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こんな名無しでは、どうしようもないよ。:
こっからは、もう、どう頑張っても金持ちにもなれないだろうし、
家だって、もう、二度と持てる気がしない。
何も希望なんかないよ。
そんな俺たちがさ、避難所で、CMでアイドルや俳優を見てさ、
「一緒だよ、1人じゃない」とか言われるたびに、
ああ、あの世界は自分たちとは、もう全然違ってしまったんだと思う。
家がある人の言葉だなーと。安定してるなーと。
そんなCMとかして充実もしてんだろうなーと。
家が流されてなくてさ、帰る場所があって、仕事があって、
地に足が付いてる人が、すげぇ神妙な顔で、お洒落な服で、こっち見て何か言ってるな、と。
おまえに言われたくないと。ほんとに。何も言わないでほしい。
大丈夫なわけがない。
おまえらに大丈夫だよ、とか言われても、大丈夫なわけがない。
どう見たら、この状況が大丈夫になるのか、胸倉つかんで聞いてやりたい。
でも、怒る元気もない。やる気もない。
ボランティアや取材のやつらも来て、色々写真とか撮って、
「実際みると、テレビとかとは全然違いますね」とか言ってて、
数日たったら「元気出して頑張って!」とか言って、
自分たちの家に帰っていく。
正直、復興なんてクソ喰らえだと思うよ。
「何か、できることある?」
何を言っていいかわかんなくなって、兄に泣きながら聞いたら、
「正直、不幸になってくれたら嬉しい」
と言われた。
「俺たちを幸せになんてふざけたこと思わないで、
俺たちの分、そっちもみんな不幸になってくれたらなー」
と言われた。
「俺たちを想って歌とか作られても今は不愉快だから、
東京も全部流されて、それでも「頑張ろう」って言われたら、
頑張るよ。その人の歌なら聴く。
知らないやつに、馬鹿みたいに「頑張って」とか「大丈夫」とか言われると、
今は正直、消えてほしくなるよ。
募金は嬉しいよ。で、ボランティアじゃなくて、ビジネスで、仕事として、
町を復興に来てくれた方が、こっちも気兼ねなく色々頼めて気が楽。
正直、ボランティアに「ありがとう」とか言うのも苦痛。」
と。