40年以上続くラジオ番組の収録のために、永六輔さん(75)が毎週通う
東京・赤坂のTBS。その1階の喫茶室に、約束時間より30分ほど前に着くと、
既に永さんはそこにいた。ゆったりと椅子に腰掛けて、静かにはがきを書いている。
こちらに気付くと、表情が自然にほころんだ。
「実は明治維新は終わっていないんじゃないか」
えっ? 開口一番、言われたことに戸惑った。
「女学生のセーラー服は、海軍水兵の軍服。男子の詰め襟だって、元は軍服です。
日本人は子どもの時から軍服を着ている。それを誰も不思議に思わない。
小泉(純一郎元首相)も、引退するけど、せがれに後を継がせる。どこが改革?
そんなの、江戸時代じゃない。明治で新しくなり、第二次世界大戦で世の中が変わり、
世界の経済大国になった。そうやって、どんどん世の中変わっていると思うだろうけれど、
本当は全然変わってない。明治維新が終わっているなら、国民はもっと目覚めているよ」
永さんの目には、政治は未熟だしとてもではないが近代化された国家には見えない。
だから明治維新はまだ続いているというわけだ。
少し極端にも思えるその論理の背景にはもちろん、
いまの政治への憤りがあるようだ。
続きます
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090130dde012040010000c.html