952 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:02
稲葉浩志の噂【55】
立てます。
953 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:02
>950
すみませんが、まだ23です。
954 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:03
一般論でしょ。そんなにひねくれないで。
955 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:03
新スレ、たてようか?
おー。リロードの間に。
952さんお願いします。
957 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:04
別スレ見つからない…
。・゚・(ノД`)・゚・。
958 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:04
_______
_,,,、-‐''''゙゙゙゙、‐‐-、゙゙゙゙゙゙'''ー、,,_
、-''゙゙ / ヽ ゙゙ー、_
. / __,,,,,,,,,,| |_、-‐‐-、 ヽ
/ _,,、-''゙゙゙ l ●/ ヽ \
. ,-‐‐-( \ `;-‐‐-、/ ● | ヽ
/ ` `‐、_ \ l l ./ .\
| `-、_. ヽ、____ノ\__ .__/ヽ、 丶
|\ ゙゙'''ー-、_ / . ̄ \ 丶
. | \_. ゙゙''' /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ .l
. | |ヽ、 / ゙゙゙゙''''''ー‐--、,,,,,,, 丶 l 新スレ立てて
| | `ー-、__ / ゙゙゙'''ー-、_ .l .|
. | | `'''┴-、_____ ゙゙゙''''ー- | |
. _、--‐┤ l `ー‐‐---、___________. | l
/ l ヽ / | /
. | ヽ \ _,,,,、-‐‐‐‐‐-、,,__ ノ | ノ
l lヽ \/ \ /. / /
. `ー‐-t-‐' ヽ `-、 \/ / /
\ ト-、,,,___ `ー‐-、________,,,-‐'''''゙゙゙ .ノ /
\ `ー---、`'''‐‐---、,,,,,,_____ / /
. ___. >/ ̄ ̄/゙ ゙̄ヽー--、,,,,,,,,,゙゙゙゙゙゙''''ー-、/___ /
/ \// |゙'''''''''゙| \. ゙゙゙゙゙゙''''ー-、二)
/ \| `''''''''''゙ \ \_
/ │l ̄ ゙゙゙゙̄''ー--、_ l ト-─-、
| | | `l | ____ ./ l
| │\ ノ | /゙゙゙''ー( |
.. ヽ /ヽ ヽ、_ ___/ ノ / / ̄ヽ\ /
. \. / \  ̄ ̄ _/ / ̄ヽ__ノ  ̄ ̄
. \____/ー─-二‐--------‐'゙゙ `< ̄`‐、_
 ̄`ー-、__ ) l
`ー-、_ / |
. `ーy--イ |
| ノ
\ 丿
`ー---‐'''゙
959 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:06
エラーになってしまった・・・。
誰か立てられる人よろしくお願いします。
(´・ω・`)ショボーン
挑戦します。
961 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:09
立てます!(`・ω・´)シャキーン
>960
まかせた!
ダメでした。ごめんなさい。
964 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:29
\ ショボーン /( ^∀^)ゲラゲラ
ショボーン \ (´・ω・`) /
(´・ω・`) \∧∧∧∧/∀`)=◯<´・ω・`>◯=(・
( つ旦O < な シ > ( )ショボーン
と_)_) < ョ > ∪∪
──────────< 予 ボ >───────────
| |/( ´_ゝ`)\< │ > ( ´・ω・`)フー
| |. ∩∩ < 感 ン > / 人
|ショボーン ̄ ̄ ̄ ̄/∨∨∨∨\ / \ \⌒i
(´・ω・`) /2人でショボーン \ | /\  ̄))
(∩∩)─── /(´・ω・`)人(´・ω・`)\/ /| ̄|
/| ̄ ̄| カタカタ / ( ∩∩) (∩∩ )\ / ゝ__)
965 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:31
嫌われた理由?引っ越してるもん。ちょっと前に。
966 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:32
引っ越した、って何処から?
967 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:33
あいかわらずじゃのぅ。
小室とやら申す人界の者がわしではないかと
いぶかむ者がおったようじゃが、断じてわしは
そやつではない。
・・・ただの狐の爺じゃ。人ではない。
969 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:35
キャー狐老様ー!(はぁと
970 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:36
愛人が引っ越してったって話は過去スレにあったような。
971 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:38
ここんとこ、松涛張ってる人はいないんでしょうか。
972 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:39
前スレに孤老様が…
973 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:39
あ、間違えた…(汗
974 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:39
狐老様、昨夜うやむやにされた人界の女とやらの素性が気になります
その女についてのエピソード等ございませんか?
あっちってどこか有名な掲示板の中とかなんですか?
探したけどわかりません・・・
そうじゃな・・・わしの聞き知っておる話では、あやつがまだ
人の姿を映さず、狐の姿でいた頃のことじゃ。
郷の近くはとても人には来れぬ絶景なのじゃが、あやつは
運悪く、郷の近くで猟に来た人に追われて崖下に転落して、
かなり遠くまで流されてのぅ。
今でこそよく生きていたと思うのじゃが、傷つき弱っていた
あやつを助け、介抱してくれたおなごがおってな。
ややあってしばらくのち、あやつは再び郷に戻って来て、
人間も捨てたものではないと、言うておったな。
・・・思えば、あの頃もう少し気をつけていればよかったかのぅ。
よもや狐が人に恋するするとは思わなんだ。
同じ種族違いでは、狸よりはましやも知れぬが、そういう問題
でもあるまい。
977 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:53
つまんね〜
978 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:58
ほんとつまんね。
979 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 20:58
狐老氏ね!
980 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:00
狐老様、微妙に核心から話を逸らそうとはなさいますな
もう少し突っ込んだ所を是非に・・・
981 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:01
稲葉さんが狐で美紀さんが人間なら、タヌキは美奈子だね。
982 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:04
孤老は新スレに移った模様。
983 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:31
│∀・) コソーリ
こっそり10000を目指します。
985 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:34
ひそかに参加
986 :
名無しさん@お腹いっぱい。:02/07/30 21:35
10000?
今何時なんだろう?乱れたシーツの中から手を出し、目をこする。
遮光カーテンの間から、わずかに明るい光が見える。もう朝か?いやその光は昼の色をしていた。
響は、ベットサイドの時計を見た。時計の針は9時45分をさしている。
(もう…おきなくちゃ。)
そう思いながらとなりで静かに息をしてている稲葉を見た。稲葉の顔は年相応の渋い艶があった。
黒い髪がさらっと顔にかかっていた。響は稲葉を起こさないようにベットを出ようとした。
すると次の瞬間、稲葉の太い筋肉質な腕が響きに巻きつく。響はベットの中に戻される。
「もう少し、一緒にいよう…。」
稲葉は、小さな声で囁いた。その指は響の髪を触る。甘えん坊な男だった。
「大丈夫?仕事は…。」
「うん。今日は昼からだから。」
そう言いながらシーツに包まる。二人の温度は混ざり合う。あなたの肌と私の肌は溶け合い、境界線
はなくなる。そばにいるのに、隣にいるのにヒトツみたい。
先ほどの出来事は夢のように過ぎ去り、稲葉は響に口付けをして部屋を出て行った。こんなに広い
スィートルームに一人残されて、響はため息をつく。響きは唇の感触を確かめながらベットで丸くなる。
また繰り返している、同じ過ちを。昔と変わらぬ、焼けるような思いをまた味わっていた。
稲葉が帰ってくるまで、響はホテルのプールでぼんやりと過ごすことにした。とてもアノ部屋に一人で
留守番はしてられなかった。孤独が襲ってきそうだから。仕事の都合、稲葉はよくホテル住まいをする
ことがあった。丁度、お互いのタイミングが合い、この3日はいっしょ過ごせることになった。
響は鏡に写る自分の姿をみて思った。年をとったかなと。20代半ばになる響は若かった昔のことを思い
出しながら、プールサイドで横になった。
(あの時、どうしてめぐり合ったのか…。ふぅ〜。)
ため息をつきながら瞳を閉じ、またよからぬ昔のことを思い出していた。
稲葉と出会ってもう何年たったことか、めまぐるしく時は過ぎてまた繰り返し
冬はやってくる。
今年の冬は冷え込むらしい、そんな寒い空気はデリケートな関係を今度こそ
粉々にしまうのかもしれない。そう思いながらも互いの蜜に吸い寄せられていく
ものたちだった。
ずっとそばにいれる?いれない?そんなことばかりが響の頭の中をめぐり、
疲れた表情で大きくため息をつきながら、サウナルームへと歩いていった。
「奥さんもがんばるわね。彼のために…。」
小さくつぶやきながらサウナルームのドアを響は閉めた。
987
稲葉と私、始まりは何時だったのか…。思い出そうとしても、弱虫名私は、思い出せなかった。
嫌、嘘だ、思い出そうとしない自分がいた。そんな自分にまた嫌気がする。
響は稲葉との昔のことは一人考えていた。まだ響は学生のころだった。稲葉は仕事の延長で皆と
ディスコにきていた。その当時まだ派手なスーツに身をまとった小娘たちがいきがって踊っていた
ころだった。響は友達に誘われて仕方なくその場にいた、はっきりいって興味がなかった。
そういうことに対してさめていた。こんなところに来ている男がだいいち好きになれなかったから、
響は関わりたくなかった。
偶然その店で二人は出会った。神様のイタズラのように。
男はナンパ目的のものが多くいた。女もまんざらではなさそうだった。響きは決して超美人という
ことはなかったが、そこそこの、美人、かわいい感じの女だった。昔から結構男からの誘いはあった
ほうだ。しかし厳格な家で育ったために、尻軽いことはできないたちだった。そのくせ大人ぶりたい
年頃のせいか、つんとすましていた。その日も響はクールにライトの下で踊っているものを眺めていた。
すると2階のVIP席のほうが賑やかにさわぎだった。女の子がキャーキャー言って騒いでいた。
響の友達は小声で言った。
「なんかVIPに超かっこいい人たちが来てるって。」
響はどうでもよかった。退屈で死にそうだった。
「ちょっとトイレにいくわ…。」
足早にトイレにむかった。広い店内で人ごみの中トイレに行くのは結構大変だった。響は何とか
人ごみを抜け細い通路へ出た。ちょっとほっとして、気を抜いた次の瞬間に、思いっきり後ろから
何かが飛びついてきた。
「きやぁあああーーー!!」
響は叫ぶが、音響のすさまじい音でその声はかき消される。
「ねぇ、かわいいね、トイレでいいことしない?」
響は驚きでじたばたしながら自分に抱きつく得体の知れないものを払おうとする。
「そんなに、おどろくなよ!」
酒くさい顔も知らないナンパやろうが響にいきなり抱きつき卑猥な会話をしだす。響は、力を入れて
ふんばる。
すると次の瞬間酒臭い男が響から離れた。ふんばる響は前につんのめり床に倒れる。
酔った酒臭い男は床に倒れ、先ほどの勢いはない。
「大丈夫?君。」
響の手をとり体を起こそうと男が手を差し出した。響は驚き男の顔を見た。そこには淡いスーツ姿の
若い男が戸惑いながら立っていた。響は自分が助けられたことが分かりほっとしたが、自分の無様な
姿を見られたと思い恥ずかしさがわいてきた。
「いえ、大丈夫です。」
響はありがとうの一つも言わずに立ち上がろうとした。すると右足に激痛を感じよろけた。
「いたっ!」
スーツ姿の男は、響の腰をとり言った。
「足怪我してるよ、血が出てる。大丈夫じゃないよ。」
冷静な声で言った。響は自分のかっこ悪い姿を見られたことが恥ずかしく、怪我なんか
どうでもよかった。おまけにこんなとこに来ている見ず知らずの男なんか信用できないと思った。
「本当に、いいです、平気ですから。」
響は気丈に接すると、向こうからその男の友達か知り合いのような人が、やってきて、何か話し出す。
響にはよく聞き取れない。
「…怪我してるんですか…、…いや………僕がホテルの……医務…室…、まずいです………稲…、
私がその………」
なにやら2人は会話して、何かを決めたよう見えた。
するとスーツの男は口を開く
「一杯おごるよ。」
響は男に連れられVIP席へ行った。目まぐるしい豪華な飾りつけは圧巻だった。席は10人ほどの男女
が入り混じっていた。男に連れられその席に向かうと皆が好機の眼で響を見た。
「おっ、稲葉が女を連れてきた。めずらしい!!」
金髪の男性が言う。すると周りにいるモデルのような綺麗な女たちが、声をあげる。
「イヤー、稲葉君そういう子がこのみなの!」
「ああーん、焼けちゃうな!!ジェラシー!」
「私がいるのにー稲葉さん!もう〜。」
響は驚きながら稲葉という男の横に腰掛けた。そして稲葉は響に小さな声で言った。
「もうすぐタクシーがくるから、そしたら病院に行ってみてもらいな。」
「えっ?そんな…。」
「大丈夫だから。」
響は戸惑いながら稲葉を見た。するとすごくやさしそうな目をしていた。
「ちょっと、稲葉君、何そんな普通の子くどいているのよ!!」
綺麗なモデルのような子が稲葉にしなだれかかってくる。稲葉は苦笑いをしながら
女性たちの相手をする。店員たちもものすごい配慮をこのテーブルに注いでいる。
そんなにVIPなのか?疑問に思いながらも先ほど怪我をした膝をそっと手で覆いながら
目の前に出されたきついマンハッタンに口をつけた。
響にとっては異様な光景だった。金・男・女・酒が混ざり合ったどろどろした世界に。
すると、下から先ほどの稲葉と話していた男と小柄な温和そうな男が席にやってきた。
温和そうな男は響を見てにこっと笑い言葉をかける。
「初めまして、稲葉のお気に入りサン。」
響は何も答えず受け流した。するともう1人の男が響にタクシーが来たと告げ、
響を連れてその場を立ち去った。
「おい稲葉、あの子知り合いか?」
「いえ…。偶然。」
「そうか。かわいい子だね」
「怪我してて…。」
「聞いた、さっきマネージャーにさ。」
稲葉はぼんやり遠くの眩しく光るライトを眺めていた。
××ホテルの医務室、響は先ほどディスコで知り合った名前も知らない男たちの手配で、
怪我の手当てを受けている。
「はい、これでいいでしょう。でも一度明日病院に行ってくださいね。」
医者らしき男は膝の消毒をして、響に言った。響きは包帯の巻かれた足を見ながら、ふと思った。
(なんで、こんなに親切にしてくれるの?何者なのかしら、あの人たち…。)
すると、響をタクシーで連れて来た男が部屋に入ってきた。男は響を見ていった。
「大丈夫か?大事にならなくて良かった。」
「?!」
響はその男の言う言葉に引っ掛かりを感じた。
「狭い店内でこちらも無理言って、まぁ、貴方にもご迷惑かけたみたいです、とにかく大怪我とかなくて
よかった。
帰れますか?ここから。」
「ええ、もう大丈夫です。」
響がそう言うと、携帯電話の音がなる、男はかばんから携帯を出してすぐに出る。今でこそ携帯電話は
コンパクトであたりまえにみなが持っているのだが、その当時携帯電話は高く、非常に大きなものだった。
トランシーバーのような大きくて重い、ビジネスマン用のものだった。
「もしもし、今ホテルです。はい、」
そう言いながら、男は医務室を出て行った。響は1人残され、このまま勝手に帰っていいのか迷っていた。
すると人の足音がする、男が帰ってきたと思い響きは声を出した。
「もう帰ります。」
響は立ち上がりバックを持とうとしたとき、響の前に男が立ふさがった。
「大丈夫だった?」
響が見上げてみるとそこには、あの稲葉とかいう男がいた。
「あっ!」
響は持とうとしたバックを稲葉にとられ、驚く。
「あの、大丈夫です、よくわかんないけどありがとうございました。」
響は稲葉が持ったバックに手を伸ばした。一瞬響の表情が痛そうな顔になるのを稲葉は見逃さなかった。
「送るよ、家何処なの?その足じゃつらいでしょ。」
稲葉は、響にそう言うと医務室を出た。
ホテルから響の家までは車で15分ぐらいだと分かり、タクシーで響を送ることになった。
なぜか稲葉も一緒にタクシーに乗ってきた。響は不信そうに稲葉を見た。
「どうして貴方が、一緒に乗るの?私一人で帰れます。」
稲葉は、笑った。
「僕、そんなに信用ないんだ…、結構ショック。」
「いえ、そんなつもりじゃないけど。」
タクシーの後部座席で奇妙な会話が続く。
「僕、なんか疲れてて。一人になりたいなーって。」
「じゃぁ、一人になればいいでしょう!こんなとこでうだうだしてなくて。」
響は口をとんがらせて言った。その顔を見て稲葉は言った。
「君、ちっとも楽しそうじゃなかったね。あそこで。」
「君って言わないでよ!響って言うんだから。」
「響さん見てたら、僕も同じだーって、ね。」
「そりゃ、つまんないわよ、友達付き合いも楽じゃない。貴方も退屈だったの?
「まあね、欲望の塊みたいなヤツばっかりでうんざり。だから、抜け出してきたの。
「あそこを?」
「そう、だから、ついてきたの。」
響は稲葉の顔を見た。稲葉は微笑んだ。
「変わってんのね、あなた。」
「僕、稲葉。」
「変わってんのね、稲葉さん。」
「よく言われるんだ。」
995
二人を乗せたタクシーは住宅街の狭い道路に止まっていた。ヘッドライトを消した運転手は
タバコを吸いながら、先ほど乗せた客が戻るのを待っていた。運転手は、バックミラー越しに
映る公園を時々見ながら、煙を吐く。
響は、もう家の近くだといいタクシーをとめて降りようとした。稲葉は、運転手に1万円を
つかませて言った。
「少し待っててくれるか。」
タクシーのバックミラーには、薄暗い小さな公園のベンチに座る男と女が見えた。
「ありがとう、稲葉さん。」
響はベンチから立ち上がり歩き出そうとする。
「ちょっとまって、送るよ。歩ける?帰れるの?」
「大丈夫よ、平気」
「ずいぶん強がりだね。」
「強い女ですから!」
「やっぱり、僕信用ないんだな。」
「信用も何も、クスッ…、さっき会ったばっかりで勝手におせっかいやいてんじゃないのあなた。」
響は笑いながら言った。その響の笑い声を聞いて稲葉も苦笑した。
「そうだよな…、でも、どうしても君に興味が湧いてね。だからついてきたんだ。」
「なんで?」
「僕を特別扱いしなかったから。」
稲葉は響を両手で抱き寄せ、そのピンクの唇にキスをした。力強い稲葉の腕の中で響はまるで子猫
のようだった。響は一瞬のことで、抵抗もできずにただただ驚いた。響のその瞳には、淡い三日月が
ぼんやりと映っていた。
997
!
今日で最後だった。
何がー?何がって、授業が最後だった。明日から夏休みだった。夏の朝の日差しはかなりきつい。
家を出て目を細めながら、足早にいつもの道を歩く響。響は短大2年生だった。無事就職も決まり、
ホッとして夏期休暇を取れることになった。しかし、卒業研究の心配もあり、あまりグ〜タラにはなれ
なかった。いつもは電車で通う学校へ、今日は内緒で車で行くことにした。もちろん車通学は禁止だ
った。近所の駐車場に止めてある、黒い車に乗り込み、エンジンをかけた。革張りのシートはやさしく
響きを包む。FMを入れて、車を発進させた。
朝の街はあわただしく、響きの周りを駆け抜ける。ふとラジオから聞きなれた人の声がする。
不思議な感じがした。DJが、流暢にアーティストを紹介していた。
「…長期ツアー中…、」そんなことを言ってた。響きは運転しながら、ぼっ〜と考えていた。
不思議な感じがするこの声を…。
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。