◆◇【仮病じゃない】うつ病講座2◇◆

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第6回 人格障害の抑うつ状態

 今回は人格障害特有の抑うつ状態を見せる境界性人格障害(別称:境界型情緒不安定性人格障害)と抑うつ性人格障害
についてお話しします。因みに人格障害とはかつて精神病質と呼ばれていたもので、性格の異常性により本人あるいは
社会が苦悩する人格を持つ精神障害の事を指します。

(1) 境界性人格障害(境界型情緒不安定性人格障害)〔Borderline- Personality-Disorder〕

 境界性人格障害とは、対人関係や自己像や感情の不安定・激しい衝動性を示す人格障害で、演劇的・感情的・気紛れを
特徴とするクラスターB群に属しています。発病は、生後6ヶ月から3歳までの頃に母親との間に情緒面での問題を抱えた
子供が前思春期を迎える時で、生得的な要因・フラストレーションへの脆弱性・強い攻撃性等も発症に関わっています。症
状はアイデンティティーの障害や葛藤乃至欲求不満に対して無意識的な自衛をとる原始防衛機制に基づくもので、見捨て
られる事への恐怖と他人へのしがみ付き・他人に対する理想化や扱き下ろしの繰り返し・自殺、自傷行為、暴飲暴食、アル
コールや薬物等の物質乱用、拒食、浪費、性的逸脱・無謀な運転等の問題行動・情緒不安定・慢性的な空虚感・統制を欠
いた怒り・ストレスで生じる妄想的な観念や非現実感、感情の麻痺・分離、違和感等の重篤な解離状態を示します。また、
本病は見捨てられ抑うつ〔abandonment-depression〕と呼ばれる、怒り・恐怖・罪悪感・受動性・無気力・空虚感を含む抑う
つ状態を示し、それは依存環境からの脱却や問題行動を治療者によって制限された時に生じます。

(2) 抑うつ性人格障害〔Depressive-Personality-Disorder〕

 抑うつ性人格障害とは、日常において抑うつ気分が慢性的・恒常的に持続する人格障害で、現在は気分変調症や研究用
診断の特定不明の人格障害に分類されています。症状は抑うつ気分の他に、内向的・懐疑的・不信感・歓喜不能・無価値観
・厭世観・悲観・未来への恐怖・小心・不平・心気・臆病・不安・苦悩等を示し、時には快活的・活動的な振る舞いや物事を悪
意に捉える妄想様観念が見られる事もあります。

 以上で第6回目は終わりです。