診断基準
自己愛性人格障害 Narcissistic Personality Disorder
アメリカ精神医学会 DSM-IV
誇大性(空想または行動における)、称賛されたいという欲求、共感の
欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。
以下の5つ(またはそれ以上)によって示される。
1) 自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績やオ能を誇張する、
十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
2) 限りない成功、権力、才気、美しき、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3) 自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達に
(または施設で)しか理解されない、または関係があるべきだ、と信じている。
4) 過剰な賞賛を求める。
5) 特権意識つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的
に従うことを理由なく期待する。
6) 対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成
するために他人を利用する。
7) 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、または
それに気づこうとしない。
8) しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9) 尊大で傲慢な行動、または態度。
(1)過剰警戒型(抑うつ型)・・・自己愛を傷つけられるのが怖いため、ひきこもる。
賞賛を得るのは無理だろうとあきらめて閉じこもる。
(2)無自覚型(誇大型)・・・・・俗にいうナルシシズム型。「オレが世界一と思っている」
自己愛人格障害については、米国では力動的な考え方に従ってそれを二型に
分ける動きが見られる。ギャバード(Gabbard,1989 1994)は、これを
「無関心型」oblivious taypeと「過敏型」ないし「過剰警戒型」hyper
vigilant type(ここでは「過敏型」と統一しておく)とに分ける。
ギャバードによれば、前者の「無関心型」は、他人に対して傲慢であり
自己陶酔的で、周囲がうんざりしているのも気にかけず自分の業績について
得々と自慢するといったタイプである。それに比べて「過敏型」は、
恥ずかしがりやで人前で目立とうとせず、他人の反応を極度に気にし、他人からの
批判にことのほか敏感であるとされる。ブルーチェック(Broucek,1991)は、
この分類の趣旨に同意し、特に「過敏型」と恥の感情との関係を明確に
指摘する。ブルーチェックによれば、このタイプは、彼の分類による解離型
ナルシシストdissosiative narcissistに相当し、こちらのタイプは低い
自己評価と、頻繁な恥の体験等を主たる特徴とする点が、彼のいう自己中心型
ナルシシストegoistical narcissist(ギャバードの言う「無関心型」に近い)
と区別されるという。
「恥と自己愛の精神分析」岡野憲一郎著 より