(大スポ)
あまり目立たないものの、最近地方競馬の騎手を辞めJRAに厩務員や調教助手として参入するケースが増えている。
レーヴドリアンで皐月賞に挑む中留調教厩務員もその一人。しかし、本人は“元騎手”と言われるのを極端に嫌う。
「既に松田博厩舎の一員」という自覚の裏返しである。07年から同厩舎入り。最初は調教レベルの違いに戸惑った。
「タクティクスを担当した時に引っ掛かって『おまえの師匠はよほど甘かったんだな。そんなんも乗れんのか。しっかり乗らんか』とスタッフに怒鳴られたのが忘れられません」
一方で“新師匠”松田博調教師の評価は最初から低くはなかった。
「馬に優しすぎるくらい優しい。自分で乗って体調が確かめられるのもいいな」と信頼を寄せる。
レーヴドリアンとはデビューからのコンビで「最初はうるさくてどうなるかと思いました。
だから運動でも他の馬から離れてみたり、長ムチを持って乗ったりと用心したんです」
このやんちゃ坊主との距離をどうにか縮めたい・・・その一心だったが、なかなか実を結ばない。
未勝利→特別と連勝し、結果は出たが「このままではいつ怪我をしてもおかしくない」と心中穏やかではなかった。
しかし今年になって転機が訪れる。それが松田博厩舎に“留学”してきた後藤のひと言。
「後藤さんが『この子は他と違ったことをされるのが嫌みたい』とアドバイスしてくれたんです」
以後は人馬ともマイペース。「馬を制御しようとするのをやめました。以前のように怒ったりはしないですね」
キャラを掴み、馬との距離は確実に縮まった。絆を深めて臨むのは人馬初のクラシック。
「きさらぎ賞は2着で悔しい思いをした。勝たないと意味のない世界というのも改めて感じました。結果が欲しいです」