生きる

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1薄弱者
随分と前の話だが
僕は夢も希望も無く、自殺を考えていた。
今思うと、どうしてあんな思考に陥っていたのかが解らない。

ある日、自殺の為に睡眠薬を大量に飲んだ。
同時に、隣にあった幻覚キノコも一緒に食べた。

しばらく経つと、薬物は精神に急激で強烈な作用を起こし始め
最初に、部屋の壁が膨らんだり縮んだりし始めた。
そして、視界がグルグルと回り、部屋中の物が自分自身に襲いかかって来た。
体は動かず、声も出ず、ただひたすらもがき苦しんでいた。

幼い頃のトラウマが頭の中を次々と巡り始め、それが悪魔の様に形を成し
突然、自分自身に襲い掛かって来た。
赤や緑の光をグロテスクに放つ、冷淡で残酷な顔をした悪魔
赤い炎の様なタトゥーの入った、巨大な白い寄生虫が無数に群れた悪魔

悪魔との激烈な苦闘を繰り返す中、僕の精神は極限へと導かれて行った。

あぁ・・・
もうダメだ・・・・


だんだんと、意識が遠退いて行く・・・。

悪魔は消えた。


呼吸は途絶え、視界が暗闇に包まれた。

穏やかで、静かな場所。
暗闇に包まれながらも、安心感に満ちた居心地の良い場所。
とても素敵だった。
2薄弱者:01/08/30 18:35 ID:4fmf0Rxg
僕は、このまま死んで行の?

死・・・

僕はこのまま死ぬの?・・・・・


嫌だ・・・・。
恐い・・・・。
助けて・・・神様・・・・

いつの間にか、僕は完全に意識を失っていた。


美しい音色が聞こえてきた。

ピアノの音?

換気扇の音に混じった美しいピアノの音色だった。

僕は生きていた。

神様・・・ありがとう。

世界は元通りになっていた。

とても平和だった。

時計を見ると、8時間も経っているのに気づいた。
しばらく呆然と座り、そして台所へ行ってみた。
そこにはテレビ番組を見る妹がいた。
「お兄ちゃん、昨日の面白い番組とっといたよ!」

「うん。」
と答え、僕はまた自分の部屋に戻った。
そこで、そのまま眠りに就いた。

翌日、起床して窓を開けると青い空が何とも晴々しかった。
朝食は今までに無かった程、とても美味しかった。
現実の世界は平和その物だった。

今、その時の事をここで反省する。
夢を失い、自殺をしようとした自分。
その拍子に食べてしまった幻覚キノコ。
突然現れ、襲いかかって来た恐い悪魔。
平穏で安心感に満ちた暗闇。
安心感の中で生まれた死への恐怖。
恐怖の中で気を失った自分。
無意識から呼び起こしてくれた妹のピアノ。

神を信じていなかった僕は
死の恐怖に包まれた時、神に祈っていた。
そして、無意識から起こされた時には神に感謝していた。

あれは
強烈に恐ろしく
強烈な素晴らしい
不思議な
二度としたく無い
貴重な体験だった
3優しい名無しさん:01/08/30 18:46 ID:o4U2ebZU
やれやれ・・・
4優しい名無しさん:01/08/30 19:49 ID:4KEIfIpo
ポエム板へ
5優しい名無しさん:01/08/31 04:54 ID:N3ETnbbk
プッ
6優しい名無しさん