ttp://www.weeklypost.com/jp/99082027jp/brief/opin_1.html 時は、今から十年ほどさかのぼる。杉田は指定されたレストランに到着し、
女中の案内で個室の座敷に通された。
そこではすでに4、5人の副会長が酒を飲んで待っていた。
大きなテーブルで、奥側に副会長たちがずらりと並んでいたという。
副会長のひとりが腰を上げていった。
「さあ、そんな座り方をしないで。男と女、交互に座ろうよ」
杉田たちは、席を立ち、副会長たちの間に座った。
料理が運ばれてきてテーブルに並べられた。そして酒も。
「ちゃんと酌をしろ」
杉田は、隣に座ったすでに酒で顔が赤くなった副会長の一人から酌を求められた。
その高圧的に言い回しに杉田は少し頭にきた。感情を抑えながら静かにいった。
「芸能界でもお酒は自分で飲むものです。私たちは、人に勧める商売ではありません」
その副会長は少したじろいだようだったが、怪訝な顔をしていった。
「何で酌しないんだ。だいたいもっと色っぽい格好しなければ駄目だよ」
周りを見ると、杉田の先輩であるYやSはしなを作りお酌をして回っていた。
そのうち、別の副会長がいい出した。
「みんな、足をあげて踊ってくれ」
さすがにラインダンスまでは披露しなかったが、ある芸術部員は、
スカートをちょっとあげたりして踊るふりをした。
「いいよな、この仏教は。酒が飲めるからな」
副会長がいったこの言葉が杉田の頭をついて離れなかった。宴は2時間を超えた。
621 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/21 22:27
1985年の春のことである。
アメリカ大使館の一行が公明党機関紙である聖教新聞社を訪問するという。
そこで、杉田を含む「芸術部」メンバーが迎えることとなった。
ところが、会食の席上で、杉田の耳に入ってきた池田の言葉は、おおよそ宗教とはほど遠いものだった。
「“男は嘘つきだから気をつけろ”とか、“戸田先生(故・学会2代会長)は
お金儲けが下手で、苦労した。私は、26歳のとき戸田先生の下で出版業をやって成功した、
もう二度と金に苦労しないと思った”などという話でした」(杉田)
食事は進み、残るは最後のデザートだけになった。
テーブルには一つの皿が運ばれてきた。その皿にはメロンが載っていた。
「このメロンは天皇陛下と私しか食べられない」
池田はメロンを指して自慢げにいった。池田のメロン好きは有名である。
池田はスプーンでメロンをすくいうまそうな表情で、一口食べた。
そして周りを見回していった。
「みんなに食べさせて上げよう」
本当かどうかはわからないが、貴重なメロンである。
杉田は、そんな貴重なメロンをみんなに味わわせてあげたいと
思っている池田の思いやりに少し感激した。
ところが、池田は、自分の食べかけメロンの皿を横の人間に回した。
そしてその人間は、同じスプーンでメロンをすくい口に運んだ。
そして次へ――。
彼らは喜んで次々と同じスプーンを口に運んだ。
622 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/21 22:33
席には男性幹部や女優たちがいた。
中には、スプーンをしゃぶるようにする中年の幹部もいた。
嫌悪感が背筋を走った。だが、そう感じているのは杉田だけのようだった。
皆、嬉しそうに「美味しい」といっている。
誰もスプーンを持ってきてくれと頼む人はいない。
皿が、だんだんと杉田の席に近づいて来る……。
「無意識に顔を顰めて“食べたくない”という顔をしていたのかも
しれません。隣に座っていた婦人幹部から睨みつけられました」
メロンの皿は、杉田の隣まで来た。メロンの大部分はすでに削り
取られており、どろりと汁が皿にこぼれていた。
そして皿は杉田の前に回ってきた。池田以下、テーブルを囲んでいた
人々の視線を感じた。杉田は覚悟を決めた。
なるべく少なくメロンを削りスプーンに載せた。しかし、力を入れすぎ
たのか、結構の量がスプーンに載っていた。
一瞬目をつぶって、口の中に入れた。なるべく味わわないように飲み込んだ。
623 :
名無しさん@お腹いっぱい。:03/02/21 22:35
池田は自分が食べた後、残りを周囲の幹部に回す習癖を持っている。
忠誠心を試しているともいわれるが、幹部たちはこれを“お下げ渡し”と呼ぶ。
時は、それからしばらく下る。場所は、信濃町の学会本部近くのレストラン。
学会御用達の店の一つである。杉田たちが池田と会食する機会が巡ってきた。
その場には、杉田などの芸術部員のほか、学会顧問弁護士や女子事務員、
それに副会長たちが席を埋めていた。出席者が揃ったところで、池田が顔を見せた。
席についた池田は、テーブルをぐるりと見回し、まずは杉田たちの芸術部員の方を向いていった。
「今日は誰が来ているの。ああ、芸術部員ね、華やかだね、綺麗だね」
そして、体の向きを変えた。
「こちらは? 弁護士? 秘書? ああ、弁護士など人間の最低の境涯ね。
でも、本気で修行すれば、来世はもっといい者に生まれ変わるからね」
また向きを変えた。「こっちは副会長か、バカどもの集まりね、はい、
では食事をしましょう」
池田のそうした態度に対して、愛想笑いをしている側近幹部たち。
杉田はとても笑顔を作ることができなかった。
「もう、学会との関係は断ち切ろうと決断しました。
信仰というのは、個人の問題。信仰を捨てようとは思いませんが、
学会から離れて自分を見直したい、そう考えたのです」