・ICD-10のF48.0 神経衰弱(Nrurasthenia)の診断基準
A.次の(1)・(2)のうち、いずれかがあること。
(1) 最低限の精神的労働(過度の精神的な努力を必要としない程の日々の生活をしたり、
またはしてみようとしたとき)の後にみられる。消耗感の持続的で苦痛な愁訴
(2) 最低限の身体的労働のあとにみられる、疲労感と身体的虚弱感の持続的で苦痛な愁訴
B.次のうちの少なくとも1項があること.
(1) 筋肉の鈍痛や疼痛
(2) めまい
(3) 筋緊張性頭痛
(4) 睡眠障害
(5) リラックスできない感じ
(6) 易刺激性
C.休憩やリラックスまたは娯楽などの一通りの間を行っても、
上記のA(1)項またはA(2)の項は回復しないこと.
D.この障害は少なくとも6ヶ月持続すること.
E.主要な除外基準:この障害は、器質性情緒不安定性人格障害(F06.6)や脳炎後症候群(F07.1)、
脳震盪後症候群(F07.2)、気分(感情)障害(F30-F39)、または全般性不安障害
(F41.1)の存在下に起こっているものではないこと.
・疫学
神経衰弱は、不安、うつ病、身体表現性障害のような他の病態と関連して生じるため、この疾患の疫学を調査
することは難しく、独立した障害として十分には研究されていない。ベアードは神経衰弱を19世紀の米国で最も
よくみられる病気の1つとみなしていたが、彼の見解を支持する有用な統計はなかった。(ICD-10の診断基準を用いた)
スイスの1994年のある研究では12%の有病率であった。
疲労と、身体症状に対する強い懸念といった主要な症状は、社会的、経済的に恵まれない人々に最もよくみられると
指摘する報告があるが、この障害が他の集団よりもこのような人たちの集団に多いわけではなく、実際には社会経済的に
恵まれた人たちによく起こる。「成長痛」(growing pain)・疲労、睡眠障害の形態をとる神経衰弱の前兆は小児期に現れる。
ベアードは、この障害の好発年齢の1つは小児期で、もう1つは中年期(45〜65歳)にあると考えていた。