やまもといちろうについて語る会Part2

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111名無しさん@お腹いっぱい。
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87分署シリーズ

カリプソ     
     サディスティックな部分のみ目立つ凡作。筆者は中学生の頃50年代、
     60年代に書かれた初期の87分署シリーズ(「ハートの刺青」「被害者の顔」等)
     を愛読したが70年代以降の同シリーズは通俗を通り越して下品な感じを受ける。
幽 霊    
     ホラーブームに便乗した幽霊ネタをあつかつたこれもまた凡作。
     初期のような切れ味を求めるのは無理か。
熱 波     
     つまらない作品。事件も地味、最近の87分署シリーズの常でスチーブ ・ キャレラ
     刑事の一人舞台で群像劇の面白さもない。(バート・クリング 刑事も本作の主要
     人物だが本筋にはあまりからまない。)

*ハリーシリーズのファンは次の作品もチエックされたい。
    ポップ1280  J・トンプスン    扶桑社     レンタル
     宝島社の「このミステリーが面白い2000年版」の海外部門第1位に
     選ばれた作品で期待して読んだが完全にはずされた。三文小説としか思え
     ない。ハメット、チャンドラーさてはドストエフスキーとの比較まで持ち
     出された書評にはただ唖然とするほかない。近年の過大と思える再評価に
     一番驚いているのは故トンプスン自身かもしれない。
     


鮎川哲也追悼記念読書ガイド(決定版)


追悼記念として、私が鮎のスレに書き下ろした読書ガイド(決定版)を
このスレにもアップしておくこととする。
114名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/23 03:03
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鮎川哲也長篇ランキング

(A) 「黒いトランク」
   鮎川アリバイ破り小説の総決算として最後に読むべき
   作品。かなり緻密で複雑なプロットであり、初心者向き
   ではない。
   「りら荘事件」「朱の絶筆」
   パズル好きにはたまらない2作品だが、星影もの等の
   短編集でウオーミングアップ後に仕上げとして読むの
   が無難。

B  「黒い白鳥」「憎悪の化石」「砂の城」「偽りの墳墓」
   「死のある風景」「鍵孔のない扉」「風の証言」
   「戌神は何を見たか」「沈黙の函」「王を探せ」「死びとの座」
   この辺はどれもいいが、私的には「風の証言」が印象に
   残る。最後の4作は鬼貫ファンは少しガクッかな。
   「ペトロフ事件」「宛先不明」「準急ながら」「積木の箱」
   分量的には軽量級だが水準以上の出来映え。
   「死者をむち打て」
   ワラタ。超異色作。本格ではないので注意。

C  「白の恐怖」
   失敗作、以上。だがその心意気良し。

E  「人それを情死と呼ぶ」
   清張の通俗長篇の線を狙ったのだろうか?駄作。
   つらいが逝って良し!
Eランクの1冊は除いてすべて読む価値のある作品ばかりだ。
しかし現在鮎川氏の作品は短編も含めて非常に入手しにくい
ものが多い。昔は角川文庫から大量に出ていたが角川春樹と
同様に逝って良し状態になってしまった。(泣
他社で復刊されたものもほぼ壊滅状態である。
とにかく古本屋や図書館で見つけたら即ゲットすべきである。
2割5分から8分は確実に打つアベレージヒッターの如く
この人の本はハズレが極端に少ない。

117名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/23 03:03
君がこのスレで一番まともなようだ.
君の,その他人に良かれの思いと行いを大切にするんだよ.
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スマン、1冊追加する。
Bランクで「翳ある墓標」
異色作だがこれは本格。結構楽しめる。
15,6年前に小田原の本屋で入手した。勿論今行っても無い。

とにかく短編集も含めて鮎川作品は乱歩、正史に比較しても
初刷りからして少ないから、他に買おうとしてるヤツがいたら
殴り倒してもゲットすべきだ。金が無ければ万引もひとつの
手だ。しかし、後どうなっても俺の知ったことではない。
さて、これから文学板住人の皆さん宛てに
乱歩先生の全短編・中編のガイドブックを行ってみたいと思います。
ミステリ板住人であるわたくしが、文学板住人の皆さんに向けて、
文学板住人が読んで面白いか否かを、3段階で評価してみるという
2ちゃんでもちょっと珍しい異色な企画です。
評価基準は、○→お薦め △→読んでもいい ×→文学板住人向きにあらず
です。
乱歩先生の係累である松村善雄氏が書かれた「乱歩おじさん」(晶文社・絶版)
の巻末の作品目録に従い発表順に評価して行きます。
いろいろ、文学板住人の方の御意見もお聞かせください。

120できもしないことをなに吼えてるんだか:03/02/23 03:04
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大正12年(1923年)
・ 二銭銅貨 △
記念すべき乱歩の公式デビュー作です。
作り込まれた暗号トリックを作品の主眼とした短編ミステリですが、
過去ログを読むと文学板住人にも好評なようなのが意外です。
貧乏書生が登場するなど戦前の純文学の雰囲気と共通するものがあるからでしょうか。
ぎりぎりボーダーで×から△へというところでしょうか。
・ 一枚の切符 ×
短編ミステリの名手乱歩の手腕が良く発揮された作品ですが、
謎解き面白さのみしかなく、文学板住人向きではありません。
・ 恐ろしき錯誤 △
結構迫力がある心理ドラマです。読んでみてもいいでしょう。

大正13年(1924年)
・ 二廃人 ○
ミステリ仕立て純文学として読んでいただきたい暗い哀愁が漂う一編です。
・ 双生児 ○
ミステリという色眼鏡無しで、「ある死刑囚が教かい師にうちあけた話」
として文学板住人に読んで欲しい作品です。

122名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/23 03:05
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゛ ヾ;i;;ii ;iiメソ ヾ; ;ゞ "                    `Y´
 ""|l!|| ll|ソ  ""                 .__ 
   l;l!ll |l|   ,,,,,, ,   ,,,,,, ,   ,,,,,, ,   ,,,,,, .彡_、,__ < ・・職がない。,  ,,,,,, ,   ,,,,,, ,    ,,
   |:l||l |l| iiiii;;;::..゙ ,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;: :. ゙ ゝム_ ノヽ , , iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiiii;;;::. ゙,,iiiii;;;::. ゙ ,,iiii ゙
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   |ill|| lll⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒|≡≡_(つ_ヽ_とソ≡≡|⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
 二llil|l l!|二二二二二二二二二二.`┳━ ( (   ノ ━┳ 二二二二二二二二二二二二
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                         'ー'^ー' ━・            .,.,,.、.,.,,.、
  γ⌒ヽ    .,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、         ↑ 山本一郎          ,,.、.,.,,.、
 φo し λ     )
 ん、_ノ  `ー'⌒ヾ  .,.,,.、.,.,,.、.,.,,.
 と~て_ノ___(  ノ 
           、.,.,,.,..,.,,.、.,.,,.                  .,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、.,.,,.、. 

ミステリとして書かれてしまうと論拠まで記すのは無理ぽ。
ネタバレになり著しく読書欲をそぐ結果にもなりかねない。
本当は作品名と○×△だけでもいいくらいだ。
まあ、ぼちぼち行きましょう。
本は春陽堂を使用してます。

大正14年(1925年)
・ D坂の殺人事件 ×
名探偵明智の記念すべきデビュー作ですが、文学板住人にはさほど興味が無い
ことかと思います。過去ログの評判も芳しくないようですが、
謎解き短編ミステリとしての魅力以上のものは無いです。
・心理試験    ×
ミステリとしてだけ読むならこういうのも有りでしょうが、それ以上のもの
ではありません。乱歩短編の代表作ですが、文学板住人の向きではないです。
・黒手組     ×
暗号ネタのミステリに過ぎず、読む必要は無いです。
・赤い部屋    △
過去ログでの評判はそこそこかと思います。
小技トリックネタてんこ盛りなミスヲタ好みの作品ですが、
ラストはどこか文学的でもあります読んで見てもいいでしょう。
・ 算盤が恋を語る話 ○
猟奇性皆無のコントのような物語で、ミステリ板では黙殺されがちな作品ですが、
こういう人生の断片をさっと切り取ったような小品こそ文学板住人にお薦め
したいです。

・日記帳      ○
ミステリオタには物足りないかもしれない作品ですが、ゆえに文学板住人に
お薦めしたい哀切なラストが印象的な小品です。
・幽霊       ×
 ホラータッチでミステリに過ぎずお薦めできません。
・盗難       △
若干の文学的感興が感じられる地味ながら読んでみてもいい作品です。
・白昼夢      ○
非常に短い作品ですがお薦めです。乱歩文学の結実ここにありです。
・指環       ×
単なるコントで読む必要無しです。
・夢遊病者の死   △
もっと文学的に書けたであろう一編です。読んで見てもいいでしょう。
・ 百面相役者    ○
意外に文学的な感興もあり、文学板住人にお薦め出来る作品です。
・屋根裏の散歩者  ○
過去ログでも好評な名作。ミステリを越えた乱歩文学の頂点にある作品です。
絶対のお薦め。
・ 一人二役     ○
人生の妙味を感じさせる文学的興趣に富んだ小品です。ぜひ一読を。
・疑惑       ○
お薦めです。ミステリ趣向の文学と言ってもいいくらい人間心理が良く
書けています。
・人間椅子     ○
ぎりぎり○かと。オチが無い方がいいと見るのが文学板住人、オチが効いてると
見るのがミスヲタでしょう。両者の見解はっきり分れるところかと思います。
・ 接吻     ○
これも人生の断片を巧みに描いた文学板住人にお薦め出来る作品です。

ざっとレスを読んでますが、乱歩作品について書けない荒らしによる煽りのレスより
>>461のレスがネタバレを狙った悪質なものです。
僕のミステリー板への誘導も無視し、このスレでミステリについて語ろうとしているDQNです。

次回は、大正15年〜昭和元年です。



大正15年〜昭和元年(1926年)
・ 闇に蠢く     ○
先に記しましたが、文学板住人を戦慄せしめるであろう中編。
乱歩文学の極致です。絶対のお薦めです。
・湖畔亭事件    ×
あまりにミステリしていて文学板住人にはお薦め出来ない中編です。
・ 踊る一寸法師   ○
過去ログでも高評価もうなずけるものがある小品ながら、
猟奇文学の佳作です。
・毒草       ○
洒落た外国文学の短編を思わすようなお薦め品です。
・ 覆面の舞踏者   ○
「毒草」と同じく文学板住人好みのツイストが効いた作品です。
・灰神楽      ×
洒落た犯罪コントに過ぎずお薦めできません。
・火星の運河    ○
地味ながら乱歩文学のひとつの形です。お薦めです。
・モノグラム    △
ミステリらし過ぎるのが惜しまれる一編。まあ読んでもいいでしょう。
・お勢登場     ○
男の妄執を描ききった佳作です。読む価値十分あり。
・人でなしの恋   ○
過去ログでも好評の一編。乱歩の持味が十二分に発揮された作品です。
・パノラマ島奇談  ○
文学板住人には文句無しにお薦めです。過去ログでの絶賛は当然でしょう。
・鏡地獄      ○
これも一押し。黙って読めばいいかと。
・木馬は廻る    ○
 ラストに文学的感興がある文学板住人好みの作品です。

さて、お気に入りのスレとか書きながらコテハン叩きのレスしか書かない(書けない?)
人たちがいるね。
スレタイに関係無いことしか書いていないレスの連発→人これを荒らしと呼ぶ!

昭和3年(1928年)
・陰獣   ×
 この年は、この一作のみ。あまりにミステリであり文学板住人には薦め難いものがある。



私の雑談スレにおける謝罪にもかかわらず、
いっこうにコテハン叩き荒らしはおさまりません。
乱歩に興味がある賢明な文学板住人は、真実がおわかりになったと思います。
スレタイに無関係なレス、自作自演と騒ぎ立てるレス、
これ全てスレ荒らし自体を目的とするものであります。

昭和4年(1929年)
・ 芋虫  ○
ミステリとは言い難いゆえに、文学板住人に強く推す変態恋愛小説とも言う
べき作品です。
・ 押絵と旅する男 ○
乱歩の代表作でありながらミステリではありません。幻想文学の傑作中の傑作。
ゆえに安心して文学板住人にお薦めします。
・虫   ○
ミステリというよりは、鬼気迫るようなクライムノベルです。
△ という評価をする人もいるでしょうが、あえて○で推します。
・何者  ×
ラストシーンをっはじめ、結構洒落たミステリですが、
それ以上のものではないです。

昭和6年(1931年)
・目羅博士の不思議な犯罪  ×
過去ログでは私的べスト作品に挙げている人もいますが、
スリリングなミステリ以上のものではありません。
・地獄風景    ×
中途半端なパノラマ主義の冒険ミステリ。失敗作です。
読む必要はありません。
・ 鬼       ×
乱歩好きなミスオタ以外には縁が無いミステリという感じです。
 昭和7年(1932年)
・火縄銃     ×
習作に手を入れて完成度を高めたミステリという以上のものでは
ありません。
昭和9年(1934年)
・石榴      ×
結構オーソドックスなミステリというに過ぎない作品です。
昭和25年(1950年)
・断崖     △
ほぼ全編が会話体により進行するという乱歩作品中では異色作です。
ラストに文学的感興が無いでもないので、読んでみてもいいかもしれません。
昭和29年(1954年)
・凶器     ×
良くまとまったミステリというに過ぎず、読む必要はないです。
昭和30年(1955年)
・月と手袋   ×
大変にスリリングなミステリですがそれだけです。
・防空壕    ○
過去ログでも好評ないかにも文学板住人好みの作品。
ライダー・ハガード作品を想起させる傑作です。
昭和31年(1956年)
・ 堀越捜査一課長殿 ×
ミステリとしての趣向が面白い作品に過ぎません。
昭和32年(1957年)
・妻に失恋した男  ×
文学的な素材がミステリとして処理されてしまい残念な作品です。
読む必要はありません。
昭和34年(1959年)
・ぺてん師と空気男  △
軽いタッチで書かれたようでいて、人生の哀歓のようなものも感じさせる部分も
持つ中編です。読んでみてもいいでしょう。
昭和35年(1960年)
・ 指         ○
遺作にして乱歩唯一のスーパーナチュラルなホラーです。
文学板住人にはお薦めです。
文学板住人があまり手に取ることはないと思われの乱歩長編の読書ガイド
をアプしておきましょう。

江戸川乱歩長篇読書ガイド

A 「孤島の鬼」
  全編に妖気漂う日本ホラーミステリの最高傑作。
  京極氏もこの作品を前にしては失禁状態だろう。

B 「盲獣」「闇に蠢く」
  2作とも乱歩の本領発揮の必読作。
  「白髪鬼」「幽鬼の塔」「三角舘の恐怖」
  いづれも海外小説の翻案であり、オリジナリティは欠くが
  一読巻を置かせぬ面白さは保証する。特に「白髪鬼」の
  哀切なムードは印象的。
  「十字路」
  共作であり、オリジナリティは欠くが十字路における死体の
  ・・・・や死体の・・・のシーンの鬼気迫る描写は白眉。
  「ぺてん師と空気男」
  飄々とした軽妙な味わいが出色。
  「一寸法師」「蜘蛛男」「黒蜥蜴」「影男」
  明智冒険談は上記作品が御薦め。「影男」は地味だが
  スマートな洒落た作品で捨てがたい。

C 「化人幻戯」
   全体的に迫力を欠く凡作。
  「大暗室」
   趣味に走りすぎた失敗作
  「緑衣の鬼」「幽霊塔」
   翻案(後者の原典は黒岩氏だが)の失敗作。読むのタルイ
   自家薬籠化に失敗。
  「猟奇の果て」「魔術師」「人間豹」「悪魔の紋章」「暗黒星」
  明智冒険談でも比較的出来の悪い作品群。

D 「吸血鬼」「黄金仮面」
  明智冒険談の紙芝居化を象徴する愚作。
  「幼虫」
  同じく紙芝居化した愚作。

E 「恐怖王」
  読者を愚弄した駄作。逝って良し!

結論としてAのは必読。Bは「盲獣」「闇に蠢く」は必読。
翻案の3作は御薦め程度。明智シリーズは肌に合わなければ
読まなくてもいい。
C以下は読む必要は無い。