>>89 おめでたですね!!
大学の産婦人科教授の書いた物をお祝いに全文張ります。
5万円払った正規ユーザなのでお目こぼし願いたい>著作権者様
妊娠とくすり
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妊娠は40週という長い期間にわたって続き,この全期間を通じて妊婦が
全く健康であり続けることは,きわめてまれなことといえる.妊婦が疾患に
罹患した場合にも治療法として薬物療法が第1選択となることが多い.
妊婦に対して薬物を使用する際には,一般の場合と同様に薬剤の効果や副作用などを
考えることはもちろんであるが,胎児に対する影響についても熟慮しなければならない.
A.薬剤の胎児移行
母体に投与された薬剤は母体血中に取り込まれ,胎盤を介して胎児へと移行する.
胎盤での物質交換のシステムとしては単純拡散・促進拡散・能動輸送などがあるが,
基本的に分子量600以下の薬剤は単純拡散によって容易に胎盤を通過する.
さらに脂溶性であるほど,またイオン化の程度が低いほど胎盤通過性が高い.
したがって同種同効の薬品がある場合には,薬剤の胎児への影響を避けるため
分子量が大きく,水溶性であり,イオン化の程度が高い薬品を選択すべきである.
B.薬剤の胎児への影響
妊娠中の薬剤投与で最も問題となるのは催奇形性であり,次いで胎児毒性である.
1.催奇形性 1個の受精卵から各種臓器に分化する際に薬物を
はじめとする外来因子が作用すると,正常な分化が障害され奇形を生じる.
この時期を臨界期といい各臓器によって差はあるが,最も長い中枢神経系で妊娠4−13週である.
臨界期の間はできるだけ薬剤の投与は避けることが望ましい.
幸いhCG測定試薬の高感度化によって妊娠3週後半には妊娠を
確認できるようになったので,薬剤を投与する際に妊娠の可能性がある場合には
妊娠診断補助試薬を用いて妊娠反応を行い妊娠の有無を確認すべきである.
2.胎児毒性 臨界期を過ぎると催奇形性の問題はなくなるが,
胎児は各種の臓器の機能が成人のように発達しておらず,種々の障害を生じやすい.
具体例として,テトラサイクリン(歯牙黄染),アミノグリコシド(第8神経障害),
インドメタシン(動脈管早期閉鎖)などである.