【日本語】ビットマップフォントM+【鋳造中】 part3
506 :
coz:
漢字制作を中止したいと思います
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M+ OUTLINE FONTS の制作を決意した動機には、以下の二つがありました。
1. 自分自身が満足できる水準を持つ「モダンゴシック系」の和文フォントを、
PC 上で自由に使いたかった。
2. そのフォントを「自由」なライセンスで公開する事により、和文フォント制作
の敷居を下げたかった。
明朝体や旧来的なゴシック体であれば、ヒラギノ書体はもちろんの事、平成書体も
MS 書体も一定以上の水準を持ち、PC で簡単に使用する事ができます。
ところがモダンゴシック体に限っては OS に標準装備される事も無く、その使用には
商業印刷を前提とした高価なフォントが必要でした。
日常生活で接する事の多い、印刷物などに占めるモダンゴシック体の高い割合、
洗練されてきた各 OS 上の UI との対比などを考えると、個人が自由に使用する事の
できるモダンゴシック体が必要だと考えました。
そこで、どうせ作るのであれば改変・再配布などが自由なライセンスを設定して、
次世代の和文フォント制作のためのタタキ台にも利用してもらおうと思いました。
507 :
coz:2006/04/07(金) 20:45:58
作業を進めるうちに、Mac OS X や XFT 環境での漢字自動補完を確認する事が
できました。また同時期に無償公開された IPA フォントと合成する事で、
自動補完に頼らない使用方法も確立されつつあります。
旧来的なゴシック体の漢字部分と M+ FONTS のかな部分とでは、微妙にデザインの
方向性が異なりますが、ディスプレイ上での表示に限ればその差異も気になる事は
無く、現状でも上記 1 の用途として充分に使用できるようになりました。
また今後、これら漢字の自動補完、合成の手順が更に発展し、和文フリーフォント
制作における現実的な解として「かな文字フォント」の有用性が認知される様に
なれば、上記 2 の目的にも合致します。
今から漢字制作を開始するとしても、第二水準漢字が揃うまでに何年、いや何十年
かかるか分かりません。
そこで今後の M+ FONTS の目標を以下の二つに変更したいと思います。
a. 現在公開中のフォントの品質向上
b. 欧文書体の追加
508 :
coz:2006/04/07(金) 20:47:08
a では、かな文字、英数字のデザイン向上は当然の事として、縦組みへの対応や、
アクセント記号付きアルファベットの補充、半角英数字、全角英数字の追加で
現行 M+ 1、M+ 2 の有用性を高めていきます。
また現在の英数字デザインはかな文字に合わせて、ゆったりとした柔らかい形状に
なっています。そのため文書量の多い英文の文字組みなどでは散漫な印象となり、
helvetica 的な汎用性には欠けています。そこで「和文フォント用の英数字」という
束縛から離れた上での標準的なサンセリフ体を作ってみたくなりました。
乱暴に言ってしまえば M+ としての helvetica を再構築する作業になると思います。
実際にデュスプレイ上で表示させるだけでは、その違いをほとんど認識できない程度
の結果となるかも知れませんが、「標準的な」サンセリフ体をフリーフォントとして
公開する事ができれば、他の和文フリーフォントと組み合わせる英数字としても
決して無駄にはならないはずです。
日本語アウトラインフォントの制作を決意してから約二年半、大幅に制作規模を
縮小する決断となりますが、限られた作業時間を出来るだけ有効に使いたいという
事がその理由です。膨大な漢字制作に専念するよりも、(ある意味では)多くの成果
を公開できると考えていますので、何卒ご理解いただければ幸いです。