよ! どこ行ったんだよ、河村さん。俺がいない間に目覚めたのか? どれだけタイミングが悪いんだ、くそっ!レーダーを持ってるっていっても、まだあの体じゃ……。」 周囲を見渡してみる。 もう姿も形もないが、まだそんなには遠くにいっていないはず。 「………。仕方ないよ、俺がやるしかないんだ。俺がやるしか…!」 shinyaは震える己の体にそう言い聞かせた。そして身を翻して、再び走り始めた。
732 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 23:00:12 ID:XWaCq5Yo0
YOSHIKIは闇を透かして周囲を見回した。すでに目は暗さに慣れている。 空には満月に近い太った月が昇っていて、これの光は随分とYOSHIKIの視界を広げてくれた。 …もう、隣には誰もいないのだから尚更だ。 YOSHIKIとGacktは、日が完全に落ちる前に別れていた。 別れたと言うよりも、YOSHIKIが一方的にGacktを追い払おうとした、 と言った方が正しいかもしれない。 もう自分は駄目だ、YOSHIKIは思い始めていた。 誰も俺に構うな。近付くな。一人にしてくれ。安堵をくれ。 「もう、勘弁してくれ…」 Gacktは去り際、何も言わなかった。少しだけ眉を顰めたきり、振り返りもせず公園を去った。 「誰か助けてくれよ…」 足の傷がじくじくと痛むのもYOSHIKIを強く苛んでいた。 もう、俺は駄目だ。
733 :
バトル終盤 :2005/09/27(火) 23:03:00 ID:XWaCq5Yo0
残り11人
734 :
Nana :2005/09/28(水) 16:00:46 ID:kiYPXz980
更新乙!
735 :
Nana :2005/09/30(金) 12:54:19 ID:uUDTVjWqO
殿が…殿がああぁぁ
736 :
Nana :2005/09/30(金) 16:15:27 ID:wEd49BjA0
殿がパクルキに殺られるなんてorz
737 :
Nana :2005/10/04(火) 21:07:56 ID:SpaVEd840
ソニー版のが面白い ここツマンネ
738 :
Nana :2005/10/04(火) 21:18:12 ID:pEuamtXmO
禿同だがソニー版はメンバーが嫌 向こうは邦楽だから当たり前だがw あれをここ風に改変したら相当面白そう hyde役はキリトでアキヒト?は殿だな 漏れ的にはそんな印象を受けた
739 :
Nana :2005/10/05(水) 11:39:51 ID:DHmas3yXO
早く続きキボン…いやお願いします!
740 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:39:27 ID:33aAJbIv0
首輪システム復活の報がデーモンの元に届いたのは、 午前の二時を幾分過ぎた頃だった。 「さて…ルキくんに、hydeの居場所を教えてやらないとな」 「中村区の、第一赤十字病院、ですか」 長椅子から身を起こし、ルキは噛み締めるように復唱した。 運ばれてから一時間ほど経ち、体力はだいぶ回復している様子だ。 「そうだ。ただし、yasuが一緒にいる」 「問題ありませんよ。あんなヘラヘラした奴、いてもいなくても同じですから」 そう言って唇の端を歪める若いバンドマンの目には、今や異常な光が宿っていた。 「そんならいいけど…ああ、お前の銃、弾無くなっただろ。これ貸す」 SUGIZOを殺した時に使ったH&K MP5A5を差し出すと、ルキは目を見開いた。 「…今から行けるか?」 「はい」 そうか、と言おうとしたが、声が掠れて言葉にならなかった。返事をする気力さえ失われていることに今更気付く。 草木も眠るこの時刻、正気の者は疲れ果て、力を得るのは狂ったものばかりだ。
741 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:42:00 ID:33aAJbIv0
YOSHIKIの中に、もう時間の感覚はなかった。 ただ頭上の月はまだ傾いていないから、夜明けが遠いであろう事だけはわかる。 出刃包丁を握り締めた右手は冷えて悴み、 金槌を握った左手も寒さに感覚を失くし始めていた。 YOSHIKIは芯まで冷えた体を暖める事さえ、もう忘れかけていた。 ただ周りを見回し、耳を澄ませることのみが確かな「すべき事」になっていた。
742 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:46:48 ID:33aAJbIv0
人が来たら、戦わなければ…誰も味方などではありえないのだから。 そう思い、改めて両手に力を込めた時だった。 足音が、YOSHIKIの耳に届いた。地面に座り込んだ全身が緊張する。 敵だ。敵だ。敵だ敵だ敵だ敵だ。 足音は無駄なく自分の方に近付いてきている。 YOSHIKIはふらりと立ち上がった。心臓が激しく鼓動を刻み、手のひらに汗がにじんだ。 ゆっくりと後ずさり、背後の木立の中に身を潜ませるべく体を屈めた。 ほぼ全身が木々の合間に隠れた頃、YOSHIKIは近付いてくる女の顔を視界に見止めた。 相変わらず、こちらに向かって歩いてきている。 先ほどまでYOSHIKIが座っていたあたりで足を止めた。 中島美加。 「誰」 思わず呟いた。 呟きは銃声にかき消され、YOSHIKI以外の者の耳に入る事はなかった。 痙攣したように上体が揺らぐ。 咄嗟にYOSHIKIは右手にあった木にしがみ付いたが、すぐに力が抜けてずるずると倒れた。 死ぬのか… やっとこれで、自由になれる。 最期にYOSHIKIの胸に満ちたのは、無念でも恐怖でも悲憤でもなく、安堵だった。
743 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:51:34 ID:33aAJbIv0
ルキはまだ暗い道を第一日赤に向かって歩いていた。 本当はデーモンから「まだ待ってくれ」と言われていた。 先に行われた中島によるYOSHIKIの射殺が思ったような反響を得られなかったのだ。 真夜中を過ぎて明け方に近付いた時間では視聴者数も少なく、また見ていた視聴者からも「画面が暗すぎる」というクレームが相次いだこともあって、夜が明けてからの展開が望まれた。 それとルキの思い描くショーに必要不可欠なGacktを第一日赤方面に向かわせるのに時間がかかりそうだからということだった。 しかしルキはそれを拒否して部屋を出た。 もちろんデーモンの言うことは理解していた。 新たな展開は日が昇ってから、というのも。Gacktが来るまで時間が掛かる、というのも。 でもルキは逸る気持ちを抑えられなかったのだ。
744 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:53:52 ID:33aAJbIv0
ルキはじっとしていられなくて自分で歩いていくことを選んだ。 歩いていくうちには時間もそれなりに経つだろう。 わざと自分で巻きなおした包帯を引きずりながら、ルキは高揚した気分で歩を進めた。 労せず最高の舞台を整えてもらえる。 そしてその主役はこの自分だ。 たまらない。 ゾクゾクする。 ああ、早く夜が明けてくれ。 そして早くこっちへ来い、Gackt。 俺をナメたこと後悔させてやる。 はは、皆殺しだ。 皆殺しだ!
745 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 18:58:11 ID:33aAJbIv0
Gacktはふと顔をあげた。 視界が薄紫にぼやけていた。 それは移り行く朝の色だった。 Gacktはそれを眺めながら、朝はこうして明けるものかと改めて思った。 Gacktは弾かれるように立ち上がった。 太陽はいつのまにかもうあんなに高い。 「行こう」 Gacktはそうはっきりと言葉にして言った。 太陽の光を背に受けて、Gacktは歩き始めた。
746 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:02:24 ID:33aAJbIv0
<D48 Gackt 生体反応なし・死亡> 突然モニターに表れた文字にデーモンは思わず立ち上がった。 「誰だ!? 誰が殺したんだ!?」 Gacktのいた付近には他の誰の反応もなかったはずだ。 付近に設置した監視カメラの映像にもGacktの姿はない。 もちろん他のバンドマン達の首輪からもGacktの状況は何も分からなかった。 デーモンは大型モニターを見上げた。 しかしそこにはもうGacktの生存を示す点はない。 「事故か・・・? 病気・・・?」 どちらも考えにくい。 自殺ということも考えられないではないが、序盤は壊れかけていたとはいえ今のGacktが自殺なんかするとは思えない。
747 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:05:04 ID:33aAJbIv0
デーモンは無線を手にした。 「櫻井、Gacktを探すんだ! 草の根分けても探しだせ!」 残る答えは1つ。 Gacktが何らかの手段を使って本部の監視下から逃れたということだ。 監視から逃れたGacktがどんな動きをみせるか分からない。 どのようにも動ける。 デーモンは更に落ち着かない様子でモニターを見つめた。 しかしデーモンは気付いていなかった。 首輪のシステムが復旧した時から、本当はそこに表れていなければならないはずの点が1つ足りなかったことを。 D58・河村隆一を示す点がモニター上にないことに・・・。
748 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:12:25 ID:33aAJbIv0
雨戸を閉め切った民家の中、朝の定時放送で自分の名前が死亡者として読み上げられるのを聞いて、 Gacktはホッとしたように大きく息を吐いた。 しかし自分の前に呼ばれたYOSHIKIの名前にGacktは目を伏せた。 「YOSHIKIくんも助けたかったんだけど・・・。本当はもう少し早く動きたかったんだよ」 「東海林さん・・・」 Gacktは顔を上げて目の前に座る東海林を見た。 その東海林の隣にはやはり沈痛な面持ちで星子誠一(zy編集長)が座っていた。 星子の前に1個の小さな金属の塊のようなものが置かれていた。 それは本部側の人間から託された、あの忌まわしい首輪の呪縛からバンドマンを解き放つ磁力キーだった。
749 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:23:24 ID:33aAJbIv0
いくら本部側に属していてもやはりこのプログラムを平然として受け入れることの出来ない人間はいたのだ。 「子供のころからヴィジュアル系のファンです。なのに・・・なのにこんなことになるなんて・・・」 誰もいない廊下で近付いてきたまだ年若い男が、震える手でその磁力キーを星子に差し出した。 本部への背信行為は見つかれば厳しい制裁が下ることは想像に難くない。 しかし彼はそれでもその鍵を渡したのだ。 星子も表向きは世飢魔Uらとともに本部に従っていたが、やはりバンドマン達がこんな理不尽な殺し合いをさせられているのを 諦めの気持ちで受け入れることは出来なかった。 なんとかしてこのプログラムを壊したい。何とかして・・・。 そんな時に星子は鍵を受け取った。 「いいのか?」 彼はコックリと頷いた。こんな重大事がバレたらただでは済まない。でも彼は強い瞳で星子を見つめた。 そして一礼して彼は去った。 「ありがとう・・・」
750 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:26:58 ID:33aAJbIv0
星子は思ってもみなかった福音を手に入れた。 そして本部内で運良く出会えた東海林とともにバンドマン達を救うべく、そしてプログラムを壊すために本部を後にしたのだった。 「河村くん、具合はどうだ?」 河村を救急車から連れ出したのも東海林と星子だった。 「かなり楽になってきました」 「そう」 星子は深く頷いた。 もう残っているバンドマンも少ない。 このプログラムを成功裡に終わらせることだけは避けなければ。 テレビの中で道化者にされて死んでいった者たちのためにも。 そして今まさにこの死闘の中であがいている者たちのためにも。 ・・・自分の身の危険を顧みず、鍵を渡してくれた彼のためにも・・・
751 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:36:59 ID:33aAJbIv0
「あう、あ、か、か、ka-yu…。」 河村を捜して周囲をうろつくうちにshinyaは地上に横たわる『何か』を見つけたのだが、それがka-yuの死体だと気付いた時には腰を抜かして動けなくなってしまっていた。 その状態で何分くらい経っただろうか、しばしの静寂の後にshinyaは少し落ち着きを取り戻してka-yuの死体を凝視する事ができきるようになった。 身体からしみ出る嫌悪感を押さえながらka-yuの遺体を道端の車の中に移動させた。 「ka-yuくん、せめてもの棺桶だ。成仏してくれよ……。 ……なあ、こんなの絶対間違ってるよな。死んでも葬式すらあげてやれないんだぜ…。 ka-yuくん、そうだよな、間違ってるよな? 答えろよ。 答えてくれよ!!!!!!!」 ka-yuからの返事はなかった。 shinyaは心の中に溜まっていたものを吐き出した後、車の横でしばらく呆然としていた。 「…じゃあ、俺大西を捜しに行くわ。 ……ん?」 shinyaが車から離れようとしたその時、何か黒い物が道の隅に落ちているのに気付いた。 「これは……、あいつの荷物?」 ka-yuを襲った奴はこれと奪っていかなかったのか? 恐る恐る中を探ってみると何かの小ビンが出て来た。 「何だこれ? ……毒薬?!」 銃を持った奴がうろうろしてる中でこんな物持ってたって…。 …でも、一応貰っていくか。 ka-yuの形見にもなるわけだし……。 「……これ貰ってくぞ、ka-yuくん!またどっかで会おうぜ!!」 静寂に響くその声に、shinyaは出棺の時に鳴らすクラクションを思い起こしていた。
752 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:43:26 ID:33aAJbIv0
「Gacktが消えた」 無線機の向こう、デーモンは乱暴にそう言った。 「消えたって、どういう事ですか」 「…調査中だ。ああ、追加された禁止区域は港区だから、近付かんようにな。 あとはお前の好きにしたらいい」 「そんな」 それはもうスタッフ側が自分を関知しないということではないのか。 「hydeを殺すのも、yasuを殺すのも自由だ。まあ、Gacktが見付かったら一応連絡する」 あまりに突き放した言いように、ルキは何かが切れるのを感じた。 「…いえ。解りました。もういいです。あんたたちには頼りませんよ」 言い捨てた勢いで無線機を近くの茂みに投げ、そしてルキは痙攣するように笑った。 もういい。もういい。 俺は俺一人でヒーローになってみせるさ。 Gacktは後回しでいい。まずはhydeだ。そしてyasu。 連中の首をGacktに突きつけてやろう。 そして絶望するGacktの顔面をこのサブマシンガンで吹っ飛ばしてやる。 「俺が生き残るに一番相応しいんだよ」 第一日赤の病棟郡に向き直り、ルキはゆっくりと歩き始めた。 俺はヒーローだ。俺は天才だ。 だから生き残って、このプログラムの若き覇者として名を残すのだ。 どいつもこいつも俺をコケにしやがって。 今に見ていろ。二度とでかい口を利けなくなるような惨劇を見せてやる。
753 :
バトル終盤 :2005/10/06(木) 19:44:41 ID:33aAJbIv0
残り10人
754 :
Nana :2005/10/06(木) 22:50:37 ID:p7NOei5lO
乙です!本格的に終盤って感じのかなか面白い展開。続き、楽しみにしてます。
755 :
Nana :2005/10/07(金) 14:12:35 ID:IIcrCkSM0
乙! そろそろ終盤ですね、楽しみにしてます!がんばって下さい。
756 :
Nana :2005/10/14(金) 10:19:38 ID:FYHY+lZoO
キリトは?
757 :
Nana :2005/10/16(日) 08:18:50 ID:opujTpp/O
更新期待あげ
758 :
Nana :2005/10/18(火) 17:02:08 ID:/ODEq0Zd0
保守
759 :
Nana :2005/10/22(土) 21:29:05 ID:cLLOYxpQ0
あげ。 続きまだー?
760 :
Nana :2005/10/23(日) 15:33:48 ID:q/6iZxiJO
更新マダー(AA略
761 :
Nana :2005/10/28(金) 11:45:17 ID:3UqjAlAoO
更新まだなのですか?
762 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:33:55 ID:WLQcKcpf0
朝が来たというのに、キリトは目を覚まさない。 アイジは浅い眠りから覚め、何をするでもなく病室の中を歩き回っていた。 四日目の朝、か。 殺し合いの実感など無く、ただ、今この時が安全であればいいと思っていた。 その平穏が何となく続くものだと… 考えてみれば、そんな事はありえなかったのだ。 この逃れようのない「プログラム」という檻に閉じ込められた瞬間から、 自分がのんびりと、慎ましやかに生きていく道など絶たれてしまっていたのだから。 アイジはすでに自分の無力を思い知っていた。 京たちの襲撃を受けたあの時、偶然居合わせたyouがジンに斬りかかっていなければ、 自分たちは嬲り殺されていたに違いなかった。
763 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:37:32 ID:WLQcKcpf0
放送によれば京も犬神凶子もジンも既に死んだらしいが、第二の襲撃がいつあるか。 なにしろ、あいつらはスタッフと内通していた。 内通者が連中だけだとは到底思えない。 それに、キリトの言っていた「黒い大蛇」。 あまりにも不吉なその単語は、何を意味しているのか… 考えつつ、アイジはひとまず無人のベッドに腰掛けた。 バン、と廊下に面するドアが乱暴に開け放たれたのはその時だった。 しまった。 廊下に立っていたのは見慣れない女だったが、アイジは直感した。 この女こそ、黒い大蛇に相違ない。
764 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:41:43 ID:WLQcKcpf0
静寂を破ったごく微かな足音が、容易に全身を緊迫させた。 ゆっくりとした足取りは、階段を登っているらしい。 右手に銃を、左手に刀を、それぞれ硬く握り締め、yasuは立ち上がった。 誰であろうと戦うだけだ。容赦はしない…それがたとえGacktやYOSHIKIであっても。 yasuはもう心に決めてしまっていた。と言うよりも、強く思い込もうとしていた。 命は限りなく軽く、悲しいほど簡単に吹き飛ぶ。己のミスはhydeの死に直結する。 思い出すのは、プログラム開始直後のナゴヤドーム前で見た、清春の殺意に満ちた目… 本当はあれを目の当たりにした時点で、割り切らなければならなかったはずなのに。 ずるずるとここまで引きずってきた希望を、ここで断ち切らなければ。 しかし…この部屋で戦うのはまずい。死ぬのは自分だけで十分だ。 敢えて声をかける事はせず、黙ってhydeの顔を覗き込むと、hydeもまた何も言わずにただ視線だけを投げてよこした。 ひとつ頷き、それからyasuはできる限り静かにドアを開けて廊下に出た。 …さあ来い。誰であろうとぶっ殺してやる。
765 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:45:07 ID:WLQcKcpf0
先んずる事だけを考えていた。 相手が銃を持っているかも知れない。爆弾を持っているかも知れない。…そんな事は考えなかった。 いや、複数の事を考える余裕さえyasuには残されていなかったのだ。 壁に張り付いた体勢から大きく足を踏み出して階段の方に向き直り、真っ先に認識したのは銃だった。 銃口が下を向いてはいるが、紛れもない実銃、それもマシンガンの類。 それから、まさに最後の段を上りきろうとしている「敵」。 情報はそれだけで充分だった。 銃口がこちらを向く前に、左手の刀を捨てて飛び掛った。手ごたえがあった。重力のかかるままに敵の体を押し倒す。 視界が揺れてすぐにわけがわからなくなった。襲い来る幾度もの衝撃と共に、銃声が鼓膜に突き刺さった。 左の肩に熱が走る。すぐに撃たれたのだとわかった。しかし、肩ならいい。肩なら死ぬ事はないのだから。 それよりも、撃ってきたという事は、やはり、これは敵だ。では殺さなければならない。 夢中で両の腕に体重をかけ続け、気が付くと、yasuは組み伏せた敵ごと踊り場のすぐそばまでずり落ちていた。
766 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:47:11 ID:WLQcKcpf0
殺意に満ちた目が下から睨みすえてくる。 息が苦しい。全身から嫌な汗が噴き出す。頭はパンクしそうだ。 いや、落ち着け。yasuは必死で己に呼びかけた。階段の上という不安定な場所ではあるが、 圧し掛かっている自分の方が有利である事に変わりはあるまい。まずは落ち着かなければ。 「放せっ」 暴れようにも押さえつけられ、さすがに身動きが取れないのか、相手は明らかに狼狽している。 あの物々しい銃はまだ手にしているらしいが、その右腕はyasuの左手が押さえ付けていた。ほとんど無意識のうちに、だが。 更に左手に体重をかけようとし、飛び掛った時に肩を打ち抜かれた事を思い出した。 「ぐ…」 左手に力を入れようとする度、激痛が走り、腕が震えた。濃厚な血の匂いに吐き気までしてくる。 傷口がどくんどくんと怯えるように脈打ち始めていた。痛みで気が変になりそうだ。
767 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:49:11 ID:WLQcKcpf0
「放せっつってんだろ!てめぇ!」 眼下の敵はなりふり構わず抵抗をしてくる。その振動さえ傷を苛んだ。 もし一瞬でも痛みに耐えかねて力を抜けば、とたんに自分の体は跳ね上げられてしまうだろう。そうしなってしまえば…殺される。 左手の助けに右手をやりたかったが、右手も左手と同じように敵の左腕を押さえている。 敵は腕が自由になれば、こちらの頭や鼻を狙うに違いない。銃を封じる事に固執して素手に仕留められては意味がない。 では、足は。 足は今までどうなっているかも気に止めていなかったのだが、どうやら敵の腰か腹あたりに両膝が乗っているらしい。 敵はしきりに足をばたつかせていて、膝に発達した筋肉の動きが伝わってくる。 震えるのを堪えてことさら細く息を吐いた。冷静になれ、冷静になれ。 左肩の事を考えると、長期戦は不利だと言わざるを得ない。賭けに出てでも一気に決めるしかなさそうだ。 しかし、yasuの頭の中にはどういう賭けに出るのか、それさえ思い浮かばなかった。 力を抜くわけにはいかないのに、いつまでも力をかけ続ける事も出来そうにはない。ではどうすれば。
768 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:51:22 ID:WLQcKcpf0
「俺が生き残るんだ!それが一番いいんだよ!」 敵は飽きる様子もなく喚き続けている。 「いいって、何がいいんだよ…」 「音楽界の関係者だってファンだってそう思ってんだよ!お前なんかが生き残っても何にもならねーよ!」 声はまるで遠くから届いているかのように聞こえていた。現実のものではないかのように。 「お前が生き残れば、何があるんだよ」 「栄光」 「…栄光?」 「若いヒーローに対する賞賛と羨望と畏怖が俺の周りに集まるんだ」 「それがお前の栄光か…」 どうしようもなく笑いが漏れた。小さい男だと思った。全くもって、呆れるほど小さい男だ。 栄光だと。人を殺してでもそれを得たいのか。いや、人を殺さなければそれを得られる自信が無いのか。
769 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:54:36 ID:WLQcKcpf0
「俺が新しい時代の主役だ、俺が生き残らなきゃプログラムの意味も無いんだ!」 「じゃあ無意味なまま終わらせてやる」 それは本当に、不意に思いついた行動だった。 yasuは肩が痛みを訴えるのを承知の上で、頭を振り下ろしていた。吼える若い男の鼻っ柱を目掛けて。 痙攣するように足下の体から力が抜けた。一瞬だったが、yasuはそれを逃さなかった。 顔を上げざま、ほとんど右手の位置はずらさぬまま、向きだけを変えてデザートイーグルの引き金を引いていた。 無茶な体制から撃った割には覚悟していたほどの反動は来なかった。 そろそろ聞き慣れ始めた銃声が、しかし轟然と鳴り響く。 小うるさかった顔と頭の一部が見事に弾けた。 しつこそうな手合いだったが、これで間違いなく死んだだろう。赤やピンク色をしたものが辺りに飛び散ったのを見、 掃除が大変だろうなどと思いつつ、yasuはぼんやりと立ち上がった。 何故か罪悪感は感じなかった。 このプログラムに意味を見出そうとする愚かさに腹が立ったせいかもしれない。 それにしても肩が痛い。左なのが救いだ。 とりあえず銃はベルトに挿し、左肩を庇いつつ持ち主を失ったサブマシンガンを拾った。 それから何となく顔を確認して、ようやくこの敵がルキだったのだと知った。知ったが、特に何とも思わなかった。 そんな事よりも病室に戻って肩の治療をしなければならない。
770 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 15:58:21 ID:WLQcKcpf0
まず、あまりに血生臭いのでおかしいと思った。 返り血を浴び、自分も左肩を怪我していながら なお気になるほどの血の匂いなのだから、尋常のものではない。 それで、直後に背筋が冷えた。気管が詰まったように息が出来なくなった。 まず、この病室にはhydeしかいなかった。 そして、ルキ以外にこの病院の、この階への侵入者はいなかった…はずだ。 ルキと自分が小競り合いをしている数分の間に何者かが到達するという可能性も無いわけではなかった、が、 それは限りなくありえない事態だったし、もしそうだったところで、hydeに抵抗は出来ないのだから… つまり、この咽るほどの血の匂いが、何故この病室に充満しているのかと考えると。 yasuは再び吐き気がこみ上げてくるのを感じていた。 真っ白になりそうな頭の中に、ひとつのフレーズが浮かんだ。 「72時間ルール」。 あれのタイムリミットは、ちょうど今頃ではなかっただろうか。 72時間以内に誰も殺せなかった人間の首輪をランダムに爆破する、と、 アナウンサーだかデーモンだか、運営側の人間が確かに言っていた。
771 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:02:09 ID:WLQcKcpf0
どちらにせよ、そんなルールはすっかり忘れていたけれども…もう残り人数もごくわずか、 誰も手にかけていない人間となればますます少なく、的中率はどれほど高くなっていたか。 無論のことだが、hydeは、誰も殺してなどいない。 まさか、それが。 気が付くと冷たい床の上にへたりこんでいた。とてもではないが足に力が入らなかった。 今は朝なのだ。四日目の。繰り上げられたリミットに当たる、48時間目の。 いやしかし、まだ決まったわけではない。yasuは必死で最悪の事態を考えるまいとしていた。 生来自分はプラス思考だし、それは常にいい結果を生んできていた、と思う。 もしかしたら、もしかしたら、この血の匂いは何かの錯覚かもしれないではないか。 床を這い、長い時間をかけてyasuはhydeの寝ていたベッドに辿り着いた。
772 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:04:05 ID:WLQcKcpf0
期待はあまりにあっさりと裏切られた。 白かったシーツは血に染まり、力なく垂れた手は明らかに血の気を失っていた。 それだけ見るのが精一杯で、とても顔を上げる事が出来ず、yasuはそのまま床に蹲った。 気持ちが悪くなったので吐き、泣きたくなってので泣いた。 もう、何を信じていいのかわからない。 信じられると唯一思った友は死んでしまったのだ。 たった一人、こんな寂しい病室の片隅、誰かに恐怖を訴える事も叶わぬままに。 しかし部屋を離れた事を後悔はしなかった。 自分がここにいても、いなくても、ルキと戦っても、戦わなくても、hydeが死ぬ事に変わりはなかっただろうから。 つまり…全ては無駄だったのだ。 気が治まるまでyasuは笑い、脱力し、嘔吐し、それからやはり泣いた。 あまりに無力な自分を呪って泣いた。
773 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:16:47 ID:WLQcKcpf0
「しっ」 首をつき合わせて今後の作戦を話し合っていた東海林・星子・河村・Gacktは、Gacktの沈黙を促す仕種に口を閉じた。 息を潜めて外界に耳を澄ませる。 「・・・どうしたの?」 「いえ・・・今、自分の名前を呼ばれたような気がして・・・」 東海林に問われ、Gacktは答えながら首をかしげた。ただの空耳だったのだろうか。 「いや、待て」 今度は河村が反応した。手元のレーダーに点が浮かんでいた。 4人は再び押し黙り、神経を集中させた。 「・・・Gacktー・・・どこだー・・・」 聞こえた声。4人は顔を見合わせた。 「櫻井さんだ!」 河村は上半身を跳ね起こした。 「櫻井さんが来てる。助けないと」 「待て、河村くん」 立ち上がりかけた河村を星子が止めた。 「櫻井くんは・・・敵だ」 「そんな、櫻井さんは俺を助けてくれたんですよ。プログラム開始からずっと一緒にいて、そんな素振りはどこにも・・・」 星子の言葉が信じられずに河村はそう言い返した。
774 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:26:34 ID:WLQcKcpf0
「そうです。俺もライブ会場で櫻井さんと河村さんに助けてもらったんです。なのに敵だなんて」 Gacktも言う。星子は2人の言葉に、渋面を更にゆがませた。 「それは・・・」 「たぶん櫻井くんの演出なんでしょう。会うやつ会うやつを殺していって頂点に立つよりも、人情を絡ませたほうが視聴者にウケるからね」 星子の言葉を遮って東海林が言った。 河村とGacktは顔を見合わせた。 まだ納得出来ない表情の2人に、東海林は大きく息を吐いた。 「本部はGacktくんの死亡に疑問を持っているのよ。当たり前にね。何の前触れもなくいきなり反応がなくなったんだからね」 「・・・で、本部に言われて、俺を探してる・・・?」 信じたくはないが、しかし、言われてみればそうとしか思えなかった。
775 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:31:14 ID:WLQcKcpf0
「でも俺、櫻井さんを助けたいです」 ずっと俯いていた河村が顔を上げた。 「俺、こんなプログラムに放り込まれて不安だったんです。だけど、櫻井さんがいてくれたんで落ち着いていられたんです。俺は櫻井さんに恩があります」 河村は立ち上がった。星子も次いで立ち上がる。 「首輪を外して本部と切り離してやればヘンなマネもしないでしょう。行ってきます」 河村と星子は東海林の顔を見つめた。頷いてくれるのを待った。 「・・・櫻井くんの首輪は外すないで」 「東海林さん?」 「本部と繋がったままにして、仲間になってもらう。本部側の情報もほしいからね。だから、上手くやって」 東海林の言葉に星子と河村は頷いて出て行った。
776 :
バトルファイナル :2005/10/29(土) 16:33:03 ID:WLQcKcpf0
残り8人
777 :
Nana :2005/10/29(土) 17:19:15 ID:lQ6ZUbMD0
ハイド・・・
778 :
Nana :2005/10/29(土) 19:13:21 ID:vVTHWiPTO
作者タソ乙です! hyde…(´・ω・`)
779 :
Nana :2005/10/30(日) 17:06:43 ID:WU5oogLP0
乙! hyde・・('A`) yasuテラカワイソス(´・ω・`)
780 :
Nana :2005/11/04(金) 10:01:33 ID:VtVI2854O
保守
781 :
Nana :2005/11/08(火) 09:49:23 ID:pXwlTtggO
あげ
782 :
Nana :2005/11/13(日) 01:31:27 ID:BTk8rtJrO
期待age 携帯からでスマソ…orz
783 :
Nana :2005/11/13(日) 12:38:50 ID:t0xJo9TXO
784 :
Nana :2005/11/14(月) 19:34:37 ID:oY/HZFrCO
785 :
Nana :2005/11/15(火) 00:21:51 ID:AZj5EsKtO
続き気になる。。(´・ω・`)
786 :
Nana :2005/11/15(火) 16:42:10 ID:UFqXirRC0
まぁ気長に待とうぜ
787 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 16:45:42 ID:npLxb+bO0
Gacktは1人、第一日赤の前に立った。 仲間にすることに成功した櫻井との、マイクを警戒した筆談の中で、第一日赤にhydeとyasuがいること、そして櫻井が自分をここに連れて行く役目だったことを知った。 「罠だから行くな」と言われたのを振り切って、Gacktは近くの民家から車を拝借して、誰もいない名古屋の街を疾走してきた。 これは櫻井もよく知らなかったらしいが、ルキもこっちへ向かったようだと言われれば不安も増した。 Gacktは目の前の建物を見上げた。 この中にyasu、hyde、そしてルキもいるのか。 Gacktは一度頷いて、第一日赤の敷地に踏み込んだ。 静まり返った数々の棟をGacktは慎重に、しかし足早に駆け抜けた。 そのGacktの足が止まった。 「・・・ルキ!?」 血まみれの死体。 誰が殺したのか。やはりyasuだろうか。だとしたら、2人は無事なのか。
788 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 16:48:52 ID:npLxb+bO0
病室の扉は開いていた。 Gacktはそっと中を窺った。 人型に盛り上がった掛け布団。 真っ赤なグチャグチャがそこにあった。 自分も人を殺した。 死体もいくつか見た。 でも・・・。 「yasu・・・?」 気を取り直し、それが誰だったのかを確かめるために室内に足を踏み入れて、Gacktはベッド脇に蹲るyasuに気付いた。 yasuは動かなかった。 Gacktは視線をもう一度ベッドに移した。 状況がそれを、hydeの変わり果てた姿だと、教えていた。
789 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 16:54:41 ID:npLxb+bO0
体を起こしたyasuの顔は涙と吐瀉物にまみれてひどい有様になっていた。 「hydeさんなら死にましたよ」 抑揚のない声。抜け殻、という言葉がまず思い浮かんだ。 「yasuくん、何があったのか教えてくれ」 「…首輪が」 「首輪?」 「72時間ルール、ってやつにやられて」 そんなルールがあっただろうか。追加されていったものも含め、 ルールは全て頭に叩き込んだつもりだったが、全く聞き覚えがない。 「それ、追加ルールだよな?」 「二日目の朝に、72時間以内に誰も殺せなかった奴を一人殺すって… 五日目の夕方に発表されるって言ってたんですけど、 人数が減ったから、途中で四日目の朝に変更になったんです」 言われてみれば、72時間ルールを48時間に縮める、とかそういう放送があったような気がする。
790 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 16:59:31 ID:npLxb+bO0
悲しみに浸る余裕はない。こみ上げる涙を必死で堪えた。 「俺、こいつしか信じられなかった…Gacktさんもここに来たら殺そうと思ってた… でももう、体に力が入らないんです」 「なぁ…yasuくん、俺と一緒に来ないか」 「…一緒に?どうしてですか?」 言葉とは裏腹に、yasuの声は興味を引かれた風ではなかった。 Gacktは懐からメモ帳を取り出し以下のように書き付けて示した。 『東海林さんやスタッフと通じてる櫻井さんが仲間にいる。プログラムを止められるかもしれない』 「ああ。死んでも嫌です」 途端に強い声が返ってきたのに少しだけ驚いた。一体どこにこんな気力が残っていたのだろうか。 「どうして」 訊くとyasuが手を伸べたので、黙ってメモ帳とペンを渡してやった。 『hydeさんは運営側に殺されたんです。俺はスタッフと関係してる人とは一緒に行けません』 Gacktはもはや勧誘する言葉を失っていた。hydeを喪った悲しみの深さが理解できるからこそ、押し黙るしかなかった。 最後にhydeの死体の無残さを目に焼き付け、Gacktは病室を出た。
791 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 17:12:56 ID:npLxb+bO0
河村は再び櫻井と行動を共にしていた。 しかし不用意に発した言葉を櫻井の首輪のマイクに拾われることを避けるために少し離れ、また監視カメラに映ることを防ぐために物陰を選んで歩くた め、河村はまるで櫻井を尾行しているような格好になった。 仲間達は『一緒に固まって歩くと目立つ』という理由から、合流地点と合流場所を決めて、この河村・櫻井組、東海林・星子組、そしてGackt単独という三手 に分かれて進んでいた。 日はだんだんと高くなっていく。前を行く櫻井が不意に立ち止まった。 耳に手をやっている。本部からまた何か指示が来たのだろうか。 櫻井が河村を振り返った。目で合図され、河村は付近に監視カメラのようなものがないかを確認して、櫻井のもとへと走った。
792 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 17:18:27 ID:npLxb+bO0
河村は櫻井の前1m位のところで足を止め、絶句した。 櫻井の手の中の銃、その銃口がまっすぐ自分に向けられていた。 「・・・俺たちの仲間になってくれたんじゃなかったんですか?」 その光景が信じられずに河村はそう言った。 「俺が本気でお前らの仲間になるて思ってたのか?」 櫻井の言葉に河村は目を見開いて櫻井を見つめた。 「所詮首輪なんかあってもなくても、詰まるところは本部側の手の平の上なんだ。だったらどっちに付いた方がいいかは分かるだろ」 あの、自分を助けてくれた櫻井が、本当にそんなことを口にするとは・・・。 「じゃあなんであの時俺を助けてくれたんですか?」 櫻井はその問いには答えず、銃を構えなおした。 「そろそろお前ともサヨナラやだ。ま、恨まんといてくれ」 「さ・・・っ」 櫻井の名を呼びかけた河村の声は銃声に消えた。 河村は後ろに大きく弾き飛ばされ、撃ち抜かれた胸からはおびただしい鮮血が噴出していた。 大きく見開かれた目はまだ信じたくない気持ちを表すかのようだった。
793 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 17:22:06 ID:npLxb+bO0
『追加禁止エリアは中村区です』 定期放送で流れたその一言が、泣き疲れたyasuに踏ん切りをつかせた。 ここ第一日赤は中村区。あと二時間留まれば死ぬ。 いっそ死んでしまいたい、とは、実を言えば今でも思っている。 けれども、hydeは自分を「死なせない」と言った。 だからまだ死ぬわけにはいかないのだ、きっと。 「hydeさん。ごめんな。また一人にする」 hydeの首に自分の帽子を乗せて傷を隠してやり、yasuは立ち上がった。 絶対に生きて、生き抜いて、hydeの仇を討つ。 誰の助けも借りない。これは俺の戦いだ。 太陽を背に、yasuは歩き出した。
794 :
バトルファイナル :2005/11/16(水) 17:23:17 ID:npLxb+bO0
残り7人
795 :
Nana :2005/11/16(水) 20:48:41 ID:fH2kLUMm0
更新乙! yasuガンガレ!(`・ω・´)
796 :
Nana :2005/11/17(木) 01:24:47 ID:pjvC4NwHO
乙!! yasuガンガヽ(`・д・´)ノシ
797 :
Nana :2005/11/18(金) 09:40:33 ID:+e/B1SWfO
乙!
798 :
Nana :2005/11/20(日) 08:26:58 ID:luosQ+uMO
乙(´∀`)
799 :
Nana :2005/11/21(月) 04:28:01 ID:CKUeY6DCO
ヤスとハイドにちょっと泣きそうなったぞ!! ヤスガンガレッッ(・ω・)!!
800 :
Nana :2005/11/22(火) 10:01:20 ID:IHV7wSguO
800
801 :
Nana :2005/11/27(日) 18:34:41 ID:9jzFs3M3O
age
802 :
Nana :2005/11/28(月) 01:45:47 ID:tWW5EFtvO
更新しないの?
803 :
Nana :2005/11/28(月) 04:08:21 ID:3EL7KQCwO
更新期待age /( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄) レ/| ラスク| 食パン `| |´・ω・` | ageたよ `| | | `レと ̄ ̄ ̄'Тつ / ニンニク!" 人 風味! `し"' ̄ゝ_) し"
804 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 19:40:53 ID:ZX1mPpFk0
shinyaは廃虚となった中区で途方に暮れていた。 「河村さんは一体どこへ行ったんだよ……。 もうこの近くにはいないか……?」 河村とはぐれた付近をしらみ潰しに捜したけど人が立ち寄った痕跡もなかった。 まさか河村はもう……? とにかく、このままじっとしてるだけじゃどうにもならない。 でも、いったいこれからどうすれば……。 『----ガガガガガガ』 ……放送か。 でも、さっき中村区が禁止エリアになったってのがあったばかりじゃないのか?間隔が短いな。 『ガガガ みんな ガガ 聞いてるか!!俺だ西川貴教だ!! ガガガ』 「!?」 『sakitoくんと ガガ 司令室に ガ 立てこ ガガガ もって ガガガ ガガガガ 禁止エリ ガガ アは解除し ガガガガガ 今す ガ ぐ ガガガ ドーム ガ に ガガガ 集ま ガガガガガガガガガ-------』
805 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 19:45:57 ID:ZX1mPpFk0
……確かに西川さんの声だった。 禁止エリアがまた解除されたのか…? 信じれるのか?罠かもしれない。 もし本当ならこれが最後のチャンスかもしれない。 とにかく現状を打破する為には向かってみるしかない。 ……だけど、松岡さんやあの女、櫻井さんもこの放送を聞いてドームに向かってたら……。 今度遭遇したら、もう逃げ出せるとは限らないんだぞ……。 ……いや、迷ってる暇はないんだ。 shinyaはまだ全弾が残っているベレッタをギュッと握りしめた。 そしてナゴヤドームへと足取りを向けた。
806 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 19:53:30 ID:ZX1mPpFk0
『先に行ってください。俺はGacktを待ってから行きます』 なかなか現れないGacktに、櫻井はそうメモに書き付けて星子たちに先を促した。 『分かった。お前の首輪を外していく。そろそろ禁止エリアに入る。危険だから』 『ギリギリまで着けてます。近くなった時に向こうの様子が分かったほうがいいでしょう』 櫻井がそう書いて見せると、東海林と星子は顔を見合わせた。 そんな2人に悟られないように努めて冷静を装った。額に汗が浮かんだ。 まだ本部とのつながりを知られてはまずい。疑われないようにドームに誘導しなくては。 それが現在の本部からの指令だった。 無事にドームまで着けばあとは向こうの奴らが始末に出てくる。 そんなことを考えていた櫻井の前で東海林が再びメモにペンを走らせた。 『じゃあ東区に入る前にもう一度合流しよう。古出来の交差点よ』 櫻井は頷いてみせた。 心の中ではもちろん舌を出していたが・・・。
807 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 19:57:12 ID:ZX1mPpFk0
櫻井は東海林たちが行ってしまうのを見送って、クルリと背を向けた。 一体Gacktは何をやっているのか。 折角Gacktを捕捉したというのにまた分からなくなった、などと本部には報告できない。 とにかく一刻も早くGacktを見つけねば。 櫻井は今来た道を戻りはじめた。 「Gacktー、近くに居るのかー」 櫻井がそう呼ぶのを聞いて、Gacktは櫻井の再度の裏切りを確信した。 櫻井がGacktを仲間だと思っているなら、Gacktの名を呼ばないだろう。 首輪のマイクを通して本部がそれを知るのだから。 自分の潜むビルの横を櫻井が通って行くのを見て、Gacktはその背後からそっと近寄った。
808 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 19:59:49 ID:ZX1mPpFk0
櫻井の額に脂汗がにじんだ。 「・・・河村は先に行った」 「ウソですよね? 俺はここに着く少し前から櫻井さんの後ろを歩いていましたよ。河村さんはいなかった」 Gacktは腕に力を込めた。櫻井が苦しそうなうめき声を上げた。 「・・・殺したんですか?」 「うぅ・・・」 背中に当てた銃で更に背中を押してやると櫻井がビクリと身体を震わせた。 そして櫻井は大きく腕を開き身体を揺さぶり、Gacktの腕を振り解いた。 Gacktの身体は櫻井のその動作で後ろに倒れかけ、背後に手をついた。
809 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 20:02:17 ID:ZX1mPpFk0
「形勢逆転だなぁ」 起き上がってGacktを見下ろし、自分の銃に手を掛けて笑った櫻井の耳に、ピ・・・と悪魔の音が聞こえた。 櫻井の顔が一瞬にして青ざめた。 「お前はもう不要だから」 イヤホンからも悪魔の声が聞こえた。 「待ってくれ。待って・・・今からGacktを始末する。だから・・・っ」 一度作動した装置は止まるはずもない。 首輪から響く電子音は次第にその音の間隔を短くしていく。 櫻井の顔がこれ以上はないというほどに引きつった。 無様に足掻く櫻井をGacktはジッと見上げていた。
810 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 20:04:56 ID:ZX1mPpFk0
「助け・・・っ」 軽い爆発音がした。 Gacktの身体にも血飛沫が降りかかった。 ああ、こんな風にhydeも殺されたのか。 あの音が自分の首元から聞こえてきたとき、どんなにhydeは怖かっただろう。 Gacktは唇を噛みしめた。幸い今の自分に首輪はない。こんな風に殺されることはない。 顔に飛んだ血を拭いながらGacktが立ち上がった時だった。 ノイズの入った放送が聞こえてきた。 「西川くん?」 Gacktはその放送に驚きながらも、既に足は走り出していた。 まずは東海林たちに追いつくこと。 そして、ドームへ・・・。
811 :
Nana :2005/11/29(火) 20:08:44 ID:5srrE0GYO
812 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 20:08:59 ID:ZX1mPpFk0
yasuは瞼を伏せ、西川の声を聞き流した。 疑ったわけではない。西川の声は真摯そのものだった。 それでも今はドームに行く気になれない。 脳裏に浮かぶのは、今朝の放送でも呼ばれなかった松岡の名前。 まだ生きているのだ、松岡も。 あの小学校で自分ばかりでなくhydeの命をも狙った男…生かしておくわけにはいかない。 何としてでも探し出してこの手で仕留めたい。 あの強力な武装に対抗できるかどうかはわからないが、やれるだけやるしかない。 それしかhydeに報いる方法はないと思った。
813 :
バトルファイナル :2005/11/29(火) 20:11:43 ID:ZX1mPpFk0
残り6人
814 :
Nana :2005/11/29(火) 22:57:37 ID:tTFMx5FXO
待ってた!! 更新乙(・ω・)!!
815 :
Nana :2005/11/30(水) 00:31:10 ID:79euzErrO
更新乙(・ω・´)
816 :
Nana :2005/12/07(水) 18:20:03 ID:Uh/zK70mO
期待あげ
817 :
Nana :2005/12/08(木) 20:45:52 ID:aLEkjJRgO
ヾ(`・ω・´)ノアゲ〜
818 :
Nana :2005/12/12(月) 15:37:59 ID:E6K8Qg/vO
あ(´∀`)げ
819 :
Nana :2005/12/14(水) 17:56:25 ID:JZ2hTG4rO
保守
820 :
Nana :2005/12/15(木) 06:44:52 ID:pnrPtFfmO
m9っ´・ω・`)アゲ!!
821 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:02:03 ID:qByUg15b0
アイジは胸を押さえ、声もなく笑った。 視界は痛みで霞んでいるのに、白い床に真っ赤な血が広がっていく光景だけやけにはっきりと見えた。 これは自分の血だろうか。それともあの「女」の? 俺のささやかな運もここまでか。 胸に銃弾を打ち込まれては助かりようもあるまい。 突然現れたあの女の顔面目掛け、ラジオを投げ付けたところまでは良かった。 しかし、それだけでは女の体勢を崩すに十分ではなかったようだ。 ベッドに置いたままになっていたボウガンを取ろうと目を逸らした瞬間、正確な射撃とは言えないながらも 確かにアイジは胸を撃たれた。 くずおれる瞬間、キリトまで道連れにする事を悔いたが… 「アイジ」 聞きなれた声が降ってくる。大した怪我はないようで、それだけでも自分が撃たれた甲斐があるというものだ。
822 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:08:01 ID:qByUg15b0
「…キリト、俺は駄目だ…」 声を出すのも苦しい。何かが喉の奥からこみ上げてくる。 「馬鹿。しっかりしろ。死ぬな」 「…俺が死にそうなのはキリトが一番わかるだろう。 盾くらいにはなれたみたいで…良かった」 ベッドの上からキリトが女を射たのは、アイジが床に膝をついた一瞬後だったらしい。 目の前に、血の気を失った中島美加の顔がある。その喉からは生えたように銀の矢が突き刺さっていた。 「俺がもう少し早く目を覚ましていれば、こんなことには」 キリトが床に座り込んだ気配がしたが、もう目をあけていられず、アイジは瞼を降ろした。 「ああ、それから…他メンバーのこと、頼む……」 ただ一つの心残りは同じパートの潤のことだが、 日頃から付き合いの深いキリトに任せれば悪いようにはなるまい。 「わかった」 「お願い…それだけが…」 そこまで振り絞るように喋った時、何かがアイジの中で切れた。 急激に胸の痛みが引いていく。不快感も、血の匂いもすべて消えた。 それはとても安らかな気分になるものだったが、同時にアイジの体内で全ての器官が活動を停止したという事でもあった。
823 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:11:33 ID:qByUg15b0
「ちぃ…なんでこんな事にッ」 司令室から締め出され、デーモンは全身から冷たい汗が噴き出すのを感じていた。 ほんの一瞬の隙を突いて、西川とsakitoは司令室を占拠したのだ。 あれほど警戒していたのに…まさか二人だけで突入する覚悟はないだろうと、たかをくくっていたのがいけなかったか。 ここで武装した参加バンドマンたちがドームに乗り込んできたら、すべては水の泡だ。 「…どっちの覚悟が強いか勝負してやる」 負ける気など、勿論ない。 このドアを破ってしまえば勝算はある。
824 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:15:55 ID:qByUg15b0
ビルの陰に身を潜ませて、松岡は周りの気配に全神経を集中させた。 それにしてもこうした体勢をとるのは何度目だろうか。 松岡は朝から一人の謎の女にその身を狙われていた。 ―――いや、相手の身上は分かっていた。 東京事変、椎名林檎。 松岡もその名と顔くらいは知っていた。 林檎は肩に大きなバッグを軽々と担ぎ、手にはゴツいマシンガンが握られていた。 それが自分に向けられたとき、松岡は咄嗟に手榴弾を投げつけて逃走を開始した。 背後から手榴弾の弾ける音と、悪魔のような哄笑が聞こえた。 その後、松岡がどんなに走り、身を潜め、体勢を整えては反撃出来るスキをうかがっても、林檎は瞬く間に追いつくとニヤリと笑い、松岡の潜む物陰 に銃口をピタリと向けてきた。
825 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:20:23 ID:qByUg15b0
もっとも椎名林檎のような者が参加しているのはどうせ本部の差し金だろう。 ならば本部を介して林檎に松岡の場所は筒抜けに違いない。 松岡は手の平の上で転がされているのを感じながらも、向かう方角は間違わなかった。 もうすぐ自分のアジトに着く。 あの自衛隊駐屯地から持ち出した残りの武器が眠る場所。 あそこまでおびき寄せれば形勢は逆転する。 松岡はふと顔を上げた。 遅い。遅すぎる。 林檎の気配が一向に近付いてこない。 松岡は慎重に身体を起こした。それでも林檎の姿は見えなかった。 いつでも体を翻せるように足を少しずつ残すようにしながら、松岡はビルの陰から出た。 不気味なほどの静寂。強い日差しに陽炎がユラユラと立ち昇っていた。 そこで松岡は先ほどの変な放送を思い出した。 プログラム生存者へのドームへの集合を呼びかける、ノイズだらけのメッセージ。
826 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:24:07 ID:qByUg15b0
それにしても林檎の気配が全く無いのが気にかかる。 さっきまでは松岡が息を整える頃には必ず林檎は追いついてきていたはずなのに。 松岡の額から汗が一滴伝い落ちた。 ピクッと目元を痙攣させ、松岡は再びビルの陰に体を沈ませた。 物陰に飛び込む直前、動くものは陽炎による揺らぎだけだった視界の端で動くものを見た。 あれは、ジャンヌのyasu。 間違えるはずはない。 そして手にしていたものは、林檎の持っていた・・・ 途端に激しい音が周囲に響いた。 yasuにはあのマシンガンは扱いきれないのか、狙いが滅茶苦茶なのが幸いだ。 しかし、だからと言ってすぐに反撃にも移れない。 こんな風に撃ちこんでくるyasuは以前会ったyasuとは違うようだ。 松岡は大きく息を吸い込んだ。 やはりアジトまでおびき寄せよう。 松岡はニヤリと笑うと、ビルの陰を飛び出していった。
827 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:29:05 ID:qByUg15b0
「第一班、第二班整列しました!」 男達の青ざめた顔を見渡しながら、デーモンは静かに頷いた。 急遽現場スタッフの中から選抜した、司令室制圧チームである。第一般は突入、第二 班は−−支援と名付けられてはいるが、ありていに言えば督戦隊である。第一班のす ぐ後ろに付き、命惜しさに突入をためらう者がいれば直ちに射殺するのが任務だ。 第一班のメンバーに取っては、無茶は承知で突入するか、後ろから撃たれるかの選択 となる。素人集団に自殺同然の突入作戦をやらせる以上、必要な戦術ではある。彼等 は一気呵成に突入し、西川sakito両名を排除せねばならない。 第一班が全滅したとしても、それで弾薬を使い果たさせてしまえば第二班によって楽々と排除できる。 第二班の指揮を執らせるべく、椎名林檎を呼び戻している。彼女が到着次第、突入決行だ。 そこまで考えた時、廊下の向こうから若いADがこちらにやって来た。 「閣下・・・・突入は中止です。」
828 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:33:30 ID:qByUg15b0
「困りますなぁ・・・手段と目的を取り違えてもらっては。」 一塁側ベンチ裏に仮設された放送管制室に怒鳴り込んできたデーモンを迎えたの は、プロデューサーの冷然とした言葉だった。 「ふっふざけるな!このままじゃプログラムの進行がっ?!」そんなデーモンの怒 声にも動じない。 「閣下、あなたは目立ちすぎたのですよ。本来このプログラムは、バンドマン達 が主役です。彼等の殺し合う姿、葛藤するドラマ、血みどろの戦い。それらを 『売り』に高視聴率を取り、音楽界への関心を得る、それが目的だ。」 「だがあなたは、進行を焦り過ぎた。ルールの変更までは良いとしても、演出 用に本部の手先として確保してあったバンドマンに露骨な優遇措置を与え、本部の 関与を視聴者に対し明白にしてしまった。バンドマンでないはずの女を殺戮に 投入してしまった。本来裏方であるはずの本部が、悪役としてステージに露出 してしまったのですよ。」
829 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:38:59 ID:qByUg15b0
言葉を切り、幹部用ソファにどっかと腰を下ろす。デーモンにも着席を促し、煙草に 火を付ける。 「こうなったら仕方が無い。あなた方にも正式にステージに上がってもらいます。 悪役としてね。司令室はあのまま占拠させます。ここに突入して来るバンドマン達、そ の戦いのドラマをクローズアップし、最後は涙の勝利で飾らせる。」 そこまで言うと男は立ち上がり、部屋を出て行こうとした。 「ああそうそう、勝ってくれてもかまいませんよ。その場合はバンドマン達の『滅びの美学』 ってやつをクローズアップしますから。日本人はそう言うのも好きですからね。その 場合はその後に自衛隊による本部鎮圧がかかりますが−−−」 どこまでもこき使うつもりか。だがデーモンにはそこに一縷の希望を見出す事の他に、選択肢は無かった。
830 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:44:48 ID:qByUg15b0
正面入り口から乗り込む東海林・星子と分かれ、Gacktはドームを囲む区画を半周した。 いつもの入り口はシャッターが下ろされていた。 しかしその隣の通用口は空いているようだ。 少し離れたところから様子を窺うと、警備員もいないようだ。 「?!」 通用口の脇に男が一人倒れていた。警備員だ。 誰かが先に来ている。 さっきのあの西川の放送を聞いてやはり誰かがドームに戻ってきている。 誰だろうか。あと残っているのは・・・。 Gacktはそれが誰かを考えながらその通用口からドーム内に入っていった。
831 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:50:17 ID:qByUg15b0
Gacktは目を閉じた。たった数日のことが長かったと思う。 「死にたくないから」と思いつめた顔で自分に銃を向けたYURA。 裏切りを繰り返し、本部に見限られて頭部を吹き飛ばされた櫻井の、血飛沫の生温かさを思い出す。 理不尽なルールによって無抵抗のまま殺されたhydeの変わり果てた姿。まるで弾けた石榴のようだった。 ルキに殺されたYOMI。 HISASHIが高々と掲げた清春の生首。 自分が出会ってきたバンドマンの死姿の1つ1つが鮮やかな映像として脳裏に焼きついている。 そしてTAKURO。今こうして自分がここにいられるのはTAKUROのおかげだ。 生き延びる。 そう改めて決意した時だった。 Gacktは背中に物の当てられる感触に体を強張らせた。 この感触には覚えがある。YURAに会った時と同じだ。 「お話があります。抵抗せずに従ってください」 聞き慣れない声が背後からそう告げた。
832 :
バトルファイナル :2005/12/17(土) 21:51:04 ID:qByUg15b0
残り5人
833 :
Nana :2005/12/17(土) 22:36:40 ID:zUZb/YYn0
更新乙。
834 :
Nana :2005/12/17(土) 22:38:15 ID:9EtHgamBO
オツ━━(゚∀゚)━━!!
835 :
Nana :2005/12/18(日) 16:29:58 ID:VNQcSFz/O
更新乙カレー(`・ω・´) yasuガンガレ!!hydeの仇をうってくれ(´Д`)ノシ
836 :
Nana :2005/12/18(日) 20:00:44 ID:3BV6BoSBP
Gacktの背中をとったのって、まさか…
837 :
Nana :2005/12/19(月) 16:56:20 ID:iv+vQ2RIO
ウィ…
838 :
Nana :2005/12/21(水) 21:03:58 ID:pPCNjxYdO
あげ
839 :
Nana :2005/12/21(水) 21:59:18 ID:HRXmqShPO
お願いしますホントお願いします。 PCモバ併用まとめサイト作ってくださいホントお願いします。
840 :
Nana :2005/12/22(木) 14:10:35 ID:3235L99l0
自分でやれば?
841 :
Nana :2005/12/22(木) 14:57:27 ID:ytUdLubF0
PCなら作れそうだけど…
842 :
Nana :2005/12/23(金) 04:31:20 ID:Ppon8nnEO
Gacktの背中とったの心夜ぽいな…
843 :
Nana :2005/12/25(日) 20:13:40 ID:KsZQvsz3O
保守
844 :
Nana :2005/12/26(月) 12:44:19 ID:Mf5ljg8LO
845 :
Nana :2005/12/26(月) 15:02:55 ID:mEkAek8a0
yasuガンガレage!! hydeのためだけじゃなくて、youとka-yuとkiyoのためにも・・・ 今更shujiがいないことに気づく邪本命の漏れ・・・
846 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 14:58:12 ID:ywC99nAb0
ドアを開けた次の瞬間、TUBAKIは心臓が止まるのではないだろうかと思った。 「病院に一人くらいいるんじゃないかと思ったが、予想通りだったな」 田村淳の冷静な声が遠いところから聞こえてくる。 血の赤い色だけが、定まらない意識の中に揺らめいている。 「あ、あ…ああ、…死ん、で」 死体があった。目の前に二つ。 一つは、ゴスロリっぽい衣装を着てはいるが見覚えのない女。 もう一つの死体は… 「…アイジさん」 苦々しい声が、今はただ、耳のそばで反響するのみで、脳に届かない。 畜生。苦しい…
847 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:02:29 ID:ywC99nAb0
「ロンブーさん?」 どこからか、聞き覚えのある声がした。 しかし、それが誰の声であるのか判別できるほどには、TUBAKIの意識は覚醒していなかった。 血で染まった病室にキリトが立っていた。 TUBAKIはだるい体を何とか起こして、その事実を脳に送り込んだ。 ほんの少しの間だが気を失っていたらしい。 「TUBAKIくん、目が覚めたか」 「ええ…何とか」 キリトの隣には淳。何やら考え込んでいるらしく、腕組みをしたその表情は険しい。 そこまで見回してから自分がベッドに寝かされていたことにようやく気付き、TUBAKIは深い自責の念に駆られた。 迷惑をかけてばかりの、情けない己が心底憎たらしい。
848 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:08:24 ID:ywC99nAb0
「俺は、外で荷物をまとめて…手を洗ってからアイジとそこの女の供養をしようと戻ってきたんだが… 淳さんと君がいきなりいたんで、驚いたよ」 「アイジさんとは、ずっと一緒に?」 「うん。他にも、KOHTAやkiyoくんと一緒だったんだけどな。…今はもう、俺だけだよ」 そこから先をキリトは言わなかった。ただ思い沈黙だけが落ちる。 「キリトくん。TUBAKIくん。」 淳が不意に声をあげた。 「俺はまだ名古屋を回るつもりだ。生き残りを集めたい」 「そんな!もし、攻撃的なやつがいたら」 キリトが叫ぶように言った。 「そいつらも含めて大切な生き残りだ。 ともかく信じたい。助けられるものなら助けたい。」 TUBAKIに異論はなかった。
849 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:11:35 ID:ywC99nAb0
その瞬間、松岡は背後から迫ってくるyasuのことを忘れた。 目の前の光景はあまりにも異様な光景であった。 自衛隊守山駐屯地。 松岡自身が武器庫を爆破して壊滅させたその場所に、無数の人影が動いていた。 プログラム参加者、本部スタッフ、報道スタッフ、それ以外の人物がこのプログラム実行期間内に 名古屋に入れるはずがない。 しかし松岡の目の前には多数の人が、その服装からして自衛隊員に違いなく・・・。 瓦礫の中で隊員たちがキビキビと無駄のない動きで忙しく仮設隊舎を設営している。 松岡はその光景をスクリーンの中の出来事のように見ていた。 それが事実とは捉えてはいなかった。 だから自衛隊員が2人、自分の方に向かって歩いてくるのも見えていながら、解っていなかった。
850 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:14:31 ID:ywC99nAb0
「プログラム参加者、SOPHIAの方ですね」 すぐ目の前でそう言われて、松岡はようやく我に返った。 そして反射的に逃げようとするのを、隊員の1人が押さえ込んだ。 「先ほど政府により本プログラムの停止が可決されました。現在プログラム運営者に対し停止勧告中です。執行内容に基づき参加者の身柄を一時確保いたします」 それは松岡にとってなんと無様な幕切れであっただろうか。 プログラムの勝者となるでなく、また敗者として散るでなく、政府の介入によってプログラムの外へ連れ出されていく。 既に持っていた武器は自衛隊員に取り上げられ、無理やりプログラムに戻ることもできない。 松岡はその無様さにうなだれた。 そんな松岡を隊員たちは隊舎の方へと率いていった。 それを物陰から見送って、yasuは踵を返した。 本部側の人間にあんな風に殺されたhydeの無念さをぶつけるまでは、まだ終われない。
851 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:19:52 ID:ywC99nAb0
「Gacktさん。あなたはこれから本部に突入する。そうですね?」 耳慣れない声の主はやはり見知らぬ男だった。どうやらプログラムのスタッフらしい。 その手には拳銃が握られているのだけれども。 ドーム内の倉庫らしき部屋まで連れてこられ、Gacktは緊張していた。 「まあ、そう睨まなくても…落ち着いて下さい。 いやね、我々はただ突入を遅らせてほしいんですよ」 「…遅らせる?何故」 油断なく自分を狙っている銃口が忌々しい。 男はやはりにやけた顔のまま言葉を続けた。 「それはほら、テレビ的な事情がありまして。はい」 「言いたいことはそれだけか。そんな理由で」 どこまで人を馬鹿にしているのだ。頭に血が上るのを必死で抑えた。 「そうそう。東海林さんをね、預からせていただきましたよ」 「な」 「幸い東海林さんはテレビに映っていませんでしたので。 何も突入するなとは言いませんから。ただ少し待ってもらえればと」
852 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:23:47 ID:ywC99nAb0
「もう少ししたら、ロンブーの淳くんたちがドームに来ますよ」 「なんだって…」 そんな話は聞いていない。どうしてロンブーが名古屋に。 「まあ、ラストはやはり派手な銃撃戦で!というのが我々の意向でして。 淳くんたちと合流してから、閣下と戦ってもらいたいんですよ。ええ。」 「いったい、何が狙いなんだ! 本当に視聴率のためだけにこんなことをするんなら、あんたらは狂ってる!」 「人間なんてね、簡単に狂ってしまえるものですから。 …さあ、わかったら隣の部屋で待っていて下さい。後で呼びに来ます。 shinyaさんもいますよ」 Gacktは半ば覚悟を決めていたが、その声を最後まで聞き取ることはできなかった。 突然ドアが開け放たれたと思うや、屈強な男たちが踏み込んできたのだ。 「武器を捨てろ!プログラムは中止だ!」 撮影スタッフでないのは誰の目にも明らかだった。
853 :
バトルファイナル :2005/12/30(金) 15:24:54 ID:ywC99nAb0
残り5人 内1名離脱
854 :
Nana :2005/12/30(金) 15:53:57 ID:J3ZS1HlMO
乙!(`・ω・´)ノシ
855 :
Nana :2005/12/30(金) 17:56:55 ID:Ca+003S8O
チャソでスマソ TUBAKIってどの盤の麺?
856 :
Nana :2006/01/03(火) 02:57:54 ID:K4r+T6kaO
保守あげ
857 :
Nana :2006/01/05(木) 15:06:54 ID:qcPckj2NO
(`・ω・)っ更新乙! ハラハラ(;´゚ω゚`)ドキドキ
858 :
Nana :2006/01/05(木) 18:52:05 ID:20CDo9DeO
あげ
859 :
Nana :2006/01/10(火) 17:39:08 ID:EXElvx/iO
あげ(´∀`)
860 :
Nana :2006/01/11(水) 23:00:20 ID:Z7IXnSZ+0
あげ(*´∀`*)
861 :
Nana :2006/01/13(金) 14:13:48 ID:x7/a/vD9O
保守
862 :
Nana :2006/01/14(土) 23:36:12 ID:+qz4q1vOO
保守
863 :
Nana :2006/01/15(日) 23:53:06 ID:HuYMfehjO
ほっしゅほっしゅ
864 :
Nana :2006/01/16(月) 00:07:50 ID:ZdVWuw3IO
保守
865 :
Nana :2006/01/16(月) 21:58:09 ID:ZdVWuw3IO
保守
ほしゅほしゅ。
867 :
最終話 :2006/01/17(火) 17:49:21 ID:xhr/pV3J0
さて、yasuは考えなければならなくなった。 このままだと、遅かれ早かれプログラムは止められる。 その間にナゴヤドームにたどり着き、本部を潰せるか?否。 もはや、現時点で自分は松岡にも本部にも手が出せないのだ。 抱え持っていたマシンガンを手放し、両手を見つめた。 血まみれの手だ。人殺しの手だ。これ以上汚れようもなく汚らしい、犯罪者の手だ。 自分が殺した一志、ルキ。本部のルールに殺されたhyde。どちらも二度と戻らない。 誰が一番悪いというわけでもない。全員で食い合い、壊したのだ。 yasuは笑いをかみ殺した。誰もが狂っている。自分もおよそまともではない。 もう元に戻ることはないのだったら、行き着くところまで行ってやればいいではないか?
868 :
最終話 :2006/01/17(火) 17:51:56 ID:xhr/pV3J0
「俺は復讐がしたい」 口に出して言ってみた。 復讐がしたい。hydeを殺した本部も、hydeに武器を向けた松岡も、許せない。 法はそれを許さないだろうが、どのみち人を殺した咎は一生付きまとう。 政府の介入によって、自分がまっとうな人間として生きていく最後のチャンスは潰されてしまった。 あとはもう…血まみれの道を行くまでだ。それもまたいいかもしれない。 yasuはゆっくりと荷物を降ろした。もう必要がないものだったので。 どこへ行くあてもなく歩き始める。 名古屋が完全に鎮圧されるまでのわずかな時間を、ただのんびりとすごしたかった。 不思議なくらい辺りは静かだ。まるで夢を見ているようだ、と思う。 けれども。間違いないの現実が一つ。 俺の本当の戦いは、ここから始まるのだ。
869 :
最終話 :2006/01/17(火) 17:54:32 ID:xhr/pV3J0
[プログラムの中止] それをどれだけ願っていただろうか。 しかしGacktはその安堵感に浸ることを許されなかった。 「近付くな!」 そう言って男はGacktを引き寄せた。 左腕でGacktの首をロックし、Gacktのこめかみに銃口を押し当てた。 「それ以上入ってくるな。プログラムは停止しない」 Gacktを人質にされ、入ってきた男達も足を止めた。 「政府からの停止勧告に対する拒否により、武力制圧の令が出た。 おとなしく人質を解放し、武器を捨て、投降せよ」 その部隊のリーダーらしき男がそう言って一歩進み出た。 「来るな! プログラムは続行する!」 「既にドームは自衛隊が取り囲んでいる。無駄な抵抗はやめろ」 そう言ってもう一歩近付く。 そして別方向からも本部スタッフのその男に気付かれないように隊員が近付いていく。 Gacktはそれを目の端に見ながら、何とかこの男の腕を振り解く隙が出来ないかと窺っていた。
870 :
最終話 :2006/01/17(火) 17:57:05 ID:xhr/pV3J0
首を締め上げられる格好になっているために時々意識が遠のきそうになる。 「・・・・・」 両者はにらみ合っている。 隊員の足がまた一歩動いた。 この腕が少しでも緩んでくれたら・・・。 しかしGacktのその思考は突然停止させられた。 こめかみに更に強く銃口が押し当てられる感触がした後、耳元で鼓膜が裂けるほどの轟音を聴いた。 至近距離での発砲にGacktの頭部は跡形も無く弾け飛んでいた。 そしてその引き金を引いた、Gacktの血に頭から染まった男も、すぐさま向き合う隊員の発砲により床に吹き飛んだ。 ようやく男の手から解放されたGacktの体も床に落ちた。 黒のスーツが急速に血で染まっていく。 その向こうに倒れた男の顔には狂気の笑みが張り付いていた。
871 :
最終話 :2006/01/17(火) 18:00:35 ID:xhr/pV3J0
多くのスタッフたちや生き残っていたバンドマン、それに西川やsakito、 淳たちの意思などとは何の関係もなく、プログラムは唐突に終わった。 Gacktの凄惨な死を最後の置き土産として… 非難が集中したために政府が中止措置をとるというお粗末な結末。 命がけで現場にいた男たちは一様に魂を抜かれたような顔になり、 ただ黙って自衛隊員の指示に従っている。 厳重な身体検査からようやく解放されたshinyaは一種の虚脱感さえおぼえていた。 「ちくしょ…」 せめて河村を見つけて、助けたかった。 櫻井がくれた檄は本心からくるものではなかったかもしれないが、shinyaはそれでも感謝していた。 あの人が怒鳴ってくれたおかげで、俺は最後の最後に臆病者から脱出できたのだ。 それにしても、河村は、櫻井は生きているのだろうか? まだ生き残りが何人いるのかさえ知らされていない。
872 :
最終話 :2006/01/17(火) 18:04:00 ID:xhr/pV3J0
状況も飲み込めぬままヘリコプターでつれてこられたここは自衛隊の基地か何かだろうか。 身体検査のあとにshinyaが押し込められたのは、ごく狭い部屋だった。 余韻で興奮して暴れることを警戒したのかもしれない。 そんな気力が残っているものか。 パイプ椅子をのろのろと組み立てて座り、shinyaは大きなため息をついた。 それにしても生きて帰れるとは思っていなかった。 静かに目を閉じると今までのことが一瞬のように思われる。 親達は泣いているだろうか。不安に押しつぶされてはいないだろうか。猫の世話を忘れていないだろうか。 自分の無事をいつものように祈っていてくれたのだろうか。 早く会って安心させてやりたい。 shinyaは涙が頬を伝うのを感じた。涙は不思議なくらい暖かかった。
873 :
最終話 :2006/01/17(火) 18:06:08 ID:xhr/pV3J0
〜完〜 最終生き残り yasu shinya キリト 松岡充
874 :
Nana :2006/01/17(火) 18:21:38 ID:BZfIoR5a0
お疲れ様でした!! おもしろかったです(*´∀`)
875 :
Nana :2006/01/17(火) 18:39:44 ID:SpOM0douO
作者タソほんとに乙です! (*´∀`)ノシ
876 :
Nana :2006/01/17(火) 20:25:04 ID:Ps03o08Q0
おもしろかたですヽ(´∀`)ノ 乙です!
877 :
Nana :2006/01/17(火) 20:40:59 ID:CS6hgS0u0
作者さん乙でした(*´∀`)ノ♪ しかしすげーな松岡。 ここでも生き残ったよ……。
878 :
Nana :2006/01/18(水) 12:43:23 ID:KiBi7rprO
松岡、邦楽バトロワでも生き残ったよな… なにげに生き残りキャラ?
879 :
Nana :2006/01/19(木) 15:34:20 ID:zhjibcau0
松岡今後も別の話に出てくるなら 生き残り記録更新してほしいね。
880 :
Nana :2006/01/20(金) 19:01:47 ID:4cGLi/FTO
ちょww松岡、ソニー歌手バトルロワイヤルでも生き残ってるw
881 :
Nana :2006/01/20(金) 23:00:06 ID:R6QfQdmO0
ソニバトじゃ松岡は刺客みたいな感じで出てきたよな。
882 :
Nana :2006/01/22(日) 18:40:20 ID:rCcTmd3jO
作者さん乙でした!楽しく読ませてもらったよー。
883 :
Nana :2006/01/26(木) 11:58:44 ID:JJTl3L8+0
age
あぼーん
885 :
Nana :2006/02/04(土) 23:59:21 ID:vj4NDJbu0
keying
886 :
Nana :2006/02/11(土) 10:10:19 ID:d3IgkTPsO
遅いですけど作者様お疲れ様です!ハラハラしながら読ませて頂きました!
887 :
Nana :
2006/02/14(火) 23:05:31 ID:HMbUiB2M0 エネル