CHAGE and ASKAの噂 part20

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>>609

二人は、歩道から離れた薄暗いベンチに腰をかけた。

「今日はね、肉まんを買ってきましたよ」

私は、宮咲さんとの間に距離を作るように、コンビニの袋を二人の間に置いた。

「あ、いいですねえ。コンビニの肉まんっておいしいよね。あ、今日も色々買ってるね」

宮咲さんはうれしそうな顔で袋を覗き込んでいる。
どこかの有名でおいしい食べ物より、彼はコンビニのものが好きらしい。
前に、メロンパンを持ってきたときもそうだった。

肉まんを取り出そうと袋に手を入れてガサゴソしていると、
急に宮咲さんは強い力で私の手首をつかみ、
握ったままの手をコンビニの袋の下に隠した。

宮咲さんは何食わぬ顔で、犬のほうを見ている。
それでも、握りながら指先で私の手首の血管をなぞっている。
次第に指先は私の指の又に当てられ、柔らかな皮を摘まみはじめた。


隠された手は彼の手と袋越しの肉まんの温かさに挟まれてなのか、
次第に湿度を纏いはじめた。