パニ障持ちだが被災地に行ってみた

去年の暮れに福島と宮城に行ってきた。
主治医のすすめで何処か旅行に行く事は決めていたんだが、
海外とか、国内でも南方になるだろうとは思っていた。
ちなみに自分は生まれも育ちも住まいも東京。
が、何の気の迷いか駅のチラシを見て被災地に行こうと決めた。

携帯から立てたんでID変わってます。
後から考えたらサロンに立てるべきだったかも。

自分は26歳無職。
20歳までは父親が死んだり母親が生死の境を彷徨ったりと色々あったが、
自分自身は至って健康体で人並みの人生は歩めると思っていた。
けれど、20を過ぎた頃にうつ、パニック、拒食なんかを併発して、
大学やバイトはおろか普通に生活することもままならなくなった。

それからは体調の良い時は週3日くらいバイトして、
何とか学士だけは取りたかったから通信制大学で頑張る事に決めた。
母親は働けないので経済的に負担を減らすにも最善だと思った。

そうして数年が経ったが症状はなかなか軽快しなかった。
体重も10キロ以上落ち、内臓にも異常値がみられるようになった。
外出できない、食事が摂れない、眠れない毎日の中で、
次第に自分ばかりが貧乏くじをひいているような、
要は悲劇の主人公に浸って自我を維持するまでに落ちていた。

これ以上蒸し返すと単なる自分語りなるので本題に。
そんな混沌とした毎日のなかであの震災が起こった。

みてるよー

東京の被害は被災地のそれとは比にならない。
けれども、あの日本中の妙な雰囲気や、毎日メディアから流れてくる情報で
心身ともにすっかりまいってしまった。いわゆるエア被災だ。
パニ障も拒食も悪化して夏の間に更に5キロは痩せた。

>7
ありがとう。
グダグダしているかもしれないが、
時間と興味があったら読んでやって下さい。

東京電力、政府、偽善だ売名だ利権だ陰謀だ･･
とにかく全てのニュースや不毛な議論にいらついていた。
けれど、いちばん腹立たしかったのはおそらく自分に対してだった。
東京でも計画停電や品不足が起こるような状況で、
かくいう自分は毎日床に伏せっているだけだった。
発作を起こして母親を困らせることも日常茶飯事だった。

どうせニートみたいなもんだからボランティアにでも･･
とも思ったが、巨額に寄付できるような金はないし、
例えば瓦礫の撤去作業なんかに参加しても
現地で嘔吐して過呼吸で倒れて迷惑をかけるのがオチだと思った。

外出するのは大学の関係と通院のみ。
たまにコンビニで募金箱に1円放り込み達成感に浸っていた。
しかも自分の金ではなく親の金。
ただただ情けなかった。

年末になり、大手旅行代理店は円高にのっかって海外旅行の宣伝。
自分は飛行機もダメなので頑張ってもアジア圏内だと思っていた。
しかし、調べてみるとやはり経費がかさむ。
親も当然の如くあまり良い顔はしなかったので、
せめて国内で暴露療法を楽しんでやろうと半ばヤケになっていた。

お金がネックなので青春18きっぷは決定していた。
鈍行列車しか乗れないので却ってパニ障の訓練になると思った。
宿泊先は駅チカの安価なビジネスホテルで、あとは行き先だった。

関西を候補に挙げていたが、
なぜか東北、しかも被災地が頭を過ぎった。
「今の時期なら被災地観光も迷惑にはならないだろう」
「実際ＪＲも東北応援パスとかやってるし」と案外すんなり決まった。
もちろん震災の爪あとを見てしまうことで
余計に症状を悪化させるのではないかという懸念もあった。

ただ、何となく「行かないという選択肢」がなかった。
単なる自己犠牲的な自己満足だというのもわかっていた。
それでも、今の自分を良い意味でぶっ壊すには、
これが最良の選択だと漠然と信じていた。

行き先は
「いわき」
原発の警戒区域にいちばん近い駅と言われる「広野」
「郡山」「福島」「仙台」「松島海岸」「石巻」
広野駅と同様に原発の警戒区域からほど近い「亘理」「相馬」「原ノ町」
もっと散策したが、ざっと主要な駅を挙げるとこんな感じだった。

持参した主要な薬は、
デパス
ソラナックス
ガスモチン
ナウゼリン
セレコックス
バファリン
トラベルミン
5日間の旅だが1ヶ月分をありったけ詰め込んだ。

もうひとつこわかったのは器質的な病気だった。
もし仮に旅行先で内臓疾患をぶり返したら･･
想像しただけでパニックになれた。

今までの人生含めて辛かっただろうと思う。
もう既に頑張ってるだろうから頑張れとは言わない。
負けるな

続き読むよ。待ってるぞぃー

>>7>>20
読んでくれているひとにはただただありがとう。
せっかくスレ立てできたので旅の終わりまで全部書こうと思う。

親は「被災地」という事で若干ミーハーな反応だった。
そういう態度も少し腹立しかったが、
親のバックアップがあるから･･と思うといちいち文句も言えなかった。
今思うと自分は被災地で精神的に自殺したかったんじゃないかと思う。
実際に亡くなった方がいるのにこういう事を言うのもはばかられるが、
今となってはいちばんしっくりくる比喩だと思っている。

話がそれるが、以前テレビのインタビューで
被災して生き残ったひとが
「こんなつらい毎日ならば、いっそあの時津波で流されて
皆と一緒に死んでしまえば楽だったのに」
と涙ながらに応えているのを思い出していた。

自分は厨房の時に父親が死んでいる。
それは遺伝性があるかもしれないと当時担当医から指摘されていた。
正直父親と同じような末路を歩むならいっそ安楽死か何かでパッと死にたい
そう思うことがよくあったから、何となく他人事のように思えなかった。
それが被災地に行こうと思うきっかけのひとつだったのかもしれない。

心中ばかり書いていてもキリがないので先に進むと、初っ端から失敗した。
パニック障害のせいか地元の在来線に乗ることすらできず、
30分以上ホームのベンチでソラナックスやデパスを
がりがりしながら落ち着くのを待っていた。

青春18きっぷなので早く乗らないと鈍行でチェックインに間に合わない。
そんな焦りで余計に呼吸の乱れと動機がひどくなった。

常磐線の普通でいわきまで行くつもりだったが、
地元を出るのが遅れて結局上野から特急でないと間に合わなくなった。
余計な交通費が必要になったことに少々落胆したが、
自分にとっていちばん恐ろしいのは「特急に乗ること」だった。

当初の予定では普通列車でまったりと、
仮に途中で発作が起これば降りればいいと
そう思っていたのだが、特急でしかもほぼ最終に近い線だったので
「逃げ場がない」そう思った。
しかし、地元で服用した薬が効いているのと、
常磐線特急下り方面はほとんどひとが乗っていなかったので
意外と安心して乗ることができた。

夜の10時過ぎ、ようやくいわき市内のホテルに到着した。
先入観だろうが、なんとなく東京のひとたちより駅員さんもホテルマンも
優しいというかやわらかい感じがしてホッとした。

素泊まりだったので近くの、と言っても何もないところなので
何分か歩いてコンビニにカロリーメイトやチョコなんかを買いに行った。
メディアでは放射能がどうだと騒がれている割には
コンビニのおにいちゃんは若くて爽やかだし、
深夜にもかかわらず客もそれなりにいて、変な話ちょっと拍子抜けした。

星も空気も綺麗だった。
後で調べたら確かに線量は東京と比べるとかなり高い地域だった。
何となく切なくなった。

少し開放的な気分になって楽しめるようになってきた。
やはり薬は手放せなかったが、「明日が楽しみだな」と思う自分がいた。
しかし、やはり穏やかなことばかりではなかった。
コンビニから帰り、少し部屋でくつろいでいる早々のうちに地震がきた。

体感震度はこわかった。
けれどもテレビでは震度1とかそんな程度だった。
ひとり旅なので「こわい」と訴える相手もいなく、急に孤独感に襲われた。

テレビ、パソコン、携帯、照明とありとあらゆるものを使って
意識を他に飛ばそうとした。しかし、疲れと薬で1日目は比較的楽に眠れた。

2日目は同じく常磐線で、原発の警戒区域ぎりぎりの駅
「広野」に向かう事にした。野次馬根性なのか、理由はよくわからない。
ちなみにいわきは地方都市といった感じだったが
やはり閑散とした雰囲気は感じた。
それでも中高生が笑いながら楽しげに歩いているのを見かけると、
真実だとか難しい理屈が何だかよくわからなくなってきた。

原発事故後、広野は事実上の終着駅。
近くには有名なＪヴィレッジがある。
商店街はほぼシャッターを閉め、近くには学校があるのに子供の姿はない。
ひとは全くいない訳ではないが、誰かがいると目立つくらい。
太平洋側に向かった。家はほとんど流されたような形跡だった。

ボランティアや行政の手が入ったおかげか、道は舗装されていた。
しかし、ところどころ生活用品が泥にまみれて埋まっている。
家もほとんどなくひともいない。お墓が寂しく立っていた。
とうとう発作が出始めて、デパスをなめた。
自業自得なのはわかっていたが、それでいいと思った。

太平洋が一望できる所まで来た。
よく晴れた日だったのでとても綺麗だった。生きているという感じがした。
しかし、この海に手を入れることも足をひたすこともできない
そう思うと何とも言えない気分になった。北側に火力発電所が見えた。
潮風が心地よかったが、おそらく世界でいちばん嫌われる潮風かもしれない。
おかしな話だが海が不憫に感じられた。

崩れた防波堤の下に分厚い本を見つけた。
広野の行政が民間企業に要請した何かの設計図らしい。
津波の被害で流されたふやけてしまったようだ。

ストレスか食あたりか、慣れない寒さで冷えたのか
その後腹痛と軽い下痢に悩まされてしまった。
東北の車両には普通列車でも必ずトイレが設置されているが、
腹痛が恐怖に変わり発作に移行してしまいそうなのを
何とか食い止めるのに必死で、トイレの有無はあまり有難くなかった。

2日目はその後仙台のホテルに行く予定だった。
経由としては、いわき→郡山→福島→仙台。
腹痛で発作が起こりやすくなってしまったせいで、
福島から仙台に行く貴重な普通列車を途中で降りるはめになってしまった。
1時間以上知らない駅の待合室で落ち着くのを待った。
親にも電話をかけた。いい歳して何やってんだろうと素直に悲しかった。

何とか仙台に到着すると粉雪が舞っていた。
東京だったら傘を差すひともいるが、現地のひとはそのままだった。
ホテルに着くと昔ながらのビジネスホテルなので
「お疲れ様でございます」とかなり丁重にもてなされた･･気がした。
心の中では「仕事じゃなくてリハビリみたいなもんなんだけどな」と
卑屈になっている自分がいたが、とにかく早く部屋で落ち着きたかった。

3日目は石巻に行く事に決めていた。
が、前日の腹痛がひびいてなかなか外出に踏み切れなかった。
昼の12時になり、いいともが始まった。
いつもは何気なく流しているだけなのに、その時はとても安堵した。

しかし、腹痛と吐き気と過呼吸は突然容赦なくおそってきた。
朝から食べた物といえばカロリーメイト2本のみ。
何が原因かもわからず、とりあえず薬を飲んだ。
自宅なら母親に水や濡れタオルを頼むところだが、
もちろん誰もいないのでぬるいウーロン茶で耐えた。
親や誰かがいないと水すら調達できない事を身をもって痛感し悲観した。
ベッドにもたれ「フヒューフヒュー」としている自分はさぞ滑稽だろうなと
そう思って気を紛らわすしかなかった。

これは期待
いつ頃行ったの？最近？

期待支援
旅行疲れしっかりとれるようにね

>>45
こんな駄文でも期待されるとありがたい。
特定とか大袈裟だけど臆病な奴だから去年の12月下旬とだけ。

>>46
ありがとう。
実は東京に戻ってからすぐ風邪をひいた。
けれど今はこうして２ちゃんできるよ。

いいともでごまかしながらフヒフヒ言う事30分くらいか。
何となく発作も落ち着いてきたので･･親に電話をかけた。
自分は翌日に郡山のホテルを予約していたので、
どうしても当日中に石巻に行きたかったが、既に13時を過ぎていた。
母親は無理せずそのままホテルで寝ていろと強めに言ってきたが、
適当にごまかして電話を切った。

仙台から石巻に行くまでには仙石線を使うが、
松島海岸から矢本という駅までは震災の影響で路線が復旧しておらず
代行の輸送バスで移動する。1時間に1本程度なので、
せっかく地方に観光旅行に来たのにこれが意外と1分1秒の争いだった。
混んだ電車は嫌いだが山手線の有難さを噛み締めた瞬間だった。

自分が利用していたホテルは青葉区内だが仙台駅からは少し離れていた。
ので地下鉄に乗る必要があったがこれが意外な難関だった。
雰囲気が東京の地下鉄とよく似ているので不安を煽られた。
本数は多いが、何本も見送っていては石巻に着けなくなるか、
もしくは着いても仙台に戻ってこられなくなる。

とりあえず冷たい水が欲しかった。が、ホーム内に自販機がなく、
買うとしたらいったん改札を出なくてはならなかった。
1〜2分間隔の駅を2駅乗る程度なので、ソラナックスを唾で飲んだり
デパスをなめたりして落ち着くのを待った。
音楽を聴きながらホーム内のベンチでじっとしていた。

ようやくおさまったので仙石線へ向かった。
薬も効いてきたので松島海岸まではすんなり乗車できた。
松島は寒かったけれど凛として美しい景観だった。
そこに子連れの家族がいた。子どもはまだ幼稚園かそこら。
その子は母親に「ねぇ、あそこまで津波きたのー？」と無邪気に聞いた。
母親は特に何かを教えている様子ではなかった。

改札を抜けるとすぐに代行バスを案内してくれるひとがいた。
代行バスは東京のノンステップバスやクリーンバスのような車種と違い、
修学旅行や遠足に使われるような高速用の巨大なバスだった。
電車の代行なので当然ではあるが、正直面食らってしまった。
自分は車酔いもするから、あの手のバスは見ただけで滅入ってしまからだ。

1時間ほどバスに乗る必要がある事はわかっていたので、
トラベルミンを飲んでおいた。何となく酔う事はなさそうだったので、
とりあえず初めての代行バスを謳歌してやるぐらいの気合で臨んだ。
しかし、車窓に飛び込んでくる景観は時折凄惨なものだった。

斜め前の席には高校生らしき学生がいた。
耳にイヤホンをつけて音楽か何かを聴きながら何もない荒地を見ていた。
見た感じ首都圏のダルそうな学生と何ら変わりなかったが、
そのとき自分はデジャヴを味わっていた。

自分が高校生の頃に母親が倒れた。
ひとりっこなので頼る兄弟もおらず、親戚はいろいろあって仲が悪かった。
電車やバスや自転車を駆使して自宅と高校と病院を往復するのは厳しかった。
ある時、病院でリネンを回収して夜の10時頃バスに乗ったことがあった。
制服姿の学生が病院前のバス停から荷物を抱えて乗り込んできたのを
おばちゃんは見逃してはいなかったのかもしれない。

バスは満席だった。
急ブレーキがかかって1メートル程よろけた自分を見て、
おばちゃんは「座りなさい」と自分の席を譲ろうとした。
自分は「あ、だいじょうぶでｓ」みたいな状態だったが、
おばちゃんは「私は次で降りるからいいから座んなさい」と言って
半ば強引に自分を座らせた。
それまで外で泣く事は皆無だったが、初めてバスの中でひとり
すすり泣いた。名も知らないおばちゃんの強引さが頼もしく優しく、
そして血を分けた人間ほど誰よりも冷たい事が悲しかったからだ。

前置きが過ぎたが何がデジャヴかというと、
その学生が当時の自分の姿と重なったのだ。
パッと見た感じ相当なストレスを抱え込んでいるようには見えず、
むしろ「しっかりしている」「状況に慣れている」ように見える。
しかし津波で何もかも流された跡地を走るバスに毎日乗って登下校し、
かつ放射能に関する情報に翻弄され苦しんでいるに違いない。
いろいろ考えていたらとてもいじらしく儚くおぼろげで･･･
などと文学的な世界にでも置き換えないと頭が混乱しそうだった。
実際は美辞麗句で済まされる問題ではない。
現実はずっと残酷で生々しい。

隣におばあさんが乗ってきた。
ちょっと機会ができて話を聞くことができた。
太平洋側から津波が一気に押し寄せ、そのひとは何とか逃げ出したそうだ。
1階は浸水。友達の娘さんが亡くなったという。
友達に会いに行った際には憔悴しきっていたらしい。
かくいうおばあさんもかなりまいった様子で、太平洋側の荒地を見ていた。
自分にとっては単なる荒地だが、現地のひとにとってはもっと違うはずだ。
田んぼは海水で土壌がやられ、人の手も入らず雑草だらけだという。
自分は雑草をススキと勘違いしていた。全く馬鹿な野郎だと情けなくなった。

途中ひしゃげた線路やガードレール、無人でボロボロの戸建などが見えた。
自分の暴露療法に被災地を利用していいのかと自問自答もした。
石巻まで酔い止めはよく作用してくれた。

ためしてガッテンで対不安のための脳トレについてやってるど。
後でサイトでもチェックして見てちゃぶだい

パニック症候群とはあんまり関係ないかな？

>>62
ありがとう、さっそくググった。
自分の症例とよく似ているから参考になったよ。
主治医からは具体的な病名は言われていないから、
便宜上パニック障害を主な病気と思っている。

石巻に着くと既に真っ暗だった。
驚いたのは学生が多かったこと。
NEWDAYSで肉まんを買って急いで電車に乗り込んでた。
ひとも少なくはなかったが商店街は震災の名残がちらほら感じられた。

写真とか撮って来ました？
もし可能ならうｐしてください。

石巻駅は石ノ森章太郎の萬画館やマンガロードなんかで有名だから
駅構内や駅前、商店街にはいたるところにモニュメントやイラストがあった。
自分は26だけど今の萌え系よりは60〜80年代の漫画やアニメが好きだから
不安とかは吹っ飛んで夢中で散策していた。

>>65
撮りました。
ロダを使ったことがないので少々手間取るかもしれませんが、
何処かリクエストがあれば。

途中、仮設商店街があった。プレハブで店を運営していた。
夜で暗かったからというのもあるが、何となく普通の光景にも見えた。
道路の補修をしている先に行くと、旧北上川に着いた。
駅まで浸水させた川とは思えないほどに穏やかで静かだった。

寒さがこたえてきたので戻ることにした。
商店街の地図を見つけたが、ほとんどマジックで塗りつぶされていた。
著名な漫画家さんたちが寄贈したらしいイラストの展示をみつけた。
津波の影響か土砂にさらされた跡があり、イラストを囲うプラ板は一部大破していたが、
盗むようなひともいないとみて放置されているような有様だった。

こんなにも素晴らしい原画やイラストが砂埃でまみれたまま、
誰にも見られることなく寒空にさらされていると思うと悲しかった。
人命に置き換えて考えたら正直ぞっとした。

何となく釈然としないまま駅に戻った。
時間がぎりぎりでNEWDAYSは1時間に1本の電車を逃すまいと
学生なんかで行列だった。あまり焦ると発作が出そうだったので
楽しいことだけ思い出すようにして電車のドアのボタンを押した。
東北の電車はエレベーターみたいなボタンを押して
自分で開閉するのも、今更ながらカルチャーショックで面白かった。

電車の中で中高生が受験の話をしていた。
口調も「おい、お前どこ受けんだよｗ」みたいな日常の光景だった。
“被災地”って何だろうと考えされられる一幕だった。
悲惨な光景ばかり切り取って他の地域に恐怖心や偏見を植え付けるような、
そんなマスコミなんかのやり方を気持ち悪く感じた。

自分も元パニ障だから、発作の苦しさ分かるよ。
すごい頑張ったんだね。
うちの実家、広野の隣でよく行ってたから
この話読んだら切なくなってきた。
でも行って見てくれてありがとう。

松島海岸に着くと粉雪が舞っていた。
ホームにお米が落ちていると思ったら雪だった。
試しに足でぐりぐりやってみたが何故かとけない。
東京はベチャ雪しか降らないので雪の概念を覆された。

>>73
もし地元のひとが見ていて気分を害したらどうしようと考えていたけれど、
まさかお礼の言葉をもらえるなんて思ってもみなかった。
こちらこそ読んでくれてありがとう。

酔い止めと抗不安薬の効果は絶大で少し朦朧としていた。
大量の薬に依存するのはよくないが、そうせざるを得なかった。
仙台に戻ると表参道みたいに電飾が施されていた。
少しホームシックも手伝ってか何かと東京に例える事が増えていた。
巨大なツリーもあってテンションも上がったが、疲れてホテルに直行した。

電飾の写真を撮って親に送った。
少し休んでから勾当台公園の方に行こうと思っていたが、
ベッドで横になっていたらすぐに眠ってしまった。
ココアやチョコレートしか口にしていなかったので、
そろそろ胃痛もひどくなってきていた。

おもむろにテレビに目をやるとまた地震速報が出ていた。
福島でもそうだったが地震が起こるとＬ字はすぐには消えない。
東京では数秒出す程度だが、やはり地域の危機感の差のようなものを感じた。

4日目、仙台での2泊を終え昼頃出発した。次の行き先は相馬方面にした。
常磐線は東京方面から仙台まで続いているが、
原発の影響で広野〜原ノ町区間は運行していない。
今度はいわきから広野ではなく、仙台から原ノ町に向かう事にした。
原ノ町も広野と同様に事実上の終着駅であるわけだ。

仙台でお土産を買って亘理行きの常磐線に乗った。
亘理から相馬までは再び代行バスで移動する。
相馬から原ノ町までは電車の運行が再開していた。
あまりに面倒なので原発を憎たらしく感じた。

石巻に行くまでの過程で代行バスには慣れたつもりだった。
しかし原発被害は津波被害と同等に、
もしかしたらそれ以上に周囲をとんでもない状態に陥らせていた。
津波で流された家々や公共物も、
そもそも原発の影響で立ち入れずひとの手が入らないので放置されている。

何もない土地に一軒だけぐでぐでの戸建を発見した時に
嘔吐中枢を刺激された。急いで、しかし平然を装ってカーテンを閉めた。
広い車内の死角になっているのでとにかく楽な姿勢を探した。
音楽のボリュームを上げ、ベルトを緩め、腹をつねり、手のツボを引っ掻いた。
何も食べていないのにまるでエイリアンでも吐き出すかのようなつらさを味わった。

動機と呼吸の乱れと吐き気と眩暈が全て同時にやってきた。
しかしそれは漠然とした不安ではなくて、その景観に対しての恐怖だった。
自分は何ておそろしい所にいるんだろうとさえ思った。
しかし、自分より若そうなひとも普通に乗っていた。
誰もカーテンを閉めるひともいなかった。

相馬には新地発電所という火力発電所があるらしい。
相馬バイパスを走っている時に立ち入り禁止の検問のような所を過ぎた。
発作がおさまった安心感もあってか自分は泣いた。
どうして日本にこんな場所があるのかということへの憤りや、
自分の無知さや無力さへの情けなさが一気に噴き出たようだった。
何が善いとか何が悪いとかの問題ではなく、ただただ悲しかった。

俺もパニック障害だ。
遠路を旅するお前の手記は勇気付けられるよ。
俺は近郊しか行動しないし、知らない土地を動く様は参考にもなるよ。

>>85
推敲した文章をコピペしているわけでもないし、
調子が良い時に思い出しながら書いて投稿してる。
だから誤字脱字も多いし説明不足な点もある。
それでも誰かに訴えかけられる何かがあるというのはとても嬉しい。
読んでくれてありがとう。

相馬はバスと電車の乗り換えで下車するのみだった。
原ノ町は広野よりは原発から離れた駅のようだが、
原発の北側に位置しているので南からの風で放射能が運ばれてくるらしい。
専門的なことはよくわからないが、街の様子はやはり閑散としていた。

次の電車が来るまで街を散策することにした。
やはりどの駅でも中高生が多かった。次いで高齢者。子どもの姿はなかった。
建物はたくさんあるのだが、スーパーは臨時休業、
遠くにある病院は開いているようには見えない寂れぶりだった。
田舎だからか、それとも･･現地のひとに聞く度胸はなかった。

駅に近いコンビニに行ってみた。
つい最近電車が復旧したとは思えない雰囲気だった。
若者が立ち読みをしてたり、店長らしきひとがバイトに指示してたり、
お客の回転も意外に早く、とりあえず普通だった。
むしろ自分は何を期待していたんだろうと思うと恥ずかしくなった。

東北に入ってから必ずといっていいほどに駅前にはアイスの自販機があった。
だいたいその周辺で学生たちが話をしながら電車を待っている。
何処もそんな感じだった。「放射能についてどう思ってるんだろう」
危険な地域と囁かれている場所ほど学生がいることに違和感を覚えた。
でも友達と楽しそうにじゃれている学生たちを見ていると、
今すぐ避難しろとも、かと言って絶対に故郷を離れるなとも言えない。
自分には何の権限もないが、よくわからないジレンマにおそわれた。

テレビやネットで得ていた情報との乖離が強くなってきていた。
その後は郡山に向かわなければならなかったので、
常磐線の旅も早々に引き上げた。石巻と同様やはり釈然としたままだった。

岩沼という駅で東北本線に乗り換えるために待合室で待っていた。
そろそろ足が限界で、階段を昇るのもつらかった。
ある男子学生が待合室に入ってきた。
が、ドアを開けきってしまい勢いで戻らなくなってしまっていた。
自分はドアにいちばん近い椅子に座っていたが、
外を走る真っ黒い蒸気機関車のような貨物列車に気を取られていたのと、
つい習慣で自動的に閉まるだろうと、完全に無視した格好になっていた。
すると女子学生が少し不機嫌な様子でドアを閉めにきた。
男子学生は分が悪そうにしていた。
そんなどうでもいい感じの一幕が意外に印象によく残る。

自分もこの春行ってみようと思ってます
参考になります
ありがとう

郡山までの電車は疲れと酔い止め×抗不安薬の効果で爆睡だった。
駅員さんに終点ですよと起こされるほどだった。
郡山は内陸の方なのでとても寒く、イルミネーションを楽しむ余裕はなかった。
水商売風の女性や金持ちそうな中年男性がちらほらいた気がした。
第一印象としては歌舞伎町ら辺を小さくしたような雰囲気の街だった。

>>93
放射能汚染マップなんかを見ると確かに関東と比べると線量は高いです。
速報でも流れていますが地震もまだ頻繁に起こります。
でもとても良い所でした。友人らは「何で被災地？」という反応ですが、
自分もまた行こうと思っています。

ホテルに着いたらすぐにコンビニに行こうと思っていた。
が、家政婦のミタが始まったのでつい観てしまった。
このドラマは母親が観ていて自分は観ていなかったが、
このドラマの脚本家がインタビューに応えている
テレビ番組を仙台のホテルで観たのを思い出したせいで観てしまった。

彼はこんな感じで応えていた。
「震災が起こって「頑張れ」とか「応援してるよ」とか
説教くさい言葉が増えたけれど、結局自分より幸せな人間に言われても
説得力がない。こういう場合は自分よりも徹底的に不幸な人間から
諭されたほうがいいんです。それがミタさんです(ry」

これを聞いて、もしかしたら自分は被災地に赴くことで
いわば「自分よりも不幸な人間」から何かを得たかったのだろうかと思った。
不幸自慢になっても仕方がないが、自分も決して順調な人生ではない。
それでも故郷を離れなくてはならなくなったり、
突然何人もの肉親や友人を悲惨なかたちで失ったりという事はない。
しかしひとたび発作が起こると
震災なんてどうでもいいと思ってしまうのも事実だった。
結局は自分がいちばん大事なんだと思った。やはり情けなさが残った。

ドラマが終わったのでコンビニに出かけた。
何処のコンビニにも必ず置いてあった酪王カフェオレとハイ・カフェオレ。
飲みたかったが胃が荒れていたのでコーヒーは避けた。
同時に「福島の牛乳は売れるのだろうか」と心配する自分にムカついた。

もしかしたら地元では有名なのかもしれないが、
郡山駅近くのファミマには一匹の野良猫が常駐していた。
店員さんもわかっているようで、手すきな時には猫を見ていた。
自分は買っておいたクッキーでナンナン鳴いている猫をつってみた。
猫パンチをされたので更に近付いてみたら、
雑誌の入ったビニール袋の尖った部分で体を掻いてきた。

「お前、一緒に東京にくるか？」
とか適当な事を言いながらからかっていると
防寒のためか建物の隙間に入り込んでしまった。
そこには小さい皿が置いてあった。誰かが餌を与えているらしい。
「お前の住む所はここなんだね」
そうしみじみ浸っていると更に奥へと引っ込んでしまった。

年末なので忘年会か何かで酒に酔った集団が多かった。
新宿のゴールデン街や何処かの横丁みたいな雰囲気の
場末のバーや風俗店が味を出している場所だった。

ホテルに戻ってからコンビニで買ったとろろ蕎麦を少しだけ食べ、
食後すぐに動くと吐き気につながるので、休んでから風呂に入った。
4日目にして疲労困憊、ろくに食事も摂っていないので浴槽でよろけた。
出てからすぐベッドで横になり髪も乾かさずに寝てしまった。

生乾きの髪の気持ち悪さと空調の感じで目が覚めた。
時間は夜の3時頃で何となく背中が痛い気がした。
ゲップをするととろろ蕎麦の味がした。
急に胃に違和感を覚え、また猛烈な吐き気と動悸がおそってきた。
この時が道中でいちばんつらかった。フロントに助けを求めようかとすら思った。

度重なる芸人さんのダウンで有名だが、自分はすい臓に異常値が出やすい。
ストレス性のものなので器質的な異常はないのだが、
もし今度こそ本当に急性すい炎にでもなってしまったらどうしよう
そう思うとすぐにでも東京に飛んで帰りたくなった。
汚い話だが、動くことができないのでウーロン茶で口をゆすぎコップに出して
口内をすっきりさせた後に薬を飲んだ。とにかく何とか楽になりたかった。

わざわざ東京から被災地にきてストレス性疾患で救急車で運ばれる。
これだけは避けたかった。
テレビの通販番組であんなに救われたのは初めてだった。
パソコンでアニメもつけた。音楽は聴けなかった。お腹はかろうじてさすれた。
今にも嘔吐しそうな状態だったが、食中毒なはずもなく吐くのは嫌だった。
「もう二度とひとりでこんな事するもんか」心からそう思った。

背痛と腹痛と吐き気と動悸、呼吸の乱れと戦うこと2時間あまり、
夜明けとともにようやく動けるようになった。
乾かさずに寝ていたせいで髪はぼさぼさ。
3時頃から一睡もしていないのでもうほぼ限界だった。

しかもまた地震が起こった。
これもまた道中でいちばんよく揺れた気がした。
よりによっていちばんひどい発作の時に体感震度3くらいの地震だなんて･･
だがさいわい発作のピークとはずれていたので何とかもちこたえたが、
慣れない土地で地震にあうと緊迫感を煽られる。

パニック発作と地震を同時に経験して、
その時は文章では表現できない様態で混乱していた。
いろんな感情があふれていたが、今となってはあまり思い出せない。
要はたいしたことなかったんだと思う。

読んでるよー。

被災地のすぐ近くに住んでいる。
ボランティアに行った。
なんというか、景色を見ても実感がなかった。
でもボランティアで瓦礫片付けをしてて、泥だらけのアルバムが出てきたり、プレステのソフトやテレビや着物や布団が出てきて、
ああ、ここに普通に住んでた人がいて、生活がめちゃくちゃになったんだなと思った瞬間、泣けてきた。

>>110
支援ありがとう。
書ききったら写真もアップしてみようと思う。

>>111
尊敬する。自分は目にするのが精一杯だった。
しかも既にひとの手が入ってだいぶ片付けられた跡なのに。
自分だけじゃなく誰かもそういう思いをこの板で吐き出してくれると嬉しい。

郡山の朝は霧が濃く、すぐ近くのビルのてっぺんも見えにくかった。
近くにネカフェがあったので利用してみることにした。
小型のノートPCを持参していたが、処理速度も遅いしやや使いづらいので、
最後に何か有力な観光情報でも得られないかと思ってネカフェにした。

昨晩の発作で気持ち悪さと体力低下が残っていたので、
ドリンクバーでリアルゴールドを飲んだ。
とにかく栄養になるものが必要だと思ったが食べ物は受け付けなかった。
ネットでは特に有益な情報も得られなかったが、
若い店員さんが東北なまりを隠しきれていなかったのが心地よかった。

東京出身者が東北訛りをばかにしているという意味ではない。
ただ東北に着いても若いひとはだいたい共通語で、
特に接客業は完全に東京と変わらなかったのでつまらなかった。
自分は東京でも江戸訛りがあって、怒ったり泣いたりすると
寅さんみたいな口調になるが、むしろそれを誇りに思っている。
だから無理に方言を封印している雰囲気を痛々しく感じる時がある。

話がそれたが、郡山を発つ時間がきた。
最後にコンビニを覗いたらやはり酪王カフェオレとハイ・カフェがあった。
お土産に買っていこうかと思ったが、
暖房の効いた電車に乗る時間が長いので念のため諦めることにした。

郡山駅の土産物屋を覗いた。
調子が良くなってきたのでお菓子の試食をしてみた。
他のひとと同じように普通に食べ普通に美味しいと感じてみたかった。
けれど、暖房の感じと口の中の甘さで急に吐き気がした。
「だいじょうぶだいじょうぶ」と思って普通に買い物を続けようとしたが、
眩暈に移行したので断念して店を後にし、外の空気にあたる事にした。

薬をのみのみ外のベンチで休んでいた。
郡山と水戸をつなぐ水郡線で東京に帰ろうと考えていたが、
直通の電車が発車するまではまだ時間があった。
またネカフェか何処かで時間を潰すか、
ヨドバシカメラで新しいイヤホンを買おうかとかいろいろ考えたが、
調子が整ってきたので再び土産物屋に行く事にした。

フードコートがあったので何か飲みながら休もうと思った。
喜多方らーめんがとても美味しそうだったが、
頼んでもほとんど食べられないし、直後に電車に乗ると思うと
どうしても食欲につながらなかった。
隣では学生がみんなでらーめんを食べていた。
自分も中学生や高校生の頃は繁華街のファーストフードで
友達と雑談しながらよく食べていたのを思い出した。
冗談抜きに「どうしてこうなった」という思いだった。

郡山でのお土産は何にしようと思って親に電話をかけたが、
何かの拍子に口論になってしまった。
「だからあんたの事いつも心配してやってんでしょーが！」
「いっつもつらそうにして、こっちの身がもたないんだよ！」
みたいな事を言われたのが火に油を注いだ。
「あんたが入院した時に同じような事言った覚えがあるか！」
「恩着せがましく悲劇のヒロイン気取ってんじゃねーぞ、ばか！」
みたいな事を言い返すと親は何かごにょごにょしていた。

親が親として本当に心配してくれているのも、
自分がひどい事を言っているのもわかっていた。
ただお土産は何がいいかと聞きたかっただけなのに喧嘩になってしまった。
それでも今の自分には「○○してあげてる」という態度は酷だった。
親も昔からヒステリックな面があるので、そういう性格は理解しているつもりだった。
ただ自分が精神的に病み始めてからは、親のヒステリーを受容できなくなった。

いらいらして電話を切った。
口論だけで出発の時間を潰すには充分だった。
水郡線に乗って、後は水戸を目指すだけのはずだった。

珍しい車両や最新式っぽい車内トイレををみつけたりして、
出だしは何となく好調だった。
ただ疲れていたので座りたいなと思ったが、空席がなかったので
ドアにもたれて外を見ていた。さっきの親との口論を思い出していた。

いくら何でもひどすぎる
元気でいたくったっていられないんだ
あんたの気の持ちようだなんて
マインドコントロールで済むなら薬なんて飲まない
そもそも何でこんな目に合わないといけないんだ
みんなと同じように食べたい、遊びたい、働きたい
自分は何も悪くない
みんな何もわかってくれない
と、碇シンジ並みの厨二病的な自問自答が始まった。

被害妄想と周囲の否定による自己の正当化で頭がいっぱいになった。
と同時に溺れるような感覚におそわれて呼吸が苦しくなった。
息ができない、吐きそうだ、倒れる、そう思って周囲を見ると
ひどく孤独で自分が自分でないような感覚だった。
要は発作なのでデパスをなめたり口を湿らせたりしたが、効果はすぐに現れなかった。

親をうらんでやると思った。
近くにトイレがあったがトイレでは意味がなかった。
アナウンスが入ったので次の駅で降りようと決めた。
よろよろしながらドアの前に立ち、
さも次の駅が目的地のひとであるかのような振りをしていた。
ばかばかしいプライドだと思った。

しかしなかなかホームが見えてこない。
駅と駅の間隔が長いことをその時に悟った。
ますます発作はひどくなった。
お願いだからここから出してくれ！死にたくない！
とリアルに叫べそうなくらいに錯乱していた。

ようやく電車が減速に入った。
扉の開閉はボタンが光るとできるようになる。
絶対にこの機会を逃すまいと、光る前から連打していた。
頭の中は開け開け開け開け開けの連続で、
もう何か大袈裟なアニメみたいな状態だった。

ようやく外に出られた。駅員さんの笑顔にほっとした。
しかし降りた駅はターミナル駅でもちょっと開発された所でもなく
ドがつく田舎だった。切符は一般家屋での委託販売。
となりのトトロみたいな田舎だった。

あるものは駅前に自販機がひとつ。改札はない無人駅。
切符を確認した駅員は電車に乗っていた車掌だったのでもういない。
郡山に戻ろうと思ったが発作の名残がひどく、せっかくの上り列車も逃してしまった。
次の電車がくるのは1時間30分後。大袈裟だがもう憔悴しきっていた。

親に再び電話をかけた。何もない誰もいない駅で降りてしまったと言った。
まだ腹が立っていたので「歩いて郡山に戻る」と、
どう考えても無茶な事を言った。単なる構ってちゃんだった。
親は「悪かった！お願いだからそこを動かないで、次の電車を待って！」と
かなり慌てた様子だった。それを聞いて「いい気味だ」と自分は思っていた。
その時の自分は本当に単なる駄々っ子で思考回路が完全にぶっ飛んでいた。
もう自分みたいなダメ人間はどうにかなってしまえと思った。

宣言通り郡山方面に向かってやろうと試みたが、
道を間違えて元きた場所に戻ってしまった。
携帯のGPS機能を使って移動していたのだが、
目印になるものがないのであまり役に立たなかった。

だんだん暗くなってきたので結局もとの駅に戻った。
でも1時間以上外のベンチで待つよりは、動いている方が却って良かった。
夕方なので下校する中学生や犬の散歩なんかをしているひととすれ違った。
大きな道路に出れば車も通っていて、帰宅ラッシュみたいな状態になっていた。

ようやく水戸行きの列車に乗れた。車内では寝ていたと思う。
意外にすんなり水戸に着いた。ひとが多くて驚いた。

水戸のスーパーを覗いた。
いわきのスーパーには安い福島産の野菜が置いてあったが、
こちらは海外産が目立った気がした。と同時に帰ってきたんだなと思った。
ひとも歩くのは早いし、よく喋るし、正直「うるさい」と思った。

水戸から常磐線で上野方面に向かった。
山手線に乗り換えて地元の在来線に向かった。
ひとが多い電車は嫌でたまらないが、
自分はここを離れて生活する事はできないと思った。

これで終わります。
レス頂いた方や読んで頂いた方には感謝致します。
なかには不愉快にさせる文章や表現があったと思います。
それでも懐深く見て頂いた方々のおかげで最後まで書く事ができました。
あれから劇的に症状が良くなったという事はさすがにありませんが、
ひとつ自信につながる経験ができたと感じています。
思うところはいろいろありますが、きりがないのでこの辺りで。

質問などありましたらお願いします。
どうもありがとうございました。

最後に写真をアップさせて下さい。
広野から太平洋を撮りました。向こうに見えるのは広野の火力発電所です。
DLキーを設定しています。「jouban」と入れて下さい。

http://uproda11.2ch-library.com/11330636.jpg.shtml

写真ありがとう。
まとめて読みますね。

写真はパスは特に要らないと思うよ。
http://www.dotup.org/
こことか使うと良いかも。

>>139
乙です
あれよあれよと読まされてしまいましたw
心情表現が素晴らしく、ひきこまれました。ところどころハラハラしましたが無事に帰れたようで何よりです。お疲れ様。
私も気分が良くなったら伺いたいものです

貴重な体験読ませてくれてありがとう。
書くのも大変じゃなかったかな。
やっぱり、報道でしるのと自分で実際見るのは違うんだね。
読みやすかったよ！

7 名前:ノーブランドさん [sage] :2012/01/12(木) 20:45:07.51 0
婆ちゃん子全角といい勝負だよね。
何回祖母殺してなんかいお下がりもらう話しするんだろ
メンヘラ板にでも着物スレたてればいいのに…たてられないよねー

【着物】和服を語るスレ　8　【浴衣・甚平】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/fashion/1326362682/

頑張ってきたお前に乾杯。

乙です。>>73 です。
広野の火力の煙突懐かしいー うpありがとう。
パニ障で遠出ってスゴいことやり遂げたじゃん！
少しでも良くなるよう祈ってるよ。

ビップラぽいスレだね

お疲れさま。文章にひきこまれて一気に読んだよ。
自分もPDなのでこの旅がどれほどの事か身につまされる思い。

ひとつ気になったのが、この旅と無縁な事で申し訳ないのだけど
パニック障害にカフェイン摂取は良くないかと。
発作誘発になるから……。

旅の途中でチョコ、ココア、カフェオレやリアルゴールド飲んでるけど
どれもカフェイン入ってるから控えたほうがいいかも。

>>146
ビップラ？
>>147
正に俺もそれを書こうかとw

俺も十年以上前にパニックになって、その時は時代が時代で内科行っても詐病扱い受けるし、ネット情報なんてのも少なかったし、俺自身も若くて情報を収集する方法を知らなかった
そのせいでカフェインの害など知らず至る所で発作起きまくりで苦労したよ

文章うまいな、失礼かもしれないけど面白く読んだ
石巻でも浜通りでもない仙台の人間だけど
あんたの暴露療法に役立てたのは良いことだと思う

テレビが大変な場面ばかり流している土地でも
人々が日常を送っていると言うことをきちんと見てきてくれたようだし、
そう見える生活をこっちの人間が送れてることも再確認できたから

まだ読みたい もう終わりかな？

「このまま死んでしまうのではないか」
「この異常な感覚が続いたらどうなってしまうのだろう」　
死んでしまうのではないか という恐怖と不安の循環

まず　「生きたい」という　気持ちの再確認と
そこからの「死んでたまるか」という　意思の獲得が　根本の解決に繋がると思う

しかし　そこに立ち塞がっているものとして
ご家族のあまり幸せではなかった状態が　人生のイメージとして頭にあって
積極的に「生きていきたい」という気持ちが　発生しない状態も土台としてあるのではないか

亡くなってしまったお父さんへの　辛かっただろうな　という想像から始まる　心の一体化を経て
そこから　「父の分も幸せになる　どんな人生であっても幸せになってやる」という　
決意に繋げていく　という手順が　必要となる

宮城の津波がきたエリアに住んでた者です
今は県外にいるが

行ってくれてありがとう
こういうのもなんだが面白かった
とても興味深かったよ

1がよくなる事を祈ります

読んでるだけだったけど、>>1は色々と感じて成長して帰ってきたんじゃないかと思う。

一気に読ませて貰いますた。
自分はもう何年も前になりますが病気になり逆に東京にいき色々学びました。
何処かにいくことは本当にリハビリになりますよね
お互い病状が少しでもよくなりますように

誰かいるかわからないけれど、おひさしぶりです。
自分の意思で、語弊かまわず打ち明けてみたわけだけれど、後になって
匿名性こそあれど不特定多数の人間が目を通すやもしれないネット上に
自分の弱い部分をさらけだした事に少し怖くなったのと疲れを感じていました。
でも優しい名無しさんたちの労わりの言葉に救われたのと同時に、
批判的な事を書き込みたくても抑えてくれた人がいたのではないかと思い
両方に感謝しています。
これで本当の意味で、暴露療法の旅も
一応の決着をつけることができたのではないかと思っています。

>>140
ろだ教えてくれてどうもありがとう。
こちらは18禁のバナーも貼られないみたいだし
使い易そうなのでこれから利用してみようと思います。

>>141
そんな恐れ多い。自分はがっつりエヴァ世代ですし
こういう厨二病的というか思春期まるだしっぽい文章や表現が身近にあったので
それから影響を受けているだけです。
今は極寒なので体調も崩しやすいですが、花粉が落ち着いた頃になったら
とても開放的な気分を味わえる所だと思います。

>>142
「報道でしるのと自分で実際見るのは違う」
これは本当にその通りだと思った。媒介を通すと曇ってしまうというか･･
自分で見聞きして知ったものが真実だとは断定できないけれど
少なくともマスコミを通すよりはより価値があるような気がする。
単なる自己満足かもしれないけれど、
無関心よりは良いかなーとか、
関心があるくせに理屈だけこねてるよりはマシかなーと思うことにしている。
自分の語彙力では表現が難しいな。

>>144
読んでレスしてくれた>>144にも乾杯

>>145
どうもありがとう。
広野の写真はもっとたくさん撮ったのだけれど、
1階が流された一軒家とか崩れた防波堤とか泥まみれのおもちゃとか
何と言うかアップが難しい写真が多くて。
でも広野の海はこわいとは思わなかった。とても素敵だったよ。

>>146
その通り確かにVIP系の雑談板のが適しているかなとも思った。
けれど薬やら発作やら具体的でちょっと生々しい描写が多いから
専門版に立てさせてもらった。
もし雑談板に立てても、メンヘラ逝けとか
何が言いたいの？何がしたいの？とかあの調子で書かれたら
仮に冗談の挨拶程度とわかっても凹んだかもしれない。
だから優しい名無しさんたちに甘えさせてもらったんだ。

>>147
>>148
摂取した飲食物にまで目を留めて読んでくれてありがとう。
ただもし反論とか否定みたいに聞こえたら
それは誤解だと先に断った上で補足したい事がある。
カフェインや炭酸の作用についてはネットなんかで早い段階から知っていた。
自分は喉の違和感とか嚥下や吐き気メインの不安障害の節があるから
「飲み込みづらい」「飲み込み方がわからない」と感じた瞬間に
それを「吐く」と思い込んでパニックに陥る傾向が高い。
そこに炭酸飲料を流し込むととても安心できたんだ。単にすっきりするから。
一時はオロナミンＣを冷蔵庫に常備させておかないと不安になるくらい。
一部の患者さんやお医者さんには信じ難い事かもしれないけれど。
主治医にそれを話したら「それがあると安心するという何かがあるのは良い」
として科学的根拠を理由にやめさせようとすることもなかった。

>>147
>>148
チョコレートは何も食べられずにどんどん体重が落ちていく中で
唯一「食べたい」「食べられる」と思える食物だった。
口にしても吐き気はしないし、栄養価も高いから･･と思うと安心できた。
だからカフェイン等の作用についてはあえて考えないようにしている。
自分の摂りたい物を摂りたい時に摂ろうっていうのが今の方針。
もちろん1日中チョコや炭酸飲料しか摂らないわけではなくて
あくまで訓練用の食べ物みたいな位置付けで。

長々と申し訳ない。

>>149
失礼なことなんかない。
むしろこちらが失礼をしていないか悩みながら書いていたけれど、
そう言ってもらえると心強い気がする。
被災地の「日常」が「異常」に見えてしまう感覚がこわかった。
「被災地の生活＝悲惨」という先入観や固定概念が
助け合いの精神やらを生むのと同時に境界線をも生んでしまうんだなと。
同じ土地に住む同じ人間なのに、まるで異世界の人間に見えてしまう。
友達と駄弁ったりコンビニに行くなんてのは至って普通のことなのに、
それを目にした自分は何故か違和感を覚えたんだ。それこそおかしい。
そんな自分を自覚できたという点でこの旅は有意義だったと思う。
ちょっとうまくまとめられないけれどニュアンスとして。

>>150
そう感じてもらえるスレにできて良かった。
誰も読まない独りよがりのスレになってもいいと思って立てたんだ。
親にも友達にも言えない言わない･･けれどどうしても何処かに吐き出したくて。
だったらチラ裏でも済む話なんだけど、
やっぱり誰にも読んでもらえない訴えは処理に困ってストレスになるものだね。

>>151
専門の方でしょうか。
説得力のあるアドバイスというか理論に少し圧倒されたもので。
そこまで分析して頂いてどうもありがとうございます。

仰る通り、「生」に積極的な意味を感じたいけれど
感じられずに「死」にばかり関心がいっている･･
そんな自分がいることは確かな気がします。
これは現代人の典型でもあるかもしれませんが。
また補足になってしまうのですが、
父親は半分アルコール中毒で、かつDVの傾向もありました。
自分は小学生でしたが、ふざけて首を絞められて鼻血を出したりだとか、
父親の身を案じて酒を隠した母親が椅子ごとぶん投げられて泣かされる
なんて光景は日常茶飯事だったので。
母親は夫婦喧嘩の途中に心臓発作の真似事なんかをよくするんです。
父親に「お前のかあちゃんバカだな」と笑って言われたりした時は
「てめぇらでとっとと死ねばいいのに」って思ってましたね。本心じゃありませんが。

>>151
だから父親が死んでも正直悲しくはなかったんです。
よく言う「実感がない」というのもありましたが。
具体的な感覚としては「収入源がなくなって生活どうしよう」とかそんな程度で。
心の奥底では「ざまぁねえや」とか「これで厄介払いができた」とか
「でも問題だけ残して死んで遺産がこれっぽっちじゃ却って迷惑だ」とか
とにかくいろいろ思ってました。親不孝者と言われても構いません。
なので親戚からも「父親が死んだのに涙一つ見せない冷酷な子」と
陰で言われていた事もありました。
でも当時はトガっていたのでおとなな対応はできませんでした。

すみません、また長々と。

>>152
どうもありがとうございます。
こちらもこう言うのもなんですが
被災地、特に津波被害の跡を実際に目の当たりにすることで
良い意味で刺激になるというか、勉強になることが多々ありました。
>>152さんもご自愛ください。

>>153
どうもありがとう。
読んでるくれてるだけで充分ありがたいのですよ。
成長しているといいのだけれど･･日々是勉強ですね。

>>154
東京に。それはそれは非常に興味深いですね。
良ければ逆にお話を伺いたいものです。
こちらは相変わらずちょっとの積雪や地震予知でもはやお祭り騒ぎです。
地域性の違いを知るのは面白いですね。不安とかを忘れてしまうくらい。
もし気が向いたらで、またいらして下さいね。

ちょっと書きたいことがあったので補足。

福島県内のある駅で高校生のカップルがいた。
海水浴場もあるらしいけれど原発からかなり近いエリアでたぶん機能しない。
「被災地の女子高生が涙の訴え」なんて記事は頻繁に見かけるけれど、
「被災地の高校生カップル」なんて、ファッション誌にも載るかどうか。
旅先では日常と非日常が逆転して見える時があった。
当たり前のことが当たり前に見えないんだ。

ことあるごとに
「あ、学生いるんだ」「お、カップルだ」「へー忘年会やってる」
と感心している自分がいた。そりゃいるだろうしやるに決まってるのに、
被災地ってだけで「誰もいない、何もしない」みたいな先入観があった。
だからところどころ自分を恥じている。
逆に自分は、未だ都市部でも壊滅状態であることを望んでいたのだろうか･･
と考えてしまったから。

全ての優しい名無しさんにありがとう。

レスも補足もありがとう。
自分もメンタルいちばんひどい時は何も食べられなくて、
チョコとジンジャーエールばっかだったなあ…。

>>170
レスありがとうございます。
私はいっきにパニックや鬱などになった時期ぐありまして、現在は不安神経障害とやばい時はパニックです。
一気にいろんな精神病になった時もう死ぬんだなとなんだか自分で思っていて
そのときオカマの友人が死にそうだからとりあえず私のとこにおいでと東京に少し観光のつもりで行きました。
私は北海道の人間なので正直東京は憧れだったけど機会がなく行けてなくて
けどこのまま死ぬくらいなら一回行ってみようと思いいきました。
何日かはは友人を訪ねたり行ってみたいところに行きました。しかしやはり電車は街中は精神病にとって苦痛でしかない普通の方もそうだと思いますが今は北海道でぼちぼちバイトしながら生きてます。
あいかわらず薬はのんでますが酷い時を乗り切れたのは違う土地を見たからかなと思っています。駄文長文失礼しました。

お返事ありがとう。
また後できちんと手前味噌ながらの助言的なこと整理して書かせて頂きます。

今日はまずただ一つだけ。
自分を他人だと思ってもっといたわって優しくしてあげるべきです。
思考するあなたと感じるあなたは別の存在と考えて、感謝の言葉を朝晩かけてあげてください。
感情を乗せた言葉はエネルギーで、自分に向けて投げかけた言葉は自分という器の中で反響し増幅していきます。

ﾒﾝﾍﾗの一番の悪は、自分だけが辛いと思っている所。
支える家族の辛さも少しは考えましょう。

>>1
あなたは誠実で強い魂を持つ人だと思います。
強い魂を持った人にはその周りの人の中にマイナスの魂が入って、 強い魂を挫こうとするものなのです。
書き込みからでも誠実さを感じさせる貴方。
そのお父さんの本来の姿は 世が世ならあなたと同じぐらい誠実な人だったのかもしれません。
温かな親子の家庭の姿に憧れない人間はいないと思います。
自分のせいとはいえ せっかく家庭があるのに愛を感じることができなかったお父さんを憐れんであげてください。
毎日母さん　という映画を見たことはありますか？
この作品に登場する父親も　戦場カメラマンとして活動していたのにアル中になってしまい。
家族に迷惑をかけまくって　それでも酒をやめられず苦悩する姿が描かれていました。
DVDにもなっているので是非観てみてください。

あげとく

読めて良かった
書いてくれてありがとう
ちょっとVIPのねこたま思い出した

あげ

最低!!