離人症/離人症性障害/離人・現実感喪失症候群 Part8
1 :
優しい名無しさん:
2 :
優しい名無しさん:2008/02/09(土) 02:11:47 ID:bNACCQI/
◆離人症の定義(井上晴雄氏の解説)
「自分が存在すると感じられない」
「自分が行っていることに対して、自分がしているという感じがない」
「私はもとの自分ではなくなってしまったような感じがする」
といった自我意識の障害、
「自分が今まで親しんできた人やものがなんとなく疎遠に感じられる」
「街を歩いている人々が生きている感じがしない」
「外にあるものと自分の間にヴェールでもあるようでピンとこない」
「そこに肌があることはわかるが、実際にあるという感じがしない」
という対象意識面の障害、
「私は自分の手や足が自分のもののような感じがしない」
「私は自分の身体がなくなってしまったように感ずる」
「私は自分の身体が自分の身体のように感じられない」
「私は自分の身体が生きていると感じない」
という身体意識面の障害を主観的に体験する現象である。
3 :
優しい名無しさん:2008/02/09(土) 02:12:21 ID:bNACCQI/
フランスのデュガ L. Dugas が1898年に depresonnalisation という用語を提唱して以来、
離人症の発生機構については、その発生に感情を重視する感情説、その原因として一般
感覚の障害を考える感覚説、さらに両者の連合説等様々の学説がある。
シルダー P. schilder は離人症に共通なものとして過度の自己観察による体験の矛盾
を考え、中心我(zentrales Ich)を仮定し、離人症を中心我の変化で説明している。
ジャネ P. Janet は離人症の背景に空虚感(sentiment du vide)を考え、これは自我の
実在機能が減退していることを自我が自覚している感情状態であるとしている。
離人症は主に神経症性障害、気分障害、統合失調症に現れるが、正常人でも疲労困憊
時には体験することがあるし、その他の精神障害でも現れる。
ハウク K. Haug はウェルニッケ C. Wernicke の体験世界の三つの分類によって、
自己精神離人症、外界精神離人症、身体精神離人症に分けている。
マイアー−グロイス W. Mayer-Gross のいう現実感消失は外界精神離人症に相当するが、
そのうちで生命あるものに生命の存在を感じない体験を有情感喪失(desanimation)という。
4 :
優しい名無しさん:2008/02/09(土) 02:22:51 ID:bNACCQI/
◆300.6 離人症性障害 Depersonalization Disorder の診断基準(DSM-IV-TRからの転載)
A.自分の精神過程または身体から遊離して、あたかも自分が外部の傍観者であるかのように
感じている持続的または反復的な体験.
B.離人体験の間、現実吟味は正常に保たれている.
C..離人症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における
機能の障害を引き起こしている.
D.離人体験は、精神分裂病、パニック障害、急性ストレス障害、またはその他の解離性障害の
ような、他の精神疾患の経過中にのみ起こるものではなく、物質(例:乱用薬物、投薬)または
その他の一般身体疾患(例:側頭葉てんかん)の直接的な生理学的作用によるものでもない.
5 :
優しい名無しさん:2008/02/09(土) 02:23:22 ID:bNACCQI/
◆F48.1 離人・現実感喪失症候群 Depersonalization-derealization syndrome の診断基準(ICD-10からの転載)
診断ガイドライン
確定診断のためには(a)と(b)のどちらかあるいは両方に加えて、(c)と(d)もなければならない。
(a) 離人症状、すなわち患者が自分自身の感性および/または経験を分離されている、
よそよそしく、自分自身のものでない、失われている、などと感じる.
(b) 現実感喪失症状、すなわち対象、ひとびとおよび/または周囲全体が非現実的で、
よそよそしく、人工的で、色彩がなく、生命感が無いようにみえる.
(c) このことが主観的で自発的な変化であり、外力あるいは他の人びとによって強いられた
ものではないと受け入れること(すなわち洞察).
(d) 近くは明瞭であり、中毒性の錯乱状態、あるいはてんかんではないこと.
【鑑別診断】 この障害は「パーソナリティの変化」が体験される、あるいは示される他の障害、
すなわち統合失調症(変身妄想あるいは影響妄想、および被支配体験)、解離性障害
(この場合、変化の自覚が欠けている)、そして認知症の早期のある種の障害などから
鑑別されなければいけない。側頭葉てんかんの発作前の前兆と、発作後のある種の
状態が二次的現象として離人および現実感喪失症候群を示すことがある。
もし離人・現実感喪失症候群がうつ病性、恐怖症性、強迫性、
あるいは統合失調症性障害として診断可能なものの一部として生じているならば、
それらを主診断として優先すべきである。