313 :
第3代弐編皇帝販売促進小説紹介:
「あの・・・」
弐編はもじもじとつぶやいた。
「なんだい?」
「おしっこ。」
「ああ、こっちだ。」
俺は、弐編の手をひっぱり、地下1階にあるトイレの前に来た。
「さぁ・・・あ、そうだったっけ。」
弐編はセーラー服を着て女装しているのだ。
「えーっと、仕様がないな。女子トイレに入っちゃえよ。
大丈夫、バレやしないって。」
「えーっ、そんなのイヤだよー!!」
「バカ、声が大きい。」
俺は弐編の口をふさいだ。
「大丈夫、絶対ばれない。俺の目を見るんだ。」
弐編は、素直な目で俺を見つめた。
「うん」
弐編は、女子トイレに消えていった。
----------------------
314 :
第3代弐編皇帝販売促進小説紹介:01/09/01 13:32 ID:DUI3xLj.
弐編は、顔を真っ赤にして女子トイレから出てきた。
「お、終わったか。どうだった?」
弐編は、顔を真っ赤にして首を振った。
その後、俺たちは公園の中を歩いていた。
「あ、雨だ」
驟雨に出くわしたようだ。
「おい、出ようぜ。雨宿りする場所を探そう。」
俺は、弐編の手をつかんだ。
「ううん、いいんだ。少し濡れてみたいきぶん。」
弐編は、首を振った。
「変わった奴だな。」
俺は仕方なく、歩きつづけた。
周りは、傘を広げるカップルが段々と多くなる中、
俺たちは場違いに目立っていた。
「あのね」
弐編はいきなり切り出した。
「ぼくのこと・・・ううん、あたしのこと、どう思う?」
「えっ」
俺は不意を打たれた。
「どうって・・・」
「あのね、さっき女子トイレ入ったとき、わかったんだ。
ぼくは・・・男に生まれてきたけど、
本当は女の子と同じ心をもっているんだなぁって。
実際女子トイレに入ってみると、
全然違和感がなかった。」
俺は、唾を飲み込んだ。
「そ、それって・・・・」
「気づくのが遅かったよ。ぼくの心、女の子なんだ。」
雨に濡れた弐編の横顔は、神々しいまでに美しく、
そしてその言う言葉の内容は、
人間のそれを超えていた。
雨のせいで今まで気がつかなかったが、
そのとき俺は弐編の目から涙が流れていることにやっと気がついた。
「これ、何だかわかる?」
弐編は、セーラー服のスカートのポケットからあるものを取り出した。
315 :
第3代弐編皇帝販売促進小説紹介:01/09/01 13:33 ID:DUI3xLj.
「お前、それって・・・・」
弐編がとりだしたのは、口紅だった。
「そう。さっきガメてきちった」
弐編はいたずらっぽく片目を閉じ、舌を出した。
「お前それはまずいよ・・・万引きじゃん。」
俺は頭を抱えた。
「だって可愛かったんだもん。でも買うのはハズくて。
ガメちゃった♪」
「・・・・」
俺は言葉を失った。
「ね!」
「なんだい?」
「口紅、塗って」
「えっ?」
「塗ってよ。」
316 :
第3代弐編皇帝販売促進小説紹介:01/09/01 13:34 ID:DUI3xLj.