(スポニチ)
Q.初心者なので、どの馬を見ても一緒に見えます。競走馬の識別はどうやっているんでしょうか?
A.順を追って説明しよう。まずは性別。そして毛色。ここまでは基本だ。続いて顔の特徴。白斑、つまり白い部分がどんな形かを見る。
そして旋毛、“つむじ”がどこにあるか。最後に四肢の白斑。脚のどこが白くなっているかを見る。
かつては競走前にJRA職員がこうした特徴を資料と照合、識別していた。なかなか熟練を要する作業だ。
事実、今年4月に大井競馬で出走馬の取り違え事件があった。装鞍所で発覚して競走除外に。だが最近ではこうした心配もなくなっている。
2007年度の生産からマイクロチップの埋め込みが義務化されたのだ。サラブレッドは生まれるとまずDNAを採取され、
競走馬理化学研究所で親子鑑定を受ける。そして軽種馬登録協会で、数字15ケタのIDを登録する。
数字の組み合わせはおよそ1億通り。計算上は1000年間の使用に耐えられる。そしてこのIDを読み込ませた
マイクロチップを馬体に埋め込む。どうやって? 栗東トレセン診療所、検査課の神谷和宏さんに聞いた。
「うなじの靭帯に注射のような器具を使って埋め込みます。取り出すと大きな傷ができてしまいますから、改ざんは不可能です」
マイクロチップは1個1000円ぐらい。これに大きめのバーコードリーダーのような器具を皮膚の上から当てると
「ピッ」という電子音とともに15ケタのIDが表示される仕組みだ。ID読み取りは市場取引や売買の際にも必要。
競馬場間の移動でも細かくチェックされ、取り違えを防いでいる。ただし欠点も1つ。壊れやすいのだ。
成長によるものか、どこかにぶつけた衝撃によるものか判別しかねるそうだが、読み取り不能になることも。その場合は新しいチップを埋め込む。
最多で3つ入っている競走馬もいるとか。もっとも競走能力には影響ないとのこと。安心して馬券を買ってください。