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60永遠に粘着する怪物
いったん姦通へ船出をすると、ラッセルは後ろへ振り向くことは無かった。1913年、
休暇をイタリアで過ごしたときあるパーティーでぽつんと一人座っているドイツ人の
若い女性を目にした。ラッセルは婦人の一人にこの女を会話の輪に誘わせた。「私は、
彼女と親しくなり、郊外ピクニックに出かけた。彼女と愛を交わしたかったが、まず、
オットラインとのことを話す必要を感じた。この話をするまで彼女は従順だったが、そのあと
は、がらりと変わった。しかし、結局は反対を続けても無駄と考えたようだった。」
翌年、ラッセルはアメリカを訪れ、シカゴでヘレン・ブラッドレーと言う外科医の
娘と知り合った。しばらく後、オットラインへこう告げた。「二人は、一日をピクニック
で森で過ごした。私は、彼女をとても気に入っている自分に気付いた。結局、その夜を
共にし、彼女は出来るだけ早い機会に英国へ来ることになった。」ヘレン・ブラッドレーは
「ヘネムーンの期待と準備に胸を膨らませ」英国へやってくる。しかし、そのころ
ラッセルはもう、彼女には飽きていた。ヘレンは、身を寄せた先のオットラインにみじめな思いを
とめどなくもらした。ラッセルとヘレンがガーシントンーモレル家の新しい別荘ーへ旅行したとき、
ヘレンは真夜中柱にラッセルのベッドルームのドアをノックしたが、彼は、ドアを空けなかった。
ロンドンへ戻りラッセルが新しいフラットでオットラインと寝ていると、ヘレンがドアを
ノックした。しかし、再び応答は無かった。一方、この間にも、オットラインは、アイリーン・カバーウィリス
と言う美しい女性をラッセルに引き合わせた。彼女は政治的パンフレットの作成でラッセルに協力した。
ラッセルはこの女性とも肉体関係を結ぶが、彼女が人の噂になることを恐れ外出することを拒むと、
この関係を後悔した。「私は、ナイアガラの滝を下ることも辞さない人間がすきなんだ」と述べた。
水の中でもがく女を平然と見逃す自分の性向を棚に上げた手前勝手なごたくと評する他は無い。
61永遠に粘着する怪物:2007/07/26(木) 18:31:31
ラッセルは自分でも、この情緒的欠陥に気付いていた。アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドと共に
あの記念碑的な著作「「数学原理」」の取り掛かったころ、彼は、ホワイトヘッドの妻、イヴィリン
と恋に陥った。心臓に障害があり、激しい痛みがしばしば起きる女性である。ある非、
ラッセルが部屋に入ると、彼女には、たまたまこの発作が起きていた。「彼女は、苦悶の壁により
あらゆる人や事物から隔てられていたように見えた。人間の精神は、それぞれ孤独、、、。
この思いが突如私を圧倒した。結婚以来、私の情緒的な生活は平安だが上っ面のものだった。
私は、深深とした問題を全て忘れ、うわべだけの利口さで満足していた。その地面が突然崩れたような
感じに打たれた、、、、」。彼は、一種の宗教的な悟りを得る。無抵抗平和主義者、社会的に言うなら
彼は理想主義者に転向した。

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薄情と自己陶酔の探求の意思表示と解釈されることになる。