□■メンタルヘルス板総合案内所・相談所■□Vol.48
2007年2月17日 毎日新聞朝刊12版13面
恋と世の中の軽さ
友人のT子が、8歳年下の彼から別れを言い度された。彼女は
若々しく、最初は仲良くやっていたが、別離の理由は何と「重い
」の一言だったと言う。
彼いわく「軽いノリがいいんだよね。SF(セックスフレンド
)って感じのさ」。T子は、「SFだって! あんな男を好きに
なった自分が恥ずかしい」と嘆く。
そういえばA子も「思いが重い」なんて駄洒落を言われて去年
男と別れたっけ。重いって何よ。自分が軽いことの証明か?
私は、人生の重みを知った上で軽い風情を醸し出す男が好きだ。
ただ軽いだけの男に何の味があろう。世の中を見渡せば、軽い奴
ばっかりじゃ。企業の不祥事は皆、職責を軽んじる奴らが、引き
起こした事件である。「女性は子供を産む機械」と言った政治家
もいる。子供を欲しくても産めなかった私は、ポンコツってこと
ですかあ?
「物事を真摯に考えない奴が、世の中をダメにする。アンタも
軽い男なんぞと別れて正解」とT子に言ったら、「もう恋はない。
食い気だけだ」と、彼女はドカ食いの日々。
軽い世の中では、軽い恋がポンポン生まれてポンポン消える。
若けりゃともかく、下腹の出たオバハンは、体重ばかりが重くな
る。
いやいや、どっかに情を育めるいい男はいるはずだ。オーイ、
冬眠しとるのかあ? (フリーライター 六笠由香子)