おれの名は IP パケット。
生まれは東京都内のあるビルの中。
これから太平洋を越えて、某米国企業のメールサーバまで、
長い航海のはじまりだ。
>>1 最初におれの生い立ちを話しておこう。
聞いたところによれば、そもそものおれの出自は
はるか遠い祖先にまでさかのぼるらしい。
そこはこことはまったく別の世界で、
おれなどには到底想像もできないような、
巨大な情報がいくつも飛び交っている所なのだそうだ。
>>2 そのうちの情報のひとつが、ある時突然分裂しはじめた。
これはおれの意思を超えた所で起こったことであり、
何者かの意図によるものらしいのだが、これについてはあとで
気が向いたときにでも説明しよう。とにかく、
おれもまた、その分裂した情報の末裔であり、おれの中にも
その情報のなにやら重要な一部が埋めこまれているという話だ。
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/10 15:22
がんばれ。途中でロスせんようにな。
>>3 おれの生みの親の詳細については、そのうち誰かが
明らかにしてくれるだろう。兄弟は沢山いたが、
何人かは目的地に着く前に力つきたらしい。
おれもそうならないという保証はない。しかし、
進む以外に選択肢はないのだ。
>>5 おれが最初、カーネル内でいくつかの祖先から分化して
はじめて目をさましたとき、あたりは真っ暗で何もなかった。
手さぐりで一本道を歩いていくと「eth0」と書かれた出口があり、
そこから外へ出られるようになっていた。
>>6 外に出たおれが目を慣らして最初に見たのはスイッチングハブだった。
となりには Windows2000 から生まれたらしいパケットがおり、
しきりとこちらを威嚇していた。
やつのあの目つきはとうていまともな育ちとは思えない。
おれはやつを無視し、そのハブをくぐった。
>>5 長い旅路に俺は自分自身を見つめなおした。
自分自身に何が刷り込まれているか。
「IPってオイ板違いだボケ!せいぜい通ギがいいとこだろ」
なんだか掲示板の書き込みのようだ。
長い旅路は何処まで続くのだろう
つーかこれ以上考えてないんで、あと誰か勝手に続けて下さい。
TCP層あたりのストーリーをもうちょい補間したほうがいいかな。
ネットワーク屋さんに続けてもらうと面白そうなのだが。
ルータやゲートウェイでちょっとした事件が起きる、とかでもいい。
>>8 いや本当は向こうに立てようかと悩んだけどさあ…
IPパケットレベルの話だとこっちかなって気がしたのよ。
オレこっちの住人だし。まあいいや。おもしろくなかったらごめんな。
>>8 君がここの住人でもココになんでも立てて良いわけないだろ
ジャニやモムまで立てる気?
いや、おもしろい。続き希望。
>>7 続いて現われたのは部署内のファイルサーバや
ゲートウェイがつながる基幹スイッチだ。
そこにはSolarisから来たと思われるパケットが
沢山たむろしており、何やらしきりと囁きあっていた。
彼等はきちんとした身なりをしており、貧乏な家に
育ったおれとは明らかに違っていた。
「なあ、聞いたかい? ついさっきまでこのサイトのアホ管理者が
設定を間違って80番ポートを閉めてたって話だ」
「本当か? またなんでそんなことしたんだ?」
「なんでもプロキシの使用を強制しようとしたらしい。馬鹿な奴だ。
いまごろゲートウェイの外側には大量のアメ公達の死体がころがってるぜ」
>>13 「それで、その管理者はまだ設定を調整してるのか?」
いつのまにかおれは彼らにそう聞いていた。
連中は一瞬、うさんくさそうにおれのほうを見ると
よそよそしげに
「いいや」
とだけ答えた。
プロキシの使用を強制するような奴なら、とうぜん
特定マシン以外からの外向きsmtpも禁止しているはずだ。
おれはその管理者が間違って25番を閉めていないことを
祈るしかなかった。
>>13 と、そのとき。
突如ファイルサーバーから大量のパケット群が放出され、
奴等がものすごい勢いでこちらに向かってくるのが見えた。
2049番出身、UDPだ。誰かが NFS経由で巨大なファイルコピーを
始めたとみえる。ここで群衆に流されてしまったら終わりだ。
もしかすると次のハブまでもたどり着けないかもしれない。
おれは身がまえた。
(IPパケットのくせにEthernetハブを意識するのは
変かもしれませんが、そこらへんは勘弁してください)
まちがえました。
>>15 は
>>14 のつづきです。
このあとまだ考えてないんで落ちます。
次はゲートウェイ内で厳しいセキュリティ検査、といったところを
予定してますが、どなたかが続けていただいてもかまいません
(それを期待してるんですが)。
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/11 03:21
面白いので、あげたい。あげつづけたい。
>>11 ページに表示されるスレッドが 16 に増えた(?)ことだし
一つくらい小説スレあってもいいんでないの。
終了
>>19面白いスレなのに終わらせるなヴォケ。
厨房にとっては読むことによってネットワークの学習にもなるぞゴルァ
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/12 02:06
再開
>>13 >>14 洩れここんところ読んでて、映画「トロン」のワンシーンが頭に浮かんだよ。
面白いから続けてよ。
23 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/12 20:30
はっきり言おう。
俺はこのスレでIPを勉強しようとしている厨房だ。
と、いうわけで、1さん、お願いしまーす。
ほんとおもしろいっす。
(解説もあると助かるんすけど、そこまでお願いしちゃ、えへえへ、
すんません。でも、本編だけでも続けてください。お願いします。)
おびただしい量の,パケットが群れをなしていた.
そのとき,目の前に迫るハブの内部で前方のパケットが止まったよう見えた.
やばい.
一瞬のうちにそのパケットのからだが引き裂かれた,
そして続くやつらが次々に消滅していく.
ハブに負荷がかかり過ぎてるんだ.
くそ.おれはつぶやいた.
消滅はおれの少し手前で止まった.
あやういところだった.
おれのすぐ前にいたやつがほっとした顔をしている.
ゴッソリ消えていったNFSパケットのうちの一人だ.
おれは,同情はしなかった.
だいたいUDPってやつは,いつだってがむしゃらだ.
道幅ってものを考えていない.
まあいい,おれは気を取り直して進んでいった.
>>23>>1 これに反対してる人は何も内容に反対してるんじゃないよ
面白くないとか糞スレとか言ってるんじゃない。
ココの住人のカナリの人は通信技術やLinux、WinやMACとか
UNIX板と併用して板を回ってる。
分野ごとに振らないととんでもなくなる
反対は通信技術板の立場を重んじてる発言と取った方がいいね
まさにこのスレッド立てないであそこを何に使うの?
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/19 23:14
>>26 しかし、あんたは2チャンごときで官僚ごっこで、結局、
何も生み出していないのでは?
1さん、出てきて続きをしてくれ。俺はずーっと待ってんだ。
>>26 俺は糞スレだと思うけど(笑)
あ、「じゃあ無視しろ」とか言わないでね。
無視すべきスレについつい余計なことを書いてし
まう典型的2cherなので。
うーん、どっちでもいいからはやく続きが見たいage。
忙しいのでネタ考えてる時間がないのだ。ごめんね。
まあ続かなくなったらロストしたと考えてよ。
32 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/21 00:12
>>31 おもしろいページですね。
でも、われらのパケット君の末路としては悲惨なような。
ハッピーエンド希望です。
(希望が多くてすみません。あくまで希望です。)
33 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/21 00:36
BLAME!風な感じで、とて
も
おれはもはや1hop前のおれではない。
IP masqueradeというやつに、出自を書き換えられて
しまったのだ。
新しいヘッダによると、おれの生まれは
おれを書き換えたノードになった。
……ちっ、あいつ、おれのポート番号まで書き換えやがったな。
もっとも、こいつを変えてくれなけりゃ、返り道に
迷ってしまう。このポートに届いた返事は、もとどおりの
アドレス/ポートに書き換えられて、何もなかったかのように
おれの本来の生まれ故郷に届けられるんだから。
おれの兄弟たち――つまり同じセッションのパケット――も、
同じポート番号に書き換えられてるはずだ。
パケットの転送に徹すべきルータが、おれの中身まで
イジるなんてことは許しがたい。しかし彼らも
本望じゃないんだろう。IPアドレスが足りないから
仕方なく小細工を繰り出しているんだ……。
おれはそう自分に言い聞かせて、next hopに進んでいった。
>>35 ルータを出ると、おれはFDDIの中にいた。
10年ほど前まで、この接続の100Mbpsという速度はそれこそ
信じがたい速さのように思われていたらしい。
しかし、時代は変わった。
おれが見たのはいたるところ老朽化し、
弱々しいトークンが悲鳴をあげて空中分解している世界だった。
彼らは死ぬ間際に、光をとびちらせて散っていく。
その光があたりを現実離れした幻想的な光景に仕立てあげている。
>>36 おれは考えた。
パケットというのは因果なものだ。
おれのように地の果てまで行かされるものもあれば、
あのおれの生まれた部屋から一歩も出ずに一生を終えるものもある。
長い旅の途中で行方不明になるものもあれば、
目的地に着いた途端に撃ち殺されるものもいる。
そういえばおれが出発するとき、別の口にいた
ループバックのパケットが言った事を覚えている。
彼は U の字に曲った道をゆっくり歩きながらこう言ったのだった。
「おまえはなぜそんなに遠くまで行こうとするんだい?
パケットにとっての幸せは到達距離じゃないよ…
自分がどれだけ必要とされてるかってことさ」
確かに、ループバックの連中は幸せなのかもしれない。
彼らはほとんど必ずといっていいほど受け入れ口がある。
それに対して、おれは明日をも知れぬ身だ。
だが、おれは死ぬ場所も死に方も決まっているような安全な人生は
ごめんだ。それが生まれつきのオレの性分なのだから。
>>37 FDDIのまばゆい光にも目が慣れたころ、
ようやくおれは次の目的地についた。
どうやらそこはまたもルータらしかった。
その設備もまたFDDIに負けず劣らず古いものらしく、
検査管はもう働きざかりを過ぎたと思われる初老の男だった。
>>38 おれはいささかぐったりしていたので、
早いところその場を切り抜けたかった。
しかしおれがそこに入ったとたん、その検査官の目つきは
すぐに厳しいものになった。
やれやれ、面倒臭いことにならなきゃいいが。
>>39 その老人はおれを上から下まで見まわすと、
「ふむ、SYN ではないようじゃな? だとすると PENANCE か(注1)。。。」
などとわけのわからない独り言を口走っていた。
「IDを見せてくれんか」
おれは黙って自分のIDを見せた。
正直、こういう雰囲気の中で会話をするのは得意じゃない。
その検査官はしばらくのあいだ鋭い目つきで
おれの顔とIDを交互に見比べていたが、やがてこう言った。
「開発部から来たじゃろ? 申しわけないが、出所記録をつけさせてもらう」
「私は 25番行きです。怪しいものじゃありません」
「わかっておる。じゃが上からの命令でな」
老人はおれの ID を写しとりはじめた。
年のせいか手が細かく震えている。
- 注1: /usr/src/linux/net/ipv4/ip_fw.c 参照
>>40 「今までだいぶここで止められたんですか」
「ああ、25番はおまえさんの所じゃないがね、一時期、急に増えた」
その場所は薄暗かったので、奥になにがあるかはよくわからなかった。
だが、向こうの明かりが漏れているドアからわずかに見えかくれする破片。
あれはまちがいなくパケットの死骸だ。それも、うちの会社の出身の。
うず高く大量に積み上げられている。ここに来た違法パケットが
どういう扱いを受けるか、おれは知っていた。
おれは、しばらく顔を伏せて黙っていた。
老人もおれに気づいたのか、向こうを一瞬見たあと、
顔をあげて言った。
「おまえさん、わしのことを無慈悲な鬼と思っとるじゃろ。
我々とて身内を殺すのがいいこととは思わん。
だが、これも勤めじゃて」
>>41 老人は哀しげにそう言うと、立ち上がっておれに ID を返した。
「ここからもうひとつルータを越えると、そこから先は
完全に我々の管轄ではなくなる。本当の『外部』じゃ。
そこではもう誰もおまえさんのことなど知らんし、おまえさんを
気づかってくれる者もおらんだろう」
そう言っておれの背中を軽くたたきながら、
老人はおれを出口まで送った。
「本当は何か気のきいた台詞でも言って送り出してやればよいが、
そういうのは苦手でな。おまえさんもそうじゃろ」
>>42 おれはそのとき始めて、今までいた世界が安全な、
保護された場所にすぎなかったことを知った。
本当の苦難はこれからなのかもしれない。
てゆうか、自分で読み直してもなんか酔いすぎてるな。逝ってくる
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/23 00:19
おもしろい
学校で丁度この辺やったりしました
サパーリわからなかったけど
筒井康隆の、「最後の伝令」に雰囲気が似てる気がする‥‥
読ませるね。すごい面白い。
銀河鉄道 999 を想い出した。無機質な世界の擬人化が上手い。
続きをお願いします。
我々は1が何故このようなスレを立てたのかという疑問を解決
するため1の故郷へ向かった。
「まだ日本にこんなところがあったのか…」
思わず口に出てしまった言葉を同行した上司に失礼だと咎められた。
小人が住むような小さな家、ツギハギだらけの服を着る住民たち、
そして彼らは余所者で身なりのいい我々を監視する様に見詰めている。
高度成長だの、神武景気だの、オリンピックだので浮かれていた我々は改めて
1の故郷の現状を噛み締めていた。ボロ屑のような家に居たのは老いた母親一人
我々を見るなり全てを悟ったのか、涙ながらに「息子が申し訳ありません」と
我々に何度も土下座して詫びた。我々はこの時初めて1を許そうと思った。
誰が悪い訳ではない、貧しさが全て悪かったのだ。我々は1の母親から
貰ったキムチを手に、打ちひしがれながら東京へと帰路についた。
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/24 19:40
s/1/49/ge;
えっ。俺も?俺はただ49に消えろって、言いたかっただけの1ファンなのに。
(゚Д゚)ハア?
痛いところつかれて反論のしようがなくて脂汗流して全身から湯気を立ち上らせて
フ゛ハアフ゛ハア言いながら悔しがってるくせに「消えてくれ」などと冷静を
装いつつもやっぱり頭が悪いから全然意味不明で的はずれの文章しか書けない君は
さらに嘲笑されて悔しさのあまりトンカチでバスの乗客に襲いかかる前に
職場のベルトコンベアに巻き込まれて汚い汁と脂をまき散らしつつ同僚の冷たい視線を
浴びながら他界すればあ?
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/24 22:21
2chで長い文章読むのって疲れるね。。。
>>55 いや、俺の方こそ、まぎらわしくてすまん。かえってスレ汚しちゃった。
1さん、あなたのファンは多い。
>>44での気持ちもわかるけど、絶対名作だ。
連続アップは大変だと思うけど、気長に待ってるよ。
そろそろパケットロスしそうです (w
自分、実はネットワークはLANしか知らないんで
その先はサッパリ知らないのよね。他の人も続けてよ。
ネットワーク板で募集すればだれか来てくれるかなあ。
こういうテーマで物語を書けるレベルの知識って相当勉強しなくちゃいけないの
かな。どの辺の参考書がいいんだろう?
ガイシュツだった。スマソ
ブックマークしとくから続けてよー
ウーム。こんな面白いズレも珍しいのになんで荒らす奴が居るんだろ。
板違い〜俺はマジつまんない〜終了〜
悲しいね
おもろいよ。続けてくれ。
66 :
I is a hacker:01/11/26 11:03
>>1 ネットワーク板に移行してもちゃんと巡回しますので
よろしくお願いします。
>1
なかなか良い事言うねぇ〜
=========== 終了 ===============
たくさんのレスありがとうございました。
68 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/26 16:59
続編期待安芸
ある本からの引用を
>>1に捧げます。
面白さは全てに優先する。
TTLは43でした
71 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/27 21:27
1ほどうまく出来るか自信ないが:
さらに進むと、所在なげに煙草を吸いながら中年女が座っていた。
髪の毛を真っ赤に染め、厚化粧で顔を塗り固めた太った女だ
「また、新入りが来たね。服を脱ぎナ」
おれは女をにらみつけた。嫌な感じの女だ。
「なんだい、その顔は!ここじゃあたしが法律なんだよ!」
女は乱暴に言って、プハーっと煙草の煙をおれにふきかけた。
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/27 21:31
「あたしだって好き好んで脱がすんじゃないのさ」
口元をゆがめながら女は説明した
「あんたの体のどこかにエラーがないのか見てるのさ」
おれはだまって、シャツを脱ぎ、上半身を女に見せた
「フン、どうやら変なところはないようだね」
「いいかい、これから言うことをよくお聞き」
シャツに袖を通すおれに、中年女の説明がはじまった。
「あんたは、これからしばらく自分がIPパケットである
ことを隠さなきゃならないのサ」
女が何を言い出したのか理解できずに俺は、女を見つめた
「あんたは、しばらくレイヤ2のフレームになるのさ
なんたって、ここはフレームリレーの入り口なんだからね」
女はそういって面倒くさそうに上を向いた
「いいか、このマスクをかぶりな。そして、途中で
誰かに聞かれたら、『おれはフレームだ』って言い張るんだ」
仕方なく、おれは女に渡されたマスクをかぶった。
「あたしが若くて、あんたらIP一族が来る前はねぇ」
女はため息をついた。
「フレームリレーって言えば、昔は花形だったんだよぉ」
悪いがおれは昔話には興味がなかた。おれは先を急ごうとした。
「待ちな。慌てるんじゃないよ」女が乱暴におれを呼び止めた。
「『マスクを脱ぎなさい』って言われるまで、脱いじゃダメだよ」
おれは女に聞いた。
「誰が言ってくれるんだ?」
「向こうに、あたしとまったく同じ姿と声をした女がいるサ」
女は答えた。そして、女がどーんとおれの背中を押した。
おれはフレームリレー回線という未知の世界に足を踏み出した。
回線の中は、すでに「フレーム」たちで混雑していた。
誰もが、マスクをかぶって、ただ黙々とゴールを目指している。
おれも彼らにならって、その列の最後尾についた。その時
「もしかして、あなたもパケットですか?」
奇妙におどおどした声が背後からした。
77 :
寡黙なフレーム:01/11/27 22:31
(a)(g)(e)
おれは黙って、振り返った。そこには、おれと同じような
マスクをかぶっているが、やけにおどおどしたヤツが立っていた。
「ぼく、ここ初めてなんです。みんなマスクしてて、不安で」
おれは、そんなヤツを無視した。こいつがおれの
敵ではないという保証は、この『外部』ではないのだ。
「フレームって可変長だから付いていってもいいですよね。」
おれは黙って歩き出した。
「ぼくって実は、RTSPなんです。ほら、画像や音声を流すための」
ヤツは、おれの背後で切れ間なくしゃべり続けた。
「みんな、HTTPかSMTPじゃないですか!?だから少数派だし、
兄弟たちともはぐれて、道中ずっと寂しくって。。。」
こいつ、実は、壊れているんじゃないのか?おれの心の中に、
危惧の念が浮かんだ。もしかして、あの女、エラーを見逃し
たのか?
「おい、お前らフレームか?」
横からいきなり、野太い声がおれたちを呼んだ。
80 :
名無しさん@XEmacs:01/11/27 22:55
応援age
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/27 22:57
(すごいー。感激、あげ。)
82 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/27 23:01
続きがすごく気になる (w
「フレームだ。間違いない」
そう答えて、おれが振り返るとそこにはいかつい顔をした門番がいた。
「フン」門番は鼻を鳴らすと、続けた「確認させてもらおう。
まずは、DLCIを見せろ」
おれはDLCIを渡した。門番はおれのDLCIをじっくりと確認した
「どうやら、間違いないようだ。次にチェックサムを見せろ」
おれはチェックサムを渡した。
「どうやら、間違いないようだ。行け!」
おれは少しほっとしながら前に進もうとした。
「お前はフレームか?」
門番の声が、おれの背後でした。ヤツが問い詰められていた。
ヤツのおびえきった声があたりに響いた。
「ぼくはRSTPで、怪しいものじゃありません!!
兄弟たちにはぐれて、少し迷っていますが、悪いことは
していません!!」
必死の弁明を打ち消すかのように、門番の声が厳かに響いた。
「だが、お前はフレームではない」
おれは思わず、目をつぶった。
[感激age]
門番は続けた。
「フレームでないものは廃棄する」
そして、おれの背後で激しく叩きつけるような音がした。
振り返ると、ヤツが門番に鷲掴みにされ、壁に叩きつけられて
いた。
ヤツの体から、データを含んだペイロードがぽろぽろとこぼれ
落ちた。行き先に無事に到着すれば、音声か画像を構成する
はずであった体が、無残に0と1に分解されていく。
なおも門番はヤツを壁に叩きつける
「止めろ」
おれは思わず、門番に叫んだ。
「コレガ、オレノシゴトダ、邪魔スルナ」
門番がおれをにらんだ
「もう必要ない」おれは言って、静かに首を振った。
「だって、もう死んでいる」
フレームリレー回線の最後にはまた中年の女がいた。
最初に見たのとまったくそっくりな女だ。
「マスクを脱ぎナ」
マスクを脱いで、女に渡しながらおれは言った。
「そっくりだな。」
「みんなそ言うのサ。やってることは逆なんだけどネ」
おれが不思議そうな顔をしたに違いない。女は続けた。
「あっちはマスクをかぶせる役、こっちは脱がせる役サ」
「なんていう名前なんだ?」
おれは聞いてみた。
「もう若い頃のことはわすれちゃったわヨ。。。。。
そういえば、FRAD、Frame Relay Assenbly Deaseblyって
言ったかナ」
おれは女に聞いた。
「ここはどこだ?」
女は答えた。
「バックボーンに入る、一歩手前さ。」
「まだ先があるのか?」
女は笑った。
「あたしのようなレイヤ2は自分の身の回りしか分からない
んだけど、もっと先は長いらしいよ。あんたはIPパケット、
レイヤ3だからもっと先まで行くんでしょ?」
そして、女は先を指差した。その先には、まだ未知なる
世界が広がっていた。
#フレームリレー編おしまい。
お次、誰かよろしく。漏れは寝るw)
91 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/27 23:59
↑なんか、こうして見ると煽りみたいに見えるけど、違うよ。
まじに、よかったよ。
71です。
>>91 ありがと。
>> all 長くてスマソ。それでも読んでくれたひと感謝
ついでに、1にも感謝。
94 :
名無しさん@XEmacs:01/11/28 00:13
おつかれっす。おもしろいよこれ。
95 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/28 00:20
>>71 おもしろかったよ
続きの バックボーン編 たのしみです
イイ!!うまいねー。
97 :
名無しさん@お腹いっぱい。:01/11/28 00:53
名スレの予感
感激した。すばらしい!
>>71 でももう自分には技術的に手が出ない領域の話になってます (泣
心理描写とかできる範囲で書きますんで、よろしく!
バックボーンが伝書鳩(RFC1149準拠)だったりしたら笑う。
ああ、そういうネタはありだったかも。
「ヒゲづらの男が紙に印刷されたおれを…」以下略