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永遠に粘着する怪物:
ラッセルは自伝で、1911年まではいかなる女性とも「完全な関係」はなかったと述べているが、
メアリーとのことはこの記述に矛盾するかに見える解決の鍵は、「完全に」と言う事場に
求められそうだ。子供のとき、ラッセルは、馬車から落ちてペニスに傷を受けた。
これが原因で、周期的な勃起不能状態に陥ったらしい。後に最初の妻に子種を
与えることに「全く失敗した」と書いている。恐らく、彼とメアリーは大いに努力した。しかし、
なんらかの結果を得るにはいたらなかった。ラッセルは5歳年上のアリスと結婚した。
彼女は、「セックスは獣じみたこと」で「女は、それを居やがっている」といって
はばからなかったが、二人は、一応幸福そうに見えた。彼が「単なるコミック」とみなした
最初のセックスの問題が終わると、二人は、互いの調整という問題を一応克服したかに見えた
それでもラッセルはこう書いている。「結婚から3週間が過ぎたある日、セックスでいささか
疲れてた時、私は、妻を憎んだ。なぜこの女と結婚したいと願ったのかわからない状態
に陥った。」。これは、ラッセルの精神生活の奇怪なパラドックスに光明を投げかける
意味深いコメントと思われる。彼は、知的には、輝かしい存在だった。抽象的思考に天与の
才を備えている。しかし、情緒的問題になると、想像力の完全な欠如を露呈する不手際
ばかりが目立った。彼の著述、特に道徳や社会問題に関する著述が、多くの場合いかにも
天真爛漫にみえるのはこの理由による。 <<
ラッセルは支配力弱の典型であることが解る、このことと、人生の目的感が自覚と結びついて
主体的であったならば、しっかりとしたものとなったろうに、、、。