メニューはこんな感じでつか?
■ 珍味 大阪蒸し ■
【良三】
先生、西成の郊外のパチンコ店の屋外駐車場で良い素材が見つかったので、
今日の献立は大阪風の幼児蒸しを用意しました。
【海原雄山】
ほほう、大阪の幼児蒸しか。
どれ、ううむ、なんとも良い蒸し色だ。これは器にはターボ仕様の
ワゴンRを使ったようだな。リアシートの裏には競走馬のぬいぐるみ、
そしてインパネの上には白いフサフサの毛皮もどきを敷く。
毛皮は合成繊維のものでなければ、このような深い味わいは出せない。
さて、幼児の方だが、うむ、手入れの悪い茶髪は一見ひどく下品だが、
ほどよく伸びた後ろ髪となんとも奇妙な調和をみせている。
面構えの方も良い。これは三代以上続いたブルーカラーの家系でないと
出せない白雉面だ。ミキハウスの真っ赤なトレーナーとソックスの相性も良し。
そしてこの迷彩柄のズボンが全体の雰囲気をぐっと引き立てている。
上着を脱がしてみると・・・おお、これは見事なせっかんの跡!!
青あざにミミズ腫れ、根性焼きの入りぐあいも申し分なし。
最近は横着して、押入れやベランダに閉じ込めるだけで済ます調理人が
増えていると聞く。そのような風潮の中でここまで念入りに下ごしらえを
こなすとは、まったくこの調理人の熱意には頭が下がる。
パチンコ店を選んだ事も、この調理人が幼児蒸しの真意を弁えている証拠だ。
西友やサティといったスーパーではこれほど見事な仕上がりにはなるまい。
やはりパチンコに没頭しつつ長時間車を放置するからこそ、一部のムラも無く
きれいに蒸しあがるし背徳感も増大する。そして調理人がニュース番組などを
全くといっていいほど見ない人種である事の裏づけにもなり得るのだ。
春らしい華やいだ気持ちにさせる素晴らしい一品だ。
良三、良くやった。この調子で頼んだぞ。