昭和大学付属烏山病院(東京都)は、08年に成人のアスペルガー症候群の専門外来を開いた。
この2、3年間は月初めの初診受付日だけで300件以上の電話が殺到する。
加藤進昌院長によると、人によって症状の現れ方はさまざまだ。
穏やかな人もいれば、感情が激しやすい人もいる。有名大学卒や大企業に勤務する人も珍しくない。
夫婦の場合、子どもの誕生など環境の変化をきっかけに問題が顕在化することがある。
ただし加藤院長は、診察を求める人の大半は、実際はアスペルガーではないと指摘する。
うつ病や統合失調症など別の病気だったり、夫婦間にコミュニケーションがないだけだったり。
加藤院長は「アスペルガーの人は初診全体の約2割にとどまる」と話す。
現時点で直接的な治療法はない。烏山病院では、相手の気持ちを考えるコミュニケーションの訓練や、
ストレスや感情のコントロール方法を習得するプログラムなどをデイケアで提供している。
定期的に家族会も開き、悩みを共有できる場も用意する。
何十年も悩み続け、還暦を過ぎて初めて診察に訪れる妻もいる。
加藤院長は「診断がレッテル貼りに終わっては意味がないが、苦手なことを知り無理にやらせない、
など本人や家族の負荷を減らす対処はできる」と話している。(堀内京子)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303270620.html