【統合失調症(精神分裂病)】(schizophrenia)
およそ100人に1人が患っているとされており、
日本にはおよそ約72万人の患者さんがいると推計されています。(平成8年 患者調査より)
精神分裂病の症状は,陽性症状,解体症状,陰性症状の3つに分類されます。
1)陽性症状または精神病症状
妄想,異常な思考,疑念:精神分裂病の人は,現実とかけ離れた奇妙で間違った考えをもつようになることがあります。
彼らは,他人が自分の心の中を読みとったり,自分に対して何かをたくらんでいると考えたり,
誰かが自分を密かに監視して自分を脅かしていると考えたりすることがあります。
自分が他人の心をコントロールできると思い込んでいたり,
他人が自分の心をコントロールできると思い込んでいることもあります。
■幻覚:精神分裂病の人には,自分に話しかける声や,自分の噂話をしている声が聞こえることがあります。
その声は,たいてい否定的,批判的で,恐ろしいことを話しています。
また,稀ですが,そこに実在しないものが見えることもあります。
■歪んだ知覚:精神分裂病の人は,日常生活で見たことや聞いた音,匂いや味,
身体で感じたことなどの意味がわからなくなることがあります。
そのために,あたりまえの物事が恐ろしく感じられるのです。
精神分裂病の人は,まわりの雑音や光や色,注意を引くさまざまなものに対して敏感すぎるのかもしれません。
2)陰性症状
■感情の平板化や鈍麻:精神分裂病になると,感情を感じることができなくなったり,
自分が何を感じているのかがわからなくなったりします。また,自分の感情をはっきりと表に出したり,
他人の感情を理解したりすることができなくなることもあります。このような症状があると,
他人とかかわることが難しくなる場合があります。
そして,一定期間,極端に引き込もって孤立してしまうことがあります。
■動機づけやエネルギーの欠如:精神分裂病の人たちは,あることを始めたり,
いったん始めたことを続けたりすることができなくなることがあります。
極端な場合には,入浴や着替えのような簡単なことでも,誰かに促されなければできないときがあります。
■喜びの感情や物事に対する興味の欠如:精神分裂病の人たちには,
世界は厚紙のように平らでつまらないもののように感じられるようです。
このような状態から抜け出て何かをすることに価値を見出せないのかもしれません。
■限られた会話:精神分裂病の人は口数が少なく,誰かに話しかけられなければずっと無言のままでいることがよくあります。
3)解体症状
■混乱した思考とまとまりのない会話:精神分裂病の人は,物事をはっきりと考えることや,
他人の話の内容を理解することができなくなることがあります。
会話を続けたり,先の計画を立てたり,問題を解決したりすることができなくなることもあります。
■まとまりのない行動:精神分裂病にかかると,意味のない行動をしたり,リズミカルな動作を繰り返したり,
儀式的な行為を行ったりするようになることがあります。
ときには,まったく話したり動いたりせず,長時間同じ姿勢をとり続けるようになることがあります。