Q. 統合失調症(精神分裂病)とは、どんな病気?
A. 我の機能低下を基礎に、幻覚、妄想、興奮、思考の解体などをきたす疾患です。
以前は、不治の病であるかのような誤解や偏見を受けていましたが、最近では治療法が
進歩し、適切な薬物療法と精神療法、社会復帰のためのリハビリテーションを行うことに
よって、 ほとんどの患者さんは回復して、 社会復帰可能です。
▽自覚症状
「悪口が聞こえてくる」「近所の人が嫌がらせをする」「ずっと行動が監視されている」
「何かの機械で、心身に影響を与えられている」
▽他覚所見
「ひきこもり」「不可解な言動」「まとまりのない話」「硬い表情」「無動無言」「興奮」「支離滅裂」
兵庫県加古川市民病院 精神科医長 "平本 憲孝"先生
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統合失調症とは何か
統合失調症とは、思考や行動、感情を1つの目的に沿ってまとめていく能力、すなわち
統合する能力が長期間にわたって低下し、その経過中にある種の幻覚、妄想、
ひどくまとまりのない行動が見られる病態である。能力の低下は多くの場合 うつ病や
引きこもり、適応障害などに見られるものと区別しにくいことがあり、確定診断は幻覚、
妄想などの症状によって下される。幻覚、妄想は比較的薬物療法に反応するが、その後も、
上記の能力低下を改善し社会復帰を促すために長期にわたる治療、支援が必要となる。
国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部長 "金 吉晴"先生
「統合失調症」とは、以下のような特徴を持った精神障害のひとつです。考えや気持ちが
まとまりにくくなって、本人が困難や苦痛を感じ、回復のために治療や援助が必要となった
状態を指します。
1. 統合失調症は、心の状態を示す用語で、いくつかの異なった病気の集まりであろうと
いわれています。失調というのは、一時的に調子を崩したという意味で、回復の可能性を
示します。
2. 根本的な原因はまだわかっていませんが、 何らかの脳の機能異常と心理社会的な
ストレスなどの相互作用が関係すると考えられています。
3. 日本全国で約60万人近くの患者さんが治療を受けておられます。また、一生の間に
こうした状態になる率は、およそ100人に1人とされています。
4. まとまりきれない心の内容が、現実とは異なった形をとり、幻覚や妄想となることが
あります。これは脳内の伝達物質がバランスを失ったためで、その多くは薬が効きます。
幻覚や妄想は、他の病気にも見られるものです。
5. 薬や心理社会的な介入による新しい治療法が普及し、社会参加をめざしたリハビリ
テーションも進歩しました。早期に適切な治療を行うことによって、今では多くの患者さんが
回復し、社会参加しています。ただ、一部には疲れやすさや神経の敏感さが残ることも
あります。
6. どうやって社会参加を支援していくのかということが、これからの課題です。そのためには
心ない偏見を減らしていくことが重要です。
社団法人 日本精神神経学会
・病型
妄想型 妄想や幻聴が主体 最もポピュラー
解体型 (破爪型) まとまりのない会話や行動が主体
緊張型 カタレプシー,昏迷などの運動行動の異常が主体
残遺型 陰性症状が主体
鑑別不能型 以上のいずれでもないもの
・経過
精神分裂病の初回発症例の95%は1年以内に社会的適応が可能なレベルにまで回復する。
退院後2年間で40〜70%が再発する。50%の患者が1度は自殺を試みる。
20年の間に10%は自殺に成功する。30%の患者は就労し人並みの生活を送れる。
50%の患者は抗精神病薬の継続と社会的サポートがあれば,ほぼ独立した生活を送れる。
20%の患者には長期入院を含めた細かなサポートが必要になる。
・治療
抗精神病薬と心理社会的治療,社会福祉的アプローチが必要になる。
活発な陽性症状に対しては抗精神病薬によって症状を緩和し,本人の苦痛をとることが
できる。また一旦回復した患者も薬物を継続することによって再発を予防することができる。
毎日の服用が困難な場合は,徐放性のデポ剤の筋肉注射を月に1度行うことができる。
陰性症状や残遺症状は現在利用可能な向精神薬では十分に治療することができない。
薬物を服用している患者でも対人関係に障害が残る場合がしばしばある。
このため,生活技能訓練(Social Skills Training)などが必要になる。また同居家族の批判的な
態度や強い感情表出(High Emotional Expression)が精神分裂病の再発と関連することが
分かっている。家族に対する心理教育が行われるようになった。
国立病院機構 菊池病院 臨床研究部 "原井 宏明"先生
「良医の10ヵ条」
(1)患者の話をよく聞く
(2)患者に分かりやすく説明する
(3)薬に頼らず、生活上の注意をする
(4)必要があれば専門医を紹介する
(5)患者の家族の気持ちまで考える
(6)地域の医療・福祉を熟知している
(7)医療の限界を知っている
(8)患者の苦しみ、辛さを理解している
(9)他の医者の意見(セカンド・オピニオン)を聞きたいという患者の希望に応じる
(10)患者に真実をショックのないように伝え、希望を与える
※(8)や(10)などは、高度な人間学をともなう
諏訪中央病院 保健医療福祉管理者 "鎌田 實"先生(月刊現代 2003.5 掲載)
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抗精神病薬の副作用
●口が渇く、尿が出にくい、便秘
●手足、顎、舌などがこわばって動かせない。動作がぎこちなくなる
●手または体の規則的なふるえ
●からだが落ち着かず、じっと座っていられない。そわそわする
●性欲の減退、無月経
●体重の増加
●高血糖
社団法人 埼玉県精神保健福祉協会
10 :
優しい名無しさん@LR検討暫定:2005/11/14(月) 21:14:44 ID:Osuh1+U7
乙!
乙です
抗精神病薬(メジャー・トランキライザー)一覧
グループ 一般名 商品名
定型抗精神病薬
クロカプラミン クロフェクトン
クロルプロマジン コントミン、ウインタミン
スルピリド ドグマチール、アビリット、ミラドール
チオリダジン メレリル
チミペロン トロペロン
トリフルオペラジン トリフロペラジン
ネモナプリド エミレース
ハロペリドール セレネース、ハロステン、ケセラン、ブロトポン、リントン
ピモジド オーラップ
フルフェナジン フルメジン、フルデカシン
ペルフェナジン PZC、トリラホン、トリオミン
モサプラミン クレミン
レボメプロマジン ヒルナミン、ソフミン、レボトミン
持効性抗精神病薬
エナント酸フルフェナジン アナテンゾールデポー(2週間)
デカン酸フルフェナジン フルデカシン(4週間)
デカン酸ハロペリドール ネオペリドール、ハロマンス(4週間)
非定型抗精神病薬
ゾテピン(SDA) ロドピン、メジャピン
リスペリドン(SDA) リスパダール
塩酸ペロスピロン(SDA) ルーラン
フマル酸クエチアピン(SDA) セロクエル
オランザピン(SDA) ジプレキサ
〜入院中の精神障害者の権利に関する宣言〜
入院中の精神障害者は、適切な医療を受け、安心して治療に専念することができるよう、次の権利を有しています。
これらの権利が、精神障害者本人及び医療従事職員、家族をはじめすべての人々に十分に理解され、
それが保障されることこそ、精神障害者の人権を尊重した安心してかかれる医療を実現していく上で、
欠かせない重要なことであることをここに明らかにします。
1 常にどういうときでも、個人として、その人格を尊重される権利
暴力や虐待、無視、放置など非人間的な対応を受けない権利
2 自分が受ける治療について、分かりやすい説明を理解できるまで受ける権利
自分が受けている治療について知る権利
3 一人ひとりの状態に応じた適切な治療及び対応を受ける権利
不適切な治療及び対応を拒む権利
4 退院して地域での生活に戻っていくことを見据えた治療計画が立てられ、それに基づく治療や福祉サービスを受ける権利
5 自分の治療計画を立てる過程に参加し、自分の意見を表明し、自己決定できるようにサポート(援助)を受ける権利
また、自分の意見を述べやすいように周りの雰囲気、対応が保障される権利
6 公平で差別されない治療及び対応を受ける権利
必要な補助者“通訳、点字等”をつけて説明を受ける権利
7 できる限り開放的な、明るい、清潔な、落ちつける環境で治療を受けることができる権利
8 自分の衣類等の私物を、自分の身の回りに安心して保管しておける権利
9 通信・面会を自由に行える権利
10 退院請求を行う権利及び治療・対応に対する不服申立てをする権利
これらの権利を行使できるようサポート(援助)を受ける権利
また、これらの請求や申立てをしたことによって不利に扱われない権利
大阪府精神保健福祉審議会