占術“理論”の根拠や論拠

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952名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 20:56:18 ID:???
だが其も暫らくで、山は元のひっそとしたけしきに還る。
953名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 20:56:51 ID:???
唯、すべてが薄暗く、すべてが隈を持ったように、朧ろになって来た。
954名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 20:57:55 ID:???
岩窟は、沈々と黝くなって冷えて行く。
955名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 20:58:27 ID:???
した した。
956名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:04:15 ID:???
水は、岩肌を絞って垂れている。
957名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:15:18 ID:???
耳面刀自。
958名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:15:50 ID:???
おれには、子がない。
959名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:16:22 ID:???
子がなくなった。
960名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:16:54 ID:???
おれは、その栄えている世の中には、跡を胎して来なかった。
961名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:17:26 ID:???
子を生んでくれ。
962名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:24:18 ID:???
おれの子を。
963名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:24:50 ID:???
おれの名を語り伝える子どもを――。
964名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:30:42 ID:???
岩牀の上に、再白々と横って見えるのは、身じろきもせぬからだである。
965名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:33:52 ID:???
唯その真裸な骨の上に、鋭い感覚ばかりが活きているのであった。
966名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:34:24 ID:???
まだ反省のとり戻されぬむくろには、心になるものがあって、
心はなかった。
967名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:34:56 ID:???
耳面刀自の名は、唯の記憶よりも、更に深い印象であったに違いはない。
968名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:35:28 ID:???
自分すら忘れきった、彼の人の出来あがらぬ心に、骨に沁み、
干からびた髄の心までも、唯彫りつけられたようになって、
残っているのである。
969名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:36:01 ID:???
万法蔵院の晨朝の鐘だ。
970名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:36:33 ID:???
夜の曙色に、一度騒立った物々の胸をおちつかせる様に、
鳴りわたる鐘の音だ。
971名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:37:06 ID:???
一ぱし白みかかって来た東は、更にほの暗い明け昏れの寂けさに返った。
972名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:41:18 ID:???
南家の郎女は、一茎の草のそよぎでも聴き取れる暁凪ぎを、
自身擾すことをすまいと言う風に、見じろきすらもせずに居る。
973名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:41:51 ID:???
夜の間よりも暗くなった廬の中では、明王像の立ち処さえ見定められぬばかりになって居る。
974名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:42:23 ID:???
何処からか吹きこんだ朝山颪に、御灯が消えたのである。
975名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:42:55 ID:???
当麻語部の姥も、薄闇に蹲って居るのであろう。
976名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:43:28 ID:???
姫は再、この老女の事を忘れていた。
977名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:44:01 ID:???
ただ一刻ばかり前、這入りの戸を揺った物音があった。
978名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:44:33 ID:???
一度 二度 三度。
979名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:45:05 ID:???
更に数度。
980名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 21:59:49 ID:???
音は次第に激しくなって行った。
981名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:00:22 ID:???
枢がまるで、おしちぎられでもするかと思うほど、音に力のこもって来た時、
ちょうど、鶏が鳴いた。
982名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:00:54 ID:???
其きりぴったり、戸にあたる者もなくなった。
983名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:01:27 ID:???
新しい物語が、一切、語部の口にのぼらぬ世が来ていた。
984名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:01:59 ID:???
けれども、頑な当麻氏の語部の古姥の為に、我々は今一度、
去年以来の物語りをしておいても、よいであろう。
985名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:02:31 ID:???
まことに其は、昨の日からはじまるのである。
986名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:03:03 ID:???
門をはいると、俄かに松風が、吹きあてるように響いた。
987名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:03:35 ID:???
一町も先に、固まって見える堂伽藍――そこまでずっと、
砂地である。
988名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:21:02 ID:???
白い地面に、広い葉の青いままでちらばって居るのは、朴の木だ。
989名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:21:34 ID:???
まともに、寺を圧してつき立っているのは、二上山である。
990名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:22:06 ID:???
其真下に涅槃仏のような姿に横っているのが麻呂子山だ。
991名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:22:39 ID:???
其頂がやっと、講堂の屋の棟に、乗りかかっているようにしか見えない。
992名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:23:11 ID:???
こんな事を、女人の身で知って居る訣はなかった。
993名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:23:44 ID:???
だが、俊敏な此旅びとの胸に、其に似たほのかな綜合の、
出来あがって居たのは疑われぬ。
994名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:24:16 ID:???
暫らくの間、その薄緑の山色を仰いで居た。
995名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:24:48 ID:???
其から、朱塗りの、激しく光る建て物へ、目を移して行った。
996名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:31:40 ID:???
此寺の落慶供養のあったのは、つい四五日前であった。
997名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:32:13 ID:???
まだあの日の喜ばしい騒ぎの響みが、どこかにする様に、
麓の村びと等には、感じられて居る程である。
998名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:32:45 ID:???
山颪に吹き暴されて、荒草深い山裾の斜面に、万法蔵院の細々とした御灯の、
煽られて居たのに目馴れた人たちは、この幸福な転変に、
目を※って居るだろう。
999名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:33:17 ID:???
此郷に田荘を残して、奈良に数代住みついた豪族の主人も、
その日は、帰って来て居たっけ。
1000名無しさん@占い修業中:2006/08/07(月) 22:33:49 ID:???
此は、天竺の狐の為わざではないか、其とも、この葛城郡に、
昔から残っている幻術師のする迷わしではないか。
10011001
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