□■メンタルヘルス板総合案内所・相談所■□Vol.52
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五十川卓司 ◆soalaRndW2 :
2007年11月7日 毎日新聞朝刊13版2面
心の薬 磯崎由美
「先生は顔も見てくれないんです。パソコンに向かって、『変
わったことはないですね』と言っては、いつもの薬を出すだけで
……」。大学病院に通う女性はそう言って十数種類の大量の薬を
広げて見せた。彼女は向精神薬に依存してしまった。
女性は、夫の暴力が原因でアルコール依存症になった。病状は
良くも悪くもなるが、処方される薬は変わらない。「3分間診療
」とやゆされる日本の精神科では、患者と向き合う時間を削り、
薬さえ出しておけばいいということになりがちだ。
そうした土壌が生み出しだのが、長年放置されてきた向精神薬
「リタリン」の乱用だ。高揚感が得られるため、ため込んで飲む
患者たちが増えた。ずさんな処方が原因だった。歯止めをかけよ
うと、ここに来て厚生労働省は適応症からうつ病を削除すること
を承認し、流通管理も厳格化することを決めた。
ところが今度は、リタリンにより病状が緩和されていたという
人たちに不安が広がっている。別の薬を処方すれば済む、という
ことだが、患者の立場からすれば、薬は種類どころか量を変える
だけでも症状が左右される。「心の薬はそれほど微妙なもの」と
専門医は言う。そしてインターネット上では、入手困難、という
売り文句で、リタリンのヤミ価格が上がり、他の薬の紹介や入手
方法の情報も飛び交う。
リタリンだけの問題ではない。薬物治療に頼り過ぎる一方で、
依存度になった患者を治療できる病院は極めて少ない。薬物依存
はなぜ広がっているのか。国や医師は、まずそこから考えるべき
だろう。(生活報道センター)